ホムラの日とホムラの未来とホムラを振り返る過去 作:早起き三文
――我、獅子王にもままならぬ事が、あったか不覚実に不覚……!!――
「うわっ!?」
その、誤ってゲーム画面の「獅子王」のアイコンにタッチした時の、覇王のキャラボイスがうるさい。
「……えーと、どこまで話したっけ?」
「……さあ?」
まあ、その僕の「自慢話」は別に、彼女にとってはあまり面白くはないだろう。
「歴史上にいた、昔の英雄がモチーフでさ……」
でも、彼女は内心で、どう思っているかは、知らないが。
「暴君とも言えるけど、それは自分の国の民、全てはそれの為に、あえて悪行を行ったんだ!!」
「……へえ?」
一応、頬杖を付きながらも、新宮さんは僕の「高説」に付き合ってくれる。
「……私の叔父さん、みたい」
「……ん?」
「あっ、何でもないわ、小田切君」
シャ……
「うぉ!?」
「きゃ!?」
あれ、何だかいきなり。
「……まぶし!!」
「……わね、小田切君」
「あ、ああ……」
窓からの夕陽が、やけに強くなったな、なんだろ?
「……でも、僕も」
その強い、割れた窓ガラスを突き破りそうな、橙色の光に目を細めつつ、僕は。
「世の為、人の為なら、そういう道を」
それは、その考えは会社の「内部監査役」を努め、身内からも。
――まるで、あのひとはゲシュタボだよ――
と、陰口を叩かれながらも、仕事をしてきた、父親。
「たとえ苦しくても、進んでも……」
そして。
――いかなる善行を行っても、それが報われるとは――
――なんだよ、母さん?――
キリスト教の信者であり、婦人警察官を勤めていた、母親。
――決して思うなとの、イエスの言葉よ――
――何、それ?――
の、母さんの言葉の影響かもしれない。
「……それでも、苦難の道でも良いかも」
まあ、二人とも、あの日に死んだけど。
「知れないな、僕の人生は……」
「……ええ」
ん、あれ?
「……そうね」
ス、ウゥ……
「……!!」
な、何か今、新宮さんが、凄く、ミリ単位でしか解らない良い笑顔を、見せてくれた気が、気が!?
――これがギャルゲーなら、好感度は目に見えてアップしてたかも!?――
「夢は、きっと叶うから」
ニ、コォ……
ああ、やはり、凄く「好感度」がアップしている!!
――ならば!!――
ここまで来たら、この言葉でも言っちゃえ!!
「……僕の!!」
「?」
スタァン!!
「僕の、戦いは!!」
「……!?」
突然、椅子からスタンダップした僕に、新宮さんは驚きとまどっている、そりゃそうだ!!
「……これからだ!!」
グォン!!
その、僕の握り拳と共に放った、謎パワーに満ちた言葉。
「……小田切、君」
に、対して。
クゥ……
「あっ、ゴメンナサイ、新宮さん……」
クゥクウ、クゥ……
「……引いた、新宮さん?」
新宮さんは、忍び笑いを堪えつつも。
「……ごめん、新宮さん」
「……小田切君てさ、本当に」
「う、うん……」
彼女は、軽く笑みを浮かべつつ。
シャ、ア……
強く輝く、教室中を染めてきた、拡がる夕陽の光に包まれながら。
「……凄く」
軽く。
「凄く、良いね」
しとやかに。
「そ、そう……?」
そして、強く。
「うん、とても」
この、茜色と橙色が混ざった、光に満ちた「楽園」で。
「……好きになって、よかった」
「……えっ?」
シャ、アァ……!!
優しく、微笑んでいる。
「……い、今なんて!?」
その、僕達を、太陽は。
「……です、小田切君」
「……!!」
「どうか、私と……」
「あっ、あっ……!!」
何も言わず、ただ。
「……って、下さい」
慈愛の光でもって。
「……ダメ、かしら?」
「……よ、よよよ!!」
スァ……
「喜んで、新宮さん!!」
若き恋人達を、太陽は。
サァ……
「……これからも、よろしくね、小田切クン?」
「……やっぱり、本当に」
大きな夕陽は、紅く、茜色に。
「僕達の戦いは、これからだぁ!!」
「……フフ」
美しく、覆った……
~了~