本郷は政府の支援を待っていた。
彼自身、医学の知識はあるもののそれは研究医学であり、一般医療の経験は少なかった。
少なくとも本郷にとって、ルリ子への対処は手を尽くしてしまった。
黒電話に偽装されたそれが鳴る。
タカハシとの
「タカハシだ。
架電にて失礼する。
なおこの通信は
・・・
君の依頼に対応する。
医師は、タキがそちらへ
原因の目星はついているそうだ。
君たちの不安は解消されるはずだ。」
「わかりました」
ルリ子がいない今、本郷は不安だった。
予測能力を持つ本郷にとって、これまで不安なことはなかった。
そして今。
本郷はもう一つの不安も感じていた。
タキについても予測ができないことに。
ーーーーー
「開けてくれ。」
扉の向こうで声がした。
外の気配はタキ。。一人。
(一人・・・?)
本郷は訝しみながらも、扉を開錠しようとする。
深層意識は「
危害はなさそうだが、警戒は必要だ。
ガチャ。
扉を開くのを待ち構えていたタキは、スっと中に入ってくる。
そして早足で、一直線にルリ子のもとへ進もうとする。
慌てて本郷はタキの、その進路に立ちふさがる。
「待ちたまえっ タキくん!
医者はどこだ?
そして、君は何者だ?
ルリ子さんの容体は一刻を争うものではないことはわかっている。
・・
まずは、タキくん。
君の素性を明かしてもらいたい」
「・・・」
タキは本郷の固くなった表情から、本気であることを認めた。
ここはお互い争う場面ではない。
タキも本郡と同様、平和主義者だった。
「説明しよう。」
そう言うと、彼はおもむろにジャケットを気くずしながら、
Yシャツのボタンを上から順に外していった。
「!?」
本郷が求めていた行動ではない。
しかし、その理由はわかった。
タキの褐色の肌。
その肩口からみぞおち、腹部にかけて斜めに走ったゼブラ模様の異様さは、見たものの感情を揺さぶるに十分だった。
「っ・・・・!
それは・・っ・・・」
本郷は思わず叫び、息を呑む。
それは、あの、恐ろしい改造手術を思い出したからだ。
「
「失敗ではない。
望んだ結果だ。
・・
ショッカーの戦闘員。
彼らの中で、稀に・・さらなる能力を欲したものがいた。
方法はいくつかあるが、そいつは
成功事例は少ない。
・・・
俺は生き残り、能力を得た。」
胸のゼブラがまるで闇夜の虹のように、鈍く妖しく煌めく。
冷静さを取り戻しつつある本郷を前に、タキは服装を戻しながら独白を続ける。
「改造手術をしたものの、戦闘員の攻撃能力以上は叶わなかった。
そして防御力も。
改造人間としては並だ。
だが俺には、他に望むものがあった。
忍耐力。それこそが、俺に必要だったのだ。
どんな相手とて、
何年かかろうとも、
いずれ俺が、勝つ。」
タキのジャケットが、いつものようにピン!としなった。
本郷は理解した。
これまでのタキのスタミナや、タカハシの部下として不平なく稼働する彼の行動を、「
「
過去に・・・何があった?」
「これまでの経緯は、伝える必要はない。
ただし、目的については当面、君たちと同じだ。
・・であれば問題なかろう。」
理解はできるが、意図は不明。。しかし納得するしかない。
これ以上の詮索は、協力関係を破綻させかねない。
本郷の優先度は、「ルリ子の診察」となった。
「医者はどうした?」
「ドクターは私の意識とすでに合意形成済みだ。
精密リンクをしている。
よって、私の診察はドクターのそれに等しい。」
そういうと、タキの眼力が少し柔和になった。
状況の変化に一瞬瞳孔がひらく本郷。
そしてタキの声色が語りかけてきた。
「早速、患者様を診察いたしましょうか。」
ーーーー
あれから数日後。
目覚めたルリ子は、左腕をまくり、処方されたアンプルを打っている。
その素直さは、本郷にとって少し意外だった。
政府を全く信頼していなかったが、やはり協力は必要だということか。
いずれにせよ、対改造人間戦は順調であった。
すでに次の
いまは、政府からの出撃指令を待っている状態、つまり待機だ。
そのつかの間の安息。
ルリ子、タキ、そして時折訪れるタカハシ。
まるで家族のようだ。
「
==作者のあとがき。==
こんばんは。
読んでいただいている皆様、ありがとうございます。
実は人生はじめて小説を書いてます。
SFが好きなので、独りよがりで難解な単語が多く、すみません。
ここで少し、「
Q1:おなじ「エマージェンシー・レッド」のルビなのに、「赤」「危険な赤」があるのは誤字ですか?
A1:細かい箇所に気づいていただき、有難うございます。
本郷の深層意識を認識する精度により、表現が異なります。
成長すると精度が上がったり、また、自分の深層意識をより深く認識する時間がなければ精度が下がります。
つまり、深層意識の時点で危険と感じると、「危険な赤」。
しかし、その理解は同じエマージェンシー(危険) となります。
「意識」と、「理解」という2面性がありますので、今後も同じ本文に同じルビとは限りません。
そもそも仮面ライダーの眼がなぜ赤なのか?というところに独自設定を加えたものです。
この小説を書こうと思ったきっかけでもあります。
その意識の色と理解の2面性に意味を持たせたいので、できればぜひ今後も、その違いを楽しんでもらえると幸いです。
Q2:ライダージャンプがルビなのに、ライダーキックが本文なのは、なぜですか?
A2:作者としては、ルビ/本文、どちらを読んでもいいと思っています。
つまり、
ただ、ライダーキックはさすがに本文のほうがいいだろう と判断しました。
Q3:第一話の、改造手術内容?が専門用語多すぎてわかりません。
A3:えーと、すみません。。
使っている単語は基本、実在しますが
その使用法や文章の整合性は、創作です。
雰囲気として難しいことをしている、そして被験体はその意味を理解している。と思っててください。
第二話で、緑川博士も改造人間だと判明しますが、
博士は頭いいですよね。
記述は省略しましたが、彼はどうやって手術したのでしょうか。
おそらく、自分以外の人間に手術を任せたと思います。
手順や危険度をすべて理解し、かつ、相手を信頼する。
知っていながら危険にチャレンジする、その覚悟と恐怖を一緒に感じてもらえれば、と思います。
また、技術用語とその解説については、多分長くなりますので、
リクエストがあれば、詳細解説したいと思います。
ある程度単語を知っている人は、その背景や今後を予想するのも面白いかもです。
電子回路系/機械系/航空宇宙系のソフトウェア/ハードウェアの専門用語が多いと思います。
気になる単語があれば調べておくと、専門職にすこし役立つかもしれません。
Q4:英語が苦手なので、ルビの意味がわかりません。
A4:ルビは本来、理解を助けるものですが、私が独りよがりで能力不足であるため、逆に理解が難しくなっています。
時間が取れ次第、一覧表を作りたいと思います。
お待ちください。
それでは次回、引き続きよろしくお願いいたします。