幕間の物語 深淵楽土の日常   作:ラットマンΣ

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賭け事には気をつけよう!

 ———蒼葉邸 某日

 

「私のお小遣いがぁ……」

 

 アキルは広間で項垂れていた。

 と言うのも、アキルは先ほどある人物と賭け事をして負けたのだ。

 その人物は———

 

「いやぁ、儲けた儲けた! これからも良き友人ケイトちゃんに貢いでね♡アキル!」

 

 ケイトだ。

 賭けの内容はシンプル、互いの一カ月の小遣い5万円から任意に賭けに出し勝った方が総取り。

 全額無くなるか、負けを認めて土下座した時点で終了。

 と言うものだった。

 そして賭けに使われたのは格闘ゲーム『スーサイド・ファイターズ』、プレイヤーの実力で勝敗が決定するキャラクター対戦ゲームだ。

 あまりゲームをやらないアキルがどっぷりハマり込むくらいには人気のゲームで事実、アキルは予玖土町の大会で優勝しているくらいにはやり込んでいる。

 しかも今回の賭けに使う物の選択権はアキルにあったのだ。

 故にアキルは勝利を確信していたのだ。

 だが、現実は非常だった。

 アキルは毎試合ケイトにギリギリで負けて少しずつお金を失い、更にはケイトの挑発に乗って賭けから降りずにムキになり結果、今の醜態を晒しているのだ。

 

「じゃ、ありがたくもらっていくわねアキル♡」

 

 そう言ってケイトは部屋を後にした。

 

 

 

 ———蒼葉邸地下 グレンの部屋

 

「って事で儲けたわけよ!」

 

 ケイトは先程の出来事を自慢げにグレンに語る。

 

「お嬢もやめときゃ良いのに……ちっと考えればコイツに()()()()()()な賭けだってわかるだろうに……」

 

 グレンはボヤく。

 その言葉は事実だ。

 何故ならケイトは職業柄、あらゆる事に対するスキルが異常に高い上に身体スペックが人外レベルなのだ。

 その上でずる賢く卑怯な事も笑顔でやるタイプの人間だ。

 故に、彼女との賭けは賭けではなく貢ぎに近いのだ。

 

「いやぁ、アキルは単純だから引っかかりやすくて助かるわぁ! これでまたお金が増えた♡」

 

「いくらでも金はあるだろうに……つうか、格闘ゲーの件だが、お前()()()しただろ?」

 

 グレンがケイトに問う。

 

「勿論! だってその方が気づいた時の反応が面白いもの!」

 

 悪い笑みを浮かべてケイトは嬉々として答える。

 

「いやぁ、フレーム単位で見えて最速入力できる人は言うことがすげぇわ。あまりにもクソやろうすぎて笑えるぜ」

 

 グレンは乾いた笑いを上げる。

 

「グレンったら酷い〜拷問しちゃうぞ♡なんちゃってね! まあま、アタシは性格腐ってるからね! 何せ『紅い厄災』ですから!」

 

「よく知ってるよ……ったく、お嬢で遊ぶのも程々にしとけよ? そのうちクリスが飛んでくるぜ? 兄貴は案外キレると超怖えからな!」

 

 グレンはケラケラと笑いながら語る。

 

「ま、私もアキルに嫌われたいわけじゃ無いし程々にイジるくらいにしとくわよ。それに……」

 

 ケイトはグレンの方を見つめる。

 

「オモチャはまだあるしね!」

 

 その一言を聞いたグレンは一目散に逃げようとする。

 

「はいダメ〜」

 

 が、グレンはすぐさまケイトに捕まってしまう。

 

「またかよ! チクショウメ! なんで俺の周りはこんな奴ばっかなんだよぉ!」

 

 そんな声がいつもの様に館に悲しくこだました。

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