ガチャッ!!ガチャッ!!
シュー!シュー!!シュー!!
「ぜぇーはーーぜぇーはーー」
「諦めるな!!12号!!あとちょっとで港に着くぞ!!」
『無理だ無理、お前は失敗作なんだから』
力はあるが故障や不調で本来の力を発揮できないし、貨車や客車を引くと謎の振動を起こしてしまったり。本来の作られた目的を達成できない失敗作、それがこの俺だ。
きっとこの仕事が終わったら、そのままスクラップ行きになるんだろうぜ。なら、この仕事をしっかりやり遂げたら、少しは未練なくもの言わぬ鉄塊になれるんじゃないか。
バラバラになりそうと思いながら、痛むボイラーやピストンを動かしていく。どこからか異音がするが無視をする。
もう自分には後がない、ある意味やけっぱちだった。
「後ちょっと、後ちょっと、走れる走れる」
『さっさとスクラップになった方がいいんじゃない、このくず鉄め』
「俺がちゃんと見てるぞ!!、お前が頑張ってる所をしっかり見てるぞ!!」
『ハハッ!!あの機関士も可哀想だな!!あんなオンボロが良いとか』
『アイツもアレがくず鉄になったらクビになるんだっけ』
『そうそうこの前支配人に逆らってたからな、精々するよ』
「う…る…せ……よ」
勝手に漏れ出た言葉は機関士には聞かれなかった。
「諦めねぇぞ、諦めてたまるか」
更に蒸気を生み出し、ピストンに叩き込んでいく。
車輪が重い、車軸が痛む、嫌な言葉が俺を過去に縛りつけようとしてくる。訂正しよう、未練なくもの言わぬ鉄塊になれるんじゃないかなんて思ってたが、未練はありまくりだ。
そしてついに、港に辿り着いた。間一髪だった、到着して止まった瞬間【バッキン!!メリメリメリ】と何かの破裂音とともに蒸気がもれだし、車体が斜めり始めたからだ。
「う……ぐ……イテェ……」
でもちゃんと送り届けることができた、だってその証拠に。
「「「「ありがとうございました!!」」」」
海兵さん達がこちらに向かって笑顔で敬礼をしてくださったからだ。
「よう頑張った、お前は本当に役に立つ機関車だ!!」
機関士がそう言いながら撫でてくれる。
すると上から声が聞こえた。
「私の乗組員を連れてきて下さりありがとうございますわ、勇敢で頑張り屋の蒸気機関車様」
お嬢様口調のそれは、1隻の軍艦、それも戦艦と言われるタイプの船だ。
「申し遅れました、わたくしの名は………」
ジリリリリリリリリ
「お兄様、おはようございます」
ドスン!!
「ぐけぇ!!」
目覚まし時計の音ともに、愛する妹のベッドダイブが俺の腹に炸裂され、潰されたカエルみたいな声が出た。
毎度の事ながら、起こしてくれるのは有難いがダイブするのだけは辞めて欲しい。ホント切実に。
「お兄様、朝ですよ。早く顔洗って来てください」
「あぁ、分かってる、分かってるから早く降りて、動けない」
「わたくしが重いと言うのですの、お兄様」
「そうじゃないが、早く降りてくれ《戦姫》」
少し遅れたが紹介しよう、東英
俺の世界一美しい妹だ。
俺とは違い、腰の近くまである金色と白色のツートンカラーの髪の毛、目は黒と口調も合わさってTHEお嬢様って感じがする。
「早くしないと朝ご飯が覚めてしまいますわよ」
そう言ってベットから降りて部屋を出で行ってしまった。二度寝したいけどしたら今度はクロスチョップも合わせてダイブしてくる、この前味わったばかりだから俺も急いで起きる。
なんてことない東英家の日常の一つだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やっぱ朝からこれはキツいよ」
一般的な朝の食事と言ったら何を思いつくだろうか。
トーストか日本人らしく白米と1品に味噌汁か、我が家ではステーキ肉が出てきます。
重い、重すぎる。健全な思春期男子でもキツイぞ。
「朝からしっかり食べないと力出ませんわよ、お兄様」
「しっかりってレベルじゃないだろ」
そう言う妹はガツガツと肉を噛み締めていた。
「はァ、まあいいや」
「そういえば、お兄様。本日の予定は??」
「今日はゆっくりしようかなって思ってるよ」
「まぁ!!あの島で
「ワーカーホリックってお前な……、機関車は役に立つために働くのが使命なんだぞ、あとそんなこと言ったらお前だって解体されるまで
あと事件が起きるとか縁起でもねぇ。
「この話、双方にいいこと無いですわね。やめにしましょう、テレビでも見ましょうか」ピッ
「そうだな、その方がいい。……また銀行強盗か、最近多いなぁ」
「しかもここの銀行、すぐそこではなかったかしら??」
「ああ、確かそうだったはずだぞ」
《現在、立てこもり犯が表に出てきます。ああ!!人質を一緒です!!》
ああ、今人質取られて膠着状態か。ヒーローも大変だな。…………味噌汁が少ししょっぱいな。ズズ
《「いいか!!今すぐ逃走用の車をもってこい!!じゃないとこのガキをこrBOMB!!グベラッ」「おい!!デク!!」「わわっ!危ないよかっちゃん、怪我したらどうすんのさ!!」「うるせぇわ!!、はよ逃げるぞ」》
「ブホッ」
ニュースを見てたら知人がいきなり現れた、何言ってるか分からねぇと思うが俺もわからん。
「さすが折寺の三馬鹿問題児、もといお兄様のお友達ですね」
「待って、俺達問題児あつかいなの?!」
「あら、知らなかったんですの。イベントや旅行で行った場所で何かしら事件に巻き込まれるからですわ」
「こっちだって巻き込まれたくて動いてるんじゃないやい」
「……お祓い、行ってきたらどうですの??」
「……行った、帰りに事故に巻き込まれた」
「「………………」」
妙な沈黙が痛い、いや分かってるんですよ。巻き込まれすぎることぐらい。てかお祓いってお前も分かって言っただろ、俺に着いてきたんだし。
「……とりあえず、部屋にいるから」
「えぇ、分かりましたわ。」
「じゃあ、後はよろしく」
ーーーーーーーーー
戦姫side
やっと部屋に戻りましたわ。
多分、気づいてないでしょうが私の最後を言ったあたりから酷い顔になっていました。
あの酷い顔を見るに、今日見た夢は私と出会った頃の思い出でしょう。まぁ、この朝飯が原因ってのも1割ほどはあるでしょう。
お兄様と私はこの特異体質の世界でも明らかな異常があるのです。それは「前世の記憶を持っていること」です。
お兄様は蒸気機関車としての記憶を、私は戦艦としての記憶を持っています。このことを知っているのは私達のご両親と幼馴染だけです。
私は、戦艦として生まれてから約二十年働き解体されました、ですがお兄様は蒸気機関車として生まれてから約1世紀近くをはたらいたそうです。
私達、軍艦はお別れなんて日常茶飯でした。姉妹艦が、昨日肩を並べた戦友が海の藻屑となってるってこともありました。そう思うと解体で終わった私は幸運なのでしょう。
ですので私は、人として生まれ変わった時は【過去は過去】として、軍艦時代の自分を忘れようとしてました。
でも、お兄様は違います。ちゃんと整備していれば何年も何十年も働き別れが基本来ません、スクラップにされなければですが。
だから、別れが嫌いなのです。大切な者との繋がりが消えるのが怖いんです。
お兄様の描く《再現版の汽車のえほん》に書かれているのですが、エクリプスの機関士はある時期を境に金髪の人になり、最終巻で少し似てる人に変わるのです。
その機関士についてお兄様はなんも答えてくれません。
でもその機関士が大切な人だったということは語ってくれた時のお兄様の顔を見れば分かります。
お兄様は過去を大切にするあまり今朝みたいに過去を夢で見るのです。縋るように、思い出すように、見えない繋がりを守るように。
誰よりも人を愛した機関車であるから、誰よりも仲間達を愛した蒸気機関車だから。
誰よりも、死を、スクラップを、別れを嫌いな蒸気機関車なのだから。
私は彼にこの言葉を送ることしか今はできない。
「あなたの進む航路に栄光があらんことを」
彼はきっと過去という名のメビウスに惹かれた蒸気機関車、ただ道が続く限り走るしかない。
キャラクター紹介
東英
誕生日8月15日
年齢14歳
【個性:戦艦】
【個性:蒸気機関車】の戦艦版
戦艦、ウォースパイトの力を使えるようになる。
艤装というものを出し海の上も走れるようになる。
ただ足の故障が多く、原因は不明。
アルペジオのように戦艦ウォースパイトを呼び出すことが出来る。
好物
肉料理
ケーキ
紅茶
日本の茶菓子
嫌いな物
魚
トマト
見た目
腰の近くまである金色と白色のツートンカラーの髪の毛
顔は美しく整っており美人系
高身長
設定
前世、戦艦ウォースパイトのガール。
前世からの影響でお嬢様口調だが日本に馴染み始めて口調が迷子になることも。
個性の影響で足の故障が多発しやすい。
エクリプスがソドー島に来る理由となった艦。
蒸斬のことをお兄様と呼ぶ。
事件に巻き込まれやすく、同世代では個性の使い方は上手い。
折寺中の生徒会長。
本当に読んでくださりありがとうございます。
俺の駄文でも汽車のえほんの二次創作が増えることを祈って続けていきます。
次は結果発表まで行けたらなっと思っています。