運使い対無貌の仮面……VSメシア教会   作:十八

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第二話最終回と言うか、第一部最終回的なサムシング。



第2話-終 蜜柑と対策

 軽い音を立て、ドアが開いた。

 

「待たせて悪いな」

 

 天井を嵩上げした商用バン(ライトエース)の、その運転席にスーツを替えた疵顔がどっかりと座り込む。

 クーラーの効いた車内に、ほうと一息。

 手に持つ白いコーラ缶を一本、助手席に座る義腕へ差し出した。

 

「いただきます」

 

 受け取る後輩にああと頷き、霊視は自分の缶のプルタブを上げる。

 コカコーラライト、遠くない未来、ダイエットコークの発売で終売となる日本限定の低カロリーコーラを、一気に喉に流し込んだ。

 

「とんだパワーレベリングになったな」

 

 舌と喉を焼く炭酸にほうと息を吐き、そんな事を呟く。

 

「レベル、どの位上がったんでしょうね」

 

 こちらはチビチビ傾けながら、翔意がそう答えると、男は缶を潰し丸めて、ダッシュボード下のゴミ袋に放り込む。

 

「さて、俺の目にはアナライズなんて気の利いた能力はないからな」

 

 そう言うと、何かを考えるように天井に視線を向けた。

 

「まぁ、Lv10前後の悪魔7~8体に20半ばを一体、一息に倒したんだ。

 相応には上がってるだろうよ」

 

 それから、後席の貨物スペースを肩越しに覗き込む。

 

「オマケにドロップも椀飯振舞だ。赤どころか、借金も少しは減ったんじゃないのか?」

 

「あの森は、ほとんどドロップが無いと聞いてたんですが……」

 

 権天使の成れの果てが遺したあの杖を筆頭に、異形化天使は殆ど漏れなく、帰り掛け出くわした堕天使(メルコム)の一体も、どう言う訳か武器を残した。

 

「……運が高いったって、ゲーム通りなら基礎ドロップ率1%以下の筈なんですがね」

 

「帰りのメルコムは兎も角、天使共の方は礼の心算、だったのかもしらんな」

 

「礼?」

 

 怪訝に尋ねる後輩に、疵顔は頷く。

 

「もし逆の立場で、元の意識を残してたらと考えるとな。

 姿形は変わっても、アレらは天使のままだった節がある、お前さんそう言ってたろ」

 

「……どの面下げて、とは思いますが、ざまあみろとも言い難いですね」

 

 そう俯いて、あっと先輩に目を向けた翔意に、霊視は苦笑、首を横に振る。

 

「苦しめて喜ぶ趣味は、俺にもねぇよ。

 さっさとスカッとしたいし、二・三発打ん殴って終わりがせいぜいだ」

 

「……天使と言えば、あの尼僧のことは何か見えたんですか?

 向うさんは、先輩の目なら、とか言ってましたけど」

 

「いや、何度も言うが、俺の目にはアナライズみてぇな便利機能はついてねぇよ。

 単に見えるだけでな。だが……」

 

「だが……、なんですか?」

 

「ちょっとな、あの女も天使も、少し見え方が変だった気がしてよ。

 とは言え、俺の仕事は考えることじゃねぇし、報告だけして後は丸投げだ」

 

 そう言って、男はハンドルに手を掛ける。

 

「なんにせよ、神社に戻ってからだな。報告には、お前さんも同席してもらうぜ?」

 

 ……遊歩道の入口駐車場、疲れ果てた二人がそんな会話を交わして、早二日の時が流れた。

 

『今思えば、あの厄介毎は神社に戻ってからが本番だったな』

 

 翔意はそう溜息を吐いて、板張りの廊下を歩く。

 正直、霊視先輩と二人ショタおじと話をした後のことは、あまり考えたくはない。

 持参したレンタルシキガミの、その記憶を覗いた我らが盟主の驚きと怒りには、彼の意の向きを計れるようになる前であったら、失禁は免れなかっただろう程のものがあったし、その後のスケジュールもまた苛烈を極めた。

 

「……あの、私はなぜここに呼ばれたのでしょうか」

 

 完全な巻き込まれ、とも言い難いのだが、貰い事故に近い形で呼ばれた事務の鳴無(おとなし)嬢には、今度高給な菓子折りでも持参しようと少年は思う。

 尤も彼女の場合は、もしこの件に関わりがなかったとしても、検査に呼ばれたのだろうが……。

 

「あー、うん、まさかこんなことがあろうとはね」

 

 ……霊威を駄々漏れにしながら、偶然手元にあった簡易シキガミを握りつぶす神主を目の当たりにした彼女には、当然の気遣いだと思うのだ。

 とまれ結論から言えば、例の尼僧の侵入は、神主すらも感知できていなかった。

 いや、正確には違う。神社が管理する異界に、警報機代わりに置かれていたシキガミは、富士の地脈制御の重要地点であるあの樹海に入る彼女を、幾度か(・・・)目撃している。

 しかし、その伝えられたその情報を、受け手が認知できていなかった。

 あの(・・)峰津院堂満(・・・・・)がだ。

 即座に最重要調査項目の一つとされたその情報は、内偵の為もあって一部関係者以外に伏せられ、結果、直接の関係者である翔意も、誰でもできるような雑用や調査、調査の被験者等に駆り出され、この二日を忙しく駆けずり回る事になったのだ。

 勿論それは無給ではなく、尼僧関連の褒賞と併せ借金が棒引きになったり、変異天使のドロップが調査目的で高額買取されたりしたのが、これはあいにくの極秘案件、調査・内偵に一定の結論が出るまでは秘密にする必要がある。

 その為、表向きの収支は純粋に拾った分の相場額、しかも、借金の返済偽装も必要だから、必要物を注文するのも割と難しいと、義腕の徒労感は割と大きい。

 当面忙しさが終わる見通しが無く、使う当ても暇もない残業代がただただ通帳に記載されていくのを眺める様な感覚、だろうか?

 

「……はぁ」

 

 とまれそんなわけで、デスマ開始後三日目の朝、彼はこの案件の打ち合わせに使われている神社の一室の前で、重い溜息を一つ吐いたのだ。

 

「中村です、入ります」

 

 襖他、部屋の構成物の多くをシキガミに入れ替えた特別仕様の密談部屋の、その入り口で声をかけると、目の前が戸が勝手に開く。

 

「すいません、遅れましたか?」

 

「いや、五分前だよ」

 

 既にテーブルを囲んでいた関係者一同に声をかけると、その上座、据わった目で茶を啜っていた神主が 湯呑から口を離していやと答えた。

 そして翔意が座るのを待ち、手にしたお茶をテーブルに置く。

 

「皆、急な案件御苦労さま。

 こちらの調査がひと段落したので、今日はまずその結果について報告しようと思う」

 

「……その、それは私が聞いてもいいものなのでしょうか?」

 

 ――何故自分が混じっているのか?

 

 如何にもそう問いたげな、肩身が狭そうな表情(かお)。小さく片手を上げる鳴無小鳥(じむいんさん)に、ショタおじが濃い隈のある目を向けた。

 

「ひっ、いや、別にいやとか言う訳じゃなくて……」

 

「ああ、別に咎めているわけじゃないし、嫌ならこのまま出ていってくれて構わない。

 けれどどの道、鳴無さんに関わる案件だと思うよ」

 

「わ、わかりました。聞きます」

 

「そろそろ夏休みも終わるんで、実家に戻る準備が……駄目ですよね、わかります」

 

 そしてそんな彼女に乗じ、一抜けしようとした少年を、神主の目が

 

『お前だけは逃がさん』

 

 そう言わんばかりに鋭く射抜く。

 腰を浮かせ掛け、直ぐに着いた少年に頷きを一つ。もう一度皆を見回して、こう口を開いた。

 

「さて、全員参加が決まった所で始めるけど、今言った通り、例の侵入者について、幾つか判明した事がある。

 ……とは言え森で言ってた通り、彼女に積極的に敵対するつもりはないのか、概ねは向うが出したヒント通りだったのだけどね」

 

「……仮面、か」

 

 ぼそりと呟く霊視に、道満が頷く。

 

「そうだね、わかりやすく実演しようか?」

 

 そう言って、彼は自分の顔に手をやった。

 その手を降ろすと、その下の顔に奇妙な変――否、それは全く変わってはいない。

 その顔は、髪は、普段と全く変わりない。

 だがけれども彼らの目には、明らかにいつものそれと違う風に見えた。

 隔靴掻痒、どこかで見覚えのあるそれに、翔意はその額に拳を当てる。

 まるで上から、別のテクスチャ(にんち)を貼り付けられたとでも言うような、普段と同じでまるで違う顔、いつもの彼が纏う甚大さとは異なる、どこか薄っぺらな気配。

 

「……あ、プリンセスハオ!」

 

 それが、ふと頭の中の記憶と結びつき、翔意の口からそんな言葉が(まろ)び出る。

 ほぼ同時、ふうと息を吐き湯呑を傾けたショタおじの、口からぶふっと飛沫が弾けた。

 

「ゴファッ!…いや、君ねぇ、まぁ、確かにそうだけれども」

 

「す、すいません。あの漫画はミーム化し(ネタになって)た分しか知らなかったので」

 

 くつくつと笑みを噛殺す一同と、自分に頭を下げる少年。

 そんな皆をぐるり睨んで溜息を一つ、堂満は顔に手を当て直ぐに降ろした。

 全く同じ顔、しかしそれは、すっかり見知ったショタおじにしか見えなくなる。

 

「以前から、転生者の一部が、前世で目にしたキャラの姿を引き継いでいる事例が確認されてたけど、その理由がこれだね。

 これは、僕らの肉体と同化した変種のペルソナの影響によるもので、ゴッドカンドリに近い状態、と捉えればいいのかな?」

 

「と言いますと、これはニャルラトホテプやフィレモンの仕業なのですか?」

 

 ゴッドカンドリ――初代ペルソナの作中、物質世界と認知世界が混淆した場所で、特殊なペルソナに逆支配され、怪物と化したペルソナ使い。

 それ例を挙げた上司に、事務方の代表、編んだ尻尾を前に廻した妙齢の女性がそんなことを尋ねた。

 彼女の言葉の中の二つ、その片割れのフィレモンは、人の集合無意識(こころのうみ)に棲むポジティブマインドの化身とも言える存在で、もう片割れが、ネガティブマインドの化身的存在であるニャルラトホテプだ。

 件の事件の大元と目される名をあげる彼女に、小柄な童顔がうんと頷く。

 

「十中八九、そうだと思う。ただ、どうもこの世界のニャルラトホテプとは別口のようだ。

 そもそもこの仮面、僕らが産まれる前から一緒にあったようだし」

 

「つまり、前世界にも集合無意識(ネガポジやろうども)がいて、これはその仕業ってことか」

 

 さらりと爆弾を投げた彼に、眉根を寄せた疵顔の巨漢が腕を組む。

 彼らの前世、この世界に近似した世界を舞台とするゲーム、女神転生とその派生作品が存在したあの世界は、しかし、そう言ったオカルトとは無縁な平和な科学世界であった。

 少なくとも、彼らの共通の生まれ故郷である日本の、表向きはそうだ。

 

「恐らくは。

 そもそも、僕らが転生して、その概ねが霊的に高い素養を持ってる時点で、向うにそう言ったオカルト的なものが無かったとするのはナンセンスだしね」

 

 しかしショタおじは、サラリそう前置きしてこう言葉を連ねる。

 

「僕らは皆、ずっとこの状態が正常だったから、それに気付けず、盲点にあったコイツがトロイの木馬となって、あの尼僧らの姿を覆い隠してたりしていたわけだ。

 尤もできるのは、場所を把握したり、ちょっと気を逸らしたり程度のようだけどね」

 

「それで、このニャルラトホテプ?は、こちらのニャルラトホテプと連携していると思いますか?」

 

 そんな言葉に、今度は白髪カエル顔の少年がそう尋ねた。

 連合ペルソナ使いの代表的立場の一人であるこの少年は、この世界のニャルラトホテプと戦い続けている人物だ。

 

「してないだろう。もし連動しているなら、君が近寄る前に探知されているだろうから。

 それにそもそも、原因はニャルラトホテプだと思うけど、これがニャルラトホテプによるものなのかは疑問がある」

 

 困った様な笑った様な顔で尋ねる少年に、彼は安心させるように首を横に振る。

 そうして皆に一枚ずつ、何処からか取り出したレジュメを配った。

 霊視情報に基ずく顔形のモンタージュ、推定身長に体重、確認された能力等、確度の高い情報を纏めた資料の上に、アナライズによると思しき種族や名前が記されている。

 

「狂神/塔、ジー()エル()ゼット()ワイ()ティー()

 ……もしかしてこれが?」

 

「直接視認したわけじゃないから、ほとんど何も読み取れなかったけれどね。

 これはあの尼僧のアナライズ結果と、二人から聞き取った情報をまとめたものだ」

 

「なんでコイツだけアルファベット表記なのかはわからんが、カタカタ表記ならギレゾイトってとこか?聞いた事が無い神だな」

 

「僕も少し調べたけど、今の所は目ぼしい情報は見つかってないよ。

 場合によっては、クトゥルフ神話関係の創作神、それも、こちらの世界には存在しない著作に由来する可能性もあるから、調査自体が徒労である可能性も否定できない」

 

 悪魔達の中にも、都市伝説やデマ等を器とする者がいるが、個人の心に根差すペルソナは更に自由で、その人の心の在り様に応じてより自在な姿を取る。

 ペルソナ1、2に登した審判、或は法王のペルソナであるヤマオカ――死んだ親代わりの老人の形を取ったそれを見て、そう悟った者も多いだろう。

 ペルソナは、主の心に強く焼き付いたものなら、どんな姿だって取り得るものだと。

 

「狂神/塔。

 狂神であり、ペルソナ――つまりあれは、転生者がペルソナに乗っ取られた姿だと?」

 

 そしてそれは時に、人の心のより柔らかい部分に食い込み、飲み込み書き換える。

 それが、人の心に繋がる奥底に潜むモノから、力や干渉を受けたモノなら特に。

 自分の上司の問いかけに、部下の顔からザァッと音を立てて血が引いた。

 彼女の体に顕れたペルソナは、見たモノにその印象を伝えるのみならず、有り得ないその(みどり)で現実を上書きする事がある。

 

『まさか、私に関係するって……』

 

 ……会話する言葉が遠く、耳元には立ちくらみの様な耳鳴りのノイズが届く。

 絶句し、涙目で頭を抱えた彼女の、その肩を上司の手が慰めるように軽く叩いた。

 そんな二人の姿に、怖がらせてしまったね、そうショタおじは頭を下げる。

 

「どうやらあのペルソナは、現地民に後天的に植えつけられたもののようだ。

 産まれる前から共に在ったら、どうあってももっと深くつながっている筈なんだが、この女のものは僕らに近いが、繋がりが浅いからその継ぎ目が見えている。

 霊視ニキも言ってたろ、違和感を感じるって……」

 

 違和感を感じる、異形の天使群、時間が足りずパッチワーク(まだら)になった権天使――霊視の中で三つが結びつき、彼はあっとその目を、口を開いた。

 

「では彼女は、こちらの人間でありながら、向うの存在に仮面を植え付けられたと?

 どうやって?」

 

「それはもちろん、僕らを通じて、じゃないですかね?

 生きて動いていれば、縁は否応なく紡がれる。あまつさえ僕らは、上に立ち、創造し、ミームをばら撒いて、こちらの世界を積極的に汚染(・・)していますから」

 

 そうして、ペルソナ使いの少年が半ば独白の様にそう漏らすと、今迄黙っていた翔意が奇妙な確信を持ってそう口を開いた。

 そうだ。少なくとも少年の認識する世界において、レベルとは、運とは、世界を己が望む方向に塗り替えようとする力とその総合的な階級だ。

 普通の人間よりはるかにその力が強い転生者達が、向うの世界に後押しされた力で、この世界を自分好みに塗り替えようと動いたら、世界は、未来は、どうなるのか?

 

「……あ、ぅそ、そんな」

 

 覚醒者のカリスマ、威圧、説得力。

 何か思い当たることでも、或はそれ以外の危惧でもあったのか?

 あっという間に自分を追い抜いた後輩の、その確信に満ちた言葉に鳴無はその顔を再び青ざめ、両手でその口を抑えた。

 

「僕も同じ意見だ。僕らが繋いだか細い回廊を通じ、霊的に弱いこちらの人間を汚染し、乗っ取った。GLZYTにしてみれば、流入経路である僕らと争うのは本末転倒で、敵に回せば操る事が出来ない手ごわい相手でもある。戦いたくはない」

 

「その、な、なら、私たちの、家族は、一番、汚染されやすいのではないですか?」

 

 肩を抱く上司の腕の中、彼女の口から文字通り掻き消されるような、途切れ途切れの言葉が紡がれた。そして、それは奇妙に皆の耳に徹って、一瞬その口を噤ませる。

 

「……だろうな。

 元々、俺達転生者の周囲に、前世のキャラに近しい外見を持つ者達がいた例は幾つもあった。ただ、操られると言う意味では、可能性は低いだろうと思う。

 俺達が見たアレは、背反する異界にダメージを受けていた天使の心を、わざわざ揺さぶり精神力を削ってから創りかえてたようだ。

 俺達の家族は、転生者を宿せるか、それを引き継ぐ高い霊的素養を持ってるから、素では乗っ取り辛いだろうし、仮にそれをやったら、宣戦布告しているようなもんだ」

 

 だがそれは、ほんの一瞬の話だ。ショタおじの傍ら、一同の平均体重を一人引き揚げている太く巨大な男の顔が、見たものを安心させる力を宿した、奇妙な苦笑に歪んだ。

 そうして威圧感溢れるその疵顔から紡がれた言葉は、残酷でありながら、どこか人を安心させるような声音を持っていた。

 

「逆に言うと、敵に回すと近しい者達を人質に取られる可能性があるのは厄介だね」

 

「前々から、メシアの洗脳や社会攻撃は問題に上げてたが、知人がある日突然発狂する可能性がでてきたのは厄介だな。だがまぁ、家族保護の問題は……」

 

 そして、武闘派らしき会話を続ける二人に、神主がパンパンと手を叩く。

 

「まぁ議論は尽きないと思うけど、その前に必要な事を終わらせておこう。

 僕はこの問題について、専従班を創るべきだと考える。勿論、強制するつもりはないから、要請と言う形になるけど、皆にも協力をお願いしたい」

 

「ああ、異論はないな」

 

「こっちの案件が終わらないから専従は難しいけど、協力なら喜んで」

 

「予算調整が大変ですが、仕方ありませんね」

 

「何が出来るかわかりませんが、微力は尽します」

 

「……はい」

 

 そうして五者五様、賛成の意を述べる皆に、ショタおじは立ちあがった。

 

「じゃあ、全員一致で賛成と言う事で、とりあえず君班長ね。

 鳴無さんも、班の事務をお願いするから」

 

 そうして影も見せずに下座の少年の裏に廻ると、その肩を叩く。

 

「は?え?」

 

「あ、え、私?」

 

 そうして半ば蚊帳の外、下っ端の心算の二人が、異口同音、困惑の声を上げた。

 

「いや、まだLv10そこそこの高校生に廻す仕事じゃないとおもいますけど、それ?」

 

「まあね、けどこれは、君にしかできない事だし、手が廻らない部分は、鳴無さんにサポートしてもらえばいい。そう思うだろ、霊視ニキも」

 

 そうして声をかけた連合盟主に、巨漢はああと、少年たちから目を逸らした。

 

「子供に丸投げするのは心苦しいが、確かに義腕ニキが一番適任だろうな」

 

「僕ら転生者に年齢を言うのは今更でしょう?

 それに霊視さん、それを言うなら僕だってまだ高校生ですよ?」

 

 続けペルソナ使いの少年が、そう言って巨漢を混ぜっ返すと、

 

「いや、適任ってどうことですか?どう考えてもレベルも能力も足りないでしょう?」

 

 続け食って掛かった翔意の目を、霊視は今度は見返した。

 眼鏡の下の瞳孔に、ぼうと青い光が宿る。

 

「……覚えてるか、あの時ギレゾイトは、お前の奇襲に気付かなかった。

 多分、アレが仮面への干渉なんだろうが、あの時気圧され、奴が動き出すまで動きを止めてた俺と違って、お前は隠れながら奇襲の隙を伺い、位置を変える事が出来た。

 隠蔽されてたあの異界を、見つけ迷ってたのもお前だ」

 

「中村君に被験体になってもらった件とも絡むのだけれどね。

 君はどういう訳か、中村久秀と陽坂勝意、同時に二枚の仮面を帯びている。

 それは、今の所君一人の特異性で、直截的に言おう、君に受け付けられたペルソナは、何らかのイレギュラーで不具合を起こしていると僕は考えているんだ。

 人材不足もあるけど、それが僕らが、君が一番の適任だと考えている理由だよ」

 

「戦力はある程度外付けできるけど、特殊能力は替えが効かないからね。

 要請があれば僕も行ける様努力するから、そちらのニャルラトホテプはよろしくお願いするよ」

 

 そして三者三様の歴戦の言葉に、義腕はその口をつぐんだ。

 そこに今度は、鳴無がこう尋ねる。

 

「その、私の髪も、そのバグ?、なんでしょうか?」

 

「いや、それは別口。その疑惑があったから参加してもらったのは確かだけどね。

 僕が君を推しているのは、既にこの件をかかわっている事、この対策班に入れば、ギレゾイト対策の一環として、調査から考案された処置を、ロハで施してあげられるからだ。

 多分それで、少しは力も操り易くなると思うよ」

 

「是非参加させて下さい!」

 

 そして、説明に喰い気味に答えるその逞しい姿に、少年は渋面を浮べた。

 

「ま、その分装備や戦力は融通するし、嫌々やるより賢く利用し合って、みんなで幸せになろうよ。いやぁ、仕事を投げられる人材がいるって、幸せな事だよねぇ」

 

 そう、隈が浮いた目で肩を叩く盟主に、少年は溜息を吐く。

 

「装備に戦力って、なにをくれる気ですか?」

 

「そうだね、差し当たっては、アシかな。

 欲しがっていると聞いてるし、実際この任務には必要だからね」

 

 そう言って口元を釣り上げるショタおじに、翔意は思わず先輩に目を向ける。

 そして、ばつが悪げに顔を逸らす巨漢を思わず睨みつけた。

 

 

 

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☆【重要】狂神GLZYTに関する報告スレ【運営】

 

 

1 名前:★運営

 このスレは、先日富士山麓の管理異界に侵入した狂神に関する情報を求めるスレッドです。この狂神についての情報をお持ちの方は、このスレッドに書き込んでください。

 

 

 

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「……やはり、結界外だと認知を歪められるか」

 

「スレそのものを認識できてなくしているみたいだけど、逆を言えば、それは転生者達の記憶の中にGLZYTが存在する可能性を示しているね。

 やはり、前世で出版されていた小説の旧支配者かな?

 弱点が知られると困るタイプの」

 

 




古戦場もあってプロットとか全然進んでないので、来週は更新を休む予定です。
調子良くて二話くらい一気に書き上げられれば話は別ですが、多分ないと思います。


・商用バン
 ゲームのお約束を計算に入れずに考えると、アイテムドロップを前提とする狩りには、この程度のクラスは欲しいかなって……。
 記憶にある最大サイズのアイテムが、推定ダブルベッドサイズ(歓喜の寝具@ソウルハッカーズ)なので、最悪これでも足りないが。


・コカコーラlight
 健康志向の強い日本で、世界に先駆け発売された低カロリーコーラ。
 なお、世界定番商品のダイエットコーラの発売により終売し、そのダイエットコーラも今では、ゼロコーラと入れ替わっている。
 通常のコーラと事なる白い缶が特徴で、ダイエットコーラよりコーラ感が強かったとその終売を惜しむ声も少なくなかったヒット商品である。
 霊視ニキは、口の中の樹海の靄の残り香を消したかった為、豪快に呑み干した。
 意識高い系の翔意は、余り炭酸に慣れてないのでちびちび飲んだ。


・中村翔意(第二話終了時点)

 Lv11中村翔意

 種族 :人間  能力傾向:運速型

 耐性 :破魔無効、念動に強い(40%)、呪殺80%、精神系異常全般80%

 特技 :サイコクラッシュ、アギ、サイ、サイ・ラティ、ムド、
     サイコブラスト、ホッピング、紡ぐ壊乱の運気
     速のチャクラ、運のチャクラ、


・サイコクラッシュ/葛葉ライドウ対アバドン王(アバドン虫サイコアポリオン)
 気絶付与付小範囲攻撃。よりによって、ラスボス戦の召喚雑魚の技である。
 なんでこの系の技ばかり覚えるのかと言うと、単にごにょごにょ…で翔意を超能力者にする事は作者的に確定していたので、サイコパワーっぽい物理技を探したのだが、そもそも登場作品が少ないためそれっぽい技が見当たらなかったからであったりする。
 彼のサイコクラッシュはホッピング前提技で、その分ちょっと性能が高い。
 多分、レベルが上がったら、ホッパーキックに差し替えられると思われ。


・紡ぐ壊乱の運気/オリジナル
 一体に高確率で、指定した一行動に対する回避及び耐性を阻害する効果を付与する。
 この効果は、結界等の効果にも影響を与え、自身の次の手番が終わる迄継続する。
 また、付与成功率は彼我の運及びLv差に応じ成功率が増減する。


・プリンセスハオ
 漫画シャーマンキング(以降マンキン)の伝説の打ち切り最終回。みかん、とも
 登場人物の一人が見た悪夢とされ、ファンタジーナイズ主人公勢(数が足りない)、悪い顔をした魔王っぽいラスボスをバックに、女性ものドレスを着た悲しげな表情のラスボスが両手を組んで祈っている一枚絵に、プリンセスハオのキャプションが付いている。
 この絵及び女装(TS)ラスボスの通称がプリンセスハオで、予定されていた打ち切り以後のプロットを一枚の絵にまとめたものとなっている。いや、マジで。マジなんだ。
 尚本文中のアレは、カオ転の作者であるどくいも氏のやる夫スレにおいて、ショタおじにこのラスボスのAAが当てられている事、翔意くんがマンキンをネットミームでしか知らなかった事、ペルソナに、知っているものに自己を連想させる事で、その認知を強化する仕組みがあった事で発生した悲しき玉突き事故である。


・ショタおじ
 私の中のショタおじはオカルト系では万能なので、大抵の事にはあっさり筋道をつけます。
 敵もそれは認識した上で、ばれても良い情報は自分から出してます。
 敵対するのは仕方ないですが、互いに滅ぼし合うのは絶対にごめんですので。



・事務員さん

「……なんで、なんで私ここにいるんですか?」

 割とトラウマにクリティカルヒットしている。



・霊視ニキ
 ウチの霊視さんは、肝っ玉はもっと太くて笑った顔が見たくなる系巨漢に侵食されてます。
 でっかくて太くて強いものは大好きな、典型的男の子なので……。
 (部屋に飾ってある超合金魂BIG-Oオプションセット)
 まぁ、最近はゆうえんちとかで直接的な繋がりもありますしね。



・ペルソナ使い代表、カエル顔の少年。
 まさかのアナザーニャル?乱入で困惑中。なお、アナザーはニャル子ではない。
 アレは、ニャルラトホテプをモチーフに作られたニャルラトホテプ星人であって、ニャルラトホテプそのものではないので、個人的にそのまま使うのは解釈違いなのです。
 なお、何故描写がカエル顔の少年かと言うと、昔読んだゲームデザイナーの日記?に、

「嫁さんがエヴァのUFOキャッチャーで、カエル顔の白髪の少年の人形を取って喜んでた」

と言う一節があって、なんか頭に残っていたから。
 まぁ、アニメのを現実に忠実に反映するとカエル顔ではあるだろう。



・事務代表
 ち○ろさんは、うらおもてのないとってもすてきなかたです。



・狂神GLZYT
 原作では、邪神GLZYT(ギレゾイト、或はガリェゾイェター)。
 国書刊行会でクトゥルフ神話関連全集の出版企画を立ち上げたり、日本初の魔法書の翻訳出版を手掛け、今我々が普通に使ってるファンタジー用語の訳語を定めたり、デモベ以前にクトゥルフロボットアクション小説を書いたり、クトゥルフアンソロジーの主宰をしたりしている元オカルトライター/編集者な小説家の商業処女作のラスボス。
 信者の血肉を喰らい、魂までも吸い上げる地球最新最後の神。
 なお、今後描写する機会がないと思われるので説明してしまうが、

1)そもそもGLZYTは原作小説において富士山と関係がある神格で、
2)樹海の特性ともすごぶる相性が良く、
3)あの異界には比較的強い悪魔が弱体化した状態で群れていて、洗脳も容易かった

 事等から、隠れてあの樹海を利用したレベリングと部下集めに勤しんでいた。
 んで、そろそろレベルもあげ辛い為、奥の高位天使の領域を食って終わりにしようと、おびき出した権天使を甚振って遊んでいたところで、霊視らと遭遇している。



・差し当たっては、アシかな
 書いた瞬間、ムックかなにかで言及されてたFate桜ルート没シーン(一時的に同盟を組んだマーボーが、爆音ふかして巨大なバイクで現れる奴)の想像と、

「聞こえるか?聞こえるだろう?世界の果てを駆け巡るこの爆音が……」

 と言う某アニメのシーンが脳内を駆け廻って困った。
 これもすべて水星の魔女が悪い(をい)
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