拙的に2000年頃に起こして欲しい草子   作:うすうす

5 / 7
開始(はじ)まってしまうのか? オリキャラ廻戦が———


たとしへなきもの

----/--/--

 

 なんか京に行くことになった。

 

 発端は我が居住に突然押しかけてた六眼氏。余りにも突然戸を開け放つので開口一番、文句の一つも言ってやろうかと思ったが、なんだかいたく動揺していたのでその気も失せる。直後自身の不穏な身体事情に思い至り、「これは(エラ)いものを見てしまったのだろうな」と同情が先に来てしまった。一体何を目にしたんですかね。怖いんですけど。

 

 六眼氏は名を杢憐(もくれん)と言うらしい。名字はあるのかと尋ねたら途端に口籠った後「伏せておこう。碌なものでもないから」と隠されてしまった。名字を忌むような下りは初期真希さんを思い出すな。親類が禅院家みたいなとこなのかしら。

 

ごじょさと以外に例が無いのでアレだが、糸目女性六眼持ちって属性はやはりどこか意外さがある。以前目にした際に っぽいか? とは思っていたがやはり女性であった。白髪ショートヘアのイケメンさんである。六眼持ちはみんな白髪美人なのかな。偶然? 何か因果はあるのだろうか。髪色が変わってると呪術適性も高いがちって話があったような気もするが……。

 

 さておき、この身が六眼的にどう視えるのかというのは気になっていたのでこの来訪は棚ぼたの好機であった。糸目がスッと開いて覗く綺麗な瞳に見つめられるのは相応にドギマギしたが、結論としてはやはり六眼とは呪力の流れを見通す眼なのであろう。表出の無いはずの範囲の呪力消費すら断言し、残穢以前に呪力そのものの存在を肯定する。一考の後特定を果たした術式に関しては、呪力がどう影響しているのか、その状態の観察の末に()()()たようだった。

 

私ってつまりなんなの、とまで急に問うのは流石に気が引けて無理だったにせよ、六眼での "観察" を間近で見られたのは中々良い経験であった。できることなら体験もしてみたいものだ。移植とかできないかな。でも裸眼で居るの辛くなるんだっけ? なら嫌かも……。杢蓮さんはしっかり視る時目を開くし、後天的糸目っぽいわね。

 

 ともあれ直後に不意の提案が飛んできて、なんだか軽い感じで上京が決まったのである。情報も人脈も動く機会も欲しかったし丁度良いでしょう。私はすぐさまそれに同意。

 

 そうして出発は明日とあいなった。明日かぁ。……明日!?

 

 

 

----/--/--

 

 どなどな。今ね。(すだれ)を貼った籠で運搬されている。

 

 昨日の今日とスケジュールが急過ぎてビビったが、別に何か用意するものもある訳でなし、何の支障もないかと気付いた翌朝。来た迎えは牛車(ぎっしゃ)付きであり、乗り込めば後はじっと待つのみ。この歳でも顔は隠されるものなんだなぁ、いいや歳の問題でもないのかなと悶々としつつも、暇だしなと心中を書き写してお茶を濁しているわけ。

 

 ところで昨日六眼さん、あー、杢蓮(もくれん)さんから聴いたお話に結構気になる名前が出てまして、ました。蘆屋道()とね、両面宿儺、ね。

 

うわー。

 

いや、なんの うわー かっていうと、巻き込まれたくないなっていうか、その。まず両面宿儺なんですけど。これは多分宿儺(すっくん)じゃないんですよ。"生じた" とか言われてたのも少し引っかかったけど、何より祓われてるらしいので。更には聴いてて思わず「両面宿儺?」って呟いたんだけど、「伝承の存在さ。二面四臂の鬼人だよ」って返答があったので。つまり両面宿儺とは未だ "伝説" でしかなく、実在する脅威では無さそうなのである。

 

なーんだ良かったって思いつつ脳裏に(よぎ)るのは、羂索とか宿儺とかやっぱ居るんだよなぁって話で。宿儺(すくーな)は新嘗祭出席してたし、つよつよ平安術師の部隊を退けて伝説になる筈だし。宿儺と羂索も知り合いみたいだったし、羂索は平安術師何人もと契約してるし。会いたくないよ。死ぬので。

 

 道満じゃなくて道摩なのもちょっと気になるし。シン陰流開祖の蘆屋貞綱さんは何処(いずこ)?? というのも考えるとやっぱ各々其々(それぞれ)いらっしゃる感じでしょうか。シン陰の成立がいつ頃かは分かんないけれど、呪詛師の領域展開流行っててやばいわーになった末でしょ。実は普通に京って他より危なくない? 羂索、宿儺、他 歴史に残るような呪詛師が現れるのってやびゅ.ᐟ *1

 

 揺れる車内で日記ってやっぱ無理があったみてぁ, *2

 

 

 

----/--/--

 

 無事に京にも着きましたということで一息ついた所。本日はですね、六眼さんのお師匠さんのところに連れて行かれまして。それでその、お師匠さんのお名前というのがその。

 

 安倍晴明サンです。

 

 お、大物〜〜〜……!! 居たんだ。いやそりゃ居るか。

 一応なんか、作中人物何某=安倍晴明説とかいくつか囁かれてた気がするし、"蘆屋" 貞綱が門下生の為に簡易領域を開発した善良サイドになってたから安倍晴明は悪役サイドに置いたりしてるんじゃねとか邪推してた事もあるんだけど。普通に市政の重役然としてイケ(じじい)の顔付きで居らっしゃる。

 

 それにしてもかなりお年を召していらっしゃったので恐縮ながら年齢を伺ったところ、80代との返答があった。……いや本当にお爺ちゃんじゃん! 想像よりも全然歳重ねててびっくり。まあ術師の爺さんが年齢不相応に元気そうなのは、仙人っぽいイメージに即して結構しっくり来る。

 

てか卓上で書類に手を付けてる様は仕事してる感じだけど、平安に定年とか無いんか……? みたいなとこが気になったが、問うまでもなく「最早趣味のようなものでね」との回答が返ってきた。さ、さいですか……。

 

 凛とした佇まいから覗く目は特に六眼とかでも無い普通の目な風なのに、眼を向けられているとどうにも奇妙な居心地になる。負けじと此方(こちら)も睨み返せば、ひとときの観察の直後、堅実な表情を途端に崩してにやにやとした嫌な笑みを向けてきた。

 

そこから発される「ナルホドよく視えている」とかいう台詞はどう受け取っても皮肉の色しか見出せない声色を伴っており、あぁなんか、嫌な(良い)性格してるんだなこのジジイと瞬時に結論付けることができてしまうのだった。私と一緒に六眼さんも嫌な顔してたので、苦労してるんだなと同情が生えた。

 

 全く、他者を省みない軽薄さ枠は五条悟(ごじょさと)1人で充分だろうて。

 

 まあ平安に居ないもんね、五条悟。 ……。

 

 ともあれ、折角だし術師になりなさいと言われ、そうなった。6さいガキ術師の爆誕である。あゝ平安、労働基準法*3なんてものは無く。……呪術高専の生徒らってアルバイトとして働いてるのかな。或いは公務員判定?

 

 

 

----/--/--

 

 安倍家所属、()()()()()()()()()()直属の術師の身分*4を手に入れた私は、京に住まいを得ることとなった。ジジイ直属というのは六眼さんも含め、他にも幾人かの人員がいるらしい。これは()(まで)晴明の個人的な部隊であり、公式のものでは無いとか。爺さん個人で "武力" 持ってるのいいの? となったが、まあ悪いことには使わんでしょと普通に黙認されているらしい。そういうもんか。

 

 爺さん持ち前の謎の予見力で()って、才覚アリの(あぶ)れ者の集めたり集まったりしている中。身寄りの無い者は爺さん個人の持ち家を寮として居候させており、私もそこに入ることとなった。折に人の集まってお勉強の始まる様なんかは中々寺子屋的であるとか。学びのありそうなものである。

 

 そのようなこととなった末。新居へと(いざな)われ、早速邂逅した同寮のメンバーは2名が居た。

歳は10と少しの、双子の兄妹。六眼の杢蓮(もくれん)氏が任中に出会い、身寄りの亡くした所を保護したという面々。

 

 (あぶ)れ者を集めていると言うだけあって成程、やはり一風変わった奴らであった。

 

 

 

 

*1
急に乱れた筆跡が絡まり、飛び跳ねている

*2
急に筆跡が乱れ、絡まっている

*3
労働基準法 第56条: 使用者は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了しない児童を労働者として使用してはならない。他

*4
言及する場合、対一般には『陰陽師』等を名乗ることになる

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。