運使い対無貌の仮面……VSメシア教会   作:十八

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ボス戦終了、次話が四話最終。


第4話-6

 

 翔意が動き出したのは、黒尽くめの白が完成した直後、或は、その直前の事だった。

 敵は未だ動き出していない。緊急回避の余地を残して、軽くホップ。

 

『……狙うなら仮面』

 

 敢えて飛び膝蹴り(ジャンピングニー)も使わず、その俊足で間合いを詰める。

 先の白凰坊への初撃は、緊急回避を兼ねた最速のものだ。

 対し、二戦目の初撃の、威力を抑えた理由は概ね二つ。

 まず、黒白の仮面を現出させている巫覡?の女が、道具に使われているように見えた事。

 彼の攻撃手段は、念爆のサイ、燃焼・酸欠・延焼のアギ、呪殺のムドと、攻撃範囲を限定し難いか殺傷力に特化したものが多い。

 事故を避け、弱点なのだろう仮面を狙うなら、接近戦しか手段は無かった。

 そしてもう一つは……。

 

「……ッ!」

 

 走る翔意の前で、白仮面が片手を上げる。

 

 ――翔意(ショーイ)体術/回避技能(ジムナ/ダッジ・テック)/ホッピング・重複発動・大跳躍・成功(ヒット)

 

 意志は、翔意に向かう方向性は感じられない。

 だが背筋にぞくり、悪寒が走り、翔意は全力、足を踏み切った。

 跳び上がる彼の足下を、奇妙に生温い魔力波動がひたひたと埋め尽くす。

 それは見た所、破壊的な波動ではない。

 

『恐らく、広範囲の状態異常――』

 

 そう辺りを付けて、ホップ、宙を蹴り急降下。

 するとその先、黒尽くめは肩のマントを脱ぎ払い、両手で捩り、扱いた。

 細く伸ばした厚布が、一転、手の内で一振りの棒へと変化。

 そしてカウンター、翔意の軌道に振るった棒を合せた。

 衝撃、そして、ギンと、金属音。

 盾に翳した鬼神と、置くように振るわれた黒棒とが鬩ぎあう――が、それも一瞬。白面が足を引き、ベクトル合成。体を流された翔意は両足を地に着くと、その反動で背後に跳んだ。

 流れるような連携、突き出された棒を躱して、詰めたその距離が、再び開く。

 

『敵の膂力は、鬼神と同程度か少し下、技量はこちらより上でしょう。

 これは、不味いですね……』

 

 翔意は姿勢を整え、口中チッと舌を打つ。

 睨むその先、敵は茫洋としたまま、手に棒を構え立っていた。

 その目に意志は、全く感じられない。

 徹底した後の先、遅滞なく、迷いなく、決められたように対応しているだけだ。

 

『……見透かされましたか? ただアレだけの戦闘で』

 

 だが、少年にとってはただそれだけが、とてつもなく厄介だった。

 彼は運気を、存在が世界に及ぼす影響力の鬩ぎあいと、それを齎す意志とを感じ取る稀有な異能を持つ。

 加え速度特化の対応の早さが、経験豊富と言えない翔意が、今迄の敵相手に有利に立ち回れた理由だが、相手が反応しているだけでは、その感覚はほとんど意味を成さない。

 それがもう一つの理由だ。

 仮面向うの人形遣いは知覚範囲外、直接相対するものが主体性が無い操り人形では、動きの起こりを先行する意思が現れず、今迄よりも対応が遅れる。

 その為全力ではなく、相手に合せ動きを切り替えるだけの余裕が必要となった。

 欲を持たない徹底したカウンターヒッター――速運特化、必然、頑健さもこじ開ける力も持ち合わせない今の少年には、それは天敵に近い存在だ。

 速度で圧倒して押し切るにも、彼の最速は念動加速(ホッピング)に依存する為に動きが直線的で、方向に合せる程度であれば、速度に劣る敵でも不可能ではない。

 

『槍、本当に習っておくべきでしたかね?』

 

 そして、せめて間合いが同程度であればやり様もあるが、敵の得手は棒。

 所謂、棒術の武器やクォータースタッフ等と比べ短く、杖に近いその武器だが、徒手空拳の彼と比べれば遥かに間合いが広く、結果敵の速度はこちらに追いついた。

 仕方ない、翔意は口中そう呟いて息を吐きだす。

 

『流石に、かもしれないで中の人を気遣って、手段を選べる状況ではありませんか』

 

 そもそれを言うのであれば、彼は既に、白凰坊を壁面に叩きつけている。

 その後現れた女の服は、特に汚れても、傷付いてもいないように見えたから、ある程度は保護されている。そう考えよう。

 ふつと、鋭い呼気を一つ、翔意は腕を前に突き出した。

 それに合わせたように、白仮面は両手で棒を前に、

 

黒披風(ヘイビフォン)棍術(グュンジュー)

 五法凶風(ウファジョンフォン)……」

 

 そして旋回。

 盾の様に突き出されたそれが、唸る音を立てその回転を速めていく。

 棒はその手で八字を描き、周囲に風を巻き起こしながら、主を守る二つの黒々とした防壁を築きあげた。

 

「サイ!」

 

 そして、中の人への遠慮が勝ったか? 対する翔意は、持てる最低威力の術を、しかし鋭く早く、解き放つ。

 そうして走る念弾が、旋回棍と撃突――否、棍がそれを迎撃したと言うべきか?

 弾は棍に当たって弾け、その旋回が爆風の一部を打ち消したようだった。

 流石に、無傷ではない。無傷ではないが、有効打とは到底言えないだろう。

 少なくとも、爆煙を吹き散らかした棍の旋回は、それを駆動する手は、呪文の衝撃にも負けず、唸りを上げ続けていた。となれば……。

 

「……Aaaaaaaaaaaaa!」

 

 続けざま、翔意は息を吸い込むと、叫びに乗せ念を吐きだす。

 サイコブラスト、声に乗せて周囲に念波を放出、能力を阻害するデバフスキル。

 その声に、より強く感情に乗せる術は、同僚(おとなしさん)に教わった技だ。

 特段威力が変わる訳ではないが、威嚇になるし、なにより気分のノリが全く違う。

 果たして、その強い感情が、念の込められた声が、周囲空間を制圧し、押し包んだ。

 

「……」

 

 そしてそんな敵手に無言、対応。黒尽くめが構えを変えた。

 どうやら、敵は強化(バフ)弱体(デバフ)解除は持っていないらしい。

 四囲を制する守りから、重心を前に、制圧姿勢。

 弱化を積み上げられるのを嫌ってか、初めて白面は、自ら動き出した。

 無限()に廻る棍を前方に向かい偏らせ、滑るようにして、前へ。

 だがその動きは、巻き起こす棍風は、先のそれより明らかに鈍い。

 

『コイツに頼るのも、ずいぶん久しぶりだな』

 

 翔意はもう一撃、念を声に乗せ叩きつけると、再びの大跳躍。

 進む敵を大きく飛び越し、互いの位置を交換する。

 遭った敵の相性と、実力/連携のその立ち位置――レベルが上がるほど使わなくなったこの特技だが、久しぶりに日の目を見る時が来たらしい。

 見るからに重いその動きに、彼が内心ほくそ笑むと、どうやら白面か、或はそれを裏で操るものは、既にデバフの妨害は不可能と断じたようだ。

 棒を廻す手に更なる力を込めると、背をより壁に近づけ、徹底した穴熊を決め込む。

 

『とは言えやはりこうなったか』

 

 こちらの威力は速さに依存するが、敵側はそうではなく、動きは鈍っても、基本的な威力と堅さ、間合いは余り変わりない。

 あの防御を破る物理攻撃には明らかにタメが要り、となればこちらも、用意した相手の返し刃に身を晒す覚悟が要るのだ。

 速運特化の紙装甲で、しかも、左腕の防御を抜きにして……。

 かと言って遠隔攻撃を使うにも、能力的に魔法威力が低く、しかもMPも多いと言えない彼の魔法は決定打に欠ける。耐性を攻撃し、異常や威力を通り易くする固有?特技にしても、威力の向上は控えめな上、しかも未だ集中準備で無防備を晒す欠陥もあった。

 彼の、実用範囲での最強魔法はそれを併用したサイオ、威力追及なら、ラティを至近から全弾撃ち当てる事だが、恐らくそれを撃ち当てられるのは前者でも一度、後者に至っては、初見ですら潰される可能性が高い。

 なら、同じ技を併用した飛び込み蹴り(サイコクラッシュ)で、姿勢を崩せることを祈る方がまだマシ、そう彼は結論付ける。

 

『……やるしか、ないか』

 

 痛撃を受けたらフォローをと、借物(・・)の使い魔たちに念を送った。

 そして集中、目の前の敵一体のみに、自身の感覚を深く、深くと振り向ける。

 すると視界は狭く色を失い、しかし代わりに、注視した相手の深い部分が見え始めた。

 最早目の前にあるものは人の形には見えない。

 これは、対象が悪魔であれ人であれ皆そうだ。

 ……女神転生シリーズの一翼、デジタルデビルサーガ、アバタールチューナーにこんなセリフがある。

 技術の進歩の結果、人は世界を情報の集まりとしかとらえられなくなった、と。

 極論、悪魔と人は同じものだ。世界を規定する情報と、それを構成するエネルギー。

 情報生命に操られる生命エネルギー(生体マグネタイト)であろうと、E-MC²の法則に則り物質となったエネルギーだろうと、それは変わらない。

 ペルソナ1に、情報で世界を書き換えるシステムが出現したように、東京受胎で物質の世界が書き変わったように、その二つには、堅さや程度の違いがあるだけだ。

 属性や耐性とは、そう言った影響力で規定されたお約束でしかないと、翔意はその能力で知った。だから、それを成り立たせている情報、影響力、それに干渉すれば、それらの防御は毀たれ、衰える。

 そして、それはおそらく、規定する力、認知と言う人間の力と、転生者達の持つ魔的なそれ、或は、植えつけられた仮面に由来する霊的パワーの合作なのだろう。

 幾重にも張り巡らされ、存在を守る影響力の嵐に、糸を渡して鍵穴を通す。

 そうして向うに意識(にんち)の力を通すのだ。

 そんなものはないと、声高らかにその音を塗潰す。

 すると矛盾する情報に、耐性を、存在の殻の形を規定する情報は、乱れ戸惑うのだ。

 常に自分を規定し続けるある種の恒常性が、その誤情報を塗り返すまでの極僅かな合間ではあるが。

 そして、その僅かな時間に差し込むようにして、翔意は弾けた。

 相手は動けない、あの速度差なら必ず当たる、死ぬより、零れ落とすより万倍マシ、治せるのだ、脚一本くらいくれてやる。

 そう覚悟を決めて……。

 

 ――翔意(ショーイ)体術/蹴術技能(ジムナ/サバット・テック)/ホッピング/サイコクラッシュ・重複発動・突撃蹴(チャージ)成功(ヒット)

 

 脚力、念動発射、能力強化、運気操作、念波放出、耐性破壊、借りた体術、格闘術。

 持てる全てを束ね挙げ、翔意は前進する。足を穂先に、一筋の矢の光の如く。

 

 ――物理攻撃特技(OffenceEX) ホッパーキック(HopperKick)

 

 そしてその一連が、彼が期待されていたある技に昇華したのも、或はそれを期待する僅かな者達の認知の影響だったのかもしれない。

 だがしかし、最初に形を成したその威力が、望んだ形で解放される事は無かった。

 旋回、防御する棒と、少年の蹴り足。二つが接触し、威力が炸裂する僅か一瞬前、横合いから一つの影が飛び込んで、驚きに目を見開く翔意の前でその威力は解放される。

 

 

 

 

.

.

.

.

 

 

 

 

 ある意味、その結果は必然のことだった。

 常に主の傍らで支える鬼神(モノガミ)と、主の仲間の傍に侍るパートナーたち。

 対し、主の移動手段でしかなく、必要が無ければ倉庫に仕舞いこまれるそれ。

 ガイア連合のシキガミにとって、主に侍り、仕え、守るのは、存在の奥底に焼き付けられた使命で本能、或は、存在意義とでも言うべきものだ。

 大事にされている、愛着を持たれているのは判っている。

 けれど、中途半端にしか満たされずに居たそれが、主の決死と好転の可能性に気付けば、それはもう飛び込むしかない(・・・・・・・・)

 だから彼の愛車(WildHunt)、誰からも忘れ去られていた自走できる鉄馬は、脇道の更に路地から飛び出し白面に突撃した。

 相手は、こちらの攻撃に対応、反応しているだけなのはわかっている。

 もしその突撃に反応すれば、白面は無防備に蹴撃を受け、集中し反応しないなら、その一撃は姿勢を崩し、相手は不完全な姿勢で蹴撃を受ける事になるだろう。

 結論から言おう。

 翔意のシキガミが見せた初めての自主性は、その目論見を完全に発揮した。

 主に集中していた白面はその横槍を受け、その動きを乱したのだ。

 ただし、耐性低下の影響下に在って尚、極僅かに。

 レベル差と言う概念は、それ以上に無情であった。

 そして、鉄馬にとって不幸であり幸運でもあったのは、未だ誰も知らない翔意の新しい突撃技の、その性質がガード無視であったことだ。

 或は鉄馬の一撃も、その結果には極僅かには寄与したのかもしれない。

 貫く、突き破る――そう念じ放たれた一撃は、見事に白面の防御を貫き通し、着弾したその次の瞬間、衝撃波で周囲を薙ぎ払う。

 そして許される限り軽く創られたそれも、蹴りの余波で吹き飛んだ。

 

 

 

 

.

.

.

.

 

 

 

 

 それは、意外な手ごたえだった。

 一つに束ねた一つ一つが、ガチリ噛み合い結び付き、別の何かへ織り上げられていく。

 最初から一つであったかのように絡み合う力が、少年の大柄な体を一つの矢に変え、槍に変え、それは棒を盾に旋回される目標へ、まっすぐ飛び進んでいった。

 すでに、自身でも止められぬ、そんな豪速で……。

 翔意の耳に、意識に、高速で回るホイール、噛みあう歯車、チェーンの立てる滑らかな駆動音が届いたのは、丁度その時のこと。

 集中、敵手と一撃にのみ費やされていた意識と感覚が、ようやく外へと開き始める。

 そしてその時初めて、目の前で待ち構える白面の横腹、彼のそれよりわずかに先行して突き込まれる鉄馬の姿を、彼の五感は捉え認識した。

 しかしもう、その一撃は止められない。

 愛車の特攻、それを受け僅かな淀みを見せたその回転を、跳び進む蹴り足が、それの纏う衝撃が弾き跳ね上げ、ホッパーキック、翔意の一撃は、相手の胸元に叩きこまれた。

 そして、内に宿したその威力が、炸裂する。

 衝撃、爆発。それは、巌の如く鉄馬を受け止めた黒尽くめを跳ね飛ばして壁に叩きつけ、傍らの壁に頽れるように横倒しになった自転車を、紙屑か何かのように吹き飛ばした。

 

「このっ、馬鹿っ!」

 

 蹴りの反動、飛びずさり地に膝をついた少年が、思わずそう叫ぶ。

 競技用より重く、しかし、可能な限り軽く剛性と重量のバランスが図られた彼の愛車は、その軽さが功を奏したか、威力に逆らわずに跳んだ。

 一度地を撥ね投げ出されると、拉げた前輪が、ガラガラと歪み噛み合う音を立てて空回り。

 

また(・・)

 

 そしてそれを目の当たりにした瞬間、少年の胸の奥に湧き上がる黒いものがあった。

 意味も分からぬ悔恨が、胸の奥に湧き上がる。

 力を入れ過ぎたのか、右腕が痺れているのを感じた。

 落とした左と義腕の継ぎ目が、じくじくと疼く。

 

『俺が弱かったから、また……』

 

 覚えのある感情。

 前世の?いや、何かもっと根源的な。

 変わりたいと望み生を重ねて、同じ事を繰り返す今と自分に湧き上がる怒り。

 

『弱いのだから弁えればいい(ままではくりかえす)

 

 背反する答えがぐるぐると、頭の中で渦巻く。

 思考の袋小路の中、翔意は無理矢理左腕を動かし、心臓を強く叩いた。

 今は考えている暇はない。

 損傷から見てWildHuntは未だ死んでおらず、仮に死んでいても蘇生が叶うはずだ。

 それにあの黒尽くめの白面も、まだ撃破できたと決まったわけじゃない。

 そして顔を上げ、頽れる白面に視線を向けると、ちりん、横の方から小さく歪んだ鐘の音が聞こえた。

 それは、衝撃を受け狂った自転車の警音器(ベル)の音。

 自分は健在だ、気にするなと、そう伝えるその音色に、少年は少しだけほっとした。

 音に向かって片手を上げて、もう少しだけ待ってくれ、そう告げると、壁に身を預けて座り込む、黒尽くめへと歩み寄る。

 

「……」

 

 残心、何時でも抜き打ちの利く姿勢。歩み寄った先、相手はもう死に体に見えた。

 その顔の全体には細かい罅が入って端々は欠け、そんな仮面を反映するかのように、五体の各所が抉れたように消え、下から傷の無い女の体が覗いている。

 そんな満身創痍の姿の中で、二つの眼だけが、変わらず色の無い感情を湛えていた。

 仮面が砕け失われたか、手にもう棒は無く、体も最早動けるようには全く見えない。

 だが、まだそれは顔にへばり付き、女の体の大半を蔽い隠したままでいた。

 ごくり、息を呑む。

 剥すか、砕くか、僅かに悩んで、何時でも手を引ける姿勢、少年はゆっくりとその顔に手を伸ばした。

 この状態で仮面を砕けば、その下の顔も傷つけるかもしれない、そう恐れたのだ。

 だが、結局それは要らぬ心配だった。

 近寄る彼の動きが齎す震動か何かが、危うい均衡を崩す。

 ずるり、かろうじて顔に掛かっていた仮面がずれて、体を覆っていた幻像が消えた。

 人の顔をしていた仮面が、眼窩に穿たれた空洞を持つ白石へと戻る。

 

「……セーフッ!」

 

 一瞬の抵抗、姿勢を崩し零れ落ちるそれを、滑り込んだ少年の手が受け止めた。

 そのまま放置では何が起こるか判らない、すかさず脱いだジャケットで欠片一つ残さずに包み込む。

 後には、荷を抱える少年と、路地裏の壁に身を預けて目を閉じる、一人の少女が残った。

 彼が見下ろすその顔の、年の頃は中学生か、或は高校生かと言った所か?

 何かスポーツでもしているのか、髪を短く切りそろえ、肌は浅黒く日焼けている。

 逞しい男の身体との対比で細く見えていたが、半袖のシャツとズボンのその体にはそれなり以上に筋肉が付いていたようだった。

 部活か何か、きちんとトレーニングを重ねた人間の体だ。

 そして、だからあの仮面を被っていたのか、逆に仮面を被ったその影響か?

 どちらなのかは定かではないが、目の前の少女はどこか、あの白凰坊と似た印象を纏っているように見える。

 そうして眺める彼の目の前、仮面の影響を逃れたか、少女の瞼がピクリと動いた。

 むにむにと、少しだけ唇を動かし、背の感触が不快か不審か、眉を動かし微かに顰めると、やがて薄くその瞼を開く。

 

「……あれ? 中村、先輩?」

 

 見覚えの無い彼女はこちらを見上げ、少し唇を尖らせて怪訝にそう呟いた。

 

 

 




・白面(仮)/朝松健著、逆宇宙レイザース
 白凰坊と妙に対比されていたが、その辺り明かされんかったなーと思ったら、外伝で仄めかされた白凰坊の出生で、その理由らしきものが開示された第二シリーズのボス。
 出す予定がないのでここに書いてしまうが、ペルソナチェンジで現れたのは白凰坊との親和性のおかげで入れ替われた事と、顕現させる巫覡とのチューニングが合わずとも、無理矢理顕現させて向うからコントロールできる要素があったから。
 当然だが、適性の在る者の肉体に馴染んだ状況と比べ、使える能力は遥かに少ない。
 なお、レベルは白凰坊との入れ替わりなので同じ20で、技幅も精度も前述の理由で少ないが、戦法と間合いの相性差で善戦できた。



・巫覡
 巫は女みこ、覡は男みこのこと。神霊その他を身に呼び降ろす霊媒の総称。
 ペルソナは霊媒とは少し違うのだが、悪魔に体を乗っ取られて変化~みたいな、オールドスタイルホラー映画のあるあるシーンに近いシチュなのでこう書いた。
 既に忘れ去られていると思うが、翔意は前世オカルトファンである。



・魔力波動
 原作で白凰坊の術を封じたアレ。魔封効果の範囲攻撃。



・黒披風棍術、五法凶風
 棍を高速で回転させて戦う技。原作ではもっと攻撃的な用法をしていた。
 白面(仮)が完全な状態ではなかった為に柔軟な運用が出来ず、攻める戦い方が出来なかった事、主目的が情報収集だった事から、本作では完全防御型で用いられた。



・トーマスと、大人になった彼の情報体世界発言/DDSアバタールチューナー
 例のラスボス戦とアバチュの最後のの発言で、ああ、メガテン世界の人と悪魔ってそんな変わらん存在なのだなと思ったのと、ⅣFの多神連合とかデジタルデビルストーリーのイザナギがこの話の大元だったりします。
 後は、普通のカオ転三次とは徹底して別路線(※主人公チート除く)目指した。



・耐性破壊
 実は仮面由来の矛盾の力が少し混じってる。

    ・――アキレスは亀に追いつけない。

 どうでもいい話だが、川上氏の新作が久々の都市(分類は違うかも)で嬉しい。
 矛盾都市(ゼノンシティ)の地下大空洞、今はあんなになってるんやな。



・WildHunt
 一応ヒロイン的存在登場回なのだが、何故か一番ヒロイン面してる感のある自転車。
 自転車だけどシキガミで、個性も芽生え始めいた為、移動にしか役立てない自分が不満で不安だった。主は素で自分よりずっと早い上に、変にぴょんぴょん動くので、いつか用済みになるのではと感じていたのだ。
 なお、その主がベルやら何やらに感情や意志を感じているのは、例の超感覚と契約の繋がりで読み取り易くなっている為で、別に彼の歪んだ妄想でも、誰が見てもシュンとして見える変な自転車がある訳でもない。



・ホッパーキック(次郎丸版)/葛葉ライドウ対アバドン王(戦闘虫次郎丸)
 ホッピングで画面外に消えてから降下攻撃する戦闘虫の特技。
 言わずと知れたアレのパロディで、戦闘虫の技を覚えたと知った一部製作班からは習得を熱望されていた。ホッピング共々スキルカード化に成功すれば、ライダーシキガミにモドキじゃない某アレ的サムシングを習得させられるので。
 ガード不能/気絶付加の小範囲攻撃で、ボスの攻撃だけあって結構な高火力だが、現時点での翔意のそれは次郎丸の使う下位版且つ、立ち跳び蹴り版ライダーキックなので、まだ威力には向上の余地がある。



・心臓
 西洋では心臓を、魂の蔵と規定している。
 日本では肝臓らしく、肝っ玉、肝が据わるなどの慣用句はそれに由来するらしい。
 だからなんだと言う訳ではないが。


・白仮面回収
 別にライダーキックで封印されたわけではなく、白凰坊へのクリティカル移し替えに上乗せされた大ダメージ+耐性低下時に受けた気絶攻撃で剥がれかけてただけである。



・謎の少女
 ヒロイン枠。一応花子さんもヒロイン枠だが、彼女は翔意らが自分を作業的に殺していた記憶を持っているので、多分こっちがメインヒロインに近いと思われる。

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