鋼鉄の咆哮の短編的なナニカ   作:꒰ঌ流✧星໒꒱

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航空機すてねこのお話

今回のお話の内容のあらすじ

赤ちゃんができるまで
・男女がおせっせ
・朝チュン(朝チュンチュン鳴いている)のスズメが窓から確認
・スズメがコウノトリに連絡
・コウノトリがおせっせ
・赤ちゃんの発生
・コウノトリによる輸送



すてねこ飛行隊

 吾輩はねこである。一流の航空機乗りだ。

 我輩のご先祖様は、かつて存在した第零遊撃部隊指令の飼いネコ『みぃちゃん』の名を持つ由緒正しいねこなのだ!

そんな吾輩は今、空母『おおたか』の上でお昼寝をしている最中だ。

「にゃーん……(眠い)」

 吾輩はあくびをしてゆったりとすごしている。

ちなみにこのおおたかというのは、吾輩の家名でもある。つまり吾輩は、由緒正しきねこであるのだ!

「にゃんっ!?(なんか寒気がしたぞ)」

 突然だが、吾輩には最近悩みがある。それは……

「あっ! みぃちゃ〜ん!」

 吾輩の姿を見つけた幼女がこちらへ駆け寄ってくる。その幼女の名はあやせちゃんという。

「あぁ〜可愛いよぉ〜」

 そう言ってあやせちゃんは吾輩を抱きかかえる。あやせちゃんは吾輩より背が低いため、必然的に引きずられる事になる……

「にゃー!?(禿げるからやめて!?)」

 床に引きずられて、我輩のキューティクルな毛が!本当やめて!

でも、あやせちゃんに容赦は無い。

「さあ、みぃちゃん。お散歩しましょうね!」

 抵抗むなしく、我輩はあやせちゃんに引きずられていくのだった……

 

***

 

 吾輩が生活している空母おおたかとは、航空機を多数搭載し、海上での航空基地の役割を果たす軍艦の事だ。

 そして吾輩は、おおたかの中でも特別な部屋に住んでいる。そこは提督室と呼ばれる場所で、そこには立派な机が置かれている。

「おとーさん!みぃちゃん見つけたよ!」

「でかしたぞあやせ隊員。よし、ご褒美の飴だ」

「やったー!」

 提督と呼ばれた男は、吾輩を引きずる幼女の頭を撫でる。彼は、この空母の艦長を務めている。

「しかし、本当にみぃちゃんが好きなんだね」

「当たり前だよ! みぃちゃんは私の友達だから!」

 幼女は胸を張って答える。それを聞いた提督は少し驚いた顔をして言う。

「友達? みぃちゃんが?」

「うん! みぃちゃんも私とお話したいって言ってたもん!」

「ほう……」

 提督は感心するようにうなずく。確かに、吾輩の言葉を理解する人間は限られている。その中で、最も理解力があるのは、提督とあやせちゃんだ。

「ところで、あやせ隊員。そろそろ訓練の時間では?」

「えぇー!? もっと遊びたいよー!!」

「ダメですよ。軍人たる者、いついかなる時も任務を遂行できる状態を維持する義務があるのです」

「ぶぅー」

 あやせちゃんは顔を膨らませ不満を訴えるが、訓練という名のお勉強は待ってくれないのだ。

「ほら行きますよ。お父さんが送っていくから」

「わかったよー。じゃあみぃちゃんまた後で遊ぼうね!」

 そう言ってあやせちゃんは提督に連れられて行った。

「ふにゃぁ〜(眠い)」

 提督とあやせちゃんを見送った吾輩は、提督室のソファーであらためて寝るのだっ……

「そうそう、戻ったらみぃちゃんにもお話があるから」

 どうやら、寝れないらしい。

 

***

 

「さて、みぃちゃん。君に任務を言い渡す。先ずは資料を読んでくれ」

 あやせちゃんを送り出した後、提督は我輩に一枚の資料を渡した。そこには、こう書いてあった。

 

 

・コウノトリによる輸送が妨害されている。コウノトリの残骸を調べた結果、敵航空機により撃墜されたと判明。

・おおたかは、これを速やかに見つけ、敵勢力の航空機及びそれを運用する施設を破壊せよ

 

 

「一流の航空機乗りであるみぃちゃん。君の力を貸してほしい」

「にゃー(了解)」

「ありがとう。それで、コウノトリが落とされた場所だが……。恐らく、ここだろう」

 そう言って提督は地図を指し示す。そこには、ある島の名前が書かれていた。

「にゃー(ここは……)」

「そうだ。かつて、みぃちゃんのご先祖様の家があった場所だよ」

「にゃん(やはり)」

 吾輩はかつて、第零遊撃部隊に所属していた頃の高祖父の話を呼び起こす。あの島は、吾輩のご先祖様が所属した家があり、そこで吾輩の高祖父は生まれた。

「今回の作戦だが、みぃちゃんには偵察を行ってもらう」

「にゃーん(承知)」

「それともう一つ。もし敵の基地を発見した場合、そこの破壊もお願いするよ」

「にゃーん(任せて)」

 吾輩は提督室を出る。そして、格納庫に向かう。そこでは、吾輩の部下たちが待機していた。

「にゃん!(隊長、出撃準備完了しています!)」

「にゃーん!(いつでもいけます!)」

 部下たちの報告を聞き、吾輩は指示を出す。

「にゃにゃ!にゃんにゃにゃ!(よし。これより我々は、コウノトリの仇を討つ! 総員出撃準備!)」

「「「にゃー!!(イエッサー!)」」」

 こうして、我輩たちは敵拠点を探すために最新鋭の航空機『ダンボール』に乗り込んだ。

おおたかの甲板で誘導員達が慌ただしく発進の準備を進めていく。そんな時、我輩の乗るダンボールに通信がきた。

「みぃちゃん。いよいよですね……」

おおたかのオペレーターさんからだ。彼女は、吾輩の上司であり、良き理解者である。

「にゃーん(うん。でも大丈夫。吾輩には、仲間がいるから)」

「みぃちゃん……」

「にゃー(だから、心配しないで)」

「わかりました。私もみぃちゃんを信じます」

 その時、誘導員から発艦許可が出た。我輩はオペレーターさんとの通信を終えると、指示に従い発進した。

「みぃちゃん!頑張ってくださいね!!」

 オペレーターさんの応援を受け、我輩は飛び立つのだった……

 

***

 

「(隊長! 前方に敵艦隊発見!)」*1

「(やはりいたか)」

 あれから約2時間。吾輩達は、途中で敵の偵察機を発見。レーダーに映らないように追跡していた。

 その甲斐あって、敵艦隊を見つける事ができた。その艦隊は国籍もバラバラで、統一性は無いように見えるが、艦旗だけは同じ物を使っている。

 おそらく、海賊か傭兵の使う野良艦だろう。コウノトリの運ぶ資材欲しさに襲ったのか?

「(隊長、どうしますか?)」

「(決まっている。奴らの好き勝手にさせる訳にはいかない。ここで叩くぞ)」

「「「「「(イエッサー!!)」」」」

 吾輩の合図で、全機が一斉に動き出す。

「(敵航空母艦より戦闘機発艦!上昇してきます!)」

「(迎え撃つ!)」

 敵は戦闘機『ファイアフライ』で迎撃してくるようだ。しかし、このダンボールはただの機体ではない。

「(お前達、落ち着いて行動しろ。訓練通りロッテを組むんだ!そうすれば敵等容易い)」

「「(はい!)」」

 そう言って部下たちは隊列を組み、敵機と戦闘を始めた。

我輩も迫り来る敵を冷静に対処する。

「(そこだ!)」

 敵機をロックしバルカン砲を撃つと、弾は敵機に吸い寄せられるように命中し主翼を破壊。揚力を失った敵機は降下して海面に激突。海の藻屑になった。

「(さすが隊長です)」

「(うむ。油断せずに行くぞ)」

 部下たちも次々と敵機を撃墜していく。しかし、敵もまた腕利きのパイロットばかり。そう簡単には落ちない。

それでも、我輩達は数的有利を生かし、着実に敵を減らしていく。

 その時、ダンボールから警告音が鳴り響く。我輩が計器を確認すると、ミサイルに狙われていた。

我輩はフレアーを撒くと操縦桿を傾け、機敏な動作でミサイルを回避。敵機も命中しないのを理解すると、速度をあげ我輩の背後を取ろうとする。

「(その程度で、我輩の後ろを取れるものか!)」

 そう言って我輩は旋回すると、今度は逆に敵の後方に回り込む。そして、そのまま一気に加速し敵機に近づくと、バルカン砲を放ち撃墜する。

「(これで、この近くに居るのは残り1機か)」

 残ったのは、一際動きの良い戦闘機。恐らく指揮官だろう。

そいつは、他の奴らとは違い、こちらの攻撃を華麗に回避している。

「(やるな。だが、これならどうかな? くらえ!!)」

 吾輩は、機体上部にあるバルカン砲を放つ。しかし、相手はそれを紙一重で避けると、急接近してきた。

(速い!?) 

 敵機からすれ違いざまに放たれた機関砲をギリギリで回避すると、我輩は部下に通信をした。

「(こいつは指揮官機だ。我輩が相手をする!他の仲間の援護に迎え!)」

「(了解しました!)」

 部下達は他の部隊に合流し、残りの敵を倒しにかかる。我輩も、目の前の敵に集中することにした。

「(貴様には聞きたいことがある。答えてもらおう)」

「誰が答えるものか!」

「(そうか……。ならば力づくでも吐かせよう)」

「やってみるがいい」

 それを合図に、我輩達は互いに相手の後尾につこうとして旋回を繰り返す巴戦に入った。

 少しでも油断すれば、我輩でも後ろにつかれそうになる。そう思う程、敵指揮官機の腕は確かな物だ。だが、このままでは勝負がつかない。

 そう判断した吾輩は賭けに出る事にした。機体を限界まで加速させて敵指揮官を追いかける。

「(クッ……!)」

 身体にかかるGに歯を食いばりながら耐える。敵指揮官も後ろをとられないよう動き続けるが、限界がきたのか一瞬動きが単調になった。

 それを逃す事なく、我輩は引き金をひく。ダンボールからバルカン砲が発射され、敵指揮官機の尾翼を破壊する。

「(降伏しろ!その機体は死に体だ!)」

「悪いが、降伏する気は無い!」

 安定性を失った敵指揮官機であるが、未だにその闘志は失われはいない。主翼だけで旋回すると、正面から最後の勝負を挑んできた。

「行くぞ!!」

 敵の指揮官機が吾輩目掛けて突っ込んでくる。吾輩もそれを迎え撃つべく、機体を動かし敵指揮官機を照準に収めると引き金をひいた。

バルカン砲が火を吹き、敵指揮官機を撃ち抜く。その衝撃に耐えきれなかった敵指揮官機が爆発四散する。

 これで、空の戦いは終わった……残すは敵艦隊だけだ。

「(対艦装備をしている者は、我輩に続け!)」

 我輩の掛け声で部下達と共にダンボールを敵艦隊に向けて突撃させるが、当然案山子ではないから対空砲火が我輩達を襲う。

「(我輩が囮になる。お前達は、その隙に攻撃しろ!)」

「「イエッサー!!」」

 部下達よりも前に出て、敵艦隊の中央を駆け抜けていく。

襲いくる対空砲火をダンボールを小刻みに動かし、恐れる事なく真っ直ぐ突き進む。目標は対空兵装だ!

「(これでどうだ!)」

 ダンボールからバルカン砲が発射され、敵護衛艦『陽炎型』の機銃を破壊する。

 それに続くように部下の一人が対艦ミサイルを発射した。狙うはもちろん対空兵装の減った陽炎型だ。

「(やった!)」

 ミサイルが命中し、炎上する敵護衛艦を見て喜ぶ部下。しかし、そんな部下を敵の『トライバル級』が狙っていた。

「(危ない!)」

 部下の前に出て、トライバル級の機銃を破壊。しかし、発射を阻止できずダンボールの一部が損傷した。

「(隊長!大丈夫ですか!?)」

「(問題無い。それより喜ぶのもいいが、周囲の警戒を怠るな)」

「(申し訳ありません。気をつけます!)」

 部下に注意を促すと、我輩はダンボールの損傷個所を確認した。

「(やはり無傷とはいかないか……)」

 被弾による損傷を受けてしまったダンボールは、次の攻撃には耐えられないだろう。しかし、まだ戦えるならそれでいい。

「(ミサイルを撃てるものは、今のうちに撃ち尽くせ!他の者は、弾幕を張れ!)」

 指示を出すと、我輩はバルカン砲で敵艦隊を牽制する。その間に部下達が手持ちのミサイルを全て放つ。

「(行けーっ!!)」

 複数のミサイルが敵艦に向かって飛んでいき、そして着弾。敵護衛艦の一隻、『フレッチャー級』に破孔が生じ沈んでいく。

他の艦にも損傷を負わせ、敵艦隊は混乱状態に陥る。

「よし、いいぞ!我輩について来い!」

 先ほどと同じように敵艦隊に接近すると、再びミサイルを発射。敵の護衛艦や空母『ヴェゼル級』に命中し、次々にダメージを与えていく。

「(みぃちゃん隊長、おおたかより連絡。『後続部隊を出撃させた、補給に戻られたし』です)」

(流石、仕事が早い)

 部下の報告を聞き、我輩は敵艦隊の横を通り過ぎると、一度後方に下がる。

「(全隊員、よく聞け!これより、この海域から離脱し、おおたかと合流する!)」

「「(了解!)」」

 部下達の返事を聞くと、我輩は補給に戻るため、おおたかとの合流地点に向かうことにした。

 

***

 

 その後、おおたかに戻った我輩達は、後続部隊と協力して敵艦隊を壊滅させた。

艦から脱出した敵兵は救助後に武装を解除、捕虜として情報を聞き出した所、今回の襲撃には黒幕がいる事がわかった。

「その話は本当か?」

「そうだ、本当だ。俺達は雇われの傭兵だから詳しくは知らないが、奴らはナニかを復活させる為に資材を必要としている」

 捕虜が先ほど我輩が聞いた事と同じ内容を提督に話す。

「そうか……。貴重な情報をありがとう」

 捕虜を独房に戻し、提督が我輩を見る。

「みぃちゃん。君たちの戦闘記録と照らし合わせると、捕虜達の話はおおむねあっているだろう。しかし……」

 提督の手には一枚の写真がある。先の戦闘で撮られ物だ。

そこには燃える蝿の艦旗が写っていた。

「にゃー……(蝿の手こすり教か)」

 蝿の手こすり教。それは、なまもの兵器「はえ」を至上とする教団で、はえ以外の航空機の存在を徹底的に嫌う奴らだ。

コウノトリが撃墜されたのも、この教団の仕業と見ていいだろう。

「恐らく、連中はこの海域で何かを復活させようとしている。その復活を阻止するのが我々の任務になるだろう」

「にゃん(そうだな)」

 我輩達が入手した情報を本部に送ると、考えた通りの答えが帰ってきた。

 

 

[蝿の手こすり教の拠点を見つけ、破壊せよ]

 

 

「にゃんにゃー(想像通りだな)」

「追加の艦隊も派遣するそうだ。彼らと協力して、拠点を探そう」

「にゃー(了解)」

 指令が届いてから数時間後、本部から輸送船が到着。おおたかの補給を開始された。さらに、護衛として「いそかぜ」と「うらかぜ」が編成された。

「みぃちゃん隊長。そろそろ、出発の時間ですよ」

「にゃーん(わかった)」

 部隊員の呼びかけに応えると、我輩達はダンボールに乗り込み待機する。

そして、見送りに来た仲間達に挨拶をすると、我輩達を乗せたおおたかは出港した。

 目指す先は、はえが大量発生している島。そこにいるであろう、蝿の手こすり教の施設を破壊するのだ。

 

***

 

「偵察部隊より連絡。『我、蝿の手こすり教の施設発見。』です!」

 捕虜の情報と、偵察部隊の頑張りにより、蝿の手こすり教の施設を発見し、艦を進める事3時間。艦橋からでも巨大な島に築かれた燃える蝿の紋章を掲げた神殿が見えてきた。「うみゃ(間違いないな)」

 目的地である島に近づいていくと、海上には奴らの集めたとお思われる野良艦達の姿があった。

その時、艦橋に国際無線で通信が入った。

「ここは我々、蝿の手こすり教の施設である。お前達、何のようだ」

「にゃっ、にゃにゃっ!!(な、なんだとっ!!)」

 まさか、向こうから話しかけてくるとは思わず、我輩は驚いた声を上げてしまう。

「我々は、蝿の王復活の準備をしている。大人しく引き返すなら、見逃してやろう」

「それはできない。お前達が、我が国の輸送機コウノトリを撃墜したのは調べでわかっている。これ以上、好き勝手させるわけにはいかない」

「それは、些細な犠牲だ。我らが王の復活が全てだ。邪魔をするというのなら、お前達を排除する」

 蝿の手こすり教の保有する野良艦が動きだし、背後の島からは多数のファイアフライ*2やはえの飛び立つ姿があった。どうやら戦う以外道はないようだ。

「迎撃開始!」

 提督の攻撃指示と共に、我輩達はダンボールで出撃した。

「(食らえっ!)」*3

 バルカン砲を乱射し、はえ達を次々と撃ち落としていく。

「(みぃちゃん隊長。敵艦隊が接近しています!)」

「こちらの心配はしなくていい!おおたかの守りは任せろ。君達は空の敵を頼む」

「(了解した。おおたかを頼む!)」

 いそかぜの艦長からの指示を受け、我輩達ははえの群に向かっていった。

はえ達もただ落とされるだけではなかった。20㎜バルカン砲で反撃してくる。

「(くっ、数が多い)」

 数の多さに押され、我輩達は徐々に後退していく。

「(みぃちゃん隊長。このままでは……)」

「(大丈夫だ。もう少し耐えてくれ)」

 部下を励ますため声を掛けるが、こちらも余裕がなかった。

(まずいな……)

 そう思った時、数発のミサイルが飛来し、はえ達を叩き落とした。

「苦戦してるみたいだな。少し手を貸そう。対空ミサイル装填。目標、敵航空機及び、はえ。撃て!」

 うらかぜの艦長の命令で、VLSからミサイルが飛翔していく。はえ達も回避行動を取るが、間に合わず次々と撃破されていく。

「(感謝する)」

「いいってことよ。さぁ、一気に決めるぞ」

 うらかぜのVLSから対艦ミサイルが発射され、野良艦の群に着弾。爆発を起こし、周辺にいたはえ達事周囲を一掃した。

「(よし、今のうちに体勢を立て直す。行くぞ!!)」

「「(了解!)」」

 部下と共に混乱するファイアフライやはえの群れに突撃する。

「これでどうだ!」

 我輩は何かを抱えたはえの背後をとりバルカン砲を撃ちこむと、はえが派手に爆発した。

「(みぃちゃん隊長!?)」

 どうやら、抱えていた物は爆弾のようだ。奴らの狙いは、数に物をいわして我輩達を突破し、艦隊を爆撃する事だろう。

「(大丈夫だ!それより、爆装しているはえがいる。艦に向かわせるな!)」

「(了解しました!)」

 我輩もダンボールを素早く操作すると、爆弾を抱えたはえに狙いを絞り攻撃する。

「(落ちろ!!)」

 我輩は十分な距離をとり、バルカン砲で爆弾を抱えたはえを墜落していく。他の隊員達も次々とはえを撃墜していく。……その時だった!

「(みぃちゃん隊長!危ないっ!!)」

「(ぬおっ!?)」

 突然、ダンボールの側面に衝撃が走り、我輩はバランスを崩す。

「(ぐぅっ……)」

 はえが我輩のダンボールに突進してきたようだ。どうにか落とされずに済んだが、我輩のダンボールは戦闘を継続できないだろう。

「(みぃちゃん隊長。無事ですか?)」

「(ああ……なんとかな。一度おおたかに戻る。しばらく任せるぞ)」

「(わかりました)」

 我輩は動きの鈍くなったダンボールを操作し、おおたかに着艦すると、格納庫に戻りダンボールその場に残して、急いで艦内に戻った。

「みぃちゃん隊長。大丈夫だったか?怪我はねぇか?」

「(問題ない。少し油断したがな。それよりも、早く戻らないと。あいつらが危ない)」

「わかったって!お前ら、予備機のダンボールを出せ!!」

「「「「了解です親方!」」」」

 整備員達が倉庫からダンボールを持ってくると、我輩はダンボールに乗り込み再び出撃をした。

 再出撃した我輩は、先ほどと同じ様にはえの群を相手にしていた。だが、今度は1機ではない。2機の機体と行動しているのだ。

先ほど、本部からの増援艦隊が到着し、彼らと合流したのだ。

「俺っちは、うみかぜでお世話になってやす。みぃちゃん隊長、しばらくお世話になりやす」

「(よろしく頼む。見てわかる通り、敵は蝿の手こすり教だ。気をつけてくれ)」

「へい、了解でさあ!それじゃ、始めるか。お前ら、準備はいいな!」

「「「おう!」」」

3隻の護衛艦からミサイルが次々と放たれ、はえの群れやファイアフライを殲滅していく。

「へっ、どんなもんだい!」

「(援護感謝する。お前達、このまま上空の敵を殲滅するぞ!)」

「「「「「(イエッサー!!)」」」」

 護衛艦からの援護を受けながら我輩達は、上空の敵を減らしていく。

さらに、いそかぜとうらかぜも野良艦達を沈めたようで、こちらに向かってきている。

「(これなら、我輩達の勝利も近いな)」

 

***

 

 次々と落とされるはえに、若い神官が不安そうに神官長へ声をかける。

「し、神官長。このままでは……」

「狼狽えるな。我らには蝿の王の加護がある。私は王に祈りを捧げる。生け贄を連れてこい」

「わかりました」

 神官が部屋を出ていくと、しばらくして1匹の大きなアヒルが連れてこられた。

「これより王が復活される!我等は神の国を作るだ!!」

 神官長の言葉に、広間から信者達の歓声が上がる。

 暴れるアヒルを神官達が押さえつけ、神官長があまりにも大きすぎ、分厚く、重いナイフでアヒルを切り裂いた。

アヒルは断末魔をあげる暇無く事切れ、辺りに血の雨が降り注ぐ。

「王よ!蝿の王よ!!我らを救いたまえ!!今こそ、この国に真の平和をもたらすのです!!」

 血に染まった床に魔法陣が浮かび上がり、光が溢れだす。

そして、ー匹の巨大なはえが現れた。

「おお……ついに現れてくれたのですね。我らが王よ……」

 

***

 

 最後の野良艦を沈めると、周囲から歓声が上がった。

「やったぞ!」

しかし、おおたかに乗る提督は喜ぶ部下に注意をする。

「まだ終わってはいない。蝿の手こすり教の神殿が残っている」

「そうだった。気を引き締めないと」

「よし、上空も片付けた事だし、艦隊を突入させる」

「はい!」

 提督は艦長に合図を出すと、艦隊は島に向けて動きだした。

おおたかで補給を受けていた我輩達も島の上空へ向かおうとした時、突如して島にあった神殿が崩壊を始めた。

「な、なんだ!何が起きてる!?」

 そして、崩壊した神殿からは、超巨大なはえが現れた。

「どうだ見たか!我らの王、蝿の王が復活されたのだ!!お前達はもう終わりなのだ!!」

「(くそっ……なんてことだ……)」

「(みぃちゃん隊長、どうします?)」

「(ミサイルでアレを攻撃するよう、艦隊に連絡をしろ)」

「(わかりました!)」

 我輩の命令を聞いた隊員は、すぐに艦隊へ連絡をした。

その間に、蝿の王はゆっくりと動き始め、空へと飛び立とうとする。

「(逃すかっ!!)」

 我輩はダンボールを緊急発進させ蝿の王を追いかけようとたが、レーザーの弾幕で妨害してきた。

「(くそっ!小型レーザーを装備しているのか……)」

「(みぃちゃん隊長!艦隊よりミサイル発射されました!!)」

「(わかった!お前達、待避急げ!)」

 我輩はダンボールを操作し、急いで蝿の王から離れる。

海上から放たれた複数のミサイルが蝿の王に迫るが、蝿の王は127㎜ガトリング砲の斉射でミサイルを全て破壊した。

 さらに、エネルギーを口に収束させ、反撃とばかりにクリプトンレーザーを発射。護衛艦の一隻が被弾してしまった。

 信じられない光景に唖然としていると、艦隊から通信が入る。

『みぃちゃん隊長!撤退を!!』

「(ダメだ!撤退はできない!)」

『しかし!』

「(アレを野放しにはできない!せめて、あのはえだけでも始末しないと!)」

 その時、我輩の乗るダンボールに向かって蝿の王が30.5cm砲と45cm噴進砲で攻撃してきた。

我輩はダンボールを縦横無尽に動かし、攻撃を回避する。

「(なんて攻撃力だ……どこかに弱点は無いのか?)」

『こちら護衛艦やまかぜ!再びクリプトンレーザーが直撃しました!うわぁああああっ!!!』

 蝿の王のクリプトンレーザーを受け、護衛艦やまかぜが煙をあげながら艦隊から脱落していく。

「(なに!?おい、しっかりしろ!!)」

『電磁防壁で防ぎきれない。ヤツは収束強化装置を装備してるのかもしれない』

 収束強化装置。名前の通り、光学兵器のエネルギーを収束し強化する物だ。どうやら蝿の王はこいつを使用しているようだ。

「(クソッ!!)」

「みぃちゃん隊長、このままでは……」

「(わかっている。なんとか奴の気を逸らすんだ!)」

「しかし、どうやって……」

「(いい考えがある)」

 我輩は、アクロバット用のスモーク発生装置を起動させると、スモークを噴射しながら蝿の王の周りを飛行した。

「なるほど。お前達、みぃちゃん隊長に続け!」

「(イエッサー!!)」

 隊員達も、我輩と同じようにスモークを発生させた。

蝿の王はこれを嫌がり、スモークから離れていく。そして、口にエネルギーの収束を始めた。

「(よし、今だ!!)」

 我輩はダンボールを加速させると、迫りくる小型レーザーを回避しながら蝿の王に突撃する。

「(これでも喰らえ!!)」

 我輩はミサイルを発射すると、急いで離脱する。ミサイルが突き進み、蝿の王の顔に命中すると、チャージ中のエネルギーが逆流し、大爆発を引き起こした。

「(やったか……?)」

 

 

 爆炎が晴れると、そこには損傷してはいたものの、いまだ健在な蝿の王がいた。

「(嘘だろ……)」

「みぃちゃん隊長!危ない!!」

突然、蝿の王が炎を吐き出した。

「(くっ!?)」

 歯を食い縛り、身体にかかるGを耐える。無茶な回避行動だったが、蝿の王の炎から逃げる事ができた。

「(助かった……。だが、弱点はわかったぞ。お前達、巨大ばえがエネルギーの収束を始めたら、顔を攻撃するんだ!)」

「了解!!」

 我輩達は再度、攻撃を開始した。

 

***

 

『こちら護衛艦あかつき。クリプトンレーザーが直撃。これ以上の戦闘不可能です……くそっ……すまない……』

「(もうすぐ、援軍が来る。それまで頑張れ!)」

『ありがとうございます……みぃちゃん隊ちょ……』

 通信が切れると同時に、あかつきが爆発した。

「(なっ!?)」

「そんな……」

 我輩達が呆然としていると、上空にいた蝿の王が急降下してきた。

「(まずい!!)」

 我輩達は散開して攻撃を避けると、蝿の王は旋回して再びこちらに向かってきた。

「(大丈夫ですか?みぃちゃん隊長!)」

「(ああ、なんとかな……しかし、あかつきが……)」

「あの巨大ばえを必ず倒し、あかつきの乗組員達の仇をとりましょう」

「(そうだな。皆、行くぞ!!)」

 我輩は隊員達に指示を出すと、再び戦闘を再開した。

 我輩はミサイルを発射したが、警戒しているようで、ガトリング砲を撃ちまくってミサイルを迎撃してくる。そのせいで、ミサイルが着弾する前に破壊されしまう。

「(どうすれば……)」

 その時、我輩のダンボールに通信がきた。

『こちらうみかぜ。みぃちゃん隊長、ちょいと見せたい物がありやす。もしかしたら、あの巨大ばえを落とせるかもしれやせん。一度うみかぜに着艦してくだせぇ』

「(なんだと!?それは本当なのか?)」

『へい。ただし、危険でさぁ。下手すりゃ、死ぬかもしれませんぜ?』

「(構わない。早く見せてくれ!)」

『わかりやした。今からそちらに向かいやすんで、少し待っててくだせぇ』

 通信を終えると、我輩はうみかぜに向かった。

「お前達、この場を少し頼む!」

「了解です!みぃちゃん隊長が戻るまで、あの巨大ばえを押さえつけるぞ!!」

「(イエッサー!!)」

 隊員達が奮闘する中、我輩はうみかぜへと急いだ。

 

***

 

「みぃちゃん隊長、着艦ありがとうございやす。これが見せたかった物でさぁ」

「(これが、か?)」

 うみかぜの甲板に着艦した我輩は、目の前にある物を見て唖然としていた。

そこにはダンボールよりも巨大な爆弾が設置されていたのだ。

「こいつは2t爆弾いいやして、あっしの部下が、「神殿破壊するなら、こいつの出番だ!」ってうるさくて……仕方なしに積んできやしたが、まさかこんなところで役に立つとは、思いやせんでした」

「(そうだったのか……)」

 2t爆弾は、かつて存在した超兵器等の超巨大兵器等の破壊を目的とした大型爆弾である。

 確かにコイツを使えば、あの巨大ばえを倒す事ができるかもしれない。

「ただ、一つだけ問題が……」

「(問題だと?)」

「こいつは、もの凄く重いんですよ。いくらダンボールでも、こいつを装備したら、機動力も速度も出ねぇでしょう……」

「(なるほどな……)」

「こいつは部下の弔い合戦でもあるんです。だから、みぃちゃん隊長。よろしく頼みやす……」

「(……わかった。コイツをダンボールに取り付けてくれ。我輩は一流のパイロットだ。そんな重荷等、負荷にならん)」

「……ありがとうございやす」

「(礼を言う必要はない。我輩は任務を遂行するだけだ)」

「へっ!みぃちゃん隊長らしいや。おい、お前ら!!この作戦の要は、みぃちゃん隊長だ!気合い入れてけ!!」

「おおー!!」

 隊員達の雄叫びを聞きながら、我輩はダンボールに取り付けられる2t爆弾の調子を確認する。

「……よし、準備完了しました。いつでも行けやす!」

「(わかった。それでは、これより巨大ばえの討伐を行う!総員、攻撃開始!!)」

「「(了解!)」」

 我輩は隊員達に攻撃の指示を出した後、巨大ばえに向かって飛翔していった。

我輩の想像より2t爆弾は重かったが、今はその重さが頼もしく感じる。

「(さあ、行くぞ!!)」

 我輩は蝿の王に突撃すると、そのまま奴の上へと進む。奴も何かを察知したのか、127㎜ガトリング砲と小型レーザーで弾幕を張ってくる。

「(隊長の邪魔はさせない!!)」

 だが、我輩の背後を飛ぶ隊員達が、スモークで妨害してくれる。

「(ぬおぉぉっ!!)」

 我輩は身体にかかるGに耐えながらも、巨大ばえの頭目掛け2t爆弾を投下する。

スモークから抜けた蝿の王は、間近に迫る2t爆弾から逃げようとしたが、間に合わず直撃を食らう。

「(やったか!?)」

 爆発の衝撃で吹き飛ばされた我輩は、地面に叩きつけられたダンボールから這い出て叫ぶ。

 爆煙の中から現れたのは、力無く墜落していく巨大ばえ。海に落ちると、その巨体は沈んでいった。

「勝った……」

 部下達が勝利を喜ぶ中、我輩の視界には先程倒した巨大ばえの残骸が写っていた。

 我輩は巨大ばえの残骸に近づくと、そっと手を合わせた。

「(すまなかったな……)」

 人の勝手で地上に呼び出されたなまもの兵器、蝿の王に黙祷すると、迎えに来た部下のダンボールに乗った。

「(隊長、ご無事でなによりです)」

「(ああ、なんとかな……)」

「(おおたかに帰艦します。もうすぐ到着するので、少し待っていてください)」

「(了解だ)」

 

***

 

 その後、蝿の王を失った蝿の手こすり教は、あっという間に瓦解。神官長含む幹部は、蝿の王の後をおい自害。残された信者達は散り散りに逃走し、逮捕された。

そして、我輩達は……。

「いや~、みぃちゃん隊長のお陰で勝利できましたぜ!」

 おおたかに戻った我輩は、隊員達と共に祝杯をあげていた。

「ですね!あの神官達に一泡吹かせる事もできるし、最高ですぜ!」

「にゃにゃん!(おい、みぃちゃん隊長の前で、なんて事を言ってるんだ!)」

「いいじゃないか。みぃちゃん隊長は気にしない人だろ?」

「にゃ~……(そうだけどさぁ……)」

「お前達、飲み過ぎないようにしろよ?」

「わかってますって!ささっ、みぃちゃん隊長もどうぞ!」

「……にゃーにゃー(……そうだな。では、頂こうか)」

 我輩は隊員達と一緒に酒を飲んだ。

こんなに楽しい酒を飲むのは初めてだ。我輩は今まで何をしていたのだろう?

  何故、こんなにも楽しかった事を忘れてしまったのだろうか……

「うみゃ……(うぅ……)」

「にゃー?(……隊長、大丈夫ですか?)」

「にゃん……(ああ、問題ない……)」

「そうですか……しかし、みぃちゃん隊長は本当に強いんですねぇ」

「にゃん、にゃー!(うむ、我輩は一流のパイロットだからな!)」

「ははっ、確かにみぃちゃん隊長なら一流のパイロットですわ!何か秘密でもあるのですか?」

「にゃんにゃー(では、我輩が強い理由を教えてやろう)」

「にゃー!?にゃんにゃん!!(本当ですか!?是非とも教えてください!!)」

「にゃにゃ……(それはな……)」

 隊員達が我輩を見つめ、その期待に応えるように我輩は言った。

「にゃー!!(我輩はねこであるからだ!!)」

 

糸冬

*1
にゃーが抜けてますが「()」はねこ語だと思ってください

*2
イギリス海軍の艦隊航空隊などで運用された複座艦上戦闘機。本来はホタルの意味だが、蝿の手こすり教では、火蝿での意味で使われている。先生!

*3
しつこいですが、にゃーが抜けてますが「()」はねこ語だと思ってください




任務完了。海域から離脱します
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