素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
怖がり少年と第一回イベント
「久々にここに来るな、一週間ぶりか?」
例ダンジョンにより疲労が溜まっている俺は、【
だが、メイプルから教えられたイベントが今日ということで、久しぶりにログインしたのだった。
既に町の中心には多くの人が集まっており、その全員が上を向いていた。
上空にはこのゲームのマスコット、ドラぞうが今回のイベントの説明をしていた。
「ガオー!
それでは、第一回イベント、バトルロイヤルを開始するドラ!
それでは、もう一度改めてルールを説明するドラ!制限時間は三時間。ステージは新たに作られたイベント専用マップドラ!
倒したプレイヤーの数と倒された回数、それから被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出し、順位を出すドラ!さらに上位十名には記念品が贈られるので、頑張って欲しいドラ!」
おおお!と歓喜する声があちらこちらから聞こえる。みんな楽しみにしてたんだな、今回のイベントを…
「それじゃ、5!4!」
スクリーンにはカウントダウンが表示され、皆もカウントダウンをしている。
みんながひとつになって楽しんでいる、イベントっぽいなぁ。
「3!2!1!行ってらっしゃいドラ〜!」
スクリーンに写った数が0になると、急に当たりが真っ白になる。
「さあ、イベントの始まりだ!!」
目を開けると、そこは近くに森、川がある平原だった。
パッと周りを見渡してみるが、特に人はいない。
「とりあえず、ステータスを確認しておくか」
俺は青白いパネルを表示させる。
ゼロ
Lv20
HP 25/25
MP 192/30
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 160〈+65〉】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭 【空欄】
体 【漆黒の悪夢】
右手 【堕ちた天龍】
左手【空欄】
足 【漆黒の悪夢】
靴 【亡きものの足】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
【
うん、とりあえず何とか戦えるかな…。
【不撓不屈の支配者】で近づく→【
このコンボに対抗する手段がない限り、俺は勝てるだろう。
MPが少し心配だが、上限を超えて持てるということで敵を倒す度に供給できるだろう。
『あの〜…私は何をすればよろしいのでしょうか…?』
「わあぁぁぁ!…ムーンお前か!驚かせるなって言っただろ! 」
『お言葉ですが、驚かせずに出てくるなんて不可能ですよ!メッセージも送れませんし』
「てかお前なんで昼なのに話しかけられるんだよ。抜け道でも見つけたか?運営に通報を…」
『違います、仕様です!昼でも会話はできるんですよ』
「あぁもうどうでもいい!とりあえず全員俺の周りに潜んでろ。合図したら出てきてくれ。そして全力で周りの敵を倒してくれ」
『承知いたしました、我が君』
やばいなまだ心臓がドキドキしてる…
ムーンのやつ、俺の反応を楽しんでるんじゃ…
ダメだ、あいつの姿を思い出すだけでトラウマがフラッシュバックしてくる。
でも…【
「戦場で考え事とはいい度胸だな、小僧!…って、弾かれた!?」
「お前こそ俺が何も警戒してないと思ったのか?」
フフフ、大正解だ!俺はなんの警戒もしてなかった。
たまたま【気配察知】を使用しているのが分かっただけだからな!
斬り掛かられる直前に俺は【不撓不屈の支配者】を使って頭を守ったのだった。
忘れず【常闇】を使用する。MPを使わないしね。
「辺りが暗くなった…。ふっ、しかし…は?消えた!?」
「【
「へん、何も起こらないじゃないか。驚かせやがって…って、沈んでいってる!?あ、足元に手!真っ黒な手が!!うわあぁ!連れ去られるぅ…」
「…凄い噛ませ感の溢れる人だったな…」
あそこまで綺麗なフラグ回収をする人がいただろうか。最高の反応をありがとう。
しかし、この調子なら…
「上位にいけるぞ!」
俺はさらに背後に来る数人を見ながら呟いた。
「フハハ!【
「な、なんだと…!?」
イベント開始からはや数時間。
もはや手慣れてきた【
そして、その様子を見て驚愕している人々がいた。
【NWO】第一回イベント観戦席3
236:名無しの観戦者
お前らもう戦ったか?あの真っ黒な魔法使い
いや戦うってか一方的にボコされただけだけど…
237:名無しの観戦者
あの訳分からん速度のプレイヤーのことか?
マジで何されたか分からなかった。最後に変な死者の手みたいなのに連れ去られるのだけは分かったが…
238:名無しの観戦者
それ本当か?
本当だとしたらどんだけ早いんだよ
239:名無しの観戦者
暫定成績ランキング
ゼロっていう魔法使い
173人倒して被ダメ0
240:名無しの観戦者
バケモノすぎて草
まさに「ゼロ」やん
241:名無しの観戦者
今スクリーンに出てるやつか?
242:名無しの観戦者
マジで見えねぇ…
速すぎだろ
243:名無しの観戦者
攻撃しようとしたら糸一本で攻撃弾き返される
それで場所バレていつの間にかやられてる
244:名無しの観戦者
理不尽すぎないか?
245:名無しの観戦者
でも次の敵はやばいんじゃないか?
魔法使いと前衛150人いるパーティと戦うみたいだぞ
「めっちゃいるじゃん」
「総員、構え!」
目の前には少なくとも100人はいる魔法使いと近接武器の使い手のパーティがいるのだった。
明らかな数による暴力。慣れたその手つきからも、この手法で何人も葬ってきたのだろう。
「放て!!!」
とりあえず、来る魔法を全て【
やられる心配は無いが、これいちいち【
あんまり使いたくはなかったが、使うしかなさそうだな影の兵士…
「起き上がれ、我が配下たちよ!!」
284:名無しの観戦者
当たり前のように魔法を消すな
285:名無しの観戦者
ていうかあいつの周りずっと夜なんだよな
なんか持ってるスキルと関係があるんかな?
286:名無しの観戦者
さて、どうやってあのパーティを…は?
287:名無しの観戦者
は??
288:名無しの観戦者
は??
289:名無しの観戦者
なんだあのモンスター!?
十体いるぞ!?
290:名無しの観戦者
そんなスキルあんの?
チートじゃねぇか
291:名無しの観戦者
あのモンスター達ダメージを食らっても一瞬で再生してて草
292:名無しの観戦者
魔法使いたちが可哀想
293:名無しの観戦者
ただ早いだけだと思ってたわ
スキルもバケモンだった
『我が君よ、これでよろしいですか?』
「あぁ、うん…もういっそのことこのまま俺の周りでプレイヤー狩ってて。俺が最高速度でプレイヤー達拘束するから」
『承知いたしました、我が君!』
声を聞くだけで倒れそう…
とにかく、なんか無双できてるしこのままいい感じのまま行こう!!
「【超加速】!」
糸で拘束。拘束。そして俺に付いてくるムーンが、捕まえたプレイヤーを大剣で真っ二つにする。
完全な流れ作業。
そしてその流れ作業にて倒されたプレイヤーはおよそ500人に登るのだった。
残りはあと1時間。あと1時間で順位が決定する。
だが、あまり緊張していない俺。恐怖なら常にしていた。
そんな中、ドラぞうによるアナウンスが入る。
「ガオー!
残りはあと1時間!ここで現在の上位のプレイヤーを発表するドラ!
現在、1位はペインさん、2位はゼロさん、3位はメイプルさんドラ!これから上位3名を倒した際、特典の3割が譲渡されるドラ!
3人の位置はマップに表示されているから、最後まで頑張るドラ!!」
「どうにも簡単には終わらせてくれないようだ」
危機感は感じていない様子のペイン。
「よっしゃ2位!やっぱり俺センスあるかも!」
緊張感の欠けらも無い俺。
恐怖なら常にしている。
「やった!私3位だ!」
喜ぶメイプル。
「いたぞ!アイツだ!!」
と、森の中から岩陰から平野から。様々な方向から我先にとプレイヤーがやってくる。
魔法使いが魔法を放ったりAGIに振っている者は攻撃しようと突っ走ってくる。
しかし、遅い。怖がりながらも戦う者がいたため、【
「なんでこんな糸一本に!!?」
気がついた頃にはMPは奪われ、死者の手によって連れ去られる。
近づいて攻撃をしようにも【不撓不屈の支配者】に防がれる。
魔法を放とうにも【
逃げようにも周りにいる影の兵士たちに倒される。それどころか糸が張り巡らされているため逃げることすら不可能。
そう、俺に戦いを挑んだ時点で負けは確定していたのだ。
「にっ、逃げろぉ!!」
一人の男がそう声を出すと、皆一斉に逃げ出す。
さすがの量に影の兵士たちも処理しきれない。
おっと、影の兵士たちのことを考えただけで頭痛が…
『追いかけますか、我が君?』
「いいいいや、大丈夫ぶぶぶぶ!」
『呂律が回ってないですよ我が君!』
「誰のせいだと思ってんだ。と、とりあえず放置しておけ」
『しかし…』
「手は打ってある。俺に喧嘩売ったこと後悔させてやる!」
--男視点--
「はぁ!はぁ!」
何だあのバケモンは!
全然ポイントがないし、一発逆転の為に狙ったのがあんなヤバいやつだったなんて…。
逃げてきて正解だ。もう少しで森を抜けるし、そしたら…
「!?…これって、あの糸!?」
まるで答えるかのように糸は動き出す。俺の進んできた方向へ戻るように。
--ゼロ視点--
俺はここら一体に張った糸を縮めて一箇所に集める。
すると、糸に引っかかったプレイヤー…200人程度が一気に目の前に集まる。もちろん、糸のせいで身動きは取れない。
さて…
「後悔したら、もう二度と俺の近くに来ないようにな?」
俺はとびきりの笑顔で話しかける。
ほとんどの人は恐怖を感じたのか顔は青ざめており、開いた口が塞がらないようだ。
そうだ、俺と同じように恐怖を感じるんだ!
「じゃあね。【
そして、捕らえられたプレイヤー達は死者の手に闇へと引きずりこまれる。
こうして、俺は攻めてきたプレイヤー全てに勝利したのだった。
『お見事です、我が君よ!』
「…恐怖を他人に押し付けられたらな」
「終了ドラ〜!みんなお疲れ様ドラ!
結果、1位から3位の順位変動はなかったドラ!それでは表彰式に移るドラ!」
気がつくと、俺はいつもの町の広場にいた。いつもと少し違うのは、大きな木の前にステージがある事だった。
スタッフのような人に1位から3位の人は登壇するよう言われ、ステージの上に登る。
他のプレイヤーからの沢山の視線を浴びる。まあここまで目立ってたらしょうがないよな。2位だし。
そんなことを考えていると、ドラぞうからマイクが渡される。
「お次にゼロさん!一言お願いドラ!」
「あー、今回は2位でとても満足しています。どこかでお会いしましたら、お手やらわかにお願いします」
「ありがとうございましたドラ!
次に、メイプルさん!一言お願いドラ!」
ふぅ〜、とりあえずイベント乗り切ったーと満足感にひたっていると、なにか聞きなれた名前が聞こえた。
横を見ると、マイクを渡されてとても焦っているメイプルがいた。
そうだ、メイプルも3位なんだっけ。そうとうバケモノだな。
「えっあっえっ?えっと、その、一杯耐えれてよかったでしゅ」
俺がメイプルの凄さを感じていると、彼女は盛大に噛んでいた。
さらに、あまり意味の通っていないセリフを噛んだのだ。
メイプルは恥ずかしかったのか今にも火が吹き出しそうなぐらい顔を真っ赤にしながら下を向いていた。
ちょっと可哀想である。
とまあ色々なことが起こったが、こうして無事に俺は2位で第一回イベントを終了したのだった。
ちなみに、メイプルは記念品を貰うとそそくさとどこかへ行ってしまった。相当恥ずかしかったんだな、と思った。
『やりましたね我が君!しかし、我が君の実力で1位が取れないのはおかしい…』
「ぎゃぁぁぁぁ!!!急に出てくんなって!!」
ゼロくんに謎の対抗心を燃やしたメイプルは、原作よりも頑張って戦っていたため、ドレッドを抜かして3位に落ち着いたのだった。