大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜 作:ウルトラジャンボ
「グルルルルゥオォウ…」
「ギィガァアァァァア…!」
ゲードスを倒したのも束の間、今度はギマイラが現れたのだ。
「カズマ、ギマイラはかなりの強さだモコ!それにゴモラはさっきの戦いで体力を消耗してるモコ!」
「でもやるしかないだろ!」
モコの言う通り、先のゲードス戦でゴモラは体力を消耗しているがその闘志は尽きてはいなかった。
まるで自分はまだやれると言わんばかりにゴモラは大きく吠えてギマイラを威嚇する。
そんなゴモラの様子を見て、ギマイラもかかって来いとゴモラを挑発する。
「ゴモラ、お前の力を見せてやるんだ!」
ゴモラはギマイラに突進攻撃をしかけるが、ギマイラはそれを難なく受け止めてしまう。
突進を受け止めたギマイラはゴモラを投げ飛ばすと尻尾を掴みゴモラの動きを抑え角からの破壊光線でゴモラを攻撃する。
そして尻尾を掴んだままゴモラをビルに向かって投げ飛ばし、口から吐き出す霧でゴモラに反撃の隙を与えないように攻め立てていく。
「まずい、このままじゃ…」
なんとか立ち上がるゴモラだったが、ギマイラはその隙を見逃さず突進攻撃を繰り出しゴモラの胸に角を突き立てるとそこからエネルギーを流し込みゴモラを吹っ飛ばす。
「キシャアァァァァァアアァッ!!!」
吹っ飛ばされたゴモラは起き上がろうとするが、体力の限界が近づいてきたのか起き上がれずにいた。
そんなゴモラに対してギマイラはトドメを刺そうと触手を口から伸ばして攻撃した。
しかしゴモラは最後の力を振り絞り立ち上がると、伸ばされた触手目掛けて超振動波を放ち触手を傷つける。
「ギィガァアァァァアッ!!!」
触手を攻撃され驚いたギマイラは触手を引っ込めると踵を返し、フジキヶ丘港で姿を消してしまう。
だが今の反撃で力を使い果たしたのかゴモラは倒れ込んでしまった。
「戻るんだゴモラ!」
カズマはバトルナイザーを取り出すと急いでゴモラをその中に戻した。
「痛み分けってやつか…今回の件の黒幕はギマイラだったのか」
「ギマイラは生き物の血を吸う怪獣モコ。人々から血を吸って力を蓄えてたモコね」
「とにかく次こそは倒してみせる…ゴモラ、今はゆっくり休んでくれよ」
バトルナイザーの中で眠るように休むゴモラを見ながらカズマはそう決心する…と同時にスマホの通知音がなり、画面を見るとそこにはリコの名前があった。
「…もしもし…」
「繋がった!ツヨシ君から救助の人呼びに行ったっきり帰って来てないって聞いたからもう心配で…」
「あーっ…ごめん…俺は大丈夫だけど、2人は?」
「ツヨシ君はお母さんと一緒に病院よ。私も今は同じ病院なの。もう日も落ちかけてるし今から家に戻るのは危険だと思って。カズマ君はどうするの?」
「俺は家に戻るよ。明日病院行くからさ、そこで色々と」
「…うん…じゃ明日ね。ツヨシ君にも言っておくから」
「宜しく頼むよ。じゃまた明日」
そう言いカズマは通話を終了する。
(…リコ泣いてたな…やっぱ俺も病院行くか)
カズマは家ではなく病院の方へ走り出して行った。
〜フジキヶ丘総合病院〜
「どう、繋がった?」
「はい。何とか無事だったみたいです」
避難先になった病院でリコはカズマの母であるハルカと会い、電話をかけていた。
「あの子なんて言ってたの?」
「今日は家に戻って明日病院に来るみたいです」
「そうなの…あらあら、あの子も素直じゃないんだから」
「えっ?」
そう言うハルカの視線の先にはカズマがいた。
「カズマ君!?」
「リコ!」
カズマはリコの元へ駆け寄ると、リコを抱きしめた。
「なんで?家に戻るって…」
「…やっぱリコのことが気になってさ…心配かけてごめん」
「ううん、気にしてないよ。でも無事で本当に良かった」
「ちょいちょい、ここ病院だっていうこと忘れないでね」
ハルカにそう言われ慌てて離れる2人だが、その顔は恥ずかしさのあまりりんごの様に真っ赤になっていた。
「大胆ね〜そういう所父さんそっくりよ」
「からかわないでよ母さん!」
「あらあら照れちゃって。ところで直接来たってことはご飯食べてきてないんでしょ。食堂かコンビニ行くの?」
「えっ…あ〜うん、そうするつもりだけど」
「じゃあリコちゃんも連れていってあげなさい。まさかレディーを置いてくなんてことしないわよね」
「言われなくてもそうするつもりだよ!行こう、リコ」
「カズマ君!?」
ハルカに促されカズマはリコの手を握って行ってしまった。
そんな息子をハルカは優しく見つめていた。
「本当素直じゃないんだから…」
「全く母さんったら…」
「アハハ…前にも何回かお会いしたことあったけど変わらないね…」
カズマとリコは病院近くのコンビニで買い物を済ませ、病院へ戻っていた。
というのも食堂と病院内のコンビニは避難して来た人達でいっぱいだったからである。
「ああなるともう止められないんだよなぁ」
「でもいきなり抱きしめて来たらあんな風に反応するのも分からなくはないかなぁ」
「嫌だった?」
「全然、カズマ君が無事だったってこと感じられたから良かった」
「そう…それは良かったです」
それからしばらく2人の間には沈黙が訪れたが、やがてリコが口を開く。
「ねぇ…いつになったら元の暮らしに戻れるのかな」
「リコ…急にどうしたの?」
「だっていつ自分や家族、友達が死ぬか分からないんだよ。私それが怖くて…」
そう言うリコの声は震えていた。
連日の怪獣災害で多くの人が亡くなっているというのを考えると、不安や恐怖に駆られるのは無理もない話である。
「必ず元の暮らしに戻れるさ。これまで多くの怪獣が現れても人間はそれを乗り越えて来たじゃないか。…それにリコは俺が守るから…」
「…カズマ君…ありがとう。でも無茶するのはやめて欲しいかなぁ」
「その事に関しては本当にごめんなさい」
そして2人は笑い合いながら病院への帰路に着いていった。
その後病院に着き、ハルカに根掘り葉掘り聞かれカズマが顔を真っ赤にしながら否定していたというのは別の話である。
その頃、ZAPによって封鎖されたフジキヶ丘港の近くにある公園で潮風教団の教祖である男がギマイラを模した神像に祈りを捧げていた。
「我らが神よ…今一度御姿を現し我らを御救いくださいませ…」
そう何度も祈りを捧げる教祖の目からは危ない様子が感じられる。
そして辺りはあの時と同じように霧に包まれ、それと同時に教祖の男は倒れ込んでしまう。
直後、教祖の首に細い触手が刺さり教祖から血を吸い上げ始め、血を全て吸い上げる頃にはミイラ化した教祖の死体がそこに横たわっていた。
教祖の血を全て吸い上げた触手はフジキヶ丘港に潜むギマイラのものだった。
ギマイラはゴモラにつけられた傷を癒すためフジキヶ丘港の水を取り込みながらそこに住む魚たちの血を吸い、パワーアップを図っていたのだ。
そんなギマイラの角に一匹の蛸が張りつく。
それを見たギマイラは不敵な笑みを浮かべると角を光らせるのであった。
次の日、カズマとリコはツヨシと合流していた。
「ツヨシ君、お母さんの方は大丈夫だったの?」
「あぁ…貧血だって。まぁ血を吸われてたから当然なんだけど、今まで無事だったのが不思議なぐらいだって病院の先生言ってたな。あと母ちゃんの血から別の生き物の血の成分が出てたって」
「別の生き物?」
「そうなんだよ。しかも宇宙生物っぽいんだって」
(間違いなくギマイラのだろうな。ギマイラは血を吸うと同時に自分の血を与えて血を吸った人達を操ってたんだな)
そして3人が今後のことについて話し合っていると病院のテレビから臨時放送が流れた。
「ここで速報です。昨日出現した怪獣ギマイラに対してZAPは先制攻撃を仕掛けることを発表しました。攻撃開始時刻は本日午前10時、場所はフジキヶ丘港です。繰り返しお伝えします…」
「総攻撃ってことなのか?」
「だろうな。ZAPとしてはこれ以上被害を出す訳にも行かないだろうし…(まぁゴモラの体力がまだ回復しきってないから、こっちとしても助かるんだけど)」
カズマはこっそりポケットの中のバトルナイザーを見ながら、そう考えていた。
そして攻撃開始時刻である午前10時を迎え、フジキヶ丘港には多数のドラゴンスピーダー、そして新造艦の「ライオネル」が集結していた。
「スピーダー部隊、攻撃地点に到着。攻撃目標は依然として港内に潜伏している模様」
「黒澤隊長、どう致しますか?」
ライオネルに搭乗している隊員の一人がコンソールパネルの前に立つ男を見る。
その男こそカズマの父でハルカの夫である黒澤キョウスケである。
「まずは潜水艦ベレアスで牽制、目標が浮上してきたところをスピーダー部隊とこのライオネルで一気に叩く」
「了解しました。…ベレアスに通達、目標に対して牽制攻撃を行え」
「了解。これより牽制攻撃を行う」
ベレアスはフジキヶ丘港の海底に潜伏する怪獣目掛けて魚雷を撃ち込み攻撃を開始する。
「グギョォウウウウゥッ!!!」
魚雷攻撃は怪獣に全弾命中し、それに怯んだ怪獣は海上目掛け猛スピードで浮上していく。
「目標、猛スピードで浮上中!間もなく浮上します!」
やがて大きな水柱が吹き上がり、ギマイラが浮上した…かに思われた。
「これは…!?ギマイラではありません!別の怪獣が出現!」
確かに怪獣は海上に浮上してきたのだが、それはギマイラとは異なるまるで蛸のような怪獣…“タコ怪獣ダロン”が現れたのだ。
ダロンは身体中から生えている触手を伸ばして次々とスピーダーを叩き落としていく。
スピーダーとライオネルもビーム砲で攻撃するもダロンの頑強な皮膚によって思うようにダメージが与えられずにいた。
そんな中、キョウスケはギマイラの行方について考えていた。
「別の怪獣が現れるとは…ギマイラは一体何処に…?」
一方、フジキヶ丘総合病院ではカズマ達が総攻撃の様子をテレビで見ていたが、現れた怪獣がギマイラではないことに驚いていた。
「目標ってあのトゲトゲした怪獣じゃなかったっけ?なんで蛸みたいな怪獣がいるの?」
「リコ、ギマイラって名前なんだけど…」
「多分あの怪獣は囮なんだと思う。ギマイラは頭が良い怪獣みたいだから別の怪獣を利用したんだよ」
「それじゃそのギマイラって怪獣はどこなの…!?」
リコがそう言いかけた時、地面が激しく揺れて青白い光と共にギマイラが地中から姿を現したのだ。
「ギィガァアァァァア!!!」
ギマイラは辺りをしばらく見回すと病院に向かって口から触手を伸ばしてきた。
「こっちに来る!?」
「皆さん落ち着いてください!」
看護婦が叫ぶもパニックになった人々の耳にその声が届いている様子はない。
触手は病院の窓を破壊し、病院内に入り込むと無数の細い触手に枝分かれし人々の首に突き刺さって血を吸っていき、病院内の人々を次々とミイラに変えていく。
「きゃあ!」
「とにかく何処かに隠れよう!」
3人は机の下に隠れるが、触手は3人の所まで迫ってきていた。
「ちょっ…こっちに来たんだけど!」
「リコ!」
「カズマ君!」
カズマはリコを庇うように抱きつきリコが目を閉じたその時、リコが首から下げてるガラス玉が光りだし衝撃波を放ち触手を退けたのだ。
「…今のって…」
「なぁさっきのリコの持つそれから出たよな。なんだったんだよ」
「(このガラス玉、ただのガラス玉じゃない…?)リコ、大丈夫か!?」
カズマはリコに呼びかけるが、先程の衝撃で気絶してしまったようで何度呼びかけても返事が返ってこない。
ハルカの所に連れていこうにもまだ触手が蠢いているので机の下から出られずにいたのだが…
「ギィガァアァァァアッ!!!」
突如ギマイラが咆哮をあげ、触手を引っ込めたのだ。
カズマ達が外を見ると、ドラゴンスピーダーがギマイラを攻撃していたのである。
だがギマイラは角から撃ち出す破壊光線でスピーダーを撃ち落としていき、そして角を光らせ雄叫びをあげる。
するとフジキヶ丘港にいたダロンはスピーダー達への攻撃をやめ、市街地に向かいだした。
「怪獣、市街地に向かって進行中。到達予測地点はフジキヶ丘総合病院です!」
「何!?あそこにはギマイラが現れたと…まさかあの怪獣、ギマイラに操られているのか?」
キョウスケの読みは正しく、ダロンはギマイラが蛸を変異させ生み出した怪獣でギマイラの意のままに操られているのである。
「ギマイラと奴を鉢合わせる訳には行かん!各機攻撃を続けるんだ!」
キョウスケは指示を出し、ダロンにさらなる攻撃を仕掛けていく。
「な、なんとかなったみたいだな」
「あぁ…しかし直接病院を襲ってくるとは…」
ギマイラが離れたおかげで一安心するツヨシだが、リコは気絶したままで彼女を見るカズマの瞳は心配によるものなのか微かに揺れている。
「みんな大丈夫!?」
「母さん!」
そこへハルカが駆けつけてきた。
「俺達は大丈夫だけど、リコが…」
「ちょっといいかしら…大丈夫、気を失ってるだけよ」
「良かった…」
気を失ってるだけだと知り、安堵するカズマだがすぐさま病院の外で暴れているギマイラを見つめる。
「母さん…2人のこと、任せていいかな?」
「カズマ?お前なに言ってんだよ…」
ツヨシはカズマの突然の発言に驚くが、ハルカはカズマの目を見て何かを悟り優しく声をかけた。
「分かったわ…無茶だけはしないで…そういうところも本当にあの人そっくりなんだから」
「無茶しないよ。まだ死にたくないし」
そう言い、カズマは病院の外へ駆け出していった。
「…ツヨシ君、とりあえずツヨシ君のお母さんのところに行くわよ」
「えっ…分かりました」
ハルカはリコを背負うとツヨシの母親がいる病室へ向かい、ツヨシもそれに付いていく。
病院の外に出たカズマはバトルナイザーの中を見てゴモラの様子を確認する。
ゴモラの体力は回復しており、ゴモラ自身もやれるとばかりに力強く頷いてみせる。
「今度こそあいつを倒してやる!ゴモラ、頼むぞ!」
[バトルナイザー、モンスロード!]
バトルナイザーから召喚されたゴモラはその勢いを利用してギマイラに空中体当たりを繰り出し、ギマイラを吹っ飛ばす。
「キシャアァァァァァアアァッ!!!」
「ギィガァアァァァアッ!!!」
吹っ飛ばされたギマイラはすぐに起き上がると、腕を鳴らしてゴモラに向かっていく。
対するゴモラもギマイラに向かっていき、両者は組み合う形で力比べを始める。
しかしギマイラはフジキヶ丘港で魚、そして直前まで病院で人々の血を吸ってきたためパワーアップしておりゴモラを簡単に振りほどくと片手でゴモラの首を掴み締め上げる。
ゴモラも負けじとギマイラの腹部に蹴りを入れギマイラを後退させると、尻尾を振ってギマイラを打ち据えようとするがギマイラは片手で尻尾を弾いてしまう。
「こいつ、昨日より強くなってる!?」
カズマが驚きの声をあげる中、ギマイラは腕を振り回してゴモラに殴りかかるが、ゴモラはそれを受け止めると勢いよく投げ飛ばしてみせる。
そのままギマイラに向かっていくゴモラだが、ギマイラは口から霧を放ちゴモラの動きを封じる。
霧を吹きかけられ動きが鈍ったゴモラ目掛けギマイラは何度も尻尾を振り回して攻撃し、破壊光線を放ってゴモラを吹き飛ばす。
「たった一日でこんなにパワーアップしてるとは…どんだけ血を吸ってきたんだよ」
[怪獣接近中!怪獣接近中!警戒せよ!]
バトルナイザーが警告音と共に警戒するように反応し、それと同時にZAPの攻撃を掻い潜ってきたダロンがその場に姿を現す。
「グギョォウウウウゥッ!!!」
「くっ、こんな時に!」
カズマは歯を噛み締めながらダロンを睨みつける。
「ギィガァアァァァア!!!」
「グギョォウウウウゥッ!!!」
ギマイラに操られるダロンはギマイラの咆哮を受けゴモラに襲い掛かろうとしたその時、ダロンの背中に複数のミサイルが撃ち込まれ爆発を起こす。
「あれはZAPの…」
そこにはダロンを追跡してきたライオネルがいた。
「ワイバーンミサイル、目標に命中!」
「黒澤隊長、例のゴモラもいますがどうしますか?」
「…恐らくゴモラはギマイラとの戦闘中なのだろう。ここは様子を見ておくか…よし、我々はまずあの怪獣を叩く!」
キョウスケの指示でライオネルはダロンへの攻撃を再開、対アステロイド砲を撃ち込んで牽制しダロンの注意を引く。
「あの怪獣はZAPが引き受けてくれるみたいだな。ゴモラ、俺達はギマイラをやるぞ!」
ゴモラは立ち上がるとギマイラに向かって駆け出していき飛び蹴りを繰り出してギマイラを怯ませ、続けてその頭を掴んで頭突きを浴びせダメージを与えていく。
頭突きを受けたギマイラは少し距離を取ると再び破壊光線を放ってゴモラを攻撃するが、ゴモラも超振動波を放ち撃ち合いに持ち込む。
同じ頃、ライオネルはダロンへの攻撃を続けているがやはりダロンの頑強な皮膚を前に攻めあぐねていた。
「ワイバーンミサイルも対アステロイド砲も奴の防御力には敵わないか」
「ここは例の新兵器を使うしかないのでは…?」
「…それしか無さそうだな…(しかし奴の急所を狙わねば思うような威力は出ない。奴の急所は何処だ?)」
キョウスケが考えると突然ライオネルが大きく揺れる。
その原因はダロンが触手を伸ばしライオネルを絡め取ったからだ。
ダロンはそのまま触手から電流を流してライオネルを攻撃する。
「メインエンジン出力低下!このままでは墜落してしまいます!」
「対アステロイド砲で奴の頭を撃つんだ!」
「武器システムにも異常発生!対アステロイド砲使用出来ません!」
やがてライオネルのエンジン部分から爆発が起き、黒煙が吹き上がる。
「グギョォウウウウゥッ!!!」
それを見たダロンは勝ち誇ったかのように雄叫びをあげた…その瞬間、複数のビーム攻撃がダロンの触手に直撃し触手を切り落とした。
「今だ離脱しろ!」
「了解!同時にサブエンジンを起動させます!」
触手が切り落とされたことでライオネルはダロンから距離を取り体勢を立て直すことが出来た。
「しかし今のは何だったんでしょうか?…隊長、緊急通信です!」
「恐らく“彼女達”だろう…繋いでくれ」
キョウスケの指示通りに隊員の一人が通信回線を繋ぐと一人の女性が映った。
「こちらドラゴンスピーダー部隊長ハルナ。援護に来ました」
「やはり貴方でしたか。援護感謝します」
「こちらで怪獣の注意を引きつけます。その隙に怪獣の頭部を狙って下さい」
「頭部が奴の急所ということですか」
「えぇ。オキがそう言ってるので間違いないかと」
「了解しました。どうか気をつけてください」
通信が切れると同時にハルナ率いるスピーダー部隊はダロンの周囲を飛びながら攻撃を開始する。
「“ハイパーイオンブラスター”展開!発射準備に入れ!」
「了解!ハイパーイオンブラスター発射準備に入ります!」
隊員が発射準備に入りライオネルの艦首部分から砲塔が上がってきた。
これこそがライオネルに搭載された新兵器…粒子エネルギー砲“ハイパーイオンブラスター”である。
キョウスケはコンソールパネルに備えつけられた銃型のコントローラーを手に取るとダロンの頭部に照準を合わせ始めた。
そして照準がダロンの頭部と重なったその瞬間、キョウスケは指にかけた引き金を引きハイパーイオンブラスターを発射する。
ハイパーイオンブラスターからは青白い粒子エネルギーが放たれ、ダロンを牽制していたスピーダー部隊はその場から退避すると同時にそれはダロンの頭部に見事に直撃する。
「グギョォウウウウゥッ!!!…グギョォォォォッ…」
するとダロンは断末魔の叫びを上げながらその場に崩れ落ちるように倒れ込むと光に包まれながら消滅したのであった。
ダロンが倒された頃、ゴモラとギマイラの撃ち合いはまだ続いていたが威力はほぼ互角だったらしく相殺という形で撃ち合いに決着がつく。
「キシャアァァァァァアアァッ!!!」
「うわっ!目が…!」
その際に生じた強烈な閃光にゴモラとカズマは目を覆い怯んでしまうがその隙にギマイラは口から触手を伸ばしゴモラの首に巻きつけ、高圧電流を流してゴモラを苦しめる。
触手を引きちぎろうとするゴモラだったが身体に流れる電流のせいで力を込めることが出来ずにいた。
そしてカズマの身体にも異変が起き出していた。
「ううっ…なんだこれ…身体が痺れる…ゴモラのダメージが俺にも…?」
ゴモラが受けているダメージがカズマにも伝わってきていたのだ。
これまでには無かった経験にカズマは焦り出してきた。
やがてカズマは膝をついてしまいゴモラもそれにシンクロするかのように膝をついてしまう。
それを見たギマイラは勝ちを確信したかのように大きく吠えた…その瞬間、ライオネルのビーム攻撃によって触手を切り落とされてしまう。
「ギィガァアァァァア!?」
触手を切り落とされたギマイラは再び逃げだそうとするが、ライオネルは逃げる隙を与えずワイバーンミサイルを連射する。
しかしギマイラもやられっぱなしではなく破壊光線を放ちライオネルを攻撃、ライオネルは炎と黒煙を上げながら墜落してしまう。
ライオネルを撃ち落としたギマイラはその場を後にしようとするが唸るような声が聞こえてきたので振り返るとそこにはよろめきながらも立ち上がるゴモラの姿があった。
そして同じくよろめきながらも立ち上がったカズマはギマイラをしっかりと見据えていた。
「ハァハァ…俺はここで負ける訳には行かないんだ…この街のためそしてリコのためにも勝たなきゃならないんだー!!!」
そう叫ぶと同時にカズマの身体から一瞬炎のようなオーラが放たれゴモラもまた炎のようなオーラを発した。
「俺達はまだやれるってことを見せるぞゴモラ!」
「キシャアァァァァァアアァッ!!!」
ゴモラは雄叫びを上げると今までに見せたことがない程の素早い動きでギマイラとの距離を詰め、鼻先の角を使いギマイラを突き飛ばす。
続けて尻尾をギマイラの頭に叩きつけダメージを与えるとさらに尻尾を振り回してギマイラを何度も打ち据える。
そしてギマイラの尻尾を掴んで勢いよく投げ飛ばして地面に叩きつける。
起き上がったギマイラは口から霧を放ち反撃するが、ゴモラはそれをものともせずにギマイラに駆け寄りパンチを繰り出しギマイラを吹っ飛ばしてしまう。
ギマイラを吹っ飛ばしたゴモラは角にエネルギーを集中させるとそれを右足に移し大地を思いっきり踏みつける。
すると赤熱化した破砕岩が浮かび上がりギマイラに向かって飛んでいき、それを喰らったギマイラは大きく怯んでしまう。
「今だ!超振動波!」
破砕岩による小爆発やそれによって生じた煙に紛れてゴモラはギマイラに接近し角を突き刺し超振動波を流し込むとそのままギマイラの巨体を持ち上げる。
持ち上げられたギマイラは反撃しようと角を光らせ破壊光線を放とうとするが間に合わず大爆発して消滅するのだった。
「よし勝てたぞ!ゴモラよくやったな!」
「キシャアァァァァァアアァッ!!!」
ゴモラは勝利の雄叫びを上げるとバトルナイザーに回収されていき、ゴモラを回収したカズマはその場を離れた。
「ギマイラの撃滅を確認…なんとかなりましたね黒澤隊長」
「うむ…作戦は終了だ。ライオネルの機能が回復次第、本部に帰投する。君も機能回復に協力してくれ。私もすぐに手伝おう」
「了解です」
隊員を機能回復に向かわせたキョウスケは一人考え込み始めた。
(ゴモラのあの消え方、何者かがゴモラを操っているのだろう。しかし何のためにゴモラを使い怪獣を倒しているんだ?…“司令”ならば何か知っていそうだが…)
自分一人で結論づけられる問題では無いと判断したキョウスケは考えるのをやめ自身もライオネルの機能回復のための作業を開始したのであった。
「…あれ?私一体…?」
「大丈夫かリコ?」
「カズマ君!?うん大丈夫だけど…ここは?」
「病院の仮眠室。母さんが貸してくれたみたい」
病院に戻ったカズマはハルカ達と合流し、気絶したリコを預かると仮眠室まで運んでいきリコが目覚めるまで一緒にいたのである。
「怪獣はどうなったの?」
「ZAPの人達が倒してくれたみたい」
「そうなのね…良かった…」
怪獣が倒されたことを知り一安心するリコ。
それからしばらく2人は互いに沈黙していたのだがリコが口を開く。
「…私ね、あの時のことあんまり覚えてない…あの時って怪獣の舌がこっちに伸びてきた時のことね。それであの時さ何かが光って私達を守ってくれたみたいだけどなんだったのかな?」
「う…うん、なんだったんだろうね?俺も覚えてないんだ…」
まさか自分がプレゼントしたペンダントのおかげだとは言えずしどろもどろになるカズマ。
「でもきっとカズマ君がくれたこのお守りのおかげかな?」
「そうなのかなぁ!?いやきっと絶対違うかもしれないと思うよ!」
「どうしたの?そんな汗出して?」
「えっ?いやなんでもないよハハハッ!」
微妙に視線を外しつつ否定するカズマだったが急にリコの方に寄りかかってしまう。
恐らくあの時のダメージが残ってたのだろう。
慌ててカズマを支えるリコ。
「カズマ君!?大丈夫!?」
「うん…大丈夫だよ。リコが目覚ましたから安心してさ…ちょっと…だけ…いい…」
言い終わらない内にカズマは寝息を立てて眠りについてしまう。
「もうカズマ君ったら…」
少し膨れながらもどことなく嬉しそうにしているリコは寝ているカズマを抱きしめる。
「ありがとうカズマ君」
・吸血怪獣ギマイラ
ブルトンに呼び寄せられフジキヶ丘港に潜伏していた宇宙怪獣。高い知性と残忍な性格をしており、フジキヶ丘港に潜伏しつつ自身のエネルギー源となる血を集めるためとあるサラリーマンを洗脳し彼をカルト教団“潮風教団”の教祖に仕立て上げると彼を利用し信者となった人々から血を吸い上げていた。血を吸った人間には自身の血を与えることで自らの手下として自由に操ることができるようになり、これを有効活用しさらに多くの人達から血を吸い上げてきた。
また人間だけではなく怪獣も自在に操ることができ、ゲードスやダロンを操っていた。
口から放つ霧「ホワイトスモーク」や角からの破壊光線、触手を巻きつけて流し込む高圧電流など戦闘力も高くゴモラとの初戦ではゴモラがゲードスとの戦いで疲弊していたのもあり圧倒するが触手を傷つけられたことで撤退する
その後、さらに血を吸い上げたことでパワーアップしフジキヶ丘総合病院を襲撃しそこでも多くの人間から血を吸い上げる。ゴモラとの再戦でも初戦同様圧倒するが、ライオネルによって触手を切り落とされてしまいさらにゴモラが“ブレイブバースト”を発現させたことで形勢逆転し最期は超振動波を撃ち込まれて消滅する。
・タコ怪獣ダロン
ギマイラによってフジキヶ丘港に生息していた蛸が変異させられた怪獣。ギマイラの鳴き声に操られZAPの注意を惹く囮としての役割を担った。全身から伸びる触手とそこから流し込む高圧電流が武器で海底の圧力にも耐えられる頑丈な皮膚も脅威である。しかし頭が弱点でそこを突いたライオネルのハイパーイオンブラスターを受け光に包まれながら消滅した。