大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜   作:ウルトラジャンボ

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第23話 暴走の赤いゴモラ

カズマ達が惑星ファーリーで戦っている頃、地球ではZAPが怪獣の対処に当たっていた。

そんな中、地球にあるZAP宇宙局総本部に一つの通信が司令官の元に直通で入ってくる。

「こちらZAP宇宙局総本部、司令官のヒュウガだ」

「惑星アヴァル支部技術班長のクマノです」

「おおっクマノか!久しぶりだな!」

「ボスも元気そうで」

彼らはかつてのスペースペンドラゴンのクルーで船長だったヒュウガは宇宙局総本部の司令官に、クルーの一人だったクマノはメカニックの腕を買われ現在は惑星アヴァル支部の技術班長になっていた。

「どうしたんだ直通なんて」

「実は救難信号をこちらの方でキャッチしまして…」

「何処からだ?」

「惑星ファーリーからなんです。ですがあの惑星は…」

「怪獣が現れたことで開拓計画の中断、放棄と共に職員や移民者達は全員が避難したんだったな」

「機械の故障かあるいは取り残された人がいるのか…」

「どちらにせよ確かめる必要があるな。その件はこっちで部隊を編成して対応することにしよう」

「ボス大丈夫なんですか?地球には怪獣が出現して対処に当たってるんじゃ」

「その元凶たるブルトンはゴモラが倒してこちらにも余裕が出来たからな」

「ゴモラですか…まさかレイが!?」

「いやレイのゴモラでは無い。だが同じものを感じたよ」

「そうですか…ボスが言うのなら間違いないでしょうね」

「長くこの仕事をやってきたからな。…報告ご苦労だったクマノ。お前も気をつけて励めよ」

「ボスのほうこそ気をつけて」

そう言いヒュウガはクマノとの通信を終え、ある人物を司令室に呼び出した。

「こちらヒュウガ。君に任せたい任務がある。すぐ来てくれ」

 

 

 

その頃惑星ファーリーでは救難信号を出したカズマ達が基地で食糧等の物資を探していた。

「荒れてるとはいえ探せばあるものなんだな」

「そもそも食べれるやつモコ?」

「ここの電源が生きてた訳だし大丈夫じゃね?」

楽観的に言うツヨシを呆れた目で見つめるモコだったが、リコに声を掛けられる。

「そういえばカズマ君とピグモンは?」

「基地の外に出てたモコよ。散歩して来るって言ってたモコ」

モコの言葉通りカズマとピグモンはリコ達がいる建物の周りを散歩していた。

「ごめんな俺の我儘に付き合ってくれて」

「キュウキュウウウン!」

謝るカズマにピグモンは気にしてないと言わんばかりにアピールする。

それを見たカズマは表情を柔らかくする。

「不思議だよな…お前が側にいると安心するっていうか」

「キュウウウウン?」

カズマはピグモンを抱き寄せるとその背中を優しく撫でていく。

するとそこにリコがカズマとピグモンを呼びにやって来た。

「カズマ君、ピグモンご飯の用意出来たよ」

「ああっ、すぐ行くよ」

「キュウキュウウウン!」

カズマとピグモンが向かおうとしたその時だった。

[バトルナイザー、モンスロード!]

「シイイィイイィッ!!!」

何処からかバトルナイザーの音声が聞こえ一体の怪獣が召喚される。

「きゃあっ!?」

「キュウキュウウウン!」

「あいつは“スペースジョーズザキラ”!?」

ザキラはカズマ達を見るや口から涎を垂らして接近し始めるがそこに一人の宇宙人が現れ、ザキラを制止させる。

「待てザキラ。食事は俺の獲物を狩ってからだ」

「お前は…?」

「俺はムザン星からやって来たただのハンター…そしてレイオニクスだ」

“極悪ハンター宇宙人ムザン星人”はそう自己紹介するとショットガンを取り出し、銃口をピグモンに向ける。

「キュウキュウウウン!?」

「何のつもりだ!」

「そいつを俺によこせ。そいつの血には飲んだものに永遠の生命を与えると言われているんだ」

そう言いムザン星人は引き金を引こうとしたが、カズマが光線銃を取り出しムザン星人の手を狙い撃つ。

ムザン星人はそれを避けるとカズマの足元に一発銃弾を撃ち込む。

「うわあっ!?」

「カズマ君!」

「邪魔するな地球人が。そんなにピグモンが大事ならすぐに同じ場所で会えるさ。お前達はザキラの餌になるのだからな」

「シイイィイイィッ!!!」

ザキラはムザン星人に早くしろと言わんばかりに大きく吠える。

「落ち着け…すぐに食わせてやるからよ」

「あんな奴の餌になってたまるか!」

カズマはポケットからバトルナイザーを取り出し構え、それを見たムザン星人は興味深そうに声を上げる。

「そいつはバトルナイザー…貴様もレイオニクスだったとはな。いいだろう俺のザキラと勝負だ。貴様が勝てばピグモンは諦めてやる」

「…分かった…その勝負乗ってやる」

「ダメだよそんな言葉に乗ったら!」

「あいつの言うことなんか信じちゃないよ。でもやらないといけないんだ」

「キュウキュウウウン…!」

リコとピグモンが悲痛な表情でカズマを見守る中、カズマはバトルナイザーを掲げる。

「頼むぞゴモラ!メルバ!」

[バトルナイザー、モンスロード!]

 

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

「ギィエエエエエエエンン!!!」

召喚されたゴモラとメルバはザキラを威嚇するが、対するザキラも腕を鳴らして二体を威嚇する。

「さぁてどれほどのものか見せて貰おうか」

ゴモラとメルバは同時に駆け出しザキラを抑えつけるものの、ザキラはそれを容易く振り解くとパンチ攻撃で二体を攻め立てていく。

負けじとゴモラも腕を振り下ろして攻撃するがそれをザキラは片手で抑えて防いでしまう。

「ゴモラを片手で…!?」

ゴモラを抑えたザキラはその腹部を蹴り飛ばすと、突進して来たメルバをその勢いを利用して投げ飛ばしていく。

「なんてパワーの怪獣なんだ!」

「ツヨシ君にモコ…いつの間に?」

「外が騒がしくなってたから来たモコ…相手はザキラモコか?」

「ゴモラとメルバを軽くあしらうなんてあのルドーって奴が操ってた怪獣にも負けないんじゃないか?」

物陰に隠れながらリコ達は戦いの行く末を見守っていた。

「お前の怪獣の力はそんなものか?」

「ザキラがここまでの力を持ってるなんて…!」

悔しがるカズマにムザン星人は得意げに語り出す。

「ここに来るまでにザキラにはバルをたらふく喰わせてきたからな。おかげでザキラの力は数十倍上がっている」

「バルを…たらふくだと…!?」

衝撃を受けるカズマを他所にムザン星人はザキラへの指示を再開する。

ザキラは角を突き出して突進して来たゴモラを大角を掴むことでその動きを止めて、膝蹴りをゴモラの頭部目掛けて連続して打ち込んでいくが、空中から繰り出されたメルバの蹴りを受け地面に倒れ込んでしまう。

解放されたゴモラは倒れ込んだザキラに追い討ちをかけるように尻尾を叩きつけて攻撃していく。

「シイイィイイィッ!!!」

だがこれを転がって回避したザキラは立ち上がると、ゴモラに組みかかり投げ飛ばすとその背中を踏みつける。

さらに自分とゴモラを引き離そうと掴みかかってきたメルバを軽くあしらい、目から放つ光線でダウンさせてしまう。

そのままゴモラを蹴り飛ばしたザキラは最初にメルバを倒そうと容赦のない攻撃を繰り出し始めた。

ダウンしているメルバの頭部を掴み上げるとそのまま頭突きを喰らわせ突き飛ばすと、助走をつけてジャンプしながらの体当たりでメルバを吹っ飛ばす。

再び地面に倒れ込んでしまったメルバは光線を放って反撃するが、それを腕を交差させて防いだザキラはお返しと言わんばかりに目から光線を乱射しメルバの周囲を火の海にしてしまう。

「戻れメルバ!」

メルバの危機を感じたカズマは、メルバをバトルナイザーに戻す。

一方標的にしていたメルバがいなくなったことでザキラは戸惑うが、その隙を狙ったゴモラに背後から掴み掛かられてしまう。

「その程度の不意打ち、ザキラには効かぬわ!」

しかしザキラは掴み掛かったゴモラを投げ飛ばすと、その尻尾を掴み振り回した後、放り投げる。

そして地面に叩きつけられたゴモラの左腕を掴んで強引に起こすと、左腕に勢いよく噛みついて攻撃する。

「キシャアァァァァァアアァッ!!??」

ゴモラは苦しみながらザキラを引き剥がそうとするが、ザキラの鋭い牙は深く突き刺さり噛みついた箇所からは血が滴り始める。

「ぐううっ…!」

するとカズマもまた左腕を抑えながらその場に膝を突いてしまう。

「キュウキュウウウン!」

「カズマ!?」

「もしかして真のレイオニクスバトルが!?」

「真のレイオニクスバトル…ならば」

リコ達が声を上げたのを聞いたムザン星人は指示を出す。

「ザキラ!ゴモラを死なない程度に痛めつけてやるんだ!」

ムザン星人の指示を聞いたザキラはゴモラの腕から牙を離すと噛みついた箇所目掛けて腕を振り下ろすなど集中攻撃を行い始めた。

「うっ!があっ!」

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

傷ついた箇所を徹底的に攻められ苦しむカズマとゴモラを見ながら、ムザン星人は嘲笑う。

「いいぞザキラ。そのまま苦しませ続けろ」

「あぐっ…ひ、卑怯だぞ…!」

「卑怯だろうが勝てばいい。それが勝負ってやつよ」

ムザン星人の言葉に同調するようにゴモラを攻撃するザキラは不敵な笑みを浮かべるが、ゴモラもまたザキラの身体を掴むとその左腕に噛みついて反撃する。

突然の反撃にザキラは目を見開くもすぐにゴモラを引き剥がし、地面に叩きつけるとサッカーボールのように蹴り飛ばし始める。

そして勢いよく蹴り上げた後、目から光線を放ちゴモラに追い討ちをかけていく。

「うわあああああっ!!!」

「フッフッフ…大人しくピグモンを渡しておけば苦しまずに済んだというのに」

ムザン星人はカズマの元に近づくと、髪を掴み頭を持ち上げる。

「カズマ!」

ツヨシが慌てて駆け出そうとするも、ムザン星人はショットガンをツヨシに突きつけ動きを止める。

「やめろ…ツヨシは関係ない!」

「仲間意識が強いな。そのせいでお前は苦しい思いをしてるというのに」

ムザン星人はそう言うとショットガンをカズマの頭に突きつける。

「お前と俺じゃ実力に差がある。このまま戦ってもお前が死ぬのは明らかだ」

「ぐうっ…!」

「もう一度言うぞ。ピグモンを渡せ…」

「断る!お前みたいな奴にピグモンは渡さない!」

歯噛みしながらも鋭い視線でムザン星人を睨みつけたカズマは言い返す。

「地球人はそこそこ賢い種族だと思っていたが…やはり子供だな」

そう吐き捨てたムザン星人はショットガンを一発空に撃つと、ザキラはゴモラに跨り執拗に殴り始めた。

そのダメージがフィードバックしダメージを負うカズマ。

「カズマが!」

「けどあの宇宙人は銃を持ってるわ!私達が出ても…!」

「カズマは俺達を守ってくれたんだ。友達として見捨てられねぇよ!」

ツヨシは飛び出そうとするが、それをピグモンは制止すると自らムザン星人の元へ駆け出していくと、頭突きを繰り出してムザン星人を怯ませる。

「ピグモン!?」

「獲物が自ら来るとはなぁ」

ショットガンを構えるムザン星人だったが、ピグモンはムザン星人の周囲を跳ね回り翻弄する。

「ちょこまかと…ザキラ!」

ムザン星人はザキラを呼び出し、その声に反応したザキラはゴモラから降りるとピグモン目掛けて光線を放った。

「キュウキュウウウン!!!?」

光線はピグモンの足元に直撃するが、その爆発によって巻き上げられた岩がピグモンに直撃してしまう。

「ピグモンーーーーー!!!」

カズマは身体を無理矢理起こし、ピグモンの元へ駆け寄る。

「ピグモン!しっかりしろ!」

「キュウキュウウウン…」

しかしダメージが大きかったのかピグモンはゆっくりと目を閉じ動かなくなってしまった。

「ピグモン!?」

「ザキラの奴、殺しやがって…生き血じゃないと永遠の命にならないってのに」

ピグモンを殺したザキラに毒づくムザン星人だったが、次の瞬間彼は驚きの表情を浮かべる。

ピグモンの亡骸を抱えるカズマから赤黒いオーラが立ち上がっていたのだ。

「うぐっ…ぁぁああああああああぁぁっ!!!!!」

ムザン星人へ振り返ったカズマの瞳は赤く輝いていた。

するとそれに呼応するかのように立ち上がったゴモラからも赤黒いオーラが上り、やがてゴモラは紫色の炎に包まれる。

「カズマ君…?」

「何が起こっているモコ…」

「うあああああああああぁぁぁっ!!!!!」

そしてゴモラを包み込む炎が爆ぜると、中から体色が赤く変貌したゴモラが姿を現したのである。

「ギシャアアアアアァァァァッ!!!!!」

低く悍ましい雄叫びを上げたゴモラはドラミングを行い、ザキラを挑発する。

「シイイィイイィッ!!!」

振り返りゴモラを見たザキラは驚くも目から光線を撃ち、ゴモラを攻撃するが当たった箇所から火花が散るだけでダメージになっていない。

それを見たザキラは接近戦に持ち込もうと突進するが、ゴモラは角に紫色のエネルギーを集めて超振動波として発射、直撃を受けたザキラは悲鳴を上げながら跡形もなく消滅してしまった。

「あのザキラを一瞬で…」

「見るモコ!ムザン星人の奴、生きてるモコ!」

「はあっ!?真のレイオニクスバトルで負けたら死ぬってルドーの奴が!」

「巻き添えで死ぬのは御免だ。リンクを切らせて貰ったよ」

そう言うとムザン星人は高くジャンプしてその場から逃げようとするが…

「がああああぁぁぁぁっ!!!!!」

「ギシャアアアアアァァァァッ!!!!!」

カズマの叫びに従ったゴモラはムザン星人を叩き落とすと怒気に満ちた目で睨みつける。

「ああっ…この!」

それでもムザン星人はショットガンを乱射しゴモラを攻撃するものの全く効果はなく摘み上げられてしまう。

「何をする!おいお前、レイオニクスを直接攻撃するなんてルール違反だぞ!」

「…うぉあああああっ!!!!!」

ムザン星人は喚き散らすが、その言葉を無視したカズマは再び吠えゴモラはゆっくりとムザン星人を自身の口に近づける。

「カズマ君やめて!」

ゴモラが行うことを察したリコはカズマを止めようとするが、時既に遅くムザン星人はゴモラに喰われてしまった。

「ぎゃあああああああっ!!!」

咀嚼するゴモラの口からは血が溢れ落ち、一通り咀嚼したゴモラはボロボロになったムザン星人のショットガンを吐き出し、続けて血塗れになったムザン星人の死体を吐き捨てた。

「きゃあっ!?」

「うげぇっ…!」

吐き捨てられたムザン星人の死体はあちこちが潰れて変形し、内臓の一部も飛び出している凄惨なものだった。

あまりの凄惨さにリコは目を閉じ、ツヨシとモコは吐き気を催してしまう。

カズマはそんなリコ達を横目で見ると差し出されたゴモラの手の平に乗り、ゴモラは何処かへ歩き出し始める。

「カズマ君!?どこへ行くの!?」

リコはカズマに強く呼び掛けるが、その声は届かずカズマはゴモラと共にハルケーン補給基地を後にしてしまうのであった…




・スペースジョーズザキラ
肉食性の宇宙怪獣で、その性質は残忍かつ冷酷。渡り鳥怪獣バルを餌にしており、バルを捕食する度にパワーアップするという特徴を持っている。ムザン星人の手持ちとして彼のハンティングの支援を行い、これまで数々の惑星で様々な生物の虐殺を繰り返してきた。惑星ファーリーではピグモンを狙うムザン星人のために、ピグモンを守るカズマが操るゴモラとメルバとの戦いを繰り広げ、怪力と目から放つ光線「パノスレーザー」を武器にメルバをあっという間に退けるとゴモラを圧倒する。しかしムザン星人の指示でピグモンを殺したことでカズマが暴走し、それに呼応するかのように変化したゴモラ(レイオニックバースト)には手も足も出ず、超振動波を受け消滅してしまった。

・極悪ハンター宇宙人ムザン星人(RB)
捕獲した生物に特殊なブレスレットをつけ他の惑星に送り込んだ後、その反応を元にハンティングを行うという種族そのものが悪魔のような性格をしている宇宙人。この個体もまたザキラを引き連れ様々な珍しい生物をハンティングし自らの快楽を満たすというまさに極悪な性格をしており、全ての命は自らの快楽のために生きていると考えている。惑星ファーリーにやって来たのもレイオニクスバトルのためでは無く、惑星に生息する珍しい怪獣を狩るためだったが、ピグモンの存在を知るとその生き血を使って永遠の生命を得ようとカズマ達を襲撃。ザキラを使い追い詰めるがピグモンを殺されたことで暴走したカズマ操るゴモラ(レイオニックバースト)にザキラを倒されてしまう。それでもザキラとのリンクを切って逃亡しようとするも最終的にはゴモラに喰われる形で惨殺され、死体は吐き捨てられてしまう。
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