大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜   作:ウルトラジャンボ

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第6話 バトルナイザーを狙う者

「それで話というのは?」

「簡単なことだ。この星にいるレイオニクスを抹殺してもらいたい」

フジキヶ丘にあるとある廃工場で二人の人物が話をしていた。

一人はかつてレッドキングの死体を消し去った男。

そしてもう一人は手に幾つもの風船を持った黒ずくめの男だ。

「あのお子様レイオニクスですか。子供にも容赦ないとは…フッフッフ…」

「子供といえどあの忌々しい“レイブラッド”の血を受け継いでいる。レイオニクスがいる限り奴が復活する可能性は無限にあるのだからな」

「それもそうですねぇ。いいでしょうあんなお子様レイオニクス簡単に捻り潰してあげますよ」

男は自信満々にそう言うと工場を後にしていった。

「眠れるレイブラッドを呼び覚ますのは何としても阻止せねば…」

 

 

 

「カズマごめんね〜」

「もう…忘れ物とか気をつけてよ母さん」

その頃カズマは母であるハルカが勤めているフジキヶ丘総合病院に来ていた。

理由はハルカが病院に必要な資料を家に忘れてしまったためそれを届けに来たのである。

またちょうどお昼時でもあったので今は二人で食事を摂っていたのだ。

「ご馳走様でした」

「こうしてカズマとご飯を食べるの久しぶりねぇ。…そういえば父さんから何か連絡あった?」

「…ううん、特には無いかな」

「そう…全く一度でもいいから連絡すればいいのにあの人ったらもう」

「俺は気にしてないから大丈夫だよ。父さんも忙しいわけだから」

カズマは俯きながら呟くように言った。

そんなカズマの様子を見てハルカは少し語気を強めて言う。

「カズマ、寂しい時とか苦しい時は誰かに言いなさい。母さんでも学校の先生でもリコちゃんでもいいから。そうやって一人で抱え込もうとするのがカズマの良くない所よ」

「…うん…って待ってなんでリコがそこで出てくるの?」

「あら?まだ付き合って無いの?母さんてっきり付き合ってると思ってたわ」

「なんで皆して付き合ってるって言うの!?俺達そういうんじゃないから!」

「あーら顔真っ赤にしちゃって」

さっきまでの真面目な雰囲気はどこに行ったのか、ハルカはカズマを揶揄いだした。

こうなると母は止まらないことを知っているカズマは反論するのを早々に諦め、残ったジュースを一気に飲み干して自分の中にある恥ずかしいという感情を消そうとする。

「もう幾つになっても可愛いんだから」

「可愛いはやめてよ。俺男だから」

そうこうしてる間に時間は過ぎ、昼休みが終わってしまう。

ハルカは仕事へ向かい、カズマは病院を出て家に向かい出した。

 

 

 

「カズマのお母さん優しい感じの人モコね」

カズマが持っているバッグの中から顔を覗かせモコはカズマに話しかける。

「まぁね。ただスイッチが入るとめんどくさくなるんだよな〜」

カズマは頭を掻きながらそう応えた。

「それに怪獣が出てきた時はどうなるかって思ったけど、こうして母さんに会える日があっていつも通りな母さんを見ると安心するんだよな。まぁなるべく早くブルトンを倒していつも通りの日常を送りたいんだけどな」

「では私がいつも通りの日常を取り戻して差し上げましょうか?」

突然声をかけられたカズマが後ろを振り向くと、そこには例の男がいた。

「なんですか?怪しい宗教とかなら興味無いんですけど」

「これはこれは失礼。ですがあなたが持っているものを渡せば良いんですよ」

「俺が持っているもの?」

「えぇ、あなたが持っているそのバトルナイザーをね」

「!?なんでバトルナイザーのことを…?」

「なぜ知っているのか?ですか…教えて差し上げましょう」

そう言うと男は光に包まれて赤い体色に三本の触角を頭に備え、長い口吻を持った宇宙人としての姿を現した。

「改めて私は“ヒッポリト星人”と申します」

「知ってるよ。お前の同族がこの地球でやらかしたこと含めてな」

「これはこれは。我が同胞のことを知っているとは光栄です」

ヒッポリト星人はわざとらしくお辞儀をした。

「それで?なんでバトルナイザーのことを知ってるんだよ」

「それは宇宙の平和を乱す悪魔が生み出した恐ろしいアイテムなのです。それを持ってると怖〜い怪獣に襲われますよ」

ヒッポリト星人はそう言うとバトルナイザーを渡すように手を差し出してきた。

(あいつの言う通りこれを手にした時から怪獣達が現れるようになった…でもこうやって皆が無事なのもこいつのおかげ…どうすれば…?)

カズマはポケットの中のバトルナイザーに手を伸ばす。

(フッフッフ…地球人は騙しやすくて助かりますねぇ)

ヒッポリト星人はニヤリと厭らしい笑みを浮かべた…がモコはその様子を見逃さなかった。

「カズマ!ヒッポリト星人は卑怯な宇宙人だモコ!何か悪いことを考えている顔してるモコ!」

モコにそう言われカズマはバトルナイザーを取り出し身構える。

「チッ!余計なことを言ってくれましたね!」

ヒッポリト星人はカズマの肩に乗ってるモコを睨みつける。

「やっぱ何か企んでるようだな!」

「企んでいるとは…フフッですがそれを持ってると怪獣に襲われるというのは事実です。あなたも早く死にたくはないでしょう?」

「確かにバトルナイザーを手にしたあの日から怪獣がよく現れるようになったのかもしれない。もちろん死にたくもない。けれどバトルナイザー…ゴモラのおかげでこうして平和が守られてきたんだ!そして俺もゴモラと戦い続ける!だからこれをお前なんかに渡すわけにはいかない!」

カズマはヒッポリト星人を見据えながら、バトルナイザーを突き出し自身の覚悟を言い放つ。

ヒッポリト星人はそんなカズマを見て、首を横に振った。

「やれやれ…なるべく穏便に済ませたかったのですがね。こうなったら力尽くでいくとしましょう。出でよ!“一角超獣バキシム”!」

ヒッポリト星人が片手を挙げると空がガラスのように割れ、その割れ目の奥から青い身体にオレンジ色の頭部、頭頂部に鋭い角を備えた超獣バキシムが姿を現した。

「ギィガァアァァァア!!!」

バキシムは割れ目から飛び出しビルを踏み潰しながら降り立つと、手先からミサイルを連射しビルを次々と吹き飛ばして街を破壊し始めた。

「大人しくバトルナイザーを渡せばよかったものを…どうします?今バトルナイザーを渡せばバキシムを引き下げますよ」

「バトルナイザーを渡すつもりは無いって言っただろ」

「では街が破壊されてもいいと?」

「そんなこともさせない。俺は大切なものを守るためにこの力を使う!」

[バトルナイザー、モンスロード!]

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

バトルナイザーから召喚されたゴモラはバキシムを見ると雄叫びをあげて威嚇する。

「ギィガァアァァァア!!!」

対するバキシムもゴモラを前に雄叫びをあげる。

今ここに怪獣対超獣の戦いの火蓋が切って落とされたのだ。

 

「超獣は怪獣よりも強いって噂モコよ。大丈夫モコ!?」

「そんなのやってみなきゃ分かんねぇだろ!ゴモラ、行くぞ!」

「超獣たるバキシムに怪獣をぶつけるとは…無知なレイオニクスもいるものですね〜」

「レイオニクス…?」

「カズマ、バキシムが来るモコ!」

ヒッポリト星人が言った“レイオニクス”という言葉が気になるカズマだったがモコに声をかけられバキシムを見る。

「あいつの言ってたことも気になるけど今はこっちが大事か…ゴモラ!お前の力を見せてやるんだ!」

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

ゴモラはバキシム目掛けて突進攻撃をしかけていった。

「バキシム、捻り潰してやりなさい!」

ヒッポリト星人の指示を受け、バキシムもゴモラに向かっていく。

ゴモラとバキシムは勢いよく激突し、同時に土煙が上がる。

しばらく組み合っていた2体だったが、バキシムはゴモラを振り解くとトゲがついた手でゴモラを殴りつけてくる。

続けて肩からの突進でゴモラを後方へ吹っ飛ばすと手先からのミサイル攻撃で一気に攻め立ててきた。

「怯むなゴモラ!距離を詰めていくんだ!」

ゴモラはバキシムのミサイル攻撃に怯むこと無く猛然と突進していきバキシムを突き飛ばし、さらにバキシムの頭上に尻尾を振り下ろして攻撃を重ねていく。

一方のバキシムも攻められてばかりではなく、腕を振りミサイルをなぎ払うように撃ってきたりゴモラを背中に担いで投げ飛ばしたりと反撃をしていく。

「(超獣と渡り合えるとは…レイオニクスというのは本当に厄介な存在ですね)バキシム!お前の力を見せてやるのです!」

バキシムは手先からミサイルを放ちゴモラとの距離を開けると、そのまま手先にエネルギーを集中し始める。

「ゴモラ!超振動波だ!」

「バキシム!やりなさい!」

ゴモラは角から超振動波を、バキシムは手から破壊光線を放ち撃ち合いになる。

その威力は互角で二つの技は空中で爆発して相殺されてしまう。

「カズマ、超獣と互角なんて凄いモコ!」

「当たり前だろ、ゴモラは誰にも負けはしないからな!」

「ぐぐっ…こうなれば…バキシム!あの病院を狙うのです!」

するとバキシムはゴモラとは違う方向目掛けて頭頂部の角ミサイルを発射した。

そのミサイルはなんと先程までカズマがいた病院に向かっていったのだ。

「あいつ!」

ゴモラは猛スピードで病院の前に立ち塞がると角ミサイルを代わりに受ける。

角ミサイルはゴモラの身体に直撃すると大爆発を起こし、その威力の凄まじさにゴモラは膝をついて倒れ込んでしまう。

バキシムは倒れ込んだゴモラの背中を何度も踏みつけて勝ち誇ったかのように雄叫びをあげる。

「モコの言う通り本当に卑怯な奴なんだな!」

「なんとでも言いなさい。戦いというのは勝てばいいんですよ!」

バキシムはゴモラを踏みつけるのを止めると病院に向かって歩き出した。

 

「落ち着いてください!」

病院の中は患者や避難して来た人達で溢れ返り、軽いパニック状態になっていた。

(カズマ…何処にいるの…?)

そんな中ハルカはカズマがいるか確認のため病院内を駆け回っていた。

カズマが病院から出た数分後にバキシムが現れたため、病院は避難所として開放され病院の近くにいた人達は一気に流れ込むように病院へ避難して来たのだ。

そのためカズマもいるだろうと思っていたが人が多くいて見つけることが出来ず、また電話も繋がらないためハルカは次第に不安に駆られ始めてきた。

「あの怪獣、こっちに近づいてきてるぞ!」

避難して来た人の一人がそう叫び、病院はより一層パニック状態になってしまう。

ハルカはそんな人達をかき分けながらカズマを探しに再び病院を駆け回り出した。

 

「バトルナイザーを渡さなかった自分の選択を呪うことですね!ハッハーハッハッハッハ!」

「ってめぇ…!」

バキシムが病院に手を振り下ろそうとしたその瞬間、上空から複数のレーザーがバキシムに放たれた。

「なんですか!?」

上空を見るとドラゴンスピーダーの部隊がやって来ていた。

病院への進行を阻止すべくバキシムに攻撃を仕掛けてきたのだ。

「地球人ですか…邪魔しないで貰いましょうか!バキシム、撃ち落とすのです!」

バキシムは上空に向けてミサイルを発射し、ドラゴンスピーダーを攻撃する。

バキシムの狙いは正確で次々とスピーダー部隊は撃墜されていくが、一機だけバキシムの攻撃を掻い潜り果敢に攻撃を仕掛けるドラゴンスピーダーがあった。

バキシムはそのドラゴンスピーダーも撃墜すべく、スピーダーを追って病院から離れていく。

「使えない奴ですね…!さっさと撃ち落としなさい!」

ドラゴンスピーダー一機落とせない現状に苛つき始めたヒッポリト星人は声を荒げ指示を出す。

その指示を聞いたバキシムは目に内蔵された照準器を使いドラゴンスピーダーに狙いを定めると、鼻先から大型のミサイルを発射してドラゴンスピーダーを攻撃する。

ドラゴンスピーダーは放たれたミサイルを回避するが、そのミサイルは方向転換しドラゴンスピーダーを追尾して来た。

しかしドラゴンスピーダーは方向転換すると、バキシムに向かってきだした。

そしてドラゴンスピーダーはバキシムの眼前まで迫ると急上昇して追尾して来たミサイルをバキシムに炸裂させる。

「なんだと!?」

「今だゴモラ!反撃だ!」

ゴモラは立ち上がるとバキシム目掛けてドロップキックを浴びせると続けてその頭を掴み、そのまま勢いよく投げ飛ばす。

起き上がったバキシムにゴモラは尻尾を何度も叩きつけ、バキシムがフラフラになったところで頭を蹴り上げて大角で突き飛していく。

バキシムはなんとか立ち上がるも、もう瀕死の状態である。

「怪獣如きに遅れをとるとは…!」

「その怪獣を甘く見たのがお前の敗因だ!」

ゴモラは角から超振動波を放ちバキシムを攻撃し超振動波の直撃を受けたバキシムは木っ端微塵に大爆発する。

「凄いモコ!超獣に勝ったモコ!」

「まさか超獣が敗れるとは…くっあいつの道具も使えないですね」

「おい、ヒッポリト!さっきレイオニクスとか言ってたけどどういうことだ!」

「レイオニクスという自覚が無いとは…あなたは悪魔の手の上で踊らされているのですよ…」

そう言うとヒッポリト星人は姿を消した。

「逃げられたか…」

「(レイオニクス…カズマはもしかしてあの恐ろしい悪魔の血を受け継いでいるというモコか?)

「モコ?どうした?」

「えっ?あ、なんでもないモコ!」

「そう…って母さんから電話来てるし!ヤバい早く電話しないと!」

カズマは慌ててスマホでハルカに無事であることを伝えた。

 

 

 

「全くあんな使えない道具を渡しやがって…!」

「ほぅ…私の超獣を愚弄するか…?」

姿を消したヒッポリト星人は廃工場で黒ずくめの男に愚痴をこぼしていた。

「しかしあのレイオニクス…今までのやつとは何かが違うな。やはり我らの切り札を完成させるしかないようだな…」

「そのようですね…」

「とりあえず貴様には続けてその素材集めをしてもらおうと思う…こいつをくれてやろう」

黒ずくめの男は緑色の風船をヒッポリト星人に手渡す。

「今度の奴は大丈夫なんでしょうね?」

「そいつはバキシムよりパワーに優れている。貴様の新たな用心棒にぴったりのはずだ」

「そういうことでしたら受け取っておきましょう。その素材集めとやらは任せて貰いましょうか」

「期待しているぞヒッポリト星人」

ヒッポリト星人は緑色の風船を片手に廃工場から姿を消した。

「レイブラッドの復活は必ず阻止せねば…全てのレイオニクスとバトルナイザーは我らの手で破壊してやる!」

黒ずくめの男はそう叫ぶと目を赤く光らせる。

すると男の背後の空間がバキシムが現れた時のように割れ、真っ赤に広がる異次元へのゲートが現れた。

男は高笑いをあげながら開いたゲートの中に入り姿を消した。

 

 




・一角超獣バキシム
芋虫と宇宙怪獣の合成体で、異次元人ヤプールが創り出す生物兵器“超獣”の一体。手先や鼻から放つミサイルや手から撃ち出す破壊光線「バキシクラッシャー」、頭部の一角ミサイル「ユニコー・ボム」、従来の怪獣を上回るパワーや耐久力を持っている。ヒッポリト星人によって操られカズマがバトルナイザーを渡さなかったため異次元空間から出現し街を破壊する。現れたゴモラとの戦いでは当初互角だったがヒッポリト星人の指示で病院を攻撃し、それから身を呈して守ったゴモラを痛めつけるが一機のドラゴンスピーダーの攻撃で形成が逆転。最後は超振動波を受けて爆発四散した。

・地獄星人ヒッポリト星人
地獄のような環境のヒッポリト星からやって来た宇宙人。過去に同族が一度現れておりその時の悪行が記録として現在も残されている。慇懃無礼な性格で一見すると紳士的だがその本性は如何なる手段を用いても目的を果たそうとする卑劣漢。カズマのバトルナイザーを奪おうとするが、モコに感づかれてしまったためバキシムを呼び出し実力行使に出る。しかしバキシムを倒されてしまい自身の不利を悟りカズマ達の前から姿を消す。どうやらバキシムは黒ずくめの男から受け取ったものらしく、彼から新たな戦力を受け取るなど協力関係にある様子。ちなみに第3話でレッドキングの死体を消し去ったのは彼である。
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