ストグリ世界を全力で楽しむ   作:ストグリメンバーその0

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 お久しぶりです。
 アニメが楽しみ過ぎて久々にWeb版をもう2周読んでました。更新分もあってとても面白く楽しい時間でした。


12 クランマスター室より

「あー、ゲロ吐きそうだ。もうハンター辞めたい」

 

「早く行けよな。エヴァにまで言われたんだから」

 

「そもそも、アルトが変なこと言わなければこんな事には……」

 

「そうじゃなくても気にしてた癖に」

 

「ぐぬぬ」

 

 

 ぐちぐちと愚痴を零しながらクランマスター室を彷徨くクライ。ぐぅの音ならぬぐぬぬの音が出た。普段言わないだろそんなこと。

 なんだかんだしっかりエヴァに詰められたものの、そのエヴァが用事のためここから離れてしまった。だからこうしてうだうだしているのだが……。

 

 

「あー、最悪ギルベルト少年とグレッグ様を盾にしてでもいいから……」

 

「お前なぁ……」

 

「アルトが行けば万事解決なのに……」

 

「だからクライが行くなら行くって」

 

「ぐぬぬ」

 

 

 ぐぬぬがクライの中で流行っている説が浮上してきた。すぐに沈むだろうけど。

 

 改めて聞いてると、やっぱ最低な発言してるよな。ハンター故、おかしくは無いかもしれないが、仮にもここのクランマスターの言うことじゃあ……。

 早く覚悟を決めないかなとしらーっとした目で見ていると、窓の外を見た後、徐にこの部屋の壁に設置された本棚の方へ近づいていく。やっと動くらしい。

 

 本棚はかなりしっかりと作られたお高いものであり、そこに並べられている本も真面目なものばかりだ。クラン運営に帝都の歴史、宝物殿に関する情報がまとめられた本もあったり無かったりする。

 ちなみにクライはあそこに並べられている数多の本のうち、1冊すら読んでない。本を取りだしたはいいものの、ペラリと何枚か動かしてそのままそっ閉じしていた。もう少し頑張れよ。

 

 

 その本棚には実は取っ手が設置されているのだが、クライは思い切り引く。ヤケクソじゃない?

 そうするとあら不思議。本棚が開き、その先に下へ続く階段が現れたじゃありませんか。こういう秘密基地とかを彷彿とさせる仕掛け、大好きなんだけど、実際に設計に携わると……無茶苦茶大変なんだよ。

 ここだけじゃなかったし、他にも入れるべき構造を入れていったら凄まじく緻密な計算が必要になって、それを実際にやるならそれ相応の職人が必要で……予算が足りない。金がいくらあっても足りなかった。思い出すだけで頭痛がするわあんなん。

 

 

 そんな今となってはどうでもいいことを思い返している間に、クライはさっさと行ってしまった。あの先にあるのはクライの私室兼宝具庫。このクランの建物より価値がある部屋だ。

 クライが所持する全ての宝具があの部屋には集まっており、全て売れば何代遊んで暮らせるか分からない程の額となるだろう。

 

 純粋に宝具の数でも相当な額だが、その全ての効果がクライによってほぼ完全に判明していることや、上位のハンターでも持っていないレベルの効果を持つものも存在しているため、その価値は計り知れない。

 もし仮に、誰かその価値を理解できる者がこの部屋を見たら卒倒するかもしれない。

 

 あの場所には色んな歴史があるんだなとボーッと待っていると、外からこの部屋に向かってくる気配がした。エヴァだ。

 

 

「アルトさん。クライさんは……準備中ですか?」

 

「そうだ。見ての通り……」

 

 

 そう言って開いた本棚の方を指差す。まだ準備中のようだが、そろそろ出てくるだろうと本棚の方を向くと、丁度クライが出てきた。

 

 

「……そんな重装備で行かなきゃいけないような案件だったんですか?」

 

「ふふふふふふ……何を言ってるのか分からないなぁ」

 

 

 紺色の外套に、背負ったクロスボウ型の宝具と中途半端な長さの剣の宝具。

 手にはそれぞれの指に指輪型の宝具が嵌められ、それでも足りずに腰に吊るした細い鎖型宝具に何個も指輪を通し、それでも足りずに残りはベルトに引っ掛けるタイプの道具袋の中に入っていた。どれもこれも宝具やそれに準ずる物である。

 どう贔屓目に見ても重装備で、決戦にでも向かうのかという装いだ。

 

 そんな中、妙な気配を漂わせたアクセサリーのようなものが目に入る。金属製のカプセルが下がったシンプルなペンダントだ。ちなみにあれは宝具ではない。宝具だった方がマシな代物だ。

 

 

「クライ……」

 

「それ、シトリースライムですよね?」

 

 

 こうなるだろうと知っていたとはいえ、実際に見ると中々の雰囲気を感じる。これを人類が作り出してることが何よりヤバいんだよな……作れるけど。

 

 

「下手に使うと帝都が滅ぶから絶対に開けるなって言ってた――」

 

 

 じっと見つめ、しかし手を伸ばそうとしないエヴァ。危機管理がなっている。一般人には間違いなく手の負えない代物だからな。

 

 あのカプセルはうちのパーティーのメンバーの1人であるシトリーが品種改良したスライムが閉じ込められたものだ。

 本来スライムというものは、とても弱い魔物だ。一部とんでもないものも存在したりしなかったりするが、ほとんどは取るに足らない雑魚。クライですら倒せるものもいる。というか、その辺の人でも倒せると思う。多分。

 

 今回クライがこんなものを持ち出したのは、宝具があまり期待できないからだろう。理由は単純、魔力抜けだ。

 宝具は魔力を必要とし、燃料として使用することでその効果を発揮する。貯蔵量によって威力や使用時間も決まるのだ。しかし、使わなくとも自然と魔力が抜けていくのだ。

 

 いつも魔力を込めるのはパーティーの後衛組、特に一人だが、最後に込めてから既に2週間以上経ってしまっている。ほとんどが抜けてしまっていてもおかしくない。

 お前が込めればいい? 変なことはしないようにしてるんだ。クライがクライであるが故に。大丈夫、結界指(セーフ・リング)はある程度魔力込めるようにしてるから。

 

 

「やだなぁ。そんな帝国法に違反している物、僕が持っているわけないじゃないか」

 

「……」

 

 

 エヴァからの視線に耐え兼ねたのか、クライが執務机の後ろにある窓を開く。『夜天の暗翼』で飛んでいくんだろう。風が思ったより強いから閉めて欲しくなる。

 

 エヴァが珍しく心配そうにクライの方を見ている。主にシトリーが品種改良したスライムーーシトリースライムの入ったカプセルを。

 

 

「ほ、本当に、大丈夫ですか?」

 

「あ、アルトもちゃんと来てよね?」

 

 

 クライはエヴァの発言を無視して一言発した後、さっさと飛び去ってしまった。いくら『夜天の暗翼』が1人用だからといって、あの速度で飛んでいくのに追いつけってのは無理があるだろう。

 

 

「はあ……じゃあ、俺も行ってくる」

 

「あ、はい……お願いします」

 

 

 どこか呆然としているエヴァに一言声をかけ、『白狼の巣』へ向かう。行かなくても問題無さそうな気もするが、クライが来てと言ってしまったからには行かなければならない。ついでに、今となってはうろ覚えの、懐かしのシーンを生で見ることにしようか。

 




 アニメ化にあたって、どうなんだろうと思ってたことをアンケートの体でいくつか聞いていこうと思います。
 まずこのアンケート、原作通りの別キャラ視点は色々ギリギリだし、辞めとこうかなという雰囲気ですが、一応聞いてみます。

 よろしければ投票していってください。

原作通りの別キャラ視点って

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