転生して氷の王女と田舎でスローライフをおくりたい 作:桐ヶ谷 雅輝
サリヤのレイラに対する呼び方が原作でも使い分けられてるんですけど基準がいまいち分からないんですよね。ありがちなのは周りに人がいるかだとは思うんですけど
穏やかな昼下がり、城の一角にあるこの部屋には春を主張する暖かな陽があたりおぼろ雲が遠くまで流れていく。
「今日は暖かいですね」
春の陽射しと子鳥のさえずりを聴きながら今日も外を眺めていた。私もこの窓から鳥のように自由に世界をまわりたい…誰もいないどこか彼方まで。そんなことを考えながら今日も城下の様子を眺めていたらコンコンとノックの音が響いた。
「レイラ様、サリヤです。入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「失礼します、レイラ様」
「いつもご苦労さまサリヤ」
私専属のメイドのサリヤ。脚が動かない私が氷魔法を使えると知った途端笑いの仮面を貼り付けて近づいてくる人たちだらけのこの城で唯一変わらないでいてくれた私の幼なじみとも言えるメイド。
車椅子の向きを変えて扉の方を向けばサリヤは何やら木箱を抱えていました。
「サリヤ、それは何を持っているんです?」
「今日はレイラにお土産を持ってきました。いま巷を賑わせているリバーシという玩具です」
「玩具…ですか?」
「はい。二人で遊ぶ玩具なので迷ったのですが、貴族の間でも流行ってるのでお茶会などでお話のきっかけになればと。私も最近家族とハマっていますの」
「ふふ、気づかいありがとうサリヤ。開けてもいいですか?」
「はい!やり方を説明するので一緒にやってみましょう」
受け取った木箱をテーブルに置き、開けてみるとそこには正方形の板に縦横に線で区切られてる物が一つと表裏で色の違う丸い板がたくさん入っていた。
「これはまた…この板に丸いのを置いていくのかしら?」
「勘が鋭いですね、この線で区切られた8×8のスペースに交互に置いていき、最終的にこの丸いコマの色が多い方が勝ちです」
「なるほど…ということは途中で色が変わるのですね?」
「その通りです。最初に真ん中の4マスに同じ色が斜め向かいになるように置きます。自分の色で相手の色を挟むように置いていき、挟まれた場所は引っくり返して色が変わります」
「なるほど、お互いに陣地を取り合う遊びなのですね」
聞いた限りシンプルなルールで加工も木を切って色を塗っただけの簡単なもの。これが流行ったらコストは低そうですしだいぶ利益が出そうですね…考えた人はすごいですね。どんなものを食べて、どんな景色を見てたらこんな物を思いつくのか一度お話を聞いてみたいです。
「相変わらず理解がお早いですね。今本当に10歳ですか?」
「子供の方が新しいものを受け入れられるものですよサリヤ。それよりあなたも席について遊んでくださいな」
「ふふ、分かりました。では黒から始めるそうなのでレイラ様は白でお願いします」
「初めてでも負けませんよ、サリヤ」
「36対28で私の勝ちですね、サリヤ!」
「そ、そんな初めての人に負けるなんて…家族では1番強いのに…」
「思ってた以上に奥深そうですね、こういうのを研究するのは魔法に似てて得意ですよ」
「気に入っていただけたなら良かったです。街でも遊んでいる人を見かけるので、大会などが出来たら参加するのもいいかもしれませんね」
「私の立場的に難しいでしょうが出来たら嬉しいです。にしてもいったい誰がこんな画期的なものを作ったのでしょう?」
「それはドラゴンスレイヤーのスロウレット家ですね。こないだお出ししたパスタと同じですよ」
「またスロウレット家ですか…あの家の方は元は冒険者だからかあまり商売っ気を感じない方でしたけど何か変わったことでもあったのかしら?」
ノルド様もエルナ様もあまり王都に出てこられないので数度お顔を拝見した程度ですがエルナ様の家系が商会をされていたはず。その影響でしょうか?
「なんでも、スロウレット家が最近出してる物は次男様が全て作ったとの噂ですよ。魔法の適性が多いのに、魔法は生活を豊かにするために使うと攻撃魔法はあまり使わない変わった方だと商会の方が言ってました」
「スロウレット家の次男…確か長男のシルヴィオ様が私と同い年ですから年下ですか…」
「今度のリーングランデ家のパーティに来ると聞きましたよ、確か7歳で土や水、氷魔法をよく使っているとか。」
「7歳で氷魔法!素敵な魔法の才をお持ちなのですね。一度お話しを伺いたいです」
「機会がありましたらお茶会に誘ってみるのもいいかもしれませんね」
そうサリヤが言うと机の上を片付け始めてしまいました。私は車椅子を動かしていつもの窓際に行きいつもより少し遠くを眺めながら今日も自由に思いを馳せます。