大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜   作:ウルトラジャンボ

22 / 36
第22話 見えた希望と大怪獣

「ようやくジャングルを抜けたぞ!」

「キュウキュウウウン」

カズマ達はピグモンの案内の元、ようやくジャングルを抜けることが出来た。

「あそこに見えるのがハルケーン補給基地モコね!」

「そうだと思う。カズマ君そうだよね…?」

「…強く…もっと力を…ああっ?そ、そうだな。リサーチシーバーも反応してる」

(カズマ君…大丈夫かな…?)

ルドーに敗れて以降、この惑星に飛ばされてから様子がおかしい所もあったカズマだったが、それが強さに執着する方向にシフトしますますおかしく…いや危うい面を見せるようになりリコは心配していた。

「基地に救難信号を発信できる設備があるといいんだけどな」

「無かったらどうするの?」

「…ここからめちゃくちゃ離れた首都“デヴィスシティ”に行かないとだなぁ…」

リサーチシーバーを見ながらカズマはそう応える。

「そうなったらメルバに乗せてもらう!絶対だからな!」

「分かってるよ…流石に距離があるからそうするって…なんでドヤ顔でそれ言うんだよ」

ドヤ顔でメルバに乗る発言をしたツヨシに呆れながらカズマが基地に向かって歩き出したその時だった。

[甲虫怪獣反応!甲虫怪獣反応!]

バトルナイザーの反応と共に地面が揺れ、土煙と共に一体の怪獣が姿を現した。

「グゥウウゥウッ!!!」

「ジャングル抜けたと思ったのにまた虫怪獣!?」

「タガメみたいな怪獣だな…」

「じゃあタガヌラーってことモコね」

モコに名付けられた“甲虫怪獣タガヌラー”はカズマ達に目も暮れず、補給基地に備え付けられてるタンクに向かって歩き出した。

そしてタンクに近づくとゾウの鼻のような口吻を突き刺しタンクの中身を吸い取り始めた。

「あの怪獣ご飯を食べに来ただけっぽい」

「なら気付かれないようにすれば…」

「それでこの間パゴスに見つかったモコよね」

「う、うるさい!今度は大丈夫だよきっと」

「静かにしてれば気づかれねぇって」

「あ…はい…そうっすね」

苛立つカズマを刺激しないようにツヨシは素直に謝り、改めて基地に近付こうとした時再びバトルナイザーが警告音と共に反応を示し始める。

[宇宙大怪獣反応!宇宙大怪獣反応!]

「キュウイィイイン!!!」

カズマ達が見上げるとそこには鳥のような姿をした一体の怪獣が基地目掛けて降下していた。

「あいつは“宇宙大怪獣ベムスター”!?」

「ベムスター?」

「あらゆるエネルギーを吸収する怪獣さ。あいつもこの基地のエネルギーを狙って?」

ツヨシがそう解説する中、ベムスターは地響きを立てながら基地に降り立った。

 

基地に降り立ったベムスターはタンクの中身を吸い取るタガヌラーを見て怒るかのように鳴き声を上げると、タックルでタガヌラーをタンクから引き剥がす。

「グゥウウゥウッ!!!」

食事を邪魔されたことでタガヌラーもまた怒り出し、タンクの中身を吸い取ろうとしたベムスターに向かって突進攻撃を繰り出す。

タンクから弾き飛ばされたベムスターは両手の爪を打ち鳴らすとタガヌラー目掛けて前進し、タガヌラーもまたベムスターに向かい出すと両腕の鎌を振り回してベムスターを切り裂く。

切り裂かれた箇所から火花を散らせながらもベムスターはジャンプしてタガヌラーに飛び掛かると、両手の爪を甲殻に叩きつけさらに嘴を突きつけることでタガヌラーにダメージを与える。

ベムスターの猛攻を受け怯むタガヌラーだが、突進攻撃でベムスターを弾くと地中に潜り込んでいく。

ベムスターはタガヌラーが潜った場所まで行き、そこで周囲を見渡すが足元に現れたタガヌラーの角で足を突かれ転倒してしまう。

起き上がったベムスターは背後を振り向くがそこには何もおらず、不審に思ったベムスターは首を傾げるが再びタガヌラーに足を突かれてしまう。

しかしベムスターは起き上がり再び周囲を見渡し、その隙を狙ったタガヌラーは三度角でベムスターを突き飛ばそうとするが、それを察知したベムスターは飛び上がることでそれを回避、角攻撃を躱されたタガヌラーは地上に上がるもそれを狙っていたベムスターの空中突進を受けてしまうのであった。

「キュウイィイイン!!!ハッハッハッハ!」

倒れ伏すタガヌラーを見て嘲笑うかのように鳴いたベムスターは、角から光弾を飛ばして攻撃する。

地面に倒れ込んだままのタガヌラーは光弾の直撃を受けダメージを負いながらも角から熱光線を放って攻撃するが、ベムスターは腹部にある五角形の口を開けてそれを吸収してしまう。

「グゥウウゥウッ…!!!」

熱光線を吸収されたタガヌラーはその場に横たわったまま動かなくなってしまい、その様子を見ていたベムスターは再びタンクの方へ歩き始める。

「…そのままそのタンクに食いついててくれよ…」

「カズマ君!あのアンテナがある建物なら助け呼べるんじゃない?」

「そうかもしれないな…よし行こう!」

リコがアンテナ設備のある建物を見つけカズマ達はベムスターやタガヌラーに気づかれないよう慎重に進むのだが、ピグモンがつまづいて転んでしまう。

「ピグモン!?大丈夫か?」

「キュウキュウウウン…」

ピグモンの元に駆け寄ったカズマが何とか立たせるが、ピグモンが転んだ際の音にベムスターが反応してしまい辺りを見渡し始めた。

「キュウイィイイン?」

慌てて建物の影に隠れるカズマとピグモンだったがベムスターは屈んで建物を眺め、あっさりと二人を見つけ爪を突き立ててくる。

「カズマ君!ピグモン!」

「ちっ!」

カズマは光線銃を取り出すとベムスターの爪に向かって光線を撃ち出し、爪を引っ込ませる。

「キュウイィイイン!!!」

しかし攻撃されたことで怒り出したベムスターは辺りを見境なく破壊し始める。

「このままだとまずい…やるしかないか…!」

暴れ回るベムスターにアンテナ設備のある建物を破壊されないようカズマがバトルナイザーを取り出した瞬間ピグモンがカズマの手を取る。

「ピグモン…なんの真似だ?」

「キュウキュウウウン…キュウウウウン」

「…“力に呑まれるな…君なら奴の呪縛を振り払える”だって?…お前もレイブラッドのことを知ってるのか?」

「キュウキュウウウン!」

するとピグモンの身体が光り、光はカズマを包み込み紫色に染まっていたカズマの瞳が元の黒に戻った。

「なんだろう…モヤモヤした感じが収まった…ありがとうな、ちょっと心が軽くなったよ。ピグモン俺から離れないでくれよ」

カズマはピグモンに礼を言うと側に待機させ、バトルナイザーを掲げる。

[バトルナイザー、モンスロード!]

 

召喚されたゴモラはベムスターに吠えると角を突き出し突進するが、ベムスターはそれを受け止めると爪でゴモラの頭部を殴りつけそこから蹴り上げて攻撃する。

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

蹴り上げられ怯むゴモラだったが、飛びかかってきたベムスターをその勢いを利用して投げ飛ばすとそこから尻尾の一撃を喰らわせ地面に叩きつけると体重を乗せた押し潰し攻撃でベムスターを攻め立てていく。

しかしベムスターも負けじとゴモラからマウントポジションを奪うと爪での殴打でゴモラを苦しめる。

そしてベムスターが渾身の一撃を喰らわせようと爪を振り上げたその時、何処からか放たれた熱光線がベムスターを直撃、ベムスターは吹っ飛ぶようにして地面に倒れ込んでしまう。

カズマが熱光線が飛んできた方角を見るとタガヌラーが立ち上がっていた。

「タガヌラー!?」

「グゥウウゥウッ!!!」

タガヌラーはゴモラを押し除けるとベムスターに向かっていき、倒れ込んだベムスター目掛けて鎌を振り下ろすがそれを転がることで回避したベムスターは起き上がると腹部の口から光線をタガヌラーに撃ち込む。

放たれた光線はタガヌラーを弾き飛ばし、ゴモラに直撃してダメージを与える。

唸り声を上げながら膝をついたゴモラを見たベムスターは、高くジャンプしてゴモラの眼前に降り立つと爪を使ってゴモラを地表に叩きつける。

だが起き上がっていたタガヌラーに背後から突き飛ばされて前のめりになるが持ち直すと、角からの光弾で腕の鎌を根元から折ってしまう。

しかしタガヌラーは怯むことなく、折られた箇所から光の触手を伸ばしてベムスターを攻め立てていく。

伸ばされた触手を爪を使い切り払っていくベムスターは一瞬の隙を突いて光弾を放ちタガヌラーを攻撃する。

「グゥウウゥウッ…!!!」

先程の攻撃が急所に当たったのか、再び倒れ込んだタガヌラーは目の輝きを失い息絶えてしまうのであった。

「キュウイィイイン!!!」

タガヌラーを倒したことではしゃぐベムスターだが、そこを狙ったゴモラの飛び蹴りを受けてしまう。

「行くぞゴモラ!」

ゴモラは蹴り飛ばしたベムスターの頭目掛けて尻尾を叩きつけ、ベムスターと組み合うと角を掴んで顔をアッパーで殴り飛ばす。

よろめくベムスターだったが突進してくるゴモラの懐に肩からのタックルを決め返り討ちにすると、そのまま角を突き出しての低空飛行突進を繰り出しゴモラを吹っ飛ばしてしまう。

着地したベムスターは倒れているゴモラに近づくが、ゴモラは倒れたまま蹴りを繰り出しベムスターを突き飛ばすと立ち上がって超振動波を放つ。

それを見たベムスターはすぐさま腹部の口を開き超振動波を吸収してしまう。

「キシャアァァァァァアアァッ…!!!」

「やっぱり吸われるか…どうすればいい?」

超振動波を吸われ唸るゴモラを前にベムスターは両手の爪を打ち鳴らすと、猛然とゴモラに突っ込んでいき肩からの突進で体勢を崩すとそのまま爪でゴモラの顔を連続して殴っていき、最後に爪を突き出してゴモラを吹っ飛ばしていく。

「カズマ君!」

「このままじゃカズマとゴモラがやられちゃうモコ!」

「ツヨシ君、あのベムスターって怪獣の弱点は無いの!?」

リコはツヨシの肩を掴んで思いっきり揺すり始める。

「お、落ち着いて!確か攻撃を吸収する瞬間、一瞬だけ動きが止まるって図鑑に…」

「それがあの怪獣の弱点ってことね!カズマ君、攻撃を吸収した時だけ動きが止まるみたい。そこを狙って!」

「リコ…ツヨシ…ありがとう。…そういうことなら」

[バトルナイザー、モンスロード!]

カズマはメルバを召喚すると指示を出す。

「メルバ!ありったけの光線をベムスターに食わせてやるんだ!」

「ギィエエエエエエエンン!!!」

カズマの指示を受けたメルバはエネルギーを溜め始める。

一方でメルバの存在に気づいたベムスターは光弾を連射して迎撃を行うが、メルバは放たれた光弾を巧みに躱していく。

そして隙を見出したメルバは威力が高まったメルバニックレイを撃ち出す。

「キュウイィイイン!!!」

すかさず腹部の口を開きメルバの光線を吸収していくベムスターだったが、メルバはさらに光線の威力を引き上げる。

それでも光線を飲み込み続けるベムスターだが遂に光線の吸収許容量を超えてしまい腹部から爆発を起こすのであった。

「超振動波を喰らわせてやれゴモラ!」

ふらつくベムスターの隙をつく形でゴモラは角をベムスターに突き立てると超振動波を一気に流し込む。

内側から来る熱さと痛みに悶え苦しむベムスターをよそに超振動波を流し続けるゴモラはトドメを刺そうと、エネルギーを一気に送りベムスターを吹き飛ばしてしまった。

「キュウイィイイン…」

吹き飛ばされたベムスターは身体を震わせながら起き上がろうとするも叶わず息絶えてしまうのであった。

「やったモコ!」

「あのベムスターを倒すなんてな!」

ツヨシとモコが喜ぶ中、リコが異変に気づく。

「見てベムスターの身体が!」

するとベムスターの身体が突如として光に包まれたかと思うと、次の瞬間には跡形もなく消滅してしまったのである。

「一体何が!?」

「フフフフフッ…ハッハッハッハッ!」

困惑するカズマだったが辺りに響く笑い声を聞いて誰が犯人なのかを察する。

「その声…ヒッポリト星人だな!」

「久しぶりですねぇ地球のレイオニクス!その通りですよ!」

カズマが振り返るとそこにはヒッポリト星人が佇んでいた。

「まさかここでこうして再会できるとはねぇ…まぁ貴方がこの星にいることは知っていましたが」

「ベムスターを持ち去ってどうするつもりだ!」

「あの怪獣は我らの切り札に必要なパーツなのです。本来なら私自らがやるつもりでしたが、手間が省けました。感謝しますよ」

ヒッポリト星人はわざとらしくお辞儀をしてカズマを嘲笑っていく。

「貴方には地球でのこともありますしここでケリをつけたいのですが、生憎上からの指示で完成を急がないといけないんですよね」

「…上だと?」

「おっとこれは私としたことが口を滑らせてしまいました…ですがいずれ戦うことにはなるでしょう。次に会った時こそ貴方の最期です」

ヒッポリト星人はそう言い残し姿を消すのであった。

ヒッポリト星人が姿を消した後、カズマはゴモラとメルバをバトルナイザーに戻すとピクモンを連れてリコ達の元へ駆け寄った。

「あの宇宙人…黒い花の時に出てきた宇宙人だったわよね?」

「ああっ…こんな所で出会うなんてな…」

「ヒッポリト星人までいるのかよ。早くこの星から出ようぜ」

ツヨシの言葉に頷いたカズマはアンテナ設備のある建物に向かって歩き出していった。

 

「荒れてるなぁ…」

「リコ、足元気をつけて」

「うん…ありがとう」

建物に入ったカズマ達はコントロールルームを目指して歩いていた。

辺りを警戒しながら進むカズマ達だったが何事もなくコントロールルームに辿り着くことが出来た。

「どれを使えば救難信号を送れるんだ?」

「まず設備が生きているかの問題だろ」

コントロールルームのコンソールパネルを弄る二人だったが、知識なんてないツヨシは悪戦苦闘する。

「大丈夫?」

「キュウキュウウウン?」

「焦ったいモコね!こういうのは適当に押せば解決するモコ!」

するとモコがコンソールパネルの上に飛び乗り適当にキーを打ち込み始めた。

「壊れたらどうすんだよ!」

慌ててツヨシがモコを押さえるのだが、次の瞬間コントロールルームの画面が映り出す。

「…マジかよ…」

「どうモコ!」

「よし後はここを押せば…これで行けるはず!」

ツヨシが唖然とする横でカズマはパネルを叩き救難信号を発信させる。

「…とりあえず救難信号は送れた。問題は届いてくれるかってとこだ…」

「祈るしかないわよね」

「だな。それより今日はここで休もうぜ。外よりは安全だろうし」

そしてカズマ達はコントロールルーム内で休息を取るのであった。




・宇宙大怪獣ベムスター
鳥に似た風貌を持つ宇宙怪獣。腹部にある五角形の口「吸引アトラクタースパウト」からあらゆるエネルギーを吸収する性質を持っている。角から撃ち出す「ベムスタービーム」や吸収アトラクタースパウトから放つ光線の他、素早い身のこなしを活かした格闘戦を主な武器とする。ハルケーン補給基地にあるエネルギーを狙って飛来し同じエネルギーを狙っていたタガヌラーと交戦、タガヌラーの地中戦法に翻弄されるがこれを見破り追い詰める。その後召喚されたゴモラと戦いこれを圧倒しさらに再び挑んできたタガヌラーを返り討ちにして倒してしまう。超振動波を吸収するなどしてゴモラを苦戦させるも、攻撃を吸収した時に一瞬だけ動きが止まる隙を突かれ倒されてしまう。だがその死体はヒッポリト星人が“切り札”を完成させるために消し去ってしまった。

・甲虫怪獣タガヌラー
黄土色の外骨格を持つ昆虫型怪獣で、ゾウの鼻のような長い口吻に両手の鎌、カブトムシのような角とまるでタガメと甲虫の合いの子のような姿をしている。高エネルギー資源を餌にしておりハルケーン補給基地に備えられていたエネルギータンクを狙うが、同じエネルギーを狙ってたベムスターとの戦闘では地中に潜り込んで足元を角で突き刺していく戦法をとるも見破られてしまう。その後角から熱光線を放つもベムスターには吸収され反撃のベムスタービームでダウンしてしまうも再度起き上がるとゴモラを押し除けてベムスターと再戦、虫故に痛覚が無いのか鎌を切り落とされてもそこから伸ばす触手で反撃するも、隙を突かれ放たれたベムスタービームが急所に当たり息絶えてしまった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。