大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜 作:ウルトラジャンボ
「キュルルエェェェンン…!!!」
「キシェェエエンン…!!!」
「うん…怪獣の声…?ここは…一体…?」
ヤプールによって異次元に飛ばされてしまったカズマだったが、響き渡る怪獣の鳴き声で意識を取り戻すと辺りを見渡す。
「何処なんだ?…少なくともファーリーでは無さそうだけど…」
リサーチシーバーを取り出したカズマはキョウスケに通信を入れようとするが画面にはノイズが発生していた。
「通信もダメか…いや待てよ、さっき聴こえてきた怪獣の鳴き声は確か…」
「キュルルエェェェンン…!!!」
「あっちから聴こえてくる…行ってみるか」
カズマは怪獣の鳴き声が聴こえてきた場所へ向かい始めた。
「キシェェエエンン!!!」
「キュルルエェェェンン!!!」
「“バリヤー怪獣ガギ”に“変形怪獣ガゾート”!」
カズマが向かっていった先ではガギとガゾートが激しく争っていた。
ガギは両手の鞭を伸ばしてガゾートの身体に巻き付けて動きを封じると投げ飛ばして、地面に叩きつけるとそのまま鞭を振り下ろしガゾートを攻撃する。
だがガゾートは地面を転がって振り下ろされるガギの鞭を躱すと素早い身のこなしで立ち上がり口から光弾を連射してガギを攻撃していく。
それを見たガギは全身にバリヤーを張り巡らせて光弾を防ぎ切ってしまう。
すかさずガギは角から光線を放ち攻撃を仕掛けるが、ガゾートは飛び上がって光線を回避すると鋭い牙を向けながら空中からガギ目掛けて体当たりを繰り出す。
ガギはその体当たりもバリヤーで防ごうとするが、なんとガゾートはバリヤーを噛み砕いて強引に突破し体当たりでガギを弾き飛ばす。
「キシェェエエンン!!??」
容易くバリアーを破られた事に驚くガギだったが立ち上がり角からの光線を連続で放ちガゾートを攻撃していく。
しかし空中を自在に飛び回るガゾートには光線は当たらず、ガギは苛つくように地団駄を踏む。
そのままガゾートは光弾を連射してガギを爆撃して攻め立てていき、ガギが怯んだ隙を突いて急降下しその喉元をすれ違い様に噛み切る。
喉元を噛み切られたガギは口から血を垂らしながらその場に倒れ込むと数回痙攣した後息絶えてしまう。
「キュルルエェェェンン!!!」
息絶えたガギの元に降り立ったガゾートはヒレ状の手を叩き喜びながらガギの死体に近づき、その死体を貪り食べ始めた。
肉を引きちぎり血を飛び散らせながらガギを食べるガゾートの光景にカズマは思わず顔を顰める。
やがて満足気に腹を叩いたガゾートはその場から飛び去ってしまう。
「逃がすか!あいつをどうにかしないと通信出来ないんだから!」
バトルナイザーを取り出すカズマだったが、その時地面が割れて新たな怪獣が姿を現した。
「ギシャアウウウゥゥゥゥゥン!!!」
「こんな時に限ってなんで来るかね!?」
上部に2本の触手を備えたツインテールのような怪獣…“強酸怪獣リトマルス”は身体に空いている穴から強酸を噴き出しカズマに襲いかかる。
カズマがその強酸を避けると、カズマがいた場所は音を立ててドロドロに溶け出していった。
「やるしかないか…!頼んだぞメルバ!」
接近して来るリトマルスを倒すべくバトルナイザーを取り出したカズマはメルバを召喚する。
召喚されたメルバは目から光線を連射しながら地上のリトマルスを攻撃し地面に降り立つ。
「ギィエエエエエエエンン!!!」
メルバは猛然とリトマルスに向かって駆け寄るとその身体を抑え込む。
だがリトマルスはすぐさまメルバの足元に噛みつき更に強酸を噴き出して攻撃していく。
強酸を浴び怯んだメルバはリトマルスとの距離を空けるが、リトマルスは2本の触手を伸ばしてメルバの身体に巻き付け動きを封じ込もうとする。
「メルバ!そのまま飛び上がるんだ!」
カズマはメルバに飛び上がるように指示を出し、指示に従ったメルバはリトマルスごと空中に飛び上がり出した。
そして空中で何度も旋回しその遠心力を利用してリトマルスを地表目掛けて投げつける。
「ギシャアウウウゥゥゥゥゥン!!??」
リトマルスは悲鳴を上げながら勢いよく地表に叩きつけられてしまう。
その衝撃が強かったのかリトマルスは身体に空いている穴から強酸を垂れ流しながら動かなくなってしまった。
「よし…ガゾートを探しに行くか」
「その必要はない、地球人の少年よ」
「誰だ!?」
ガゾートを探しに行こうとしたカズマの前に突如として炎が噴き上がり、その中から怪人が姿を現す。
「お前は“炎魔戦士キリエロイド”…」
「キリエロイド?そうかこの姿は君達にはそう呼ばれているのか…しかし何故、君のような少年がこの惑星に?」
「ヤプールに飛ばされたんだよ」
カズマが正直に答えるとキリエロイドは興味深そうに近づいてきた。
「ヤプールに?彼らが地球人を目の敵にしているのは分かるが、わざわざ君一人を狙って?」
「そいつは…その…」
自身がレイオニクスであることがバレるとまずいと思ったカズマは言い淀むが、キリエロイドはカズマの手に握られている物に目をつける。
「それはバトルナイザーだね?ヤプールに狙われるのも納得だ」
するとキリエロイドもまたバトルナイザーを取り出しカズマの前で構える。
「お前もレイオニクスだったのか?」
「その通り。レイブラッドの力を得てこの宇宙に神聖なる秩序をもたらす事が私の使命なのだ!」
[バトルナイザー、モンスロード!]
「キュルルエェェェェンン!!!」
「ガゾート!お前の怪獣だったのか!」
召喚されたガゾートはカズマを見るなり口から涎を垂らしながら近寄り始めていく。
「やられてたまるか!メルバ!」
近づいてくるガゾートに対してカズマはその場に待機していたメルバに指示を出して迎撃に向かわせる。
自身に向かって来るメルバを見たガゾートはいきなり低空飛行しながらの突進攻撃を喰らわせ先制攻撃を仕掛けてメルバを弾き飛ばす。
そのまま地面に倒れ込んだメルバにのしかかろうとガゾートは飛び込んでいくが、メルバはそれを転がってかわしガゾートは勢いよく地面にぶつかってしまう。
起き上がったメルバは倒れ込んでいるガゾートを抱え起こすと鋭い爪による殴打を繰り出していく。
しかしガゾートは爪を受け止めて振り払うとその場でドロップキックを繰り出してメルバを蹴り飛ばして攻撃する。
「私こそレイブラッドの後継者としてその力を得るのに相応しい者!君にはここで消えて貰おうか!」
高らかに叫ぶキリエロイドに同調してか、ガゾートの攻撃は激しさを増していく。
そしてガゾートはメルバの腕に噛みついてその鋭い牙を突き立てていく。
「ギィエエエエエエエンン!!!」
苦しげな声を上げながらもメルバはガゾートを引き剥がすと尻尾を振り回して反撃するが、ガゾートは後方に飛び退いて回避する。
そしてガゾートは口から光弾を連射してメルバを爆撃していく。
放たれる光弾の嵐に怯むメルバであったが負けじと自身も目から光弾を放ちガゾートを攻めていく。
その内の一発がガゾートの胸部に直撃、ガゾートは胸から火花を散らせながら倒れ込んでしまう。
「ガゾート!何をしているのだ!宇宙に神聖なる秩序をもたらすこの私に選ばれながらなんと無様な…!」
キリエロイドの声を受けて立ち上がるガゾートだったが、先程の一撃が効いているのかその足元はふらついていた。
「キュルルエェェェンン…!」
「あいつもしかして…」
しかし立ち上がったガゾートは何処か怯えたような声を出しカズマはある事に勘付くがキリエロイドは懐から何かの肉片のような物を取り出す。
「ぬうっ…こうなればこいつを使って…」
「なんだあれは…?」
禍々しいオーラを漂わせるそれをキリエロイドはガゾートに向かって投げつけると、肉片はガゾートと一つになり闇の瘴気を放ち始めた。
「ガゾートよ!お前に今、世界を暗黒に塗り潰す者…“邪神ガタノゾーア”の大いなる力を与えた!その力であのレイオニクスを倒すのだ!」
ガゾートから噴き出した闇の瘴気はガゾートに纏わり付くように一つになり、ガゾートはその肉体を変化させていく。
その目は赤く染まり腹部にはガタノゾーアのような第二の口が出来、毒々しい体色に変化したガゾートは低く唸る。
「ガゾートが変わった…!?」
「さぁ行くのだ!デモンガゾート!」
「ギュルルエェェェェェエエンッ!!!」
ガタノゾーアが持つ闇の力を取り込んだ“変形闇怪獣デモンガゾート”は雄叫びを上げながら全身から電撃を放ち攻撃を始めた。
メルバは腕を交差させて防ごうとするが、強力になった一撃を防ぎきれず弾かれてしまう。
だがメルバは怯まず空中に飛び上がり、デモンガゾートもそれを追って飛び上がって空中戦を開始する。
空中を飛翔するメルバに追いついたデモンガゾートはその身体にしがみつくと電撃攻撃を仕掛けていくが、メルバはデモンガゾートを振り払い光弾で牽制射撃を行う。
しかしデモンガゾートは光弾を容易く避け腹部の口から黒い霧を吐き出し、メルバの視界を奪うとすかさず口からの光弾で追い討ちをかけ地上に叩き落としてしまう。
「メルバ!あの野郎何が救世主だよ…邪神って真逆の力じゃねぇか」
「この力は秩序をもたらす為に必要な力なのだよ!」
地上に降り立ったデモンガゾートは倒れ込むメルバを何度も蹴り飛ばして攻撃していく。
そしてメルバの上にのしかかると首筋に噛みついて鋭い牙を突き立ててきた。
対するメルバももがき苦しみながら嘴をデモンガゾートの右目に突き刺し反撃を行い、右目を傷つけられた事で驚いたデモンガゾートを蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたデモンガゾートは立ち上がるが、闇の瘴気を漂わせながら苦しんでいた。
その様子を見ていたカズマは自身の考えが正しいことを確信する。
「やっぱりそうか…キリエロイド!あいつはガタノゾーアの力を受け入れてない!」
「何を言っている…?この私と邪神に選ばれた怪獣なのですよ!彼は!」
「聞く耳持ちやしねぇか…どうしたらいいかね…」
カズマが見上げるとデモンガゾートは黒い霧を吐き出しメルバを攻撃しているが、メルバは羽根を羽ばたかせて霧を払っている様子が目に映った。
「あいつの中にある闇の力をどうにかして払えれば…ガタノゾーア…メルバ…もしかしたら!」
「何を考えていようが無駄な事だ!」
キリエロイドが叫ぶと同時にデモンガゾートは自身の体内にある電気エネルギーと闇の力を合わせてそれを光弾にしてメルバ目掛けて撃ち込む。
「メルバ!ガタノゾーアの眷属でもあるお前ならその力を取り込めるはずだ!」
カズマの声を聞いたメルバは放たれた光弾をその身で受け止めようとする。
「勝負を投げ出すとは愚かな奴よ!」
「よく見てみやがれ。どっちが闇の力を扱うのに相応しいかをな!」
「ギィエエエエエエエンン!!!」
すると大きく吠えたメルバは受け止めた光弾をその身に取り込み始めた。
やがてメルバは光弾を完全に取り込むと同時に羽根を大きく広げて込められていた闇の力を解き放つ。
それと同時に体内の闇の力を使い果たしたのか、デモンガゾートは元のガゾートの姿に戻る。
「よし思った通りだ!」
「馬鹿な…ガゾートの闇の力が…!」
「キュルルエェェェンン…!!!」
闇の力が祓われた事に愕然とするキリエロイドを他所にガゾートは周囲を見渡し、やがてキリエロイドを睨みつける。
「貴様その目はなんだ!私はお前の主なのだぞ!」
「キュルルエェェェンン!!!」
そう叫ぶキリエロイドに襲い掛かろうとするガゾートだったが、キリエロイドはバトルナイザーを取り出しガゾートをその中に戻すのだった。
(あの感じじゃいつかガゾートに反逆されそうだな…哀れな救世主様だこと)
内心キリエロイドに呆れながらもカズマはキリエロイドの元に向かっていく。
「勝負に敗れた私を笑いに来たのか?」
「別にそうじゃねぇよ。ここから帰れる方法を知ってるなら教えてくれないかと思ってさ」
「…空を見るがいい。この惑星は次元が安定せずあの様な次元の歪みが時折発生するのだ。強いエネルギーを衝突させればあるいは…」
「強いエネルギーの衝突…」
「まぁ今の君の力では無理かもしれないがね。フフフフフフフッ…」
キリエロイドはカズマを嘲笑いながら炎に包まれ姿を消す。
果たしてカズマはこの謎の惑星から皆の元へ戻ることが出来るのだろうか…?
・変形怪獣ガゾート
空中棲息生物クリッターが電磁波等の影響で融合し変異した怪獣。高い知能を有しており翻訳機を介せば人類とのコミュニケーションを取ることも可能だが、クリッター本来の性質もあって人類とは相容れない存在でもある。キリエロイドに操られガギを捕食すると続けてカズマのメルバと交戦、キリエロイドによってガタノゾーアの肉片と融合させられデモンガゾートに変貌するが、メルバによってその闇の力を解き放たれ元の姿に戻るとキリエロイドに襲い掛かろうとするがバトルナイザーに戻されてしまう。
・変形闇怪獣デモンガゾート
ガゾートが邪神ガタノゾーアの肉片と一つになって変貌した姿。腹部には第二の口が現れその性質もより凶暴化している。口から吐く「プラズマ光弾」に加えて腹部の口から「シャドウミスト」を吐く能力を新たに身につけたが、シャドウミストに関してはガタノゾーア程の威力は持っていない。その力でメルバを苦しめるも最後はガタノゾーアの眷属たるメルバにその闇の力を祓われて元のガゾートに戻る。
・炎魔戦士キリエロイド(RB)
自らを救世主と嘯く炎魔人キリエル人の戦闘形態。レイブラッドの力を得て宇宙に神聖なる秩序をもたらすことを目的としているがその本性は冷酷かつ傲慢で、使役しているガゾートに対して何の情も持ち合わせていない。レイブラッドの力を得る為カズマにレイオニクスバトルを挑み、途中ガゾートをデモンガゾートに変貌させて優位に立つが最終的には敗北、惑星から脱出する為の方法をカズマに教えるとそのまま姿を消すのであった。
・バリヤー怪獣ガギ
土中に蟻地獄状の巣を作りそこに潜む宇宙怪獣の一種。肉食性の凶暴な性質でキリエロイド操るガゾートと戦い、角から放つ光線や両腕の鞭「ガギビュート」、そして全身に張り巡らせるバリヤーを駆使して渡り合うが張り巡らせたバリヤーをガゾートに噛み砕かれて破られてしまい、さらにはその喉元を噛み切られ絶命。死骸はガゾートに捕食されてしまった。
・強酸怪獣リトマルス
身体の上部に触手を備えたまるでツインテールを思わせる姿をした怪獣。身体に空いている穴から強酸を噴き出して攻撃し、カズマに襲いかかるが彼が召喚したメルバとの戦いでは触手を巻き付けて動きを抑えようとしたものの空中に持ち上げられ遠心力を利用して地面に叩きつけられたことで息絶えてしまった。