転生して氷の王女と田舎でスローライフをおくりたい   作:桐ヶ谷 雅輝

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氷の王女と秘密の手紙

「レイラ様、()()()のお味はいかがでしたか?」

「想像以上でしたね、また食べたいです」

「それは良かったです」

 

 スロウレット家との挨拶が終わり、他の普段王都に居ない貴族との挨拶も終わり出来た時間での会話。姉上は既に椅子から離れノルド様にダンスを誘いに行ってるし父様達は疲れたから休憩とばかりに食事を楽しんでいる。私は少し疲れたといい別室へと移動中だった。こんな会話をしてるが、私はパーティ会場で()()()()()()()()()

 

「実際にお会いして確かに魔法はよく訓練されているようでしたけどそこまで気になる程でしたか?ご長男に比べたら地味な印象ですけど」

「見た目の話はしていませんサリヤ!そういう目では見ていません!」

「ふふ、相手は年下の子供ですものね」

 

 そう言って親が我が子を見守るように微笑みながら別室のドアを開け紅茶の準備をするサリヤ。メインとは我が儘を言ってパーティに呼んでもらったアルフリートの事だった。

 

「私の見た物と推測が正しければ彼は無属性魔法シールドを床にして空を歩いていました。宮廷魔法師達でさえ実戦で一歩分用意するのがやっとのことを非戦闘中とはいえ7歳の子供が平然とやってるのです」

「確かにそれが本当なら凄いことですね、魔力の流れも自然でしたし」

 

 挨拶の際に魔力を目に集めて彼を見ていましたが、太い川のような流れが彼の体を巡っていました。それこそ私よりも魔力が多く感じるほどに。あの若さで一体どんな訓練をしたのでしょうか…

 

「それに私が気になってるのは見た目じゃなくて中身、発想力であって…」

「分かりましたよレイラ様。それで、例の件はどうなさいますか?」

「もちろん実行することにします。私だと、王城はともかく王都から出るのは厳しいですからね。機会は大切にしないと」

「かしこまりました、でしたらこちらにご準備が出来ております」

 

 そう言ってサリヤが私の前にある物を差し出した。さて、パーティが終わる前にさっさと済ましてしまいましょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ふぅ、王族との挨拶はやっぱ色々疲れるな。夜風に当たりながら中庭の庭園でも眺めるとしよう。そう思い、バルコニーに移動すると周りの高い王城のお陰かあまり風がなく冬にしてはそこまで寒くなかったが、周りには他の貴族の姿はなかった。中庭にはスイセンのような冬にも咲く花が彩られているが、秋くらいの花も混ざってるように見える。もしかしたら魔道具で気温を調整しているのかもしれない。

 

「失礼いたします」

「うぇぇ?!」

 

 花を見ながら魔道具でもないか探していたらいきなり後ろから声をかけられた。振り返るとどこかで見た気がするピンク髪のメイドさんが立っていた。バルコニーはそこそこ重いドアを開けなきゃなのにいつの間に入ってきたんだ?

 

「驚かせてしまい申し訳ありません、アルフリート・スロウレット様でお間違いないですか?」

「え、あ、はい。そうですが…あ、先程の?」

「第三王女殿下、レイラ様のお付きのサリヤと申します。以後、お見知りおきを」

 

そう言うと彼女は王族直属にふさわしい綺麗なカーテシーを見せた。既視感の正体はさっきの挨拶の時の記憶か。

 

「よろしくお願いします。それで、王女様のお付きの方が何か御用でしょうか?」

「レイラ王女殿下から言伝をお届けに上がりました」

「言伝?」

「他言無用でお願いします。と」

 

彼女はそう話しながら懐から小さな手紙をこちらに差し出してきた。裏には王族の封蝋がされているので、他言無用とは恐らくこの中身のことだろう。

 

「手紙の存在について…」

「そちらも他言無用でお願い致します。ご迷惑はおかけしませんので」

「…承知しました。確かに受け取りました」

「ありがとうございます、それでは失礼致します。そちらはパーティ終了後にご覧下さいとの事です」

 

彼女は見事な礼をまた披露してバルコニーを去っていった。今気づいたんだけど足音がしなかった。ほんとにメイドさんだよね?とりあえずこの手紙をバレないようにジャケットの裏にでもしまっておこう。

 

「へっくし!うー流石に寒いな」

 

冬なのに外に居すぎたかな。そろそろ会場に俺も戻らないと風邪を引いてしまう。もうすぐパーティも終わりそうだし一旦中に戻ろう。

 

中に戻るとちょうどアレイシアが同い年くらいの男子と踊っているところが見えた。婚約者はいないはずだから相手は近縁の人とかかな?しばらく眺めていると曲が終わり互いに礼をするとこちらにアレイシアが歩いて向かってくる。

 

「けん玉はダメなのにダンスだと様になるね」

「嫌味かしら?あなたと違って機会が多いから練習もしてるわよ」

「様になってたのは本当だよ、俺にはダンスなんて無理だからね」

「人間死ぬ気になれば何とかなるものよ、そうね…せっかくだから私と踊ってくださる?」

 

言うが早いか、いつの間にかアレイシアが華麗に一礼しながら手を差し出していた。

 

「…本気で言ってるの?笑われても知らないよ」

 

 収穫祭に来た時とのギャップで思ったよりキュンと来ちゃったのが癪でちょっとからかっただけなのに。こんな大きいパーティなんて国の英雄とはいえ田舎の成り上がり貴族に縁なんてそうないからダンスの練習なんて最低限しかしてないのに!

 

「あら、私はいつでも本気よ。それにあなたのせいで笑われたら自慢の槍で半殺しにしてあげるから大丈夫よ」

「それ大丈夫じゃないよね?!」

「なら、死ぬ気で踊ってくださる?それとも女性が誘っているのに断って恥をかかせるのかしら?」

 

ぐっ、確かに女性が誘っているのに理由無く断るのはマナー的にもNG。どっちにしてもダメなら恥をかかせる可能性が低いほうに賭けるしかないじゃないか!

 

「…こちらこそ喜んで、お嬢様」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 その後、踊っているところを見つけて「私もアルと踊るー!」とラーちゃんが続いてきたり流れでシェルカとも踊ることになったりなど色々あったが無事にパーティは終わり屋敷に戻ってきた。もうしばらく貴族らしいことはご遠慮したいな…

 

「さて、ようやく休めるし寝る前に例のアレを確認しとくか」

 

 部屋の前を1度確認し誰もいないことを確認してから、寝室の机に仕舞っておいた手紙を取り出した。正直迷惑をかけないとは言っていたが、王族からの手紙という時点でとてもめんどくさいんだよな…

予め用意しておいたペーパーナイフで蝋を傷つけないように開封して中身を確認すると上品な花の模様付きの紙が一枚出てきた。

 

「えーと肝心の内容は…『明日の2回目の鐘が鳴る時間、初めての場所で』か。また空に登れってことか?」

 

あの時の奴と同一人物だとバレてしまったのはもう仕方ないが、あまり王族とは関わりたくないんだがなぁ…氷魔法について色々話してみたいが、うちはもうクーデリア様の相手だけでお腹いっぱいなのだ。

 

「とりあえず王族の呼び出しに応えない訳にもいかないし、早く寝ておくか…手紙は空間魔法に仕舞っとこう」

 

上手いことラーちゃん達に捕まらないでひとりで出かける作戦を考えておかなきゃな…

 

 翌朝、皆で朝食を済ませた後に人形劇関連でドール子爵と話してくるといい何とか1人で街に抜け出せた。魔道具店などを見て時間を潰しながら2回目の鐘が鳴る時間でシールドを使って空に登っていく。以前見かけた窓と同じくらいの高さで待っていると窓から昨日もあった綺麗な金髪に海のような綺麗な碧い目の彼女がこちらに手を振っていた。こちらも手を振り返すと彼女は確認して満足そうにした後、後ろを振り返った。どうしたのか観察しているとメイドさんが何かを持ってきたようだ。彼女は渡されたものをこちらに掲げて何やら手招きしている。あれは大きめの紙か?えーと…『お話ししませんか?』って書いてあるんだが?城に入れってまさか言ってるのか?えぇ…

 

 

 

「本当に彼が来ているのですか?」

「ええ、肉眼では少し見にくいですが私には見えてますよ」

 

どうやら昨日の彼はこちらのお願いを守ってくれたようです。今は振っていた手を止めて少し困ったような顔をして立ち止まっている。

 

「だとしても、城に入ってくれというのはまずいのでは?不法侵入ですよ」

「良いじゃないですか同じ国の貴族ですよ。それに王女の許可付きです」

 

確かに、こちらが招いたとはいえ正式な訪問では無い以上不法侵入に問われると思うがそこは私が庇えばいい話。それに、ドラゴンが侵入したこともある街で上空への警戒が足りてないと言えば警備の方も強くは出れないでしょう。申し訳ないですが、口先ばかりの貴族なんてどうでもいいのです、私は私のやりたいことをしたいのです。

 

「まだお会いしたばかりではないですか、何かあったら全力でお守りしますからね」

「その時はお任せしますよ、サリヤ。でも、彼なら大丈夫だと思いますよ」

「そんな事何を根拠に…」

 

サリヤからしたら、確かに何故私が彼のような子供に入れ込んでいるのか分からないかもですね。でも、私には彼が目から離れない。

 

「彼はこの足を哀れそうに見ませんでしたから」

「…レイラ様…」

「それに、彼は空まで自由に自分の足で進んでいける私の理想…是非ともお話が聞きたいのです」

「かしこまりました…このサリヤ、レイラ様にお仕えすると決めた時から覚悟は出来ています。」

「ふふ、ありがとうサリヤ」

「勿体なきお言葉です」

 

サリヤが理解のある人で本当に良かった。これからも迷惑をかけると思うけどどうか許してほしい。

 

「さて、彼はこちらの誘いを受けてくださるかしら…」

「それは私のことでしょうか、王女殿下」

「え?!」

「アルフリート・スロウレット、殿下の招待を受け馳せ参じました。」

 

少し目を離した隙にいつの間にかそこには、窓枠に乗り王族への最敬礼をしている彼がいた。




書きたいシーンがようやく書けそうです。
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