超人達のクトゥルフ神話   作:黒姫卿

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段々と人としての道を外れていきます


黄昏時の精神病棟

夕陽が窓の外から差し込み、診察室をオレンジ色に染める。

浪漫の目の前にいる青年の顔に暗い影を作り出し、表情は伺えない。

 

浪漫「それで?話っていうのはなんだい?」

 

黒姫零「集団幻覚以外のことなんだけど…いい?」

 

浪漫「良いよ?僕でよければ聞かせてくれないかい?」

 

黒姫零「僕は…友達を殺そうとしました。」

暗い影に包まれた奥で蒼い眼が妖しく映る。

 

浪漫「…それまたどうしてだい?」

 

黒姫零「この前…ちょっとした事件に巻き込まれたんだ」

 

浪漫「事件…」

 

黒姫零「それで友達が殺されそうになった時、相手を殺そうと思った」

 

浪漫「それだけ友人のために怒れるのは素敵な事じゃないか?」

 

黒姫零「…そしてその後、倒れている友達を見て、殺せるって思いました」

 

浪漫「……なるほど」

 

黒姫零「ココ最近は道行く人々が無防備に歩くだけで手が出そうになるんですよね」

 

浪漫「それは…確かに危ない話だね?」

 

黒姫零「頑張って抑えてるんですけどね…ははっ」

 

浪漫「解離性同一性障害って知ってるかい?」

 

黒姫零「二重人格とかそういう?」

 

浪漫「そう、話を聞いている限り、君はそういう欲求が抑えきれなくなるほどのストレス反応があるようだけど、それを抑え込むことができているし、意識もしっかりしている。」

 

浪漫「欲求は度を超えれば超えるほど抑えがきかなくなるんだよ、でも君はちゃんと抑え込めてる。」

 

黒姫零「そう…ですかね?」

 

浪漫「そうさ、だから君が心配するほど危ない状態では無いと思うよ。」

 

黒姫零「…ありがとうございます」

 

浪漫「ナースの人に病室に案内してもらってくれるかい?1日…か2日、様子を見よう。」

 

黒姫零「はい」

そう言って黒姫零は診察室を後にした。

 

浪漫「……普通はそういう誰かを守ろうとしたことから始まる欲求というのは時間が経てば落ち着くものだが…それが段々と大きく……妙な話だね…それじゃあまるで、元々抑えていたものが出てきてしまっているみたいじゃないか?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ナース「黒姫零さーん?」

看護師が黒姫零の名前を呼ぶ

 

黒姫零「はーい」

 

ナース「病室の準備が出来ましたよ〜」

 

黒姫零「ありがとうございます」

 

ナース「一応精神科で受けたけど診察結果を見た限り、心に異常とかは無い検査入院みたいな物だから個室はとれなかったの、ごめんなさいね?」

 

黒姫零「大丈夫ですよ、他にも患者がいるでしょうし気にしないでください」

 

ナース「では案内しますね〜?」

 

黒姫零「お願いします」

 

そうして2階に案内されると

 

ナース「ではお荷物をお預かりしますね?」

 

黒姫零「荷物?特には持ってきてないですよ?」

 

ナース「一応携帯電話の方もお預かりしていますので…」

 

黒姫零「…分かりました」

 

ナース「ありがとうございますではこちらの203号室が黒姫さんとあともう1人、今日検査入院する人がいるので、仲良くしていてくださいね?」

 

黒姫零「…はい」

 

ナース「では、何か不明な点や必要なものがあれば、枕元のボタンでステーションと通話して下さい。」

 

黒姫零「分かりました」

 

ナース「それではごゆっくりどうぞ」

 

ナースは部屋から出ていく。ガチャン!と大きな施錠音がしたと思うと、ナースの足音が遠ざかっていく。

 

黒姫零「随分厳重なことで…」

 

???「おっ?君も検査入院かい?」

 

黒姫零「あ〜どうも?えーっと…」

 

心都勤「僕は心都 勤、家電作りとかしてるんだ」

 

黒姫零「そうなんだ?」

 

心都「そうそう、この炎天下の中作業していたら熱中症で倒れちゃってね?」

 

黒姫零「あはは、確かに暑かったよね」

 

心都「そしたら一応検査入院で1日いましょうって話になって、大げさだよな〜」

 

黒姫零「そうだね…」

 

心都「君はあれか?集団幻覚の被害者かい?」

 

黒姫零「よくわかったね?」

 

心都「いやぁさっきからその件でくる人が沢山廊下を通っているからさそうかなって思って」

 

黒姫零「そういえばたくさんいるって言ってたな…」

 

心都「そうそう、お互い携帯無くて暇だしさ、偶然同室になった訳だし仲良くなれたらいいな」

 

黒姫零「…そう…だね…!仲良くしよう?」

 

心都「おっ元気出てきたね!」

 

黒姫零「せっかくだし、楽しもう」

 

心都「そうそうせっかくなら楽しもうぜ ところで君の名前は?」

 

黒姫零「黒姫…零、黒姫零だよ、よろしく」

 

心都「黒姫くんか!よろしくね〜!」

 

そんなやり取りをしていると扉の外から声が聞こえる。

 

聞き耳DICE

黒姫零【聞き耳】70%→46% 成功

 

心都【聞き耳】33%→37% 失敗

 

黒姫零は部屋の外で浪漫が電話をしているのだろうか?話し声が聞こえる。

 

浪漫「いや……、目は付けられているんだけどね?……。……院長かい?まだ気付かれていないと思うけど…。失敗は許されないよ……、あ!?もう時間だ、また連絡するよ。」

 

黒姫零「浪漫さん?」

 

心都「なにか聞こえたか〜?」

 

黒姫零「…あ〜話声的なのが聞こえてさ」

 

すると、コンコンとドアを叩いて浪漫が顔を見せる。

 

浪漫「やぁ黒姫くん様子を見に来たよ、大丈夫かい?」

 

黒姫零「特に問題ないかな?良い会話相手もいるし」

 

浪漫の視線の奥で心都が軽く会釈をする。

 

浪漫「うんうん、それなら良かったよ 何かあったらすぐ呼んでいいからね?」

 

黒姫零「分かりました」

 

浪漫「それじゃあね〜」

 

そうして浪漫が去っていった頃には外はすっかり陽が落ち、夜の闇に包まれていた。




今回はこのメンバーです

黒姫 零

心都 勤

秋野浪漫
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