ストグリ世界を全力で楽しむ 作:ストグリメンバーその0
世はまさに大ハンター時代。黄金時代とまで言われるそれは、数多くの輝かしき原石達が頭角を現してきたこの時代に、よく合った名称と言える。
そう呼ばれるに至った理由。それは才ある新星たちが次々と台頭してきたからに他ならない。強者の中の強者たち。その中でも時代を牽引するかのような若き最高峰のトレジャーハンターが2人。
1人はアーク・ロダン。『銀星万雷』の二つ名を持ち、認定レベルは帝都でも
とある人物曰く、可愛い女の子でパーティを固めているいけ好かない男。でも何でも許してくれるくらい懐が深いとの情報も。
そしてそのもう1人とは、クライ・アンドリヒ。『千変万化』の二つ名を持ち、英雄をも越えるレベル8。
神算鬼謀にして何者にもその手法、見定めること適わず、とまで言われるほど。若手パーティー最強との呼び声もある
似ても似つかないこの2人、どちらが上なのか。貴方はどう考える。次号、足跡特集! 今1番勢いのあるクランの全て!
「ちょっと面白い新聞だったな」
「僕はどうしてこんな書かれ方をしてるのか、それが気になり過ぎて辛い」
「何か不都合があれば記事を検閲させますが」
新聞を読んでいた男がどこか愉快そうに笑い、クランマスターの椅子に座る男は腹部を抑え、資料を持った女はクランマスターに指示を仰ぐ。
「いや、そんな事しなくていいよ……どうせ止まらないだろうしね」
「……そうですか。そういえばクライさん。そろそろメンバー募集の時期ですよ」
メンバー募集。通常では必要な時に随時行われるが、このクランでは年に一度、所属パーティーを集めて大々的にメンバー募集を行っている。
ある種のお祭りとも言えるが、実情はそんなに楽しいものでもない。
「そうか、もうそんな時期なんだ」
「メンバー募集、ねぇ」
「貴方が考えた制度なんですから、1度ぐらい顔を出した方が良いのでは? というか、出て下さい」
「え、一応毎回……いや、そうだね。少し見に行くぐらいしようかな。そうだ、エヴァも見に来ない?」
「いえ、私は結構です。業務もありますし……」
そのメンバー募集にクランマスターもとい、クライ・アンドリヒが顔を出す。この情報がどこかから漏れ、形を変えて噂となる。
あの『
「ようやく原作開始か……長かったような短かったような」
「アルト、何か言った?」
「いんや、何も」
それはつまり、かつての世界での作品『嘆きの亡霊は引退したい』の物語が始まることを意味する。そして、それを知るのはただ1人。新聞を読んでいるフリをしていた男、アルト・パレッド。彼のみである。
§
さて。ようやくここまで来たことだし、テンプレをやっておこう。
俺の名前はアルト・パレッド。転生者だ。前世ではよくいるオタクで、ネット小説を読み漁っていた。その中で最も好きな作品がストグリだっただけの奴。
ちなみにさっきの新聞は俺が書いた、この世に1つしかない新聞だ。後半あんなに雑なのに違和感に気付かないとは……クライはともかく、エヴァもまだまだだな。クライに気を取られすぎだぞ。
正直前世のことはそんなに覚えてないが、何故かストグリのことは鮮明に覚えている……気がする。まあそんな事はどうでもいい。
「ねぇ、ちょっと? あなたもパーティ志望なの?」
「あ……はい」
好きだった世界に転生したことを知った俺は、色々と努力してここまで来た訳だ。この世界がストグリの世界だと確信した理由は、幼馴染がクライ達だったから。
考えてみるんだ。見覚えのある姿を小さくしたような子達が、聞き覚えのある名前で存在してるんだぞ。こんなの誰でも確信するだろう。
幼い頃のストグリメンバーは新鮮で素晴らしかった。微笑ましさも多少はあった。前世で見た限りでは、過去についてあまり大きくやってなかったはずだからな……ルークは本当に昔からあんななのかとは思ったが。
「だから……他のパーティに入れてもらおうと思って。『白狼の巣』もレベル3が五人もいれば十分攻略出来るって――」
「はっ。『白狼の巣』だって? この場所がどんな場所だか理解して言ってるのか?」
所謂原作改変はあまりやってない。というか、意図してやる必要が無かった。そういう作品じゃ無かったし、そんなものを意識しなくても既に変わってるし。
全く気にしていないといえば嘘になるが、この世界に産まれて彼らと関わってしまった以上、何かあった時に自分が何とかする考えだ。バッドエンドなんて嫌だろ。
そんなこともあって、とにかく自分を鍛えた。ストグリのパーティーメンバーは本当に強くなるし、その成長速度は知っている。クライ達に着いていくにはこちらも異次元な鍛え方をする他ない。
結果としてここまで着いてこれたのだから成果はあっただろう。やり過ぎなぐらいでもまだまだ足りないのだから、この世界……というか、あいつらは面白い。
「こらッ、喧嘩はやめろッ! 喧嘩すんならどっか別の場所でやれッ! てめーら、テスト抜きで追い出すぞッ!」
クライの幼馴染として生まれたからか、幸いにも才能はあった。ありすぎるぐらいだった。打てば響くかのように、やればその分伸びた。
色々とこの世界じゃありえない気がする事も出来るようになったし、素の能力もちゃんと化け物を越えられた。おかげで多少は安心してクライ達と居られるようになった。素晴らしいね。
「なあ。あの噂知ってるか?」
「ああ、あれだろ? 『嘆霊』が新メンバーを募集するって話」
「おい、前に進めよ」
「んお、すまんすまん」
ああ、列が進み始めている。今、俺はクライに倣って変装してこのメンバー募集に参加しているのだ。クライにはあとから行くとしか伝えてないが。
それにしてもさっきまで聞こえてた応酬。作品を思い出して感動ものだ。クライの勇姿(原作バージョン)がようやく見れると思うと更に感動で泣けてくるね。
ああ、これまでとこれからの運命に感謝を。
作者はWeb版書籍版漫画は一通り読んでます。書籍版の第六巻が手に入らないんですけど。
投稿はなんとなく書けた時に投稿していきます。よろしくおねがいしゃす……。
あと、基本的には原作(Web版)通りに進む予定です。