大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜   作:ウルトラジャンボ

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第33話 命狙う地獄の傀儡

「ガァアアアアアアアッ!!!」

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

ゴモラは大きく吠えて相対する怪獣…否超獣に立ち向かっていく。

「くっそ…こいつしぶといな…!」

そう言い息をつくカズマの視線の先にいるのは、背中にトゲを生やした“液汁超獣ハンザギラン”である。

ハンザギランはその赤い目を爛々と輝かせながらゴモラに突進攻撃を繰り出していきゴモラはそれを受け止めようとするが弾き飛ばされてしまう。

「ゴモラが簡単に…!流石超獣って言ったところか…」

「ツヨシ君感心してる場合じゃないでしょ!だってあの超獣?が現れて半日ずっと戦ってるのよ!」

リコの言う通り着陸しているライオネルの前に出現したハンザギランを迎え撃つ為ゴモラを召喚したカズマだったが、ハンザギランの不死身に近い生命力を前に手を焼いていたのだ。

「それにしてもここの所おかしいと思わないモコ?超獣ばっか現れてるモコ」

「そうだな…しかもここを…というよりカズマを狙って来てるようにも思えるな」

キョウスケはモニターでカズマの戦いを見ながら呟く…というのもハンザギラン以前にも“殺し屋超獣バラバ”と“大蟹超獣キングクラブ”が現れライオネルを襲撃しておりバラバはホロボロスが、キングクラブはメルバが倒したものの超獣ということもあって2体ともかなり消耗している為ゴモラも引くに引けないているのだ。

「あのヒッポリト星人って奴の仕業なのかしら?」

「多分そう…いや絶対そうモコ!きっとカズマ達を消耗させて倒すつもりだモコよ!」

モコがそう言う中、ハンザギランは弾き飛ばしたゴモラ目掛けて口から溶解液を吐き出して攻撃する。

「ゴモラ、避けろ!」

カズマの声に合わせてゴモラは回避し、溶解液はゴモラがいた場所の近くの岩にかかり音を立てて溶け出していった。

「そろそろ決着つけないとまずいな…」

ハンザギランの尻尾を掴んで抑え込むゴモラを見てカズマは呟くと、ゴモラに指示を出す。

するとゴモラは掴んでいた尻尾を振り回してハンザギランを地面に叩きつけていく。

「ガァアアアアアアアッ!!!」

しかし投げ飛ばされたハンザギランはすぐさま起き上がるとゴモラに向かって飛び掛かっていくが蹴り飛ばされ仰け反ってしまう。

「今だ!超振動波を喰らわせてやるんだ!」

仰け反ったハンザギランの腹部に角を突き刺したゴモラは超振動波をその体内に流し込む。

全身からガスを吹き出して抵抗するハンザギランだったが、やがて身体の至る所から爆発が起き苦しみ始めていく。

そして苦しげな雄叫びを上げながらハンザギランは粉々に吹き飛ぶのであった。

「ハァ…ハァ…やったぞ…!」

その場で膝をつくカズマだったが体力を大きく消耗したゴモラもまたその場に倒れ込んでしまう。

「カズマ君!」

そこへリコとツヨシが駆けつけカズマの身体を支える。

「あ、ありがとうな」

「いや気にすんなって…礼を言うのはこっちだよ」

「うん…とりあえず今はゆっくり休もう」

カズマはゴモラをバトルナイザーに戻すと、2人に連れられる形でライオネルの中へ戻っていくのであった。

 

「すまないな…様子はどうだ?」

「今はゆっくり寝てますよ。リコも一緒です」

キョウスケにカズマの様子を報告したツヨシはモコを手に乗せると自身は椅子に座りぼやき始める。

「にしたってこんなに超獣を送り込むなんて、ヒッポリト星人の奴はどんだけカズマを目の敵にしてんだ?」

「…そういえばヒッポリト星人はレイブラッド星人に滅ぼされかけたって話を聞いた事があるモコ」

「だからその血を持ってるカズマ君を狙った…それただの八つ当たりじゃないか?」

「そうですよね」

「まぁそのレイブラッドはもういないっていうのも理由だと思うモコけど」

ツヨシ達が話している頃、リコは眠っているカズマの為に簡単な食事を作って届けていた。

「これで大丈夫かな…?」

作った食事を持ってカズマが眠っている部屋に入ったリコは食事を机の上に置くと、カズマの顔を覗き込む。

すぅすぅと寝息を立てて眠るカズマを見たリコがほっと一息ついた瞬間、カズマが目を覚ます。

「ん?なに…俺の顔に見惚れてた…?」

「〜!そんなんじゃないわよ!もう!ご飯用意したから食べれるなら食べて!」

リコは顔を真っ赤にしながらトレイをカズマに差し出し、それを受け取ったカズマはお椀に盛られたご飯をゆっくりと食べ始める。

「こうしてゆっくり食べるの久しぶりだな…」

「ここ最近ずっと戦ってきてたもんね…あっそれ美味しい?」

きょとんとした様子で尋ねてくるリコを見てカズマは固まってしまう。

「美味しくなかった!?」

「あっ…いや、美味しいよ…!」

(なんか急に胸がドキドキして来たんだけど…えっなにこれ…?)

[地獄星人接近中!地獄星人接近中!]

慌てて顔を逸らして胸を抑えていたカズマだったがバトルナイザーの警告音を聞くとバトルナイザーを握りしめて部屋から出る。

「リコ、後でちゃんと食べるから行ってくる!」

「カズマ君!…気をつけて…」

部屋から出たカズマはブリッジに入るとモニターを見る。

「カズマ!?大丈夫かよ!」

「何とか大丈夫!そんな事よりもしかして…」

「ああっ…ヒッポリト星人が現れたんだ」

モニターに映るヒッポリト星人はライオネルに接近しているのだが、カズマは違和感を感じていた。

「あいつの姿なんか違くないか?」

「確かに言われてみれば違うような気がするな…」

「姿が違うということはそれだけ強さも違うかもしれない。気をつけるんだぞ」

「うん分かったよ」

カズマはライオネルから飛び出るとヒッポリト星人の眼前に立つ。

「やっぱりおかしい…まるで自分の意思を感じられない…」

カズマの前に立ちはだかるヒッポリト星人の目は虹色に輝き唸り声を発していた。

そしてその姿は以前よりも刺々しく変わっているのであった。

「グォォオオオオオオ…!」

するとヒッポリト星人は口吻から火炎弾を放ちカズマを直接攻撃し始めるが、それを躱したカズマはバトルナイザーを取り出しメルバとホロボロスを召喚する。

「ギィエエエエエエエンン!!!」

「ウォオオオオオオォォン!!!」

メルバとホロボロスは咆哮を上げるとヒッポリト星人を抑え込むが、ヒッポリト星人はそれを容易く振り解くと胸部の発光体から光線を放ち2体を攻撃する。

直撃を受けたメルバは倒れ込んでしまうが、ホロボロスは光線を鉤爪で切り払いながらヒッポリト星人との距離を詰めていく。

だがヒッポリト星人は向かってくるホロボロスを瞬間移動で回避し、その背後から火炎弾を撃って攻撃していく。

何とか起き上がったメルバはホロボロスを援護するため目から光弾を連射して攻撃するが、それに気づいたヒッポリト星人は振り向くと手をかざしてバリアを作り光弾攻撃を防いでしまう。

そして胸からの光線でメルバを大きく吹き飛ばしダメージを与える。

「やっぱりまだ完全に回復してないから動きが…!」

数日の連戦によって消耗した体力が回復しきっていない2体の動きはいつもより鈍く、カズマもまた息を切らしている。

やがてホロボロスを投げ飛ばしたヒッポリト星人は地面に倒れ込む2体に近づいていく。

「させるか!」

カズマは光線銃を手に取ってヒッポリト星人を攻撃し気を逸らそうとする。

「グォォオオオオオオ…!」

その攻撃に気づいたヒッポリト星人はカズマに狙いを定めると、2体を放置して口吻からの火炎弾で攻撃を開始する。

やがて放たれた火炎弾はカズマの足元に炸裂し、その衝撃でカズマは吹き飛ばされる。

「うわぁっ!…ぐぅっ…!」

ヒッポリト星人は地面に叩きつけられたカズマを握り潰そうと手を伸ばすが立ち上がったホロボロスに背後から抑えられてしまう。

そのままヒッポリト星人の肩に噛みつき攻撃を重ねていくホロボロスに合わせ、メルバもまた鋭い爪をヒッポリト星人に叩きつけていく。

しかしヒッポリト星人はメルバとホロボロスを全身から放つ赤い電撃で吹き飛ばすと空に手を掲げる。

すると上空から能力転送カプセルが現れ、ヒッポリト星人はその中に入ってしまう。

「何をするつもりだ?」

その様子を怪しく睨むカズマを他所にヒッポリト星人はカプセルから様々な怪獣や宇宙人の能力を取り込んで行く。

「…グゥオオオオオオオォォッ…!」

能力を転送し終えたヒッポリト星人は雄叫びを上げながらカプセルから出ると電撃を放ちながらメルバを殴り飛ばす。

「今のはエレキングの電撃!?ホロボロス!メルバを援護するんだ!」

そのまま両手に電撃を纏ってメルバを殴りつけていくヒッポリト星人に近づくホロボロスだったが、ヒッポリト星人は触角から閃光を放ちホロボロスを怯ませると口吻から火炎を放ち追い討ちをかけていく。

「ザラガスの閃光にテレスドンの火炎…あのカプセルは他の怪獣の能力を自分に取り込む為のものだったのか!」

メルバを足蹴にしながら火炎でホロボロスを攻め立てるヒッポリト星人だが、メルバはヒッポリト星人の足を掴むとそのまま持ち上げヒッポリト星人はバランスを崩しその隙にホロボロスは飛び上がって彼の顔を鉤爪で一閃する。

メルバは持ち上げたヒッポリト星人を投げ飛ばすと爪を打ち鳴らしながら咆哮を上げ、ヒッポリト星人は顔を抑えながら立ち上がるがその右目はホロボロスによって付けられた痛々しい傷痕が残っていた。

しかしヒッポリト星人が右目に手を当てるとその部分が強く光り出し、次の瞬間には右目に付けられた傷痕は跡形もなく消えていた。

「再生能力だって…!?これじゃあいくら攻撃を当てても…!」

メルバとホロボロスは果敢に立ち向かっていくがヒッポリト星人は全身から黒煙を撒き散らし2体の視界を奪い始めた。

「これはムルロアのアトミッグ・フォッグ!」

撒き散らしたアトミッグ・フォッグでカズマ達の視界を完全に奪ったヒッポリト星人は闇に紛れながら2体を攻撃していく。

ホロボロスは鉤爪を振り回すが当たらず、逆にヒッポリト星人が胸部から放つ光線の直撃を受けてしまう。

そして地面に倒れ込んだホロボロスにトドメを刺そうと光線を撃ち込むヒッポリト星人だったが、メルバに突き飛ばされ失敗に終わる。

だがヒッポリト星人は手を合わせてミサイルを撃ち出しメルバを爆撃、その隙を突いて再びカプセルを自身に落として更に怪獣の能力を取り込み始める。

「あいつまだ怪獣の能力を取り込む気かよ!」

カプセルから出たヒッポリト星人は両手を重ね合わせて赤黒い光線を放ち、メルバとホロボロスを攻撃する。

そして2体との距離を詰めようとするが突如として苦しみ始める。

その身体からはエネルギーが溢れ胸が膨張する姿にカズマは訝しむ。

「一体どうしたんだ…?とにかく今がチャンスなのは確かだ!メルバ、まずはこの黒煙を吹き飛ばすんだ!」

メルバはカズマの指示を聞くと羽根を大きく広げ上空に飛び上がると、羽根をはためかせて竜巻を作り出してアトミッグ・フォッグを吹き飛ばす。

「グォォオオオオオオ…!」

撒き散らしたアトミッグ・フォッグを吹き飛ばされてしまったヒッポリト星人は胸からの光線でメルバを撃ち落とそうとするが、ホロボロスの強烈なタックルを受け押し倒されてしまう。

そのままヒッポリト星人に跨ったホロボロスは鉤爪を振り下ろしていくが、触角からの閃光でホロボロスの目を眩ませると腹部を蹴り飛ばし自身から払い除けたヒッポリト星人は光線を放とうとするものの再び苦しみ出していく。

その様子を見ていたキョウスケはソウマに解析を指示し、解析を行ったソウマは慌てた様子でその結果を報告する。

「なんだって!?爆発の危険性がある!?」

「はい、ヒッポリト星人の体内から複数のエネルギーが確認されてそれらが飽和状態になってるんです!」

「あの…ちなみに爆発の大きさってどれぐらいなんですか?」

「ここから半径10kmは吹っ飛ぶ計算だよ」

それを聞いたリコはカズマに通信を入れる。

「カズマ君聞こえる!?その宇宙人、大量のエネルギーのせいで爆発するかもしれないって!」

「爆発!?まずいことになってきたぞ…」

胸を抑えて苦しむヒッポリト星人を見ながらカズマはどうすれば被害を抑えることが出来るか考え始めるが、そうしている間にもヒッポリト星人は身体に溜まった過剰なエネルギーを消費しようと光線や火炎を発射して2体を攻撃していく。

「まずはヒッポリトの動きを止めないと行けないっぽいな…どうやって止める?」

「カズマ!危ないモコ!」

モコの声に反応したカズマが頭を上げるとヒッポリト星人が放った電撃が向かってきてたのだ。

構えるカズマだったがそこへホロボロスが駆けつけ背中で電撃を受けカズマを守ると、そのまま電撃を弾き飛ばす。

弾き飛ばされた電撃はそのままヒッポリト星人に直撃し、ヒッポリト星人は動きを止めてしまう。

「今だ!メルバ、ヒッポリトを抱えて飛び上がるんだ!」

自身の放った電撃を受け身体が痺れているヒッポリト星人の背後に回り込んだメルバは両肩を掴み空中へ飛び上がる。

そしてある程度の高さまで飛び続けたメルバはヒッポリト星人を離し目からの光線で攻撃し、続けてホロボロスも鉤爪から放つ斬撃を連続して浴びせていく。

「…グォォオオオオオオッ…!!!」

それらの攻撃を一身に喰らい続けたヒッポリト星人は大爆発を起こし衝撃を浴びたメルバは地上に吹き飛ばされるもホロボロスがそれをしっかりと受け止める。

「よくやってくれたな。ゆっくりと休んでくれ」

ここまで戦い続けて満身創痍の2体をバトルナイザーに戻したカズマはライオネルに戻ろうとするが、バトルナイザーが警告音を鳴らす。

[異次元反応接近中!異次元反応接近中!]

「ヌハハハハハッ!そのバトルナイザーを寄越すのだ地球のレイオニクスよ!」

すると空間が歪み始めそこに頭部の尖った影法師のような姿をした複数の人物が姿を現した。

「お前は…異次元人ヤプール!」




・地獄星人スーパーヒッポリト星人
異次元人ヤプールによって切り捨てられたヒッポリト星人が生体改造を施された姿。ヤプールによってその自我は完全に抑え込まれ彼の傀儡としてカズマの前に現れる。改造されたことによってその姿は以前のヒッポリト星人とは異なっており口吻から放つ「ヒッポリト・ファイヤーボム」や胸の発光体から放つ光線「ブレストクラッシャー」を主な武器とするが、最大の特徴はヤプールが「ヒッポリトカプセル」を改良して作り上げた「能力転送カプセル」によって他の怪獣の能力を取り込むことが出来ること。作中では宇宙怪獣エレキングや変身怪獣ザラガス、地底怪獣テレスドン、再生怪獣ライブキング、そして宇宙大怪獣ムルロアの能力を取り込んでそれぞれの能力を使いメルバとホロボロスを追い込むが最後は過剰に取り込んだエネルギーが誘爆する危険性を知ったカズマの指示を受けたメルバが上空へ連れ去り、そこでメルバニックレイとメガンテクラッシャーの同時攻撃を受け爆散する。

・液汁超獣ハンザギラン
オオサンショウウオが太陽光線を浴びたことで変異した超獣。口から吐く溶解液「ホワイトダール」や全身から吹き出すガスが武器だが、不死身にも近い生命力こそがハンザギランの最大の武器で半日ゴモラと戦ってもスタミナ切れしないレベル。しかし最期はゴモラの超振動波を体内に撃ち込まれ爆発四散するであった。

・殺し屋超獣バラバ、大蟹超獣キングクラブ
ハンザギラン以前にライオネルを襲撃して来た超獣達。バラバはホロボロスに、キングクラブはメルバによって倒されている。
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