貴女は夢の中で彼女に出会い、彼女の暇つぶしに付き合う事になる。
——深淵の楽土、その内側にして外側、新たな脅威との邂逅の物語、その断片である。

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破棄並行世界記録

「やぁ、矮小な人類共! 余こそ魔皇ことアーちゃんである!」

 

 何もない空間で一人女の子(魔皇)は語る。

 夢幻の虚空の中で微睡む貴方達(読者達)に向かって。

 

「メタいとか、お前爪垢で権能使えないじゃん! とか思った奴、本来なら処刑ものだが、今の余では干渉できないから許してやる!」

 

 魔皇(アーちゃん)は尊大に語る。

 彼女にとって、他の世界を覗き見たり、他の世界に語りかけるのは権能以前の問題。

 人間が見たり話したりするのと同じくらい当然のことだ。

 

「では、本題だ。ある世界……いや、世界だったが正しいか、その話をしよう。なぁに余の暇つぶしだ、付き合え。本来なら語る(こんなこと)できないが、理性を得たゆえできる遊びだな! それでは……」

 

 ———語るとしよう。

 

 その世界の地球は至って普通だった。

 人々は普通に暮らし、つまらんニュースが流れ、ささやかな平穏を味わうと共に裏では悲しみも怒りもある、そんな普通の世界だった。

 だが、ある時、本体(アザトース)が寝言を言った。

 いつも吐いてる呪詛とは違う、ただの寝言。

 それを持ってこの世界は破棄されることが決まった。

 ある()()によって。

 円盤が地球側に確認されたのは三年後、それまでの間に他の星の生命は根絶された。

 円盤の存在が確認された段階で世界中の魔術師や奇蹟使い、あらゆる能力者と国が団結することが約束された。

 それだけ円盤は危険だったのだ、彼ら人類が見ただけでわかる程度には、な。

 その二年後、円盤は地球に到着した。

 銀に鈍く輝く顔のようなものが縁にある下に穴の空いたステレオタイプの円盤は、到着と同時に穴から尖兵たる銀の戦士達を無数に呼び出し、人々を虐殺させた。

 無論、人類は抵抗した。

 能力者達は市民を守るため闘い、国々は軍と武器を使って円盤に攻撃し、そして銀の戦士達を倒していく。

 それでも銀の戦士達は減らない、増え続ける。

 円盤にはダメージすら無い。

 次第に数の暴力で一人、また一人と死んでいく。

 最早、民を守るのも不可能な状況で奇跡が起きた。

 能力者(彼ら)の死体が地球規模の回路(パス)となって民の願い……生きたいと言う願いを叶えたのだ。

 そうして現れたのは現実(リアル)非現実(フィクション)、あらゆるモノから溢れ出た英雄(ヒーロー)達だった。

 それこそ、子供が考えたヒーローも含めてな。

 そうして古今東西のあらゆる英雄(ヒーロー)による世界を守る戦いが始まった。

 銀の戦士達はどんどん倒されていき、軍事技術や能力者の力でも傷つけられ無かった円盤にダメージが入り始めた。

 しかし、それがいけなかった。

 円盤は学習したのだ。

 何故なら()()()()()()()()()()()()()()()()

 彼はすぐさま理解し、奇跡を起こした術式をハッキングし()()した。

 彼が呼び出したのは英雄(ヒーロー)達が最も恐れた存在(ヴィラン/モンスター)を更に()()

 彼らの登場により形勢は少しずつ傾いていく。

 一人、また一人英雄(ヒーロー)が倒れていく。

 それでも彼らは諦めない。

 例え信念は違えど今はただ無辜の民を助ける為に連携を取り、恐れた存在(ヴィラン/モンスター)を倒していく。

 あと少し、あと少しで円盤を倒せる。

 その時になって、円盤は(わら)った。

 彼は他の世界の情報(データ)を閲覧し、自らに適応させ、最低最悪の一撃を放った。

 自身の内に限界まで重力を圧縮し、解き放つ。

 星々を、銀河を世界そのものを飲み込む超重力の漆黒の大孔『ワールド・エンド・ブラックホール』。

 今までの英雄(ヒーロー)達の奮戦を、人類の抗いを全て嘲笑うかのように円盤を中心にブラックホールはこの世界全てに広がった。

 そう、()()()()殿()にまで……

 直後、この世界は破棄され、()()()()ことになった。

 円盤のみを除いて。

 円盤だけは消去できなかった。

 あの円盤は魔皇(アザトース)の改変を耐え切ってしまった。

 しかし、代償は大きく円盤は無期限の停止状態となった。

 無くなった世界はそのまま円盤を封じ込める牢獄となった。

 

「と言う話だ。まぁ、円盤……面倒だから『END』とでも名付けるか。『END』は停止状態で封印された。あれは間違いなくアザトース()に次ぐ大災害だろうな。そして『END』の封印を解けるのは余だけ……まぁ、力を使えるようになったら呼び出してみるのも悪くは無い……な?」

 

 そう言って少女は笑みを浮かべ消えていく。

 一夜の夢幻、ひどい悪夢はこれにて終わりを迎える。

 しかして、本当の『END(終わり)』は彼女の力が戻り次第、気まぐれでやって来るのだ。

『END』はあくまでその一種でしか無いが……


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