不知火「おらぁ!催眠!」
十字架を突きつけ目の前で指を鳴らす。
正直浮気調査とか性癖調査とかよく来る変な依頼はこれですぐに終わる、というかそういう依頼が多いのは正直やめて欲しいところだが。
……まぁそんな話は置いといてこの催眠術という技術は人から情報を得る上ではこの上ない程役に立つ。
不知火「はい、それじゃあ情報を…」
目の前にいる2人の男女目掛けて催眠をかけた…実際女の方は虚ろな目をして固まっている催眠がかかった証拠だ。それならなんで…
七夜朔「………?」
男の方はケロっとしてるんだよ!
不知火「なんでかかってないんだよー!」
七夜朔「…海月?」
幸いぼうっとした女の方に意識をさいている。
不知火「…くそっもっかいやって んぐっ!」
次の瞬間に顔を片手で挟まれる。
不知火「あにひやが」
上手く喋れないまま講義をしようとする。
七夜朔
[???]78%→17 成功 1+1d4→4
七夜朔「えっと…こう?」
目の前でパチンと指を鳴らす音がする それと同時に意識が遠くへと行く感覚がある。
不知火「へ?」(あっこれ…催眠かかる時の感覚だ…)
手を離すとかくんと力が抜けたようにぼうっと立ち尽くす。
ーーーーーーーーーーーーー
七夜朔「……まぐれだけどできた…」
縁部「…不知火さん?どうかしたんですか?」
近寄ってきた縁部知佳を七夜朔は視界に捉える。
七夜朔「…あの人の知り合い?」
立ち尽くす不知火紫を横目に縁部へと声をかける。
縁部「へっ?あっそうです!どうかしたんですか?ずっと立ち尽くしてますけど…」
七夜朔「……さぁ? 僕らに何か聞きたかったみたいだけど…」
縁部「…あっそうなんです…えっと麗ちゃ…友達を探しててもしかしたらここにいたりするんじゃないかって探してこのロンドンに来たんですけど…私と同じくらいの日本人の女の子見ませんでした?」
七夜朔「…いや…見てないよ…友達を探して日本からロンドンに来たんだ…頑張ったね」(そうか…ここはイギリスなんだ…)
縁部「いえ、むしろ頑張らなきゃいけないのはここからで…」
七夜朔「…ここにいるかもしれないなら探すのを手伝おうか?」
少し目を伏せた縁部知佳へゆらりと話しかける。
縁部「ほんとですか!助かります!」
七夜朔「…良いよ…やることなんてないから…それなら困ってる君たちの力になるよ」
少し自虐的に七夜朔はふっと笑う。
縁部「よろしくお願いします!私、縁部知佳っていいます!16歳の高校1年生で美術部に入ってます!あの人は一緒に手伝ってもらってる不知火紫さんって探偵の人で…お兄さんは?」
七夜朔「…僕は七夜朔、僕も…多分同じ歳」
縁部「えっそうなんですか!落ち着いてるしかっこいいから歳上のお兄さんかと…」
七夜朔「…よろしく?」
縁部「はい!よろしくお願いします!七夜くん!」
七夜朔の背後からひょこっと星見海月が顔をのぞかせる。
七夜朔「海月…どうして黙ってたの?」
星見「ふへへ…若人が仲良くしてると眩しくて話しかけられない…」
七夜朔「…それじゃ…人探しに行くから…」
星見「ふへへ…いいよ? 君は優しいから困った人は助けたくなるんだね…ワタシのことは気にしないでください、1人は慣れっこですから…きっとその辺の草木のように道端で踏まれても気づかれないような存在なので今日こうして七夜様に話を聞いて貰えて良かった…ふへ」
しょうがないと言ってその場から離れようとする星見海月はどことなく寂しそうに見えた。
星見「…うわっ…ふへへ…七夜様、どうしました?」
突然なにかに引っ張られた感覚に後ろを振り返る。
七夜朔「……海月も一緒に探してほしい…」
そう言ってその場から離れようとする星見海月の袖を掴んでいる。
星見「……ふへへへへ…ワタシに手伝って欲しいんですか?」
七夜朔「…だめ?」
星見「…力になれるか分かりませんよ?」
七夜朔「…また、海月の話を聞きたいから…小説もまだ読ませて貰えてない」
星見「ふへ…ふへへ……変わり者…わかりました…不肖ながらワタシもお探ししますね…」
満更でもなさそうな顔をしている。
さて、この探偵にも話を聞こう。
七夜朔「…ねぇ?…聞こえる?」
目の前で手をひらひらと振ると次第に意識を取り戻したようで
不知火「……はっ!おまえぇ!催眠は私の専売特許だぞ!」
そう言って目の前の不知火紫という女性が詰め寄ってくる。
七夜朔「…先にしかけたのはそっち」
呆れたような顔で言い返すとムッとした表情で
不知火「可愛くないやつ!」
と言って縁部知佳の腕を引きこの場を去ろうとする。
縁部「あっ待ってください!不知火さん!この人達も探すの手伝ってくれるって言ってましたよ!」
不知火「………まじぃ?…女の方はともかくあっちに力を借りるのはあたし嫌なんだ…けど…」
七夜朔・縁部「…」ジー
不知火「やめろぉぉ!無言の圧をかけてくるな!わかったよ好きにしろよ!一緒に探したきゃ探せ!」
縁部「説得成功ですね!」
七夜朔「…説得って言えるの?」
無言の圧に耐えきれず同行の許可を出したと同時に縁部がハイタッチを要求してきた為、それに軽く手を当てる。
不知火「…はぁ…で?えーと女の方は?なんで手伝うん?」
星見「…ふへへ…ワタシはこの子の付き添い…」
不知火「保護者か!」
星見「おまけみたいに思ってくれれば…」
不知火「なんかよくわからんけど……人手が増えたことは…いいこと…だよな!うん!」
そんなこんなで4人は美術館を回る。
先程見ていたゴッホの絵や有名どころの絵の何点かを見ることができるが自分達以外に日本人を発見することは叶わない。
[目星]
七夜朔[目星]70%→23 成功
不知火紫[目星]62%→41 成功
星見海月[目星]80%→63 成功
道中館内マップを見つける。
どうやら自分達はPermanent exhibition room 直訳すれば常設展示室というところにいるようだ。
縁部「あっ記念展のやつってこのすぺしゃるなんとかるーむってやつじゃないですか?」
不知火「…英語できないのか」(まぁあたしもズルしてるけど)
星見「…ふふふ…賑やか…」
不知火「…それじゃ企画展とやらを見に行こうじゃないか?」
縁部「おー!」
4人は企画展の方へと足を運ぶ。
人はそれなりにいるようで作品はというと、万人受けする…と言うよりは人を選ぶ様な気味の悪いものやグロテスクなものが多い印象を受ける。
縁部「わぁ…中々えぐいですねぇ」
不知火「芸術ってのはまーじでわからん」
若干否定的な2人を他所に星見海月は少し目を輝かせているようだ。
星見「独特な世界観…!ふへへ…参考になる…」
[聞き耳]
不知火紫[62%]→52 成功
星見海月[80%]→10 成功
すれ違うおばあさんが何やら言っており、どうやら出口の所にある絵が1番の目玉なのだろう熱心に見る人が多く不思議がっているようだ。
不知火「出口…あっちの方か?」
縁部「そうですね!人集りがありますし」
星見海月「……どんな絵だろう…ふへへへ…楽しみ」
[目星]
七夜朔[70%]→13 成功
[アイデア]
七夜朔[80%]→22 成功
前に行こうとする3人の前に白い線のようなものが見える。
思わずそれを手で払い確認するとどうやら蜘蛛の糸のようだ。
七夜朔「…?」
不知火「びっくりした、何だ急に…蜘蛛の巣か?結構この建物綺麗そうだけどな」
少し疑問が浮かぶものの先にある絵へと向かう。
縁部「rift...この絵ですか…なんか…怖いです」
星見「rift…裂け目……赤一色でまるで……」
不知火「うわぁ…ただただ悪趣味だろ…見れば見るほど気味が悪いったらない」
七夜朔「…」
七夜朔の眼には絵から突然太く巨大な節のある黒い脚が自身の腹部を貫く幻覚が襲う。
[SAN値チェック]
星見海月[39]→17 成功 1減少 SAN値38
不知火紫[70]→46 成功 0減少
黒姫零[70]→28 成功 0減少
ハッとする。
今感じたものはなんだったのだろうか…
白昼夢か…幻覚か…それとも?
爛々と目を輝かすもの
理解ができないといった目で見るもの
絵とは別のものを感じ、眼を細めるもの
この場に偶然揃った3人はそれぞれの、違った見方、感じ方をする。
芸術とは見る物によって見え方や感じ方が違うことは良くあることだ。
だが…そんなよくあるものとは違うものが潜んでいても
ここにいる人間はそれを知る術はない。
〜事象開始〜
不知火さん喋らせるの楽しい