超人達のクトゥルフ神話   作:黒姫卿

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新月の刺客は画廊を往く

太陽が地平線に沈み、周囲を夜の闇が包み始める。

 

夜の美術館にしては珍しいほどの人員が警備にあたっており、しかし真面目な業務という訳ではなく、周りの人間と話ながら雑に館内を歩いて回る人間が殆どだ。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

この部屋?だろうか…とにかくこの空間には窓と呼べるものはなくここがどこなのか今が何時なのかも正直分からない。

 

不知火「……あぁぁ痛ったぁ…」

 

ズキズキと痛む頭に苦い表情を浮かべ不知火紫は目を覚ます。

 

不知火「ここどこだよ…あぁ…頭が痛い…」

 

周囲を見渡し、痛みと共に段々と頭が回り始める。

 

不知火「……あ〜思い出てきたわ…たしか」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

……そう、確か

やけに戻るのが遅い2人の様子でも見ようと女子トイレに足を踏み入れるまでは良かったんだ

 

『…しまった、他の人に見られた時はどうするんだったか?』

 

やけに大きい掃除用のカートに押し込まれた縁部知佳と星見海月の姿を見て咄嗟に後ろに引き返して他の人間を呼ぶべきか、それとも1人で乗り切るか数瞬の迷いを生む。

 

『別に1人増えるくらい問題ないだろ』

 

不知火(もう一人!…しまっ)

 

1d6→6ダメージ

 

背後から聞こえた声に反応が遅れ、次の瞬間にはレンチが頭を叩く。痺れるような衝撃と遅れてやってくる痛みに意識を手放しかける。

幸い追撃は無かったものの2人の入ったカートとは別のものに入れられ、少しした後にカートが動き始める。

 

不知火(くっそ…しくじった…トイレの外に…運ぶのか…)

途切れそうな意識の中、十字架のネックレスをそっとカートの隙間から落とす。

 

不知火(…気づ……け…よ)

 

そして頭に走り続ける痛みとがたがたと揺れるカートの揺れを感じながらゆっくりと意識を手放した。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

不知火「あ〜…まじで最悪だ…久々に来たましな依頼かと思いきやとーんだ厄介物件拾った感じだ…」

 

物思いにふけていると途端に部屋が少し揺れ、天井からパラパラと埃が降ってくる。

 

不知火「…げほっ、ごほっ…なんだぁ?地震か?」

 

身体を起こすと近場に自分とは違いどこも縛られていない縁部知佳と星見海月の2人がすやすやと眠っている。 そして更に部屋全体を見ると多くの女性が倒れており、その周囲を赤い円が囲っている。

 

不知火「無事と喜ぶべきか私だけ殴られたり縛られた事の不条理を嘆くべきか迷いどころだな! おい!起きろよー!」

 

部屋内に少し声が響く。

 

不知火(まずっ…)

 

[聞き耳]

不知火紫62%→85 失敗

 

耳をすますが焦ったことで昂る鼓動の音が邪魔をする。

 

不知火「大丈夫……か?」

 

数十秒たっても近場で物音がしない為、少し安心して再度2人を起こそうとボリュームを抑えて声をかける。

 

不知火「おーい…起きろー」

 

すやすやと眠りこける顔を見て若干の苛立ちを覚える。

 

不知火「……頼むから気づいててくれよ…くそがき…」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

1人の男が口を開き、それに同調するように別の男が口を開いては暇を潰すように会話をする。

 

『にしても俺らみたいなゴロツキに仕事頼むとかここのお偉いさんは盗まれるとか思わんのかね?』

 

『ばーか盗んだとしても俺らみたいなのが芸術品なんか売るあてが無いだろ? 』

 

『それもそうだな 真面目に働かなくても朝までいるだけで金が入るなら儲けもんだな』

 

そう言った男が煙草を取り出すともう一人の男が天井に親指を向け火災報知器があることを知らせる。

 

『おっと、やべぇやべぇ変な騒ぎになるところだったな』

 

『外に出ようぜ自動ドアの開閉に必要なカードキーも配られてるんだし、ある程度サボってても問題ないだろ』

 

2人の男が美術館の入口をカードキーを使って開け少し進んだ先の喫煙所で煙草を取り出す。

 

『にしても俺らの雇い主もヤバいやつなんだろうな』

 

『はっ客の一部拉致ってるんだっけ? よく知らないが日本人のアドバイザーみたいなのが今回の個展とか企画してるんだろ?俺たちは知りませんでした〜で通そうぜ』

 

【日本刀・武道武器術】75.65%→42.46 成功 :峰打ち判定

2d8+2d4→[2.8.4.3] 17ダメージ

 

先程まで談笑をしていた男達にこの襲撃を警戒しろという方が酷というものだろう。

 

七夜朔『……君が今からする質問に肯定的な回答をくれることに期待…』

 

そう木の上から降ってきた少年は先程まで話していた男を横の壁にヒビが入るほど強く叩きつけ向き直った。

獲物を待ち構えた狩人というより静かにこちらを見つめる蒼の瞳は獣の様な獰猛さと昆虫の様な無機質さが同時に垣間見える。

 

『……は?何が』

 

『…?発音が悪かった?…まぁいいや』

 

【??流体術・キック】78.78%→20.53 成功

1d6+1d4→[3.3] 6ダメージ

 

思考が止まった男の脳を無理やり動かすかの様に男の腹部に衝撃が走り、後方に飛ぶ。

溜まった空気を全て吐き出す様に痙攣した横隔膜が上手く息をさせて貰えないこともあってか身体を起こすのに時間がかかる。

 

七夜朔『……良かった、手間が増えなさそうで助かる』

 

七夜朔は男の髪をつかみ、静かに問う。

 

七夜朔『僕の同行者がいる場所に心当たりがあるなら吐こうか?』

 

『分かった!分かった!言う!言うから命だけは!』

 

懇願する叫びを聞き、掴んでいた手を離す。

 

七夜朔『…ごまかしも嘘も禁止 分かった?』

 

『あっ…あぁ、わかったよ』

 

七夜朔『……さっき言ってた拉致している客はどこに連れて行ってる?』

 

『……多分地下だ…』

 

焦る男を冷たい視線で見つめながら聞き返す。

 

七夜朔『……多分っていうのは?』

 

『俺もあいつも見てないんだ!ただあいつが気絶させた客を地下に運んでるのを見たって言ってた!嘘じゃない!』

 

七夜朔『……君達はこの件に関係は?』

 

『無い!ただ夜間の警備をしてれば金をやるって言われて雇われただけなんだ!』

 

精一杯の弁明の言葉を吐く男を背にして歩き始める。

 

七夜朔『良かったね…関係者じゃなくて…これ、貰ってくから死にたくないなら帰った方がいい』

 

そう言って男が持っていたカードキーを手に美術館へと向かう。

 

七夜朔「地下…か」

 

カードキーを使い館内へと入っていく。

昼間とは違い、とても暗い…というのが入ってすぐに思う感想だった。

おそらく懐中電灯なんかがないと見づらいだろう。

 

七夜朔「合流したら足元に気をつけるように言わないと…」

 

【アイデア】

七夜朔80%→43 成功

 

七夜朔「そうだ…確か…館内マップがあったよな…」

 

昼間に見た受付の近くにある館内マップを探しに向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

星見「…んぅ……うへ? ここはどこでしょう?」

 

不知火「やっと起きたかよぉ…とにかくこの子起こすの手伝ってくれぇ」

 

目を覚ました星見海月に対して不知火紫は軽く文句を言いながら縁部知佳を足で揺すり起こそうと画策している。

 

星見「ふへ…人を足蹴にするのは良くない…」

 

不知火「しょうがないだろー!て縛られてるんだからー!」

 

星見「うへへ…ところでここはどこでしょう?」

 

回りをキョロキョロと見渡しては困った様に尋ねる。

 

不知火「美術館だとは思うぞ、そこのどっかしらの部屋に押し込められたんだよ…おーい!起きろよー!」

 

星見「…あの子は?」

 

不知火「あの子?あぁくそがきは多分捕まってないんじゃないか?むしろそうじゃなきゃ困るんだけどな」

 

縁部「うーん…はっ!寝てました!?私?」

 

不知火「…やっと起きたよ、ひとまずはあいつが救助読んでくれるの待ちって感じ」

 

不知火紫はそう言い、一息ついて壁にもたれ掛かる。

 

縁部「不知火さん頭の傷大丈夫なんですか!?」

 

不知火「…あ〜大声はやめてくれぇ 響く」

 

その言葉にハッとした様子で縁部知佳は口に手を当てる。

 

星見「…ふへ…怪我しててもここだと…なにも出来ないね…」

 

不知火「…まぁ怪我のことは良いってことにする。あいつが救助呼んでくれた時で」

 

縁部「あそこに倒れてる人達もどうにかして助け出さないと!あの中に麗ちゃんもいるかもしれないし」

 

星見「ふへへ…でっでも身元が無い日本人が救助とかお願いして警察とかは動いてくれるものなんですかね?」

 

縁部「あっ…それに私たちが捕まってることに気づいてなかったらどうしよう…!」

 

不知火「…あー!もう!不安になるような事言うのやめろよぉ!」

 

自分達が捕まってることも忘れて3人はやいのやいのと話していると閉じていた重々しい鉄製の扉が開く。

 

『おいおい、なにか聞こえると思ったら随分と元気そうじゃねぇか』

 

スキンヘッドで刺青を入れたガタイの良い男が入ってくるなり品定めをする様にこちらを見つめる。

 

不知火「…あぁー嫌な予感がするぞー?」

 

縁部「…奇遇ですね不知火さん、私もです。」

 

星見「ふへ…それは多分官能的な予感」

 

『日本人3人だったか? 暇だし多少遊んでもばれないだろ』

 

そう言って扉を閉めてこちらに躙り寄る。

 

不知火「今私英語分からないけど絶対ろくなこと言ってないってのだけはわかるぞー!」

 

縁部「私があの人にビンタなり隙を作ってその隙に逃げましょう!」

 

不知火「いやいやどう見てもあいつ力自慢タイプだろお前のビンタくらって怯むのが想像できん」

 

星見「ふへへ……できれば痛くないといいな」

 

不知火「諦めんなぁ!」

 

『なんか騒いでるがまぁいいかこっち来いよ』

 

そう言ってこちらに近づく男に向けて縁部知佳は平手打ちをしようと手を伸ばすが、簡単にその腕を掴まれる。

 

縁部知佳「きゃっ」

 

『活発で良いじゃねぇか』

 

不知火「おーい!その子に手出してみろ!ただじゃおかないからな!」

 

[聞き耳]

星見海月80%→21 成功

 

星見海月は扉の方を見ながら静かに言う。

 

星見「ふふふ…ちゃんと気づいてました」

 

【??流体術・キック】78.78%→7.55 成功

 

1d6+1d4→[4.4] 8ダメージ

 

男が縁部知佳に覆いかぶさろうとした時背後にある扉がバキンッ!と大きな音を立てくの字に形を変えてゆっくりと開く。

 

七夜朔「……あっ 見つけた」

 

不知火「よく来た!その男をどうにかしてくれ!」

 

『なんだこいつ?どうやって扉を』

 

【日本刀,武道武器術】75.65%→17.21 成功

 

【回避】20%→71 失敗

 

2d8+2d4→[4.7.1.1] 13ダメージ

 

寸前で男は気がつくも避けるよりも先に刀身が背中を通り過ぎる。

灼熱感と共に襲い来る激痛に男は意識を手放す。

 

縁部「へっ?えっ?」

 

小太刀を軽く振るい血を落として袖口に忍ばせると七夜朔は困惑したまま固まる縁部知佳に手を差し出す。

 

七夜朔「助けに来たよ」

 

ぎぃぎぃと音を立てる鉄扉を背に二度4人は合流を果たした。

 

 




王子様ムーブしてる様に見せかけて大分血なまぐさいですね
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