この話は星界ちゃんと可不ちゃんのおつかい合騒曲を流しながら読むと
まともに読めなくなります。
梅雨時、雨が降り注ぐ街の一角
黒姫零は買い物の為雨の降る街を歩いていた。
強くなっていく雨足に溜息をつきながら走っている。
黒姫零「はぁ…また降ってきちゃったな、傘持ってくれば良かった」
そうして前を進んでいるとふと、何故か足が止まってしまった。
大粒の雨の中、傘を差す人々が行き交う道の中1人の少女が雨に晒されてずぶ濡れで立っている。
そして不可解な点に気づいた。その少女を見ているのが自分しかいないことに、街を行く人々は少女に見向きもしていないことに気づいた。
ひと目でわかる程の異様な光景。
だが目を奪われてしまった。 視線を外すことができないほど目を惹かれてしまった。 名前も知らない彼女に。
〜事象開始〜
ショートヘアの銀色の髪、山羊の角をあしらった髪飾り、灰色のパーカーと黒いスカートを着たその存在はシンプルな服装をしているが、どこか蠱惑的な雰囲気を感じた。
黒姫零「えーとこんにちは? こんな所で何してるの?傘もささずにさ、風邪ひいちゃうぜ?」(人のこと言えないけど)
黒姫零は少女にそう話しかけるも、
???「こんにちは、お兄さんこそ何してるの?傘もささずにね?」
訪ねたことと同じ内容を上手く切り返されてしまった。
黒姫零「あ〜やり返された…僕はちょっと買い物にね?」
???「そうなんですね、どうして私に話しかけたんですか?」
黒姫零「この雨の中そんな風に女の子がびしょ濡れでいたら誰だって心配するでしょ?」
???「…親切な人、なんですね? もし私が悪い人だったり……それこそ人間じゃなかったりしたらどうするの?」
そんな変わった事を聞いてくる少女にあっけらかんと
黒姫零「人間じゃなかったらなんて面白いこと言うね?でも僕の回答はそうだな…君は君だろ?良い悪いなんて人の裁量だし、別に悪い人だからって差別したり拒絶したりなんてしないよ?それがたとえ人外でもね?」
そう言うと少女は困った様な嬉しい様な、そんな不思議な表情をした後、
???「怖いとは思わないんですね?…肝が座ってるといいますか…はっ!まさかロリコンさんですか?!…なんて…ふふっ」
イタズラな年相応の笑みを浮かべ冗談を言う。
黒姫零「僕16だぜ? 君とはそんなに歳の差ある様に見えないしロリコンは適用されませーん」
???「お兄さんは面白い人だね?…お名前はなんて言うの?」
黒姫零「僕の名前は黒姫零! よろしく!えっと君の名前は?」
???「私の名前ですか?私は……雨音、黒姫…零さんって言うんですね? こちらこそよろしくね、零さん」
黒姫零「…お〜!最初から名前呼びしてくれてる!よろしくね雨音ちゃん!」
自己紹介を終え、不思議な出会いにふたりはつい会話が弾んでいた。
黒姫零「それでさ雨音ちゃんは…」
突然、視界が歪む。
空間は歪曲し、街並みを写す景色は分断する。
色は異次元の極彩色に染まり、平衡感覚が無くなったように天も地も分からないような浮遊感に視界の歪みが大きくなるほど耳に入る雨の音や街の喧騒が大きく響く、ぐるりぐるりと廻る視界の中自分の身に何が起きているのかそんなことを考える余裕がなくなった時、電源を落としたテレビの様に意識はぶつりと暗闇へと落ちていった。
風邪かな?