ホムラの日とホムラの未来とホムラを振り返る過去 作:早起き三文
「……あの、小田切君?」
窓からの、強い夕焼けに染まった教室で。
――何がバレンタインだー!!――
と、呪詛を叩きつけながら、一人寂しく、携帯ゲームのレベル上げをしていた。
――レベル、アップが先決!!――
僕、だったが。
「……あの、小田切君?」
その涼やかな、彼女の声で。
「あっ、に、新宮さん!?」
「……今、いいかしら?」
「あっ、うん……」
細く、気遣うような声で、我に返る。
「……新宮さん、何か用?」
「……」
教室の窓から。
カァ、カァア……
カラスの声と共に注ぐ、強い夕陽の、オレンジ色の光。
「……いえ、その」
その、教室一面の「だいたい」に。
サァア……
彼女の黒髪が、鮮やかになびき、そして。
――……ゴッ――
そして、彼女の。
――……ゴクゥ!!――
すでに女性らしさを、胸や腰に大きく発達させている、制服に包まれた、彼女の身体、それが。
――……ドゥ――
それらが、斜陽の輝きにより際立ち、僕の胸が、心臓が。
――……ドクゥ、ン!!――
高まるほど、艶かしい。
「……小田切くん?」
「はっ、はひ!?」
もしかして、今僕が、彼女のスカートから伸びる。
「……私の顔を見て?」
「は、ハイッ!?」
スラリとした、彼女の「おみ脚」に、ハッキリ言ってしまえば
スゥ、ウ……
白く、そして明るく夕陽に輝く「生足」に目が行っていたこと、そして彼女の、新宮さんの、そのかたちよく膨らんだ。
ムッ、ウ……
その、あれを。
「……私の、胸や脚じゃなくて」
「あっ、あう!?」
そこを見ていた、直視していた事に気付かれていた、ようだ……
――……だけど――
それとは別の話として、どうも彼女は、人に。
――僕だって、あまり人の事は言えないが――
いわゆる「陰キャ」の僕から見ても、彼女は他人との。
「……そう、全く」
人との、付き合いがない。
――転校してきて、もうすぐ1月にもなるのにな――
何故かは解らないが、彼女は女子の輪に、加わろうとしない、そして。
「……当然、男子にも」
転校当初から、彼女は男子に人気は、ある。
――あの新宮ちゃん、スゲー可愛いよな!?――
その外見で得をしている、だが。
――ああ、だけどサァ?――
しかし、さすがにその愛想の無さは、可愛い子には目がない、高校生男子でも。
――あまり面白くネェ、つまんねぇ女じゃね?――
――まぁな――
――無口で、何考えてるか、解んなくて、さァ?――
興ざめする位、他人との付き合いがない。
――……もしかして――
同級生の中では、学校の中では、隣の席である僕が一番、彼女と会話を、しているのかもしれない。
「……これ、小田切くん」
と、言って。
「……?」
切り出して、差し出された彼女の手に光るのは。
「……!!」
こ、これは!?
「……迷惑、かしら?」
「い、いやそんな事は!!」
「……ほら、いつも」
と、彼女の平常運行、表情という物が無いまま、新宮さんはその細く。
「小田切君には、いつもお世話になっているから」
「そ、そんな……!!」
スラっとした指先に、手のひらにチョコレートを乗せている。
「……あっ!?」
そして、周囲が。
ザゥア……!!
完全なオレンジ、橙色の光のみ。
「……あの、新宮さん?」
それだけの、僕と彼女の他には何も無い、陽光のみの空間の中で、彼女の頭が。
スゥ……
軽く、下げられる。
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「……僕が」
彼女が立ち去った、やや日も沈み、暗さが増した教室の中で。
「初めて、もらったチョコ!!」
と、一人こぶしを上げ、喝采を放つ、端から見ると、大層不気味は光景。
「……でも、まあ」
当然、これは義理チョコだけどね。
「……えーと、二百ゴジュウ円の、板チョコ」
とはいえ、値札シールくらいは、外して欲しかった……
「……でも」
何か、彼女は僕に、少しは好感を持っている、のかもしれない。
「……そうでなければ」
で、なければ義理とはいえ、渡さないだろう?
「……だけど」
非モテの、陰キャの僕の!!
「だけど、さぁ!?」
僕の、青春到来!!!???