運使い対無貌の仮面……VSメシア教会   作:十八

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なんとかなった。けど、次回の2話最終回は兎も角、3話開始には一週開くかも。


第2話-4 翼獣と巨樹と

 

 その戦いの火蓋は、ほぼ同時に起きた三つで始まった。

 霊視の攻撃、振り下ろされる尼僧の羯磨、そして……。

 

――翔意(ショーイ)体術技能(ジムナテック)/ホッピング・重複発動・跳躍射出(ロケットスタート)成功(ヒット)

 

 彼女の群れの死角を突いて走る、義腕の突撃。

 巨漢が尼僧の気を引く間、身を顰めていた後輩も何もしていないわけではない。

 格上の女と、天使の頃程影響は受けていないように見える天使モドキの群れ。

 そのどちらもまだ正面から相手取れる敵ではないが、それが意識の空白を襲うモノなら?

 メガテンにおける奇襲がどう言った効果を持つものか?そこまでを彼は覚えていない。

 だが例えば、クリティカルや状態異常発生などに補正が付けば、敵の意識に、少しでも衝撃を与えられたなら、格下でも先輩を支援できる可能性はあった。

 視認範囲ギリギリからの、シキガミによる強化重ね掛けと、特技/技能瞬間発動による疾走発射。その威力を込めた横殴りで、或は一瞬程度であれ、ば敵の足を停められるのでは?

 

『奇襲できても、気付かれても、最低限先輩への援護にはなる』

 

 念の力を放射、巡らせての加速、疾走。考えられる事は何でもやった、試した。

 みちみちと体がきしむ音がする――だが、加速。

 この、胸の奥に渦巻くものは何か?抗え、抗えと叫ぶ、声が聞こえた気がした。

 まつろわされる(・・・・・・・)同胞を後に、何もできずに逃げるのはもう御免だ。

 その原因が、少なくともその一端が、自分にあると言うのなら、それは尚更。

 心臓の奥、吠え猛る熱い何かがあった。

 何か自分の奥深く、がちりと音を立て、歯車がかみ合う感触があった。

 疾走、影も残さぬほどの、一心不乱のそれ。

 森の中の一筋の、その上を一瞬で駆け抜け、それは踏み切る。

 

 

 ――翔意(ショーイ)体術/腕術技能(ジムナ/ボックス・テック)・重複発動・跳躍拳撃(スーパーマンパンチ)成功(ヒット)

 

 

 同時、少年は痛いほどに握りしめた拳に、二つの黒を硬く硬く装填した。

 そして……

 

 

 ――羯磨に裂けた繭から粘液が溢れ、外気に触れた指が音を立てて変形を始める。

 

 

 ――打撃する霊視が、その構えを受けに変え制動する。

 

 

 ――尼僧の側方、並ぶ異形天使の外延に、翔意が炸裂する。

 

 

 ――爆発。

 

 

 四つとその結果とが、ほぼ同時に現出した。

 

 未成天使を盾に、撤退を目論む尼僧と配下の異形天使群を、

 

 爆発が横合いから殴りつけ、受けた天使の幾体かがそのまま崩れ倒れる。

 

 切れ目から覗く鉤爪と化した指が、爆圧に圧されて太い腕の半ばまで姿を現し、

 

 爆圧を防御した霊視が再びの前進、

 

 技能と特技、爆発の反動とに蹲る義腕に、彼のシキガミのディアが飛ぶ。

 

 

 ――奇襲成功、全体攻撃クリティカル、プレスターン追加。

 

 

 それら結果を一言で纏めるならば、こうなるだろう。

 そして開始するエクストラターン。繭を無視した義腕の腕が尼僧を襲い、辛うじて羯磨で受けた彼女は、振り抜かれて跳ね飛ばされた。

 立ち上がりざま義腕の手から、伏した天使へ呪詛の黒弾(ムド)が飛び、男天使の一体は、びくり、一度撥ねるとその身体の力を失う。

 

『気配でそうだろうとは思ってましたが……』

 

 見た目は変われど、力の感触までは変らない異形の天使達。

 そこからもしやと、試した天使の弱点に、やはり彼らは脆くも崩れ去った。

 一撃に続き、霊視のシキガミからも呪殺魔法(マハムド)が放たれ、敵を殴り抜いた巨漢は、その勢いのまま旋回(ターン)。天使の群れに飛び込むと、立ち竦む天使の一体を、剛腕、殴り潰した。

 しかしそんな快進撃も、呪殺に斃れる二体の天使でターンエンド(おわり)

 ざりざりと、木肌が擦れるざらつく音に、刃一閃の風切り音。

 樹に叩きつけられた女が、身を預けたままに立ち上がる。離さず構えた羯磨を一閃、絡みつく首縄を切り刻んだ。

 そしてなにがしかを呟くと、最早残り三体となった動ける天使が、目の前から消え、彼女の傍らに姿を現す。

 

「……離脱呪文(トラフーリ)、仕切り直しか」

 

 呟き構え直す男に、女はその唇を苦笑、吊り上げた。

 衝撃で切ったか、それとも術の代償にでも自らそうでもしたか、その朱唇の端から赤い一筋が頬を伝って落ちる。

 

「伏兵……とは気づきませんでした。やはり、あなた方転生者は厄介だ」

 

 そう言うと同時に、彼女の前を天使が固めた。

 応手、霊視と義腕、二人のシキガミが寄って隊列を組むと、ふと、天使の影から赤い一筋が延びる。

 

「下がれ!」

 

 いち早く気づいた巨漢の言葉に、後輩とシキガミとが飛び下がる。

 だが、天使を目隠しに放たれたその一撃が、向かう先は彼らではなかった。

 血唾。術でも用いたか、尼僧の口から弛まず飛ぶそれは、吊り下がったままの巨大な繭の表面で弾け、小さな染みを作る。そして……。

 

「そろそろ起きてくれませんか?」

 

 その呟きと共に、繭は弾けた。

 

「サイ!」

 

 散弾、自陣に襲い来る砕片と粘塊とに、翔意が反射、念動呪文を放つ。

 放たれた全力の念弾は、何故か同時に三発が射出、着弾。

 至近弾ける三つの相乗、膨れ上がるその爆圧が、威力のない散弾を防ぎ弾いた。

 サイ・ラティ、ライドウに登場する下位3方向射撃呪文の念動呪文版を、彼はいつの間にやら使えるようになっていた。

 だがしかし、その事実を訝しむ間もなく、爆炎と靄の壁とを切裂き獣腕が襲い来る。

 突き出た鉤爪を、腕を、前に踏み出た霊視が弾いた。

 

「此度は残念な結果になりましたが、ここで失礼させていただきます」

 

 そして壁越し、その言葉が届くのと同時に、目の前の靄が、煙が掻き消える。

 開けた視界の先に、尼僧とその前を固めた異形天使達の姿はなく、その代わりと言う様に、飛び下がった獣が一柱、歯を剥きだしに立ち塞がっていた。

 少し前までは確かに権天使であった、天使の異形が。

 前衛よりは雌型なのか? 姿を現した新たな異形は、全裸の女性型。

 しかし、歪んだ羽根を背に掲げ、四つん這いで歯を剥くその全身は、人膚と毛皮の斑模様(パッチワーク)に覆われていた。

 頭の右側から長く艶やかな髪が、左から短な獣毛が生えるその体は、下位のそれより獣染みて、変異途中で外に出た為か、所々の身体のバランスがおかしいように見えた。

 尤も、彼らは悪魔は見た目通りの生き物ではない。そう言った不具合が、どれだけ能力や動きに影響を及ぼすかは定かではなかったが……。

 

「……コイツは俺が。

 義腕は、シキガミと残りの天使を頼む」

 

 そして霊視は、そう言って、ふつと短い息を吐き、

 

「了解しました」

 

 後輩は、そんな彼に背を預け、倒れ伏す天使達へと向き直った。

 一度は無力化、この場に取り残された天使だが、彼らもずっと気絶したままではない。

 襲う隙でも伺っていたか?巨漢の言葉を待ったように、身を起こし始める群れに、少年は呪殺呪文(ムド)を、先の手応えを真似、過剰な力を込めて放った。

 果たして二発、幾分不安定な形の黒弾が飛び出ると、未だ動き出さぬ天使二体にぶつかり、そのまま表面、弾けて消える。

 

『……不発。流石にぶっつけは無理ですかね』

 

 術の不全か、それとも抵抗されたか?

 どちらともつかぬ結果に、少年は、消耗激しいそれを選択から斬り捨てる。

 左前半身――鬼神を前に出した構えをとり、マハムド持ちのシキガミの前に、物理耐性を持つ自分が借りた一体を、右隣に立たせた。

 

「一回分の魔力を残し、敵が一体になるまでマハムドの連射を!」

 

 口頭、そう指示を下し、自分も次弾を(ムド)準備する少年の前、放たれたマハムドを受けた女天使の一体が、力を無くし頽れた。体の端から崩れ行く天使の中から、かすかに光る飴包みが転げて落ちる。

 

『……チャクラ、ドロップ』

 

 MPを少量回復すると言う飴薬。そう言えば、先にも一個拾ったと、少年は僅かに膨らんだポケットを抑えた。

 

『いや、魔力(MP)は未だあります』

 

 敵天使は残り四体。ムドもマハムドも残弾があるのだ。

 まだ手札を切るタイミングではない。

 そう考えて、ムドを準備した手を敵へと向けた。

 まず落とすべき相手は、中衛らしき残り一体の男天使。

 彼は狙いに集中し、ふと、目標に見えた空隙に自然その手を伸ばした。

 敵が奇妙に大きく、近く感じられる。

 そして、呼吸を盗んだ、とでも言うのだろうか? 彼が狙う異形天使の、存在力(うん)のゆらぎが、見えた気がした。

 そこを呪文を介したこちらの“運命力(うん)”が、糸のように繋がり貫く。

 

「ムド」

 

 その一撃は、今まで放ったなによりも、はるかに静かで、密やかで速やかだった。

 なんの音も前触れ(エフェクト)もなく、立ち尽くしたままに天使が崩壊する。

 そして、狭まっていた視界が開いた。目の前で響く……激突音!

 いつの間にか、自分の前に出たシキガミが、迫る三体の天使を一身に引き受けている。

 

「……ッしまッ!」

 

 姿勢を立て直し、念を集める。右手に過剰な力を込めて、

 

「サイ!」

 

 そう叫び突きだすと、こちらは狙った通り、一度に三発、放たれた念弾が、密集する女天使のそれぞれを打ち叩いた。炸裂、爆発、後退りする敵のその隙に食い込むように、前に出る。

 深い集中、その余りに周囲が見えなくなっていたらしい。

 

『……なんですか、いまのは?』

 

 理屈はわかる。

 あれは、運気の操作やクリティカルの可視化と言った技術の、その先にあるものだ。

 元々メガテンには、次の行動を強化する類(チャージなど)の特技が存在し、あの視野狭窄もそれを現実に落とし込んだ結果――いやむしろ、こう言った技法をゲームに落とし込んだものが1ターン消費のバフか?――なのだろうと想像できる。

 だから、それ自体は全く不思議ではない問題は……。

 

『……何で突然、使えるようになった?』

 

 3Wayショット(ラティ)と言い、今のムドと言い、突然出来るようになり過ぎだ。

 まさか、先の離脱と仕切り直しが戦闘終了とカウントされた為の位階上昇(レベルアップ)と言った、ゲーム的なアレではあるま……。

 

「……っと」

 

 驚きに逸れた思考に鉤爪が割り込み、義腕はそれを鬼神(モノガミ)で受けた。

 廻し上げた左、攻撃を外に弾くと前足を更に踏み込み、受け手を前に返して打ち(ねじり)込む。

 左中段受けからの刻み突き――カードが導く空手の交差法(わざ)が、敵腕を発射台(ガイド)にその頭に打ちこまれた。

 カウンター、効果的命中(クリティカル)、だが浅い。義腕の力を足してなお。

 格上に追従しそれを上回る彼の速さは、特化型の能力に支えられたものだ。

 現実には速さは≒力で、後は体重と硬さに威力が依存するが、この異能(オカルト)世界にはそう言った物理を超える破壊力が存在した。

 加えて敵は、未だ彼とその左腕(シキガミ)より格上だ。

 一撃に耐え、尚も掴みかかる狂女の腕を、拳を引いて躱し、後足で胴を蹴り下がる。

 

『……マハムド』

 

 そこに背後から、鎖めいた“呪詛”(えいきょうりょく)が延びた。

 彼の呪詛弾(ムド)とは顕れが異なる、シキガミの放つ全体呪殺。

 敵を絡め死に導くそれを、二体は跳ね除け、残る一体は掴まり斃れた。

 最後の二体――その片割れが、前に出る。

 遮二無二襲い掛かっていた敵も、ここまでの被害を出せば流石に考えるらしい。

 一人前衛を抑えようとする天使と、その背後で飛び出す機を伺う天使。

 そんな敵の動きに、翔意はシキガミに前を任せ、一歩後ろに退いた。

 右に力を込め目を瞑る。そして……

 

「……ムド!」

 

 傍から見たら、それは天使自ら、呪詛に当たりに行ったと感じたかもしれない。

 味方とシキガミを盾に身を隠し、機を計って飛び出すと、ジグザグの回避機動。

 前衛を躱し後衛を目指す、その意識の働きを少年は運気を読んで捉えた。

 フェイント、地を跳ねるようにして方向転換(ターン)。新たな一歩を踏み出した天使の軌道に、予め彼が置いた呪詛弾が、奇跡のように交差する。

 そうして逆転の一手は潰え……。

 

 バンッ!

 

 ……ここで一先ず、時を暫し巻き戻す。

 数居る雑魚を後輩らに任せ、一人成れの果てと向き合った霊視は、しかし、少しばかり敵を攻めあぐねていた。

 

「……ッッ!」

 

 それは、枝の狭間より襲い来る。

 羽根持つ獣は、絡みつく首縄をものともせず、寧ろ縄先の枝を撃ち折りながら、枝々の間を駆け抜けた。

 リーチは相手が上、こちらは飛べない。

 跳躍で攻撃を届かせる事は不可能ではないが、そも空中での速さ機敏さで翼持つ敵には遠く及ばず、成れの果てなら無視できた首縄も飛べぬ彼には厄介だった。

 空飛ぶ力を持たぬ者が、宙で揮える力は酷く限定的で、いかな彼でも、空中で絡め捕られれば、その動きに減衰と停滞とが現れる。それに加えて……

 

『あっちは、力速特化…って所か』

 

 太く長い手足と大きな鉤爪に対し、成れの果ての胴と頭はアンバランスに細く、小さく、その身を鎧う毛皮もまた、元の人膚とツギハギな有様。

 手の届かない高所から術を撃ち下さぬあたり、魔法能力も下がっているのだろう。

 メガテンにおける権天使の位階(レベル)は、特殊環境(シュバルツバース)を除けば、20半ばから後半程度。この異界では、素の天使は十近く、異形化してもその半分程度の抑圧を受けるが、それでもなお、成れの果ての位階は二十代半ばと、下位の神族と同等以上の力を保っていた。

 無論それは、三十を超える霊視に及ぶものではない――ないのだが、力速への特化、飛行能力、環境による影響等を重ね合せれば話は別だ。

 ちらり、飛び離れた敵に義腕らを横目で見れば、どうやらあちらは優勢らしい。

 前衛に二人立ち、レンタルシキガミのマハムドで、敵を削っている様だった。

 となれば、時間は味方だが、そんな命令でも受けているのか、成れの果ては一向に攻め気を見せず、チクチクと、徐々にこちらを弱らせ狩る構え。

 

『積極的に敵対するつもりはなさそうな事を言ってはいたが』

 

 或は、こちらを殺して本気になられた方が厄介と、そう言う事なのやもしれない。

 ふぅと霊視は息を吐きだし、珍しくも身構えた。

 ムドやスクンダ――正確には、その複合特技だが――、現状に有効な技を持つ後輩たちを、待てば自分は安全に敵を倒せるだろう。だが……。

 

『義腕の奴のレベルは、まだ5かそこらの筈』

 

 レベル差が20もあれば、事故で即死も十分あり得る。

 

『捨て身か……』

 

 深呼吸、こちらに降下する敵に併せて、全力で突きこんだ。

 薄紙を剥ぐように、すれ違いざま斬りつけ避ける天使に構わず、そのまま目の前の巨木に一撃。

 そして、爆裂――そう、覚醒者の五体には、理外の破壊力(ちから)が宿る。

 その拳の一撃に、受けた巨木の樹皮が、その幹の中程近くまでもが、砲弾でも受けたかの如く、一撃爆ぜた。

 そして止まった巨漢の耳に、届く背後の風切り音……と、ここで再び視点を戻そう。

 消えゆく最後の天使を前に、バンと、背後で巨大な破裂音。

 それに驚き、義腕は身構え振り返り、

 

「うわぁ」

 

 驚きを通り越し、呆れた顔でそう呟いた。

 二抱えはあろう巨木の幹の、その芯の辺りまでもが抉れ弾け飛んでる。

 しかしその表情はすぐ引き締まり、力を込めた腕が空へと向いた。

 彼の必殺を躱したらしいその敵が、空を舞っている。

 翼獣は、異界上限知くまで空を昇ると、空中旋回、動力降下(パワーダイブ)

 誘いであっても知るものかと、それほどの勢いで背を向ける霊視へと、その爪を構えた。

 

「サイ!」

 

 そして、義腕の右腕から念弾が飛ぶ。

 予測射撃、放たれた念を避けんと動いた翼獣に、近接信管、弾は爆散。

 その勢いに速度を落とし、しかし尚も成れの果ては軌道修正。

 爆音、間違いなく気付いただろう霊視は、まだ背を向けたまま振り返らない。

 その驚きに義腕が声を上げんとした瞬間、霊視は動いた。

 隆々と盛り上がる腕が、爆ぜた幹の直上を抱きしめ(ベア)()捉えた(ハッグ)

 まずはじめに、霊視の纏う白いスーツの、そのあちこちから苦鳴を上がり、それは固め掴まれた巨木の幹へと伝染する。

 みしみしと、ギチギチと、届くその音が、翔意には物理法則の断末魔のように聞こえた。

 ねじ切る、毟り取る。一人では抱えきれない筈のものが、その腕の中で揺れて動いた。

 振り返る。毟り取った木を抱えたままに、その巨木を武器に構えて。

 その姿を目の当たり、一瞬、成れの果てはその顔を驚きに歪めた。

 しかし、今更それは避けられず、突撃の勢いは最早止まる事も難しいほど。

 せめてもの抵抗か、腕を突き出し更なる加速。

 矢の如く、光の如くに進む敵へと、霊視は手にした武器を振り下ろす。

 激突、上がる壊音は、天使が砕けたか、それとも打ち当てた樹が爆ぜたのか。

 そのどちらかは、傍で見守る翔意にはわからなかった。

 ただ判るのは、地に落ちた梢の下には大きな羽根が覗いて、そして、それが崩れるとともに、しゃんと、涼やかな音が一つした、それだけだ。

 こうして、この森に現れた最後の変異天使は消えた。

 崩れ去ったその後に、一竿の杖のみを残して。

 




対霊視メタ戦法とその対処をどうしようかと考えていたら
俺の頭の中の一大寺大和が、「カブキファンクションを使うぜ!」って言ったんだ。
メガトンメガトン…


・サイ
 念爆呪文……と言ってもわからないか?念爆は、字面の通り念じた所が爆発する超能力で、初代デビルサマナーのエフェクトは、変な輪っかの列がふよふよ飛んでって当たった所で爆発するものだった。思念波的なものが目標で収束して爆発する感じ?
 翔意のが弾丸なのは、アギ教室での学習と、サイコブラストで覚えた爆発的放出が混じっている為……と言う設定が一応あるが、ぶっちゃけそっちの方が描写し易いから。


・ムド
 サイ同様、うちの主人公のムドは鬱屈したものの放出投射なので、弾丸で飛ぶ。
 どうでもいい話だが、撃つと結構すっきりする。


・ラティ/葛葉ライドウ
 アクションRPGで位置取り要素のあるライドウシリーズに登場する呪文。
 下位魔法が三方に放たれるもので、アギ・ラティ、ブフ・ラティなど基本四属性の呪文が存在する。何でラティかと言うと、ウチの主人公がマハ使うと、自分の周囲全周攻撃にになりそうだったから。サイ系は念爆なので、リアルに考えるとフレンドリーファイアが恐ろしく、着弾点で敵方向に炸裂する方式のが使いやすいので。


・成れの果て/オリジナル
 権天使の成れの果て。変異は異界が高い者ほど時間が掛かり、途中で引っ張り出すと安定しない為、その内死ぬかスライム化するが、この個体は、霊視の足止め用に、無理矢理特化変異させられているのでさらに不安定。


・金剛杖/デビルサマナー
 托鉢僧や富士登山者、お遍路さん等が用いる、六角、或は八角形の長杖。
 何故かデビサマでは、魯班尺や法輪と言ったキリスト教とは程遠いアイテムを天使が落とすが、プリンシュパリティが落とす金剛杖もその一つ。
 金剛とは遍照(あまねくてらす)金剛(かがやき)、つまりは大日如来、或はそれを奉じた空海のことであり、金剛杖を用いて歩く事は、南無大師遍照金剛、「空海に帰依します」と唱えるのと同じ意味を持つ。つまり、金剛杖=空海の救いの手。
 毎回見ていて思うのだが、これでいいのか仏教よ!?あー末法末法(をい)。
 なお、本来錫杖――金属の輪が付いていてシャンシャンなる杖――と金剛杖は別のものだが、最近では錫杖の付いた金剛杖なども普通にあること、消える悪魔が八角形の木の棒をコロンと落として終わるのなんだかなと思ったので、これは錫杖タイプ。
 後列から攻撃可能な武器で、攻撃回数こそ少ないが、威力も命中も割と高い……が、これが手に入る頃にはより強い合体剣を作れる為、普通はまず使われないと思われる。
 と言うか、乗り換えるにはLv11ヘアリージャックが遺してくれる棍棒が強すぎる。
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