大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜   作:ウルトラジャンボ

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第4話 目覚めし力

ある日の夜、カズマは夢を見ていた。

その夢には自分と同じようにバトルナイザーを使いゴモラと共に戦う青年がいた。

(ゴモラ、超振動波だ!)

(キシャアァァァアァッ!!!)

夢の中のゴモラは鼻先の角にエネルギーを集中させると、それを角から一気に放出した。

放たれたエネルギーは相手の怪獣に直撃して大爆発をおこし、辺りが眩い光に包まれる…

 

「ハッ!…今のは夢…か」

そこでカズマは飛び跳ねるようにして起き上がった。

カズマは枕元に置いておいたバトルナイザーを眺める。

中ではゴモラが頭をゆっくりと揺らしながら眠っていた。

(でも夢にしてはなんかリアリティあったんだよな〜俺のゴモラも夢みたいに角から光線出せんのかな?)

夢の中のゴモラみたいに光線を出すことが出来れば、今後は尻尾が届かない距離からの攻撃が出来、戦いを有利に進められる。

だがカズマとてゴモラが光線を放つことが出来る怪獣ではないということは分かっているのだ。

(いやゴモラIIだっけ?あいつは出来るみたいだけど、そもそも違う種族だからな〜でも調べてみる価値はありそうかも)

そう考えたカズマは寝間着から外に出るための服に着替えると、バッグを用意しノートや筆箱など必要になるものを入れていく。

そしてその音で目が覚めたモコはカズマに質問する。

「カズマ、何してるモコ?」

「何って図書資料館行く準備。ちょっと調べたいものがあるから」

「面白そうだモコ…僕も行っていいモコ?」

「いや図書資料館ペット禁止なんだけど…」

その言葉を聞いた瞬間モコはベッドから飛び出し、カズマの額目がけて頭突きをかます。

「って〜何すんだよ!」

「僕は“ペット”じゃないモコ!“居候”モコ!」

「意味分かんねぇよ!いきなり人に頭突きかましやがって…」

額を抑えながらモコを睨みつけるカズマだったが、モコが今にも噛みつきそうな形相で睨んでいたので言い返すのをやめた。

「はぁ〜分かったよ、連れていきますよ。でもこのバッグの中で大人しくしてろよ」

そう言うとカズマはバッグにモコ用のスペースを空けると、そこにモコを入れてから家を出ていった。

 

 

〜新東京図書資料館〜

「ん〜やっぱりゴモラが光線放つって書いてある本無いな〜」

たくさんの資料が置いてあるこの資料館でカズマは怪獣生態に関する本を山積みにし、ゴモラのことに関して調べていた。

しかしゴモラが光線を放つことが出来ると書いてある資料は無く、光線を放つゴモラのことが書いてあってもそれはゴモラIIのことという感じであった。

「これが最後か…」

「何が最後なの?」

声をかけられカズマが振り返ると、そこにはリコがいた。

「リ、リコ…?なんでここに?」

「新しい本借りに来たのよ。カズマ君は…何?怪獣の本?」

「ああっ…えっと…ほら本物の怪獣のこと知ればなにかの役に立つんじゃないかってね。ハハッ…」

「へぇ〜まぁ逃げる時とかには役立つかもね…それもいいけど、ちゃんと出された課題とかやってるの?」

「え〜っとまぁぼちぼちって感じですね…」

「分からない所あったら家来ていいからね。教えられる所は教えてあげるから」

「…その時はお世話になります…」

「お世話します。あっ隣いい?」

「うんいいよ」

リコはカズマの隣の席に座ると、手にした本を読み出した。カズマもまた最後の一冊を手にし読み始める。

(“大怪獣のすべて”…作者は“オキ・コウイチ”…確かZAPの怪獣対策研究室の室長だって父さんが言ってたような…)

カズマはページをめくり始めた。

そこには彼がZAPの隊員時代に訪れた“惑星ボリス”や“惑星ハマー”、そしてそこで出会った怪獣のことについて事細かに記されていた。

カズマは読み進めていったがあるページでその手を止める。

(“明かされるゴモラの真の生態”…ゴモラにも出会ってたんだなこの人)

ページをめくるとそこにはゴモラの内部図解が載ってあった。

カズマはその中の“超振動波”という単語に目を疑った。

それは夢の中のゴモラが角から放ってたエネルギーの名前だったからだ。

急いでカズマは超振動波について書かれているページに飛んだ。

(あった…!ゴモラも光線撃てるんだ…!)

カズマは早速その事をノートに書き写し始めた。

超振動波…それは地中を掘り進むことが出来るゴモラがその地中を掘るために角から放つ振動波のことで、元々は攻撃用途に用いられるものではなく地中の岩盤を液状化させるための掘削用途に用いられるものであった。

しかしオキが出会ったゴモラはそれを攻撃用途にも使用し、鼻先の角から放出して光線状に放ったり、相手の身体に角を刺し体内に直接流し込んだりという風に2つのタイプとして使っていた。

(だけど過去に出現したゴモラは超振動波を攻撃用途として使ったことはない…このゴモラが特殊なのかな?)

カズマが頭を悩ませていると、突然館内の非常ベルが鳴り出しアナウンスが流れる。

「怪獣が出現しました!怪獣が出現しました!館内におられる方は館内から出ないようにお願い致します!」

館内にいる人達は一斉にざわつき始め、中にはアナウンスを無視して外に出ようとする人達もいた。

カズマはバッグの中を見ると、バトルナイザーを取り出しモコに声をかけた。

「モコ!怪獣出たからここで大人しくしててくれ!」

「ええっ!?わ、分かったモコ!」

カズマは駆け出そうとしたが、腕をリコに掴まれてしまう。

「カズマ君、どこに行くつもりなの?」

「ちょっとトイレに行ってくるだけだよ。ちゃんと戻ってくるから」

カズマはそう告げると駆け出して行った。

「カズマ君…」

 

 

駆け出して行ったカズマはトイレ…を通り過ぎて非常口の方から外に出た。

「ギシャァグゥオォオオォゥ!!!」

外ではまるで鹿やトナカイのような巨大な角を持った怪獣が角から電撃を放ちながら暴れ回っていた。

「あの怪獣は…初めて見る怪獣だ。バトルナイザーなら何か知ってるかな?」

カズマはバトルナイザーを怪獣の方へ向ける。

[データベース検索中…該当項目1件あり!“破壊暴竜デスドラゴ”!」

「デスドラゴか。角からの電撃に気をつければ良さそうだな」

バトルナイザーを構えようとしたカズマだったが、空を切るような音と共に複数の戦闘機がデスドラゴ目がけて攻撃を始めた。

それはZAPのドラゴンスピーダー部隊だった。

ドラゴンスピーダーは機首から放つビーム砲で果敢にデスドラゴを攻撃するが、デスドラゴは電撃攻撃で纏めてドラゴンスピーダーを撃墜してしまう。

そうしてドラゴンスピーダーを全て撃墜したデスドラゴは資料館に向かって前進し始めた。

「こっちに近づけさせる訳には行かない!ゴモラ、頼む!」

[バトルナイザー、モンスロード!]

「キシャアァァァアァァッ!!!」

召喚されたゴモラはデスドラゴの行く手を阻むかのように、資料館の前に降り立った。

 

 

 

「キシャアァァァアァァッ!!!」

「ギシャァグゥオォオオォゥ!!!」

向かいあったゴモラとデスドラゴはお互いに駆け出すと、そのまま組み合った。

そしてゴモラは資料館から遠ざけるため、デスドラゴを押し出し始めた。

ゴモラはある程度デスドラゴを資料館から引き離すとデスドラゴを突き飛ばし腹部目がけて蹴りを入れ、頭を掴み地面に叩きつけるように投げ飛ばした。

起き上がったデスドラゴは負けじと肩から体当たりを繰り出すが、受け止められてしまい再び投げ飛ばされてしまう。

ゴモラは投げ飛ばしたデスドラゴに追撃するため接近するが、デスドラゴは角から電撃を放ちゴモラを攻撃し近づけさせる隙を与えないようにし始めた。

放たれた電撃に怯み地面に倒れてしまうゴモラだが、すぐに立ち上がると電撃攻撃を掻い潜りながらデスドラゴとの距離を縮めていく。

やがて距離を縮め再びデスドラゴとの接近戦に持ち込んだゴモラはデスドラゴの右角を掴むと、そのまま自身の右腕を振り下ろしてデスドラゴの右角をへし折ってしまった。

「グゥオォオオォゥ…!!!」

「いいぞゴモラ!角さえ折ってしまえばこっちのもんだ!」

角を折られたデスドラゴは頭を抱えながら後ずさりする。

ゴモラはそんなデスドラゴの様子を見ていたが、これが仇となってしまった。

デスドラゴは口内を激しくスパークさせ始めたのだ。

「ゴモラ!避けろ!」

カズマが気付いた時には遅く、デスドラゴは口から赤黒い電撃を帯びた光線を発射しゴモラを攻撃する。

「キシャアァァァアァァッ!!!」

角からの電撃が広範囲を攻撃するのに特化していたのに対し、こちらは一点を攻撃するのに特化しているためその威力は桁違いで直撃を喰らったゴモラは吹っ飛んでしまう。

デスドラゴは倒れ込んだゴモラに追い討ちをかけるように電撃光線を連射していく。

「あいつこんな力もあったのか…にしてもあれをどうするか」

カズマは放たれる電撃光線への対抗策を考えていたが思い浮かばないでいた。

するとデスドラゴは電撃光線を資料館目がけて撃ってきた。

それは資料館の前を薙ぎ払うようにしていったため、直撃することは無かったがその振動でカズマは倒れてしまう。

「痛って〜早くしないとゴモラも資料館もやられちまう」

気づくとゴモラはほぼ瀕死の状態にまで追い込まれていた。

「ギシャァグゥオォオオォゥ…!!!」

それを見たデスドラゴは電撃光線を放つのをやめると勝ち誇ったように鳴き声をあげた。

「あの野郎〜飛び道具あるからっていい気になりやがって…飛び道具…?そうだあるじゃん!とっておきの飛び道具!」

カズマは指を鳴らして叫ぶとゴモラに指示を出した。

「ゴモラ!鼻先の角にエネルギーを集中させるんだ!」

「キシャァッ!?」

「今この状況を変えるにはこれしか無いんだ!それに俺は信じてる。お前ならやれるって!」

「…キシャアァァァアァァッ!!!」

カズマの指示に最初は困惑したゴモラだったが、カズマの言葉を聞き最後の力を振り絞って立ち上がると指示通りに鼻先の角にエネルギーを集中させ始めた。

その様子を見たデスドラゴは危険を察知したのか、再び口内をスパークさせ電撃光線を放った。

しかしゴモラもエネルギーを集中させ終えていた。

ゴモラは角からエネルギーを放出し電撃光線との撃ち合いに持ち込む。

「頑張れゴモラ!」

最初こそ押されていたもののエネルギーは電撃光線をかき消していき、遂にデスドラゴに炸裂した。

口内にエネルギーを撃ち込まれたデスドラゴは口から煙を吐きながら倒れ込んでしまう。

「決まった!これが超振動波!よーしゴモラ畳み掛けるぞ!」

「キシャアァァァアァァッ!!!」

カズマの指示にゴモラは力強く応えると、起き上がったデスドラゴ目がけてドロップキックを浴びせ続けざまに尻尾を振ってデスドラゴの身体を打ち据える。

その攻撃に怯んだデスドラゴの身体を持ち上げバックドロップを決め、さらにエルボードロップで追撃する。

そしてデスドラゴの両足を掴みそのまま投げ飛ばしてしまう。

「…ギシャァ…グゥオォオオォゥ…!」

ゴモラの猛攻を受け満身創痍のデスドラゴだが、最後の意地といわんばかりに角から電撃を放って攻撃する。

だがゴモラはその電撃の嵐を駆け抜けて行きデスドラゴの腹部に角を突き刺す。

「トドメだ!超振動波!」

ゴモラは突き刺した角からエネルギーをデスドラゴに送り込み始めた。

そのエネルギーを受けデスドラゴの身体は赤熱化し至る所から火花が散る。

そしてゴモラがデスドラゴを上空へとかち上げたその瞬間、デスドラゴは大爆発を起こし消滅したのだった。

「キシャアァァァアァァッ!!!」

「よくやったなゴモラ!」

ゴモラは勝利の雄叫びをあげ、バトルナイザーの中に戻っていった。

(超振動波…これからの戦いに役立ちそうだな)

バトルナイザーの中で休息をとるゴモラを見てカズマは一人考えていた…のだがある事を思い出す。

「って早く戻らないと!ここにいたら怪しまれちゃう!」

リコのことを思い出したカズマは慌てて非常口から資料館へ戻っていった。

 

 

 

「怪獣は倒されましたが、周囲の安全が確認出来るまで皆様しばらく館内で待機の方お願い致します。繰り返します…」

デスドラゴが倒されたことで、館内の人達は少しづつ落ち着き始めた。

しかしリコは館内を走り回っていた。

トイレに行くと言ったきりカズマが戻ってきてないからである。

(カズマ君…どこにいるの?)

リコは徐々に不安な気持ちになっていった…その時だった。

「リコー!!!」

「カズマ君!」

カズマがリコの元に駆け寄ってきたのだ。

「ごめんごめん。怪獣が暴れてた時の衝撃でちょっと頭打って、今まで気を失っ…」

カズマは何とかリコに心配かけさせまいと理由を言っていたが、リコが抱きついてきたので言葉を続けるのをやめてしまう。

「…バカ…!もうずっと心配してたんだよ…!」

「リコ…ごめん…」

カズマは優しくリコを抱き返すとリコの頭を撫で始めた。

「しばらく帰れそうにないけど…どうする…?」

「…しばらくこうさせて…心配かけた罰…」

「…分かったよ…」

2人は人目を気にすること無くしばらくの間、抱き合っていた。

「…カズマ、完全に僕のこと忘れてるモコ…」

その光景を見ながら、バッグの隙間からモコが愚痴をこぼしていたがその愚痴も聞こえることは無かった。

 

 




・破壊暴竜デスドラゴ
鹿やトナカイのような巨大な角を持つ怪獣。ブルトンによって別宇宙から召喚され暴れ回る。角からの電撃や口から放つ電撃光線を武器にしており、特に電撃光線はゴモラを吹き飛ばす程の威力を持っている。しかし最後はゴモラが新たに会得した“超振動波”を受けて倒される。
ちなみにデスドラゴはこの宇宙では新種の怪獣として扱われることになる。
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