大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜 作:ウルトラジャンボ
「戻れ!…この程度か、他愛もない…」
自身との勝負に負け倒れたレイオニクスを足蹴にしながら、ガッツ星人はバトルナイザーに怪獣を戻す。
かつて暴走していたカズマとゴモラにケルビムを倒されたガッツ星人は逆襲のため、多くのレイオニクスや怪獣達を倒し力をつけていた。
「待っていろ地球のレイオニクス…この俺の名に泥を塗ったこと、地獄の底で後悔させてやる。この怪獣の力でな…!」
バトルナイザーを見つめながらガッツ星人は不敵に笑うのであった。
その頃メンテナンスの為に停泊しているライオネルの近くで“古代怪獣ツインテール”と“地底怪獣グドン”が戦いを繰り広げていた。
「隊長、2体の怪獣が戦闘を行っています!」
「ツインテールとグドンか…グドンはツインテールを餌にしているからそれを狙って来たんだろうなぁ」
カズマは2体の戦いを見ながら呟く。
「じゃあグドンがツインテールを喰うの待ったらいいんじゃね?」
そんなツヨシの提案に対してカズマは鋭く返す。
「こんな近くで戦われてるんだぞ、こっちに飛び火する可能性は充分あるんだぞ」
「カズマの言う通りだ。ソウマ、メンテナンスはどれぐらいかかる?」
「早くて1時間はかかります…それまでに勘づかれなきゃいいんですが」
「分かった、すぐにかかってくれ」
キョウスケの指示に了解と返したソウマはエンジンルームへと向かっていった。
「父さん、俺も準備は出来てるからもしもの時は…」
「…そうだな、もしもの時は頼むぞ」
キョウスケに頼まれたカズマは頷くと再びモニターの方を見る。
「グワァアアアアァァァッ!!!」
「グォォオオオオオオン!!!」
ツインテールとグドンは互いに吠えるとそれぞれの鞭を振り回して打ち合いを始める。
やがて振り回している鞭が絡まり合い2体の力比べが始まるが、体格で圧倒的に有利なグドンがツインテールを持ち上げて地面に叩きつける。
そのままツインテールに追撃をかけるグドンだが、ツインテールは折り曲げていた身体を突然伸ばしグドンにカウンターを決めると体勢を立て直し勢いよくグドンに飛びかかっていく。
飛びかかり攻撃を受けたグドンはそのままツインテールにのしかかられてしまい、更にジャンプからの押し潰し攻撃を受けてしまうがすぐに自らの身体から払い除けると起き上がってツインテールに組みかかる。
そのまま振り回される鞭に噛み付くグドンだったが、ツインテールも負けじとグドンの足に噛み付いて攻撃する。
「凄い戦いだなぁ…今までの戦いより苛烈というか迫力があるというか…」
2体の血気迫る戦いをモニターで見てツヨシは感心するが、そんなツヨシの頭をカズマは軽く小突く。
「呑気なこと言うんじゃねぇよ…」
「でもそろそろ決着がつきそうモコよ」
モコの言葉通りもう片方の足でツインテールの頭を踏みつけていたグドンは、ツインテールを引き剥がすとそのまま背後に回り込みその身体を両腕の鞭で絞め上げて動きを抑えると尻尾の根元に噛み付く。
噛みつかれたツインテールも尻尾を伸ばしてグドンの首を絞めるが、グドンは凄まじい執念を見せ噛み付き続ける。
やがて噛み付かれた箇所から血が溢れ始め激しく抵抗していたツインテールの動きも次第に緩慢になり始めていき遂に息絶えてしまう。
「ガァアアアアアアン!!!」
獲物を仕留めたことで両腕の鞭を地面に叩きつけながら喜び、食事にありつこうとするがライオネルの存在に気づいてしまう。
「こっちに気づいたモコ!」
ライオネルに迫るグドンを見てモコは慌て出し、カズマがバトルナイザーを構えたその時だった。
「見つけたぞ地球のレイオニクス」
何処からともなく声が響きカズマ達が振り返るとそこにはガッツ星人が佇んでいた。
「お前は何者だ?」
「俺はガッツ星のレイオニクス…地球のレイオニクスよ、あの時の借りを返しに来たぞ」
「あの時の借り…?何のことだ?」
まるで覚えがないと言わんばかりに首を傾げるカズマを見たガッツ星人は腕を震わせながら声を上げた。
「貴様ぁ!この俺にあれだけの屈辱を与えておきながら!知らぬとは言わさんぞ!赤いゴモラで我がケルビムを嬲り殺しにしたではないかぁ!」
「…ああっもしかして俺が暴走してた時…?」
ガッツ星人が発した赤いゴモラというワードで思い出した様子のカズマはバツが悪そうな表情を浮かべる。
「なぁカズマ…お前ひょっとしたら相当な数の恨み買ってるかもしれないぜ?」
「かもしれねぇな…」
ツヨシとカズマが小声で話しているとライオネルが揺れ出す。
「グォォオオオオオオン!!!」
外ではグドンがライオネルに向かって鞭を振り下ろして攻撃をしていたのである。
「あの怪獣はお前の差し金なのか!?」
キョウスケはトライガンナーを突きつけながら問いかけるが、ガッツ星人はそれを鼻で笑う。
「あんなひ弱な怪獣、俺の手持ちでは無いわ!いいだろう、俺の最強の怪獣の力を見せてやろう…行けぇ!ヘルべロス!」
[バトルナイザー、モンスロード!]
ガッツ星人が構えたバトルナイザーから緑色の光が放たれ、それはライオネルを飛び出し宙に消えると次の瞬間、空に穴が開きそこから無数の光弾がグドンに降り注ぐ。
グドンはその硬い皮膚で降り注ぐ光弾を耐え抜くが、そこへ一体の怪獣…身体中に鋭利な刃を備えた“最凶獣ヘルべロス”が空に開いた穴から現れる。
「ガァンアアアアァァッ!!!」
降り立ったヘルべロスはグドンを見るなり両肘の刃から赤い光刃を飛ばしてグドンの身体を切り裂くと、光刃を受けて怯んだグドンに駆け寄り角に掴み掛かって膝蹴りを喰らわせて投げ飛ばす。
投げ飛ばされたグドンは起き上がると鞭をヘルべロスに向かって伸ばすが、ヘルべロスは両肘の刃でいとも容易く伸ばされた鞭を切り落とす。
「グォォオオオオオオン!!??」
鞭を切り落とされたグドンは目の前のヘルべロスに敵わないと本能で悟ったのか、その場から逃げ出そうとするがヘルべロスは尻尾を伸ばしその先端に付いている刃をグドンの首に突き刺す。
首を刺されたグドンは口から血を吐き出しながらその場に倒れ込んでしばらく痙攣した後、息絶えてしまう。
そのグドンの首から刃を抜いたヘルべロスは、付着した血を舐め取り大きく吠える。
「なんて惨いことを…!」
「これが俺の相棒ヘルべロスの力よ!さぁ戦うのだ!」
ガッツ星人は高らかに叫びながらカズマに勝負を挑もうとするが、カズマは顔を顰める。
「…どうしても戦わないといけないのか?」
「当たり前だ!無敵のガッツ星人様のプライドに泥を塗られたんだ…まぁ貴様に拒否権は無いんだがな?」
そう言いながらガッツ星人はモニターを指差す。
そこには岩場に刺さった十字架に磔にされているリコが映っていたのである。
「リコ!?お前いつの間に?」
「ここに来る前にな。あの女は大切な仲間なんだろ?返して欲しけりゃ俺と戦うことだな!」
磔にしたリコを見せカズマを挑発したガッツ星人はその場から姿を消しヘルべロスの元まで瞬間移動する。
それを見たカズマもまたバトルナイザーを握り締めて外へ出る。
「カズマ!…行っちゃったモコ…」
「カズマのお父さん、どうします?」
「…君達はここでカズマの様子を確認してくれ。私はソウマの元に行ってくる」
「ガッツ星人、来てやったぞ!リコを解放しろ!」
「フン!地球人というのは単純で助かる…バトルナイザーを構えてゴモラを出せ!」
ガッツ星人の挑発的な物言いにカズマは青筋を浮かべながらバトルナイザーを取り出すが、そのバトルナイザーが強く光り出した。
その光り始めたバトルナイザーを見たカズマは、静かに頷くとバトルナイザーを掲げた。
[バトルナイザー、モンスロード!]
「ウォオオオオオオォォン!!!」
カズマが掲げたバトルナイザーから召喚されたのは先日仲間に加わったホロボロスであった。
ホロボロスは大きく遠吠えをすると両手の鉤爪を打ち鳴らしてヘルべロスを威嚇する。
「なんだその怪獣は!?ゴモラはどうした!」
「ゴモラが相手するまでも無いってことさ!行けぇホロボロス!」
カズマの指示を受けたホロボロスは猛然とヘルべロスに向かっていき、対するヘルべロスは角から電撃を放ちホロボロスを攻撃するがそれを飛び上がって回避したホロボロスは空中で一回転しながら爪をヘルべロスの頭に叩きつける。
着地したホロボロスはヘルべロスの顎にアッパーを喰らわせ、さらにタックルを浴びせて吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされたヘルべロスは体勢を立て直すと尻尾を振り回して先端部の刃でホロボロスを斬り付けようとするが、ホロボロスは後方に飛び下がって回避する。
するとヘルべロスは口から火球を撃ち出して攻撃しホロボロスを吹っ飛ばすと、背中の棘から光弾を雨のようにホロボロスに降り注がせてダメージを与えて追撃をしようと接近するが、ホロボロスは後ろ蹴りを繰り出して接近して来たヘルべロスの腹部を蹴り飛ばすと立ち上がって、雷を纏った爪の一撃でヘルべロスを大きく怯ませる。
すかさずホロボロスはヘルべロスの胸部にドロップキックを叩き込んで地面に押し倒すと馬乗りになって鉤爪で殴りつけていく。
「ぐうぅ…何をしているのだヘルべロス!そんな奴など簡単に捻り潰してしまえ!」
「お前のような卑怯な奴には負けねぇよ!」
カズマの言葉通り、ホロボロスはヘルべロスに対して反撃の隙を与えぬ連続攻撃を繰り出して圧倒する。
「こうなれば…!」
ヘルべロスが押されているのを見たガッツ星人は手から光線を放ち十字架に磔にされているリコを苦しめ始めた。
「きゃあああっ!!!」
「リコ!お前何を!?」
「この娘の命が惜しいだろう?だったら無駄な抵抗は辞めるんだなぁ?」
「くっ…!」
その言葉を聞いたカズマは歯を食い縛り、ホロボロスは攻撃の手を止めてしまう。
攻撃の手が止まった事を見たヘルべロスはニヤリと笑みを浮かべると、ホロボロスを蹴り飛ばし両肘の刃で何度も切りつけて痛めつける。
「ハッハッハッハ!その怪獣をバラバラに切り刻んだ後はゴモラだ!そしてゴモラも切り刻んでくれるわ!」
ガッツ星人は高笑いしそれに呼応するかのようにヘルべロスもまた両肘の刃を容赦なくホロボロスに振り下ろしていく。
そしてホロボロスを抑え込んだヘルべロスが尻尾の先端部の刃を突き刺そうとしたその瞬間、ライオネルから発射されたワイバーンミサイルがヘルべロスに直撃する。
その隙を突いてヘルべロスの腹部を蹴り飛ばし、距離をとったホロボロスは唸り声をあげる。
「今だ!」
カズマはポケットから光線銃を取り出すとそれをガッツ星人に向けて発砲する。
「何ぃ!?」
「ホロボロス!リコが囚われてる十字架を奪い取るんだ!」
ホロボロスはその言葉を聞くとヘルべロスを飛び越えてガッツ星人の目の前に着地する。
そして鉤爪をガッツ星人の眼前に振り下ろして弾き飛ばすと、十字架を咥えてカズマの元に戻り地面に下ろす。
「リコ!…良かった気を失ってるだけか…」
カズマはリコの頬を触って無事を確認するとガッツ星人を睨みつける。
「人質が無けりゃこっちのもんだ!ホロボロス行くぞ!」
「ウォオオオオオオォォン!!!」
大きく吠えたホロボロスは鉤爪を振るって斬撃を飛ばして起き上がったヘルべロスを跳ね飛ばしてのしかかるとその喉元に噛み付く。
「ガァアアアアアアン!!!???」
喉元に噛みつかれたヘルべロスはすぐさまホロボロスを引き剥がすと角から電撃を撃ち出して反撃するが、対するホロボロスも上半身から電撃を放ちこれを相殺するとヘルべロスへ向かって駆け出していく。
鬼気迫る勢いで向かってくるホロボロスを見たヘルべロスは一瞬怯むがすぐさま尻尾を振り回して迎撃に出るが、それをジャンプして躱したホロボロスは鉤爪を叩きつけてヘルべロスの角を切り落とす。
「トドメだホロボロス!」
カズマの指示を受けたホロボロスはエネルギーを集中させると鉤爪から斬撃を飛ばしてヘルべロスの身体を切り裂く。
身体を切り裂かれたヘルべロスは呻き声を上げながら仰向けに倒れ込んで大爆発を起こす。
「そ、そんな…この無敵のガッツ星人がぁぁぁぁぁっ!」
そしてガッツ星人もまた断末魔の悲鳴を上げながら爆発に飲み込まれ散っていき同時にリコの十字架も消滅する。
「リコ!」
カズマは急いで駆け出し倒れそうになるリコを支える。
「気を失ってるだけか…良かった…ホロボロスもありがとな。ゆっくり休んでくれ」
カズマはホロボロスをバトルナイザーに戻すとポケットからリサーチシーバーを取り出してライオネルに連絡を取りリコの顔を見る。
傷つきながらも穏やかな顔で眠るリコを見るカズマは彼女を優しく抱きしめる。
そんな彼がリコに恋してる事を自覚するのはもう少し後の話である。
・最凶獣ヘルべロス
宇宙に名を馳せる凶悪な宇宙怪獣。赤い鎧を身に纏った悪鬼のような姿をしており、全身には刃物のような鋭利な棘を無数に生やしている。肘の刃「ヘルエッジ」から放つ「ヘルスラッシュ」や角から放つ電撃「ヘルホーンサンダー」、背中の棘「ヘルスパイク」から放つ紫色の光弾「ヘルエッジサンダー」といった多彩な技を有している。また尻尾の先端に備わった鋭利な「ブレードテイル」も強力な武器になる。カズマへの復讐に燃えるガッツ星人に操られる形で召喚されるとその場にいたグドンに圧勝しホロボロスと対峙、当初は押されるもリコを人質にとったことでホロボロスを痛めつけるがリコを取り返されてしまい形勢が逆転し最期はメガンテクラッシャーを受けガッツ星人諸共爆散してしまう。
・分身宇宙人ガッツ星人(RB)
ケルビムを倒されカズマへの復讐に燃え新たにヘルべロスを従えてリベンジに現れる。ヘルべロスが窮地に陥ると事前に捕らえていたリコを人質にし優位に立つがライオネルの援護とカズマの不意打ちを受けてリコを取り返されてしまい、最期はヘルべロスの爆発に巻き込まれてしまった。
・地底怪獣グドン
第2話で現れたのとは別の個体がメンテナンス中のライオネルの前で餌であるツインテールと交戦、勝利を収めて捕食しようとするが、ライオネルの存在に気づいて攻撃を仕掛けようとする。だがガッツ星人に召喚されたヘルべロスに圧倒され尻尾の刃で首を突き刺され息絶えてしまうのであった。
・古代怪獣ツインテール
グドンと同じジュラ紀に生息していた古代怪獣の一種で頭を下にし、尾を高く上げている独特なフォルムをしているのが特徴。尾の先には小さな棘が並んだ2本の鞭がついておりグドンを始めとした外敵と戦う際にはこれを振るって攻撃する。ライオネルの前でグドンと戦い2本の鞭や噛みつき攻撃を駆使して戦うもやがてグドンに噛みつかれそのまま絶命してしまう。