マミさんになったからには強キャラムーブがしたい! 作:オリーブオイル
とりあえず書きたい所まで書いたら、少し長くなってしまいました。
二次創作といえど小説って難しいですね。オリジナルだともっともっと難しいのでしょうね。
この妄想をもっとうまく言語化したいものです。
カナがギルドに入ってからそろそろ半年が経ち、私がここに来て四年が経った。
カナは原作と同じくギルドメンバーに勧められて、
最近は何やら占いの勉強をしているようで、難しそうな顔で本とカードを見ている姿をよく見かける。
きっとギルダーツのおじさんがいつ帰ってくるか占いたいのだろう。おじさんはひと月前にクエストに行ったきり、まだ帰ってきてない。いつものこととはいえ、やっぱり不安みたい。
まぁあの人のことだし......どこかで女の人作ったり、迷子にでもなってるだけで心配するだけ無駄なのだけど。
色々残念な人だけど、それだけの強さがある。
私の憧れであり、密かな目標。
そして、私の......人生の恩人。
あの人がいなければ、きっと私はあの日に死んでいた。あの人がいなければ、このギルドにも入ることもできなかった。今みたいに未来を見据えることもできなかった。
だから私にとって大恩人で、認めてほしい人。
辿り着きたい高み。
だからこそ、この四年間目を逸らし続けていたことに向き合わないといけない。時間がかかったけど漸く決心がついた。
そのために一回里帰りしようと思う。
私が生まれ、9歳になるまで両親と楽しく暮らしていた場所。
そして今は亡き、忘れられた村......ヘデラ。
私の始まりの地。
♢♢♢
マグノリアでの簡単な依頼を終わらせてギルドに戻り、日が落ち始めた夕暮れのギルドである人物を探す。
えっと、この時間ならもう帰ってるはず......あ、いたいた。
壁際のソファに掛け魔導音楽プレーヤーを耳につけながら寛いでる人物を見つけた。
「ねぇラクサス」
「あ?なんだマミか、なんだよ」
目を瞑ってるので少し肩を叩きながら声をかけるとこちらに気づいてくれた。歳も近いし基本的にお互い落ち着いてるため仲がよいのだ。
実は何回か一緒にクエストも行ったことがある。
組むのは討伐依頼の時で、私がサポート担当でラクサスが火力担当。これが思いの外相性が良くて、いつかチームを組みたいなぁと密かに思ってたりする。
「クエスト帰りかしら?」
「ん?ああ。オニバス近くの村で暴れてるモンスターがいて、そいつの討伐依頼だった」
「一人で討伐依頼?凄いわね」
一人で討伐依頼って......流石ラクサス、やるわね。でも誘う位してくれてもいいのに。
「いや、報酬がショボいから一人でいけると思ったけど、案の定大したことなかったわ......金にもならない、修行にもならないしで外れくじ引かされた」
「へぇ~。でも誘ってくれてもいいじゃない」
「うるせぇな、次は誘うからいいだろ?んで、そういうお前は?」
よし言質は取った。
私はありがたいことに何人かの依頼人から定期的に指名依頼をもらっている。
今日はルアーフレーバー紅茶店のマスターからの依頼で、店先のテラスで一人紅茶を飲んできた。大好きな仕事の一つだ。
因みに行きつけのお店で茶葉の補充をしによく買いに行く。
「いつものアレよ、店先で紅茶を飲んで欲しいってやつ」
「あー、アレか。依頼主も変な依頼するよなぁ、初めて見た時はこいつサボってると思ったわ」
なんてこと言うのよこの金髪ヘッドホンは。
好きなだけ飲んで読書する。依頼通りしっかりと客寄せパンダの仕事してるというのに。
「失礼ね、立派なお仕事ですぅ~。2時間紅茶飲んでるだけで6000
「な!マジかよ?!紅茶飲んでるだけじゃねぇか」
「ふふっ、何でも客入りが良いそうよ?」
「流石にずるだろそれ」
「まぁ月一だけれどね」
「ほーん。なら小遣いみたいなもんか」
「そうね」
実際マスターもお小遣いのつもりだと思う。私が10歳の頃から通ってるから孫みたいな感覚なのかもしれない。
「で、なんだよ。なんか用あんだろ?」
やっぱりわかるか......でも正直聞いてくれて助かった。
「......少し話というか、お願いがあって」
「お願い?」
「えぇ。この後時間あるかしら?」
「まぁ、あるけど」
「よかった。ここだとアレだからウチに来て。さ、行くわよ」
「は?今から?!ちょ、待てって!」
何やら焦っている声が聞こえたけど、私はもうギルドの扉の前にいるので無視だ無視。
「ラクサスー!置いていくわよー!」
「はぁ?!だから待てよ!なんで俺が置いていかれるんだよ!!」
もうギルドから出て、家に向かってるので何も聞こえませーん。
家は知ってるはずだし大丈夫でしょ。先に紅茶でも淹れて待ってよう。
ギルドから出てすぐラクサスは追いついてきた。面倒そうにゆっくり来ると思ってたから少し意外。
「おい、先行くなよ」
「あら早かったわね」
「お前なぁ」
文句の一つや二つ言いたげだけど、こちらの雰囲気から何か察したのか、空気を読んで何も言わず付いてくるラクサス。
私から相談しといて強引だとは思うけど、今はその優しさに甘えさせてもらう。
程なくして、ギルドから十五分程の距離にある私の家に着いた。
「ちょっとまって。よし、どうぞあがって」
「お、おう」
「あ、そこで靴脱いで。ウチは土足禁止」
「靴脱ぐとか、マグノリアじゃ珍しいな」
「そうね、慣れると楽なのよ?」
そうラクサスが言う通り、マグノリアじゃ土足禁止はとても珍しい。部屋探しで不動産屋さんに条件を言うと、あまり人気がなかったようで嬉しそうにしていたのが印象的だった。
私の場合は前世も、村でも靴を脱いでいたから、今さら土足生活は無理なので本当に良かった。
「じゃあ、そこのソファにでも座ってて。紅茶淹れるから」
「おう」
落ち着かない様子で部屋を観てるラクサスを、三角のガラスローテーブル傍に置いているソファに座らせる。
ん~、今は飲みやすいニルギリにしましょう。
ケトルに水を淹れて、持ち手のラクリマに魔力を多めに込める。
実はこれ、私専用に作って貰った特注のケトルで、魔力を込める量で沸く時間を調整できる優れものだ。市販の物は魔力の込もったラクリマから魔力を送る仕組みになっていて、魔力は必要ないけど沸く時間は遅い。
2杯分の茶葉をポットに淹れて、沸く寸前のお湯を注ぐ。蒸らし時間は2分半ほど。
蒸らしてる間、トレーに温めたカップセットとポットを乗せてローテーブルまで持っていく。
「待たせたわね」
「いや思ったより早くて驚いてる」
「ふふっよかった」
テーブルにカップセットを並べて、紅茶を注いでいく。うん、上手くできたみたい。綺麗な明るいオレンジ色だ。
実はこのローテーブルも拘って特注で作って貰った物。どうしてもマミさんの部屋にあったあのテーブルが良くて、憶えてる限りそっくりにしてもらった。ソファも壁に沿うようにL字に二つ、テーブルを囲うように設置してるので、マミさんの部屋と少し似てると思う。
細かいところは憶えてないし、趣味の合わないインテリアとかは置いてない。完全再現はできてないけど、我ながら落ち着いたいい感じの部屋にできた。
もう一つの空いてるソファに座る。
そろそろ今日の本題に入らないといけない。
「ふぅ......それで、話って言うのはね......その......」
「なんだよ、はっきりしねぇな」
口に出すのが怖い......。
「その......里帰りについてきて、ほしい、の」
「はぁ?! 俺とか!?」
「うん......」
あの過去に向き合うのは本当に怖い。
今の私一人じゃ無理だ、思い出すだけで震えてしまう。
カップを持つ手が震える。私の顔が搔き消える。
一人で行けるなら、お願いなんてしてない。
里帰りについてきて欲しいなんて、情けないのはわかってる......でも、無理なの、私はそんなに強くない......。
「いや、俺たちそんな関係じゃないだろっ!?......って、おい大丈夫かよ、震えてんぞ」
「......へいきよ」
血の気が引く様な感覚を覚える。
ラクサスが私の肩に手を置いて、顔を覗き込んでくる。困惑まじりの心配そうな顔をしていた。
「平気じゃないだろうが」
「......」
もっとスムーズに話そうと思っていたのに、できなかった。
わざわざここに連れてきたくせに、彼に心配もかけて本当に申し訳ない。一回落ち着いて話さなくちゃ。
「......大丈夫、ごめんなさい。話すわ」
まだ心配そうなラクサスだけど、話を聴いてくれるみたい。
「故郷の話の前にしておかなきゃいけない話があるの......ラクサス、あなた私の魔法は知ってるわよね?」
「あ?そりゃ一緒に討伐クエストに行ってるんだ、知ってるに決まってるだろ。リボンの魔法と契約魔法だろ?」
「そう、<
「?それは新しく覚えた、っつう話じゃないよな」
「ええ。私が最初から使えた魔法......<
そう、物心付いた時から......記憶がしっかりした時から使えた魔法が二つ。
この身体の影響か、マミさんと同じ魔法が使えるみたいだった。ただ、この世界に合うように少し変わったようだけど。
「マスケットメイク......初耳だな。マスケットといやぁ、単発式の銃?だよな?随分と限定的な造形魔法もあったもんだ」
「まぁ、正しくはリボンをマスケット銃に変換造形をしているんだけど......それはいいとして、≪
「なっ」
私が魔法を発動させると、目の前の空中に黄色の魔法陣が浮かび、そこから一丁の白くて長い、蔓の意匠が施された長銃が現れた。それを掴んでラクサスに見せる。
少し驚かせちゃったみたいだけど、実際に見せたほうが早いので魔法を使った。
「これが私の魔法。唯一の攻撃魔法」
「お前、攻撃魔法使えたのかよ。ならなんで......あぁ、それを今教えてくれるんだな?」
「......ええ」
ラクサスの言う通り、私は一度もこの魔法を見せたことがなかった。
彼の前以外でもあの日から一度も使っていない。
クエストはすべて
「撃てないの.....あの日から私は、この銃を撃てなくなったの」
「撃てないって、それとあの日?」
いきなりこんな事言われても困るよね。
それも当然、ラクサスは何も知らないのだから。彼が知っているのは私が9歳の頃にギルドに入ったことだけ。それ以外は何も言ってないし、教えてない。
私の過去はマスターとギルダーツのおじさんしか知らない。
それを今から話す。
「私は9歳の頃にギルダーツのおじさんに連れられてここに来たの」
「あ、ああ。それは知ってる」
「どうして当時幼かった私がここに来ることになったのか......」
こんな暗い話を聞かせるのは迷惑だとは思う。
でも、彼なら話してもいいと思った。
「私はフィオーレの西の村、ヘデラで生まれ育ったの。勾玉細工とアイビーっていう植物が特産の小さな村だった。辺境にあるし別に栄えてもいなかった。でもある日......村を闇ギルドが襲って来た」
彼を四年も近くで見てきて、この優しい人なら信用できると思った。
「マジかよ.....」
「マジよ、でも珍しい話じゃないでしょう?ヘデラは魔道士の村なの、だからある程度は戦えるはずだった。でも入念に計画されていたのか村の人達は殺されてしまった」
そろそろ限界だった。
心の弱い私ではこの闇を抱えきれなかった。
「両親は私を守るために戦った。でも、目の前で殺されてしまった」
「......」
誰か一緒にこの闇を背負ってほしかった。
傍にいてほしかった。
彼の前ではしっかりした子じゃなくてよかった。
彼の前ではお姉ちゃんじゃなくてよかった。
彼の前では悲劇の子じゃなかった。
「当然、闇ギルドの連中は私も殺そうとしてきた。でも死ななかった、生きていた。気が付いた時には目の前の魔道士達は死体になっていたわ」
「そう、か......その時おっさんが」
「違うわ」
前が見えない。
映るのは動かない地に伏した無数の赤い魔導士の瞳。
私は今どんな顔をしてるだろうか。
彼は今どんな顔をして聴いてるのだろうか。
こんな重い話をしてしまってごめんなさい。
「......私よ。私がやったの、私が殺したのっ......!!」
勝手に抱えさせてごめんなさい。
付き合わせてごめんなさい。
助けて......。
現時点 775年 ラクサス14歳、マミ13歳となっております。
フェアリーテイルの世界に合うように、ほんの少し魔法の仕様を変えました。
せっかくの三話なのにマミらないみたいですね。
というかいつまでマグノリアにいるのでしょうか。まだこの会話続きそうな感じですけど。
パソコンで書いてるのに変な改行されるのはなんなんでしょうね。