素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。   作:名無しという名の者

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怖がり少年と友達

 

 

 

 

「さてと、今日も今日とて地獄へと…」

 

 

いつも通り学校から帰ってきた俺はやるべきことを済ませてゲームのハードの充電を入れようとする。

その時にベットの上に放り投げておいたスマホが震える。

誰かから電話だ。

 

 

 

「…もしもし!?零士か!!?」

 

「すっごいグイグイくるね勇輝…」

 

「こうなっちゃうって!!なんと、なんとなんと!!」

 

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 

「…なにがあったの勇輝?」

 

「よぉくぞ聞いてくれました!!俺、遂に《New World Online》をプレイできるようになりました!!」

 

「え?」

 

「そうかそうか喜んでくれるか!!いい友を持ったなぁ俺は…」

 

 

 

勝手に俺のセリフを捏造しているバカのことは置いておいて。

やはり電話の主は俺に《New World Online》のプレイを勧めていた友達…勇輝だった。話を聞く限り、勉強から解放されてゲームができるようになったようだ。

それだけでここまで歓喜するとは…そうとう重症だな。

 

 

「と・こ・ろ・で!零士さぁ〜ん…貴方今Lvいくつですかー」

 

 

何!?俺が《New World Online》がプレイしていると知っているだと!?

マズい。第一回イベントで活躍しすぎたのと名前を『ゼロ』とかいう安直な名前にしたのが裏目に出たか…!

 

くっ…バカにされるんだろうな…しかし、バレている以上隠していても仕方がない。

 

 

「えー…Lv24だけど…」

 

「なーんてね。零士があんなに拒否しててプレイするわけ…え?」

 

「え?」

 

 

「…今なんと?」

 

「えー…今日は西(24)が晴れてるなぁ!」

 

「いやごまかせないよ!!?…いやでもそっかぁ…あの零士が……あんなに拒否していた零士がプレイするなんて、ねぇ?」

 

 

「うっ、うるさい!」

 

「しかも相当やりこまれたようで…」

 

 

この電話で小一時間、散々いじられた俺なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇー、こんな感じなのかぁ」

 

「やっと初期設定が終わったか…」

 

 

 

あのいじられ電話を切ってから30分ほど。どうやら初期設定が終わり、勇輝は第一層の町へと来ていた。

 

 

 

「って、凄い強そうな格好してるな」

 

「これでもイベント2位だからな」

 

「そっかー2位かー…。ふぁっ!?2位!?!?」

 

 

「え、うん」

 

「…とりあえずプレイスタイルをば」

 

「…うーん。場所を移そっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ、こんな感じかな」

 

「…バケモノかよ。マジでエグい。それはエグい」

 

「大丈夫かー?語彙力喪失してるぞー」

 

 

「さっきまで召喚?した剣士に怯えてた奴に言われたくは無い」

 

 

「禁忌に触れたな貴様…【不撓不屈の…】」

 

 

「わーごめんごめん!!謝るから!ね?」

 

 

俺はゲームを始めたばかりの頃、角の生えたイノシシに追いかけられた森にて、どのようなスキルを使ってどうするか、どんなことができるのかをある程度勇輝に見せた。

勇輝曰く、俺は相当ヤバいらしい。

…俺も少し普通のプレイから外れている気は薄々していたが…そこまでか?

まあいい。今は勇輝のゲーム方針だ。

 

 

「…で、これからどうするの?」

 

 

「うーむそうだなぁ…」

 

 

考え込む勇輝…おっと、ゲーム内の名前は『シャイン』だったな。

シャイン…(笑)

 

 

「おいそこー。勝手に人を馬鹿にするなー」

 

「はい、すんません」

 

「そんで、とりあえず考えたんだけど…ゼロは【死霊魔術師(ネクロマンサー)】っていうスキルでしか敵を倒せないから近づかざるを得ないでしょ?

それなら後ろから攻撃できた方がいいのかな…でも俺がその剣士と一緒に前衛をやってもいいし…」

 

「というかそもそも初期装備は何を選んだの?」

 

 

「これ…」

 

「杖ってことは、俺と同じ魔法使いか…いや役割被るやん!!」

 

「いやでもほら、魔法って男のロマンだし使いたくて…ってか、役割被るって言ってもゼロの戦い方は異端過ぎて被せようとしても被せられないから!」

 

「うーむ…とりあえずレベル上げでもしてくれば?俺と違って生き物嫌いじゃないお前なら一瞬で上がるだろ」

 

「モンスターなんて、そう簡単に倒せるものじゃないからね?」

 

 

「俺なんか森に放火してるだけでレベルが上がったって言うのに…」

 

「…なんかゼロって、生き物が関わってくると急にネジが30本ぐらい取れるよね」

 

「それは俺もちょっと思う」

 

 

「はぁ…それじゃとりあえず欲しいスキルとか集めつつレベル上げでもするか」

 

「あれ、俺いらない感じ?」

 

「…んじゃ、一応付いてきて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--数時間後--

 

 

 

「…何このヌルゲー」

 

「これが一番効率いいし仕方ないだろ」

 

 

俺達はかなり町から遠い森に来ていた。マップの端っこの方だ。ここなら強いモンスターが多く出てくるだろうし、レベルも上がりやすいはずだ。

本来なら時間がかかるのだろうが、AGIの数値がオーバーフローしている俺には関係ない。

 

そして、ここに出てくるモンスターは案の定強いようだが、流石にムーンには勝てないらしく、すぐに瀕死状態になっていた。

そうして瀕死になったモンスターのトドメをシャインが刺す。これをかれこれ数時間続けるだけで、シャインのレベルは17まで上がっていた。

…これはここにいるモンスターの経験値が凄いのか、それともすごい量を一瞬で仕留めてシャインに渡すムーンが凄いのか。

 

 

それと、ここに来る途中、ひとつトラブルがあった。

俺がシャインを背中に乗せてここまで連れてくる時、急に草むらから飛び出してきたモンスターがいたのだ。

飛び出してきたモンスターは俺の超至近距離におり、触れる寸前のところに出てきたのだ。モンスターもビックリしていた。

 

 

 

 

もちろんパニックになった俺はあろうことか、俺のAGI2700の速度で走り出したのだ。

影駭響震(えいがいきょうしん)】もモンスターが驚いたことで4倍の効果が発動しており、最大値が出てしまったのだ。

すぐにパニックは収まったが、速さに慣れきれなかったシャインは気絶、俺はモンスターの影響で吐き気を催すというとても悲惨な結果になったのだった。

 

しかし、収穫もあった。

スキル【演算処理】を獲得したのだ。

 

 

スキル【演算処理】

AGIがどれだけ高くとも、処理が追いつくようになる。

脳への影響はない。

取得条件

AGI2500以上の速さで3分間走り続ける。

 

 

という、俺のオーバーフローした数値を扱えるようになるというスキルを手に入れた。

…これどういうシステムになってるんだろう。

 

 

 

とまあ、来る途中に一つトラブルがあったが、無事シャインのレベル上げができたのだった。

 

 

「ステータスポイント振り分けないのか?」

 

「いや、自分のこれから手に入れるスキル次第で少し変えようと思ってね」

 

「…そうか。それじゃ、ある程度レベルも上がっただろうし、俺は一旦やめるわ。さっきのモンスターのせいで気持ち悪いし」

 

「おっけぃ。お疲れ様!」

 

 

こうして俺はゲームをログアウトしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

--勇輝視点--

 

お疲れ様、と口にした瞬間、ゼロはゲームをログアウトして光の粒子となり消えていく。

 

 

「レベル17か…数時間でこれはヤバいだろ」

 

 

それにしても…あの生き物嫌いのれい…っと、ゼロがここまでゲームにハマるなんて。

始めたばかりの頃とかどうやってレベル上げたりダンジョンに入ったりしたのだろう。昔のあいつには考えられないだろうな…。

 

 

見たところ、あいつはあの速度と潜在的な生き物、ホラー嫌いによって攻撃を気合いで避けているらしい。火事場の馬鹿力的な感じで。

っと、ゼロのことを考えていても仕方がない。何かいいスキルを獲得しに行かないとな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--数日後--

 

 

 

 

 

「んま、こんなもんだろ」

 

 

ゲームをプレイし始めてから4日。結構魔法使いらしいスキルをいくつか手にしていた。

 

スキル

【火魔法Ⅲ】【水魔法Ⅱ】【風魔法Ⅰ】

【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅱ】

【ファイアボール】【ウォーターボール】

【ウィンドカッター】【サンドカッター】

【ダークボール】【ヒール】

【MP強化大】【MPカット小】

【MP回復速度強化小】【魔法の心得Ⅳ】

 

 

楽しみにしていた分、どのスキルがどこで取れるか、どのスキルが使いやすいかとか見といてよかったー!

ある程度のスキルの強化方法は情報収集済みだし…

おかげですいすい強いスキルが集まった。とりあえず、後方からの基礎的な攻撃はこれで良さそうかな…。

 

 

あとは自分の個性を出すだけだが…こればっかりはどの動画を見ても決めることは出来ない。

誰かの動画を見て決めている時点で誰かの二番煎じとなってしまうからだ。

…もう1回ゼロに連れていってもらった端の森に行くか。

あそこはパッと検索した感じ、誰も訪れていないようだし、何かイベントが起こったり凄いダンジョンがあったりするかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「森に来て数時間…やっぱりレアなイベントは起こらなそうだな…」

 

 

端の方の森に来て数時間、徘徊したり、ジャンプしまくって木と木の間を飛んだり、モンスターと戯れ(戦闘)たり…など、様々なことをしてみたが、やはり何のイベントも起こらなかった。

諦めて帰るか…とログアウトのボタンに手を伸ばした時、目の前にそれはいた。

 

 

「蝶…?レアモンスターか!?」

 

 

歓喜していると、蝶はどこかへと飛び去ろうとする。

追いかけようとするが…妙に飛んでいくのが早い。しかし、追いつけないレベルではなかった。

こんなイベント、聞いたことがない…。やはりこの辺りに来たのは正解だった!!

見失わないように気をつけないと!

 

 

そうして進んでいくと、段々奥から流れてくる光が強くなる。どうやら森を抜けるようだ。

そして、森を抜けると開けた場所へと出る。

そこには少し大きめの木を中心に色とりどりの花が咲き誇る花畑が広がっており、追いかけてきた青色の蝶が他にも何匹も飛んでいた。

 

 

「って、え?何かイベントは??」

 

 

少し待ってみるが、何も起こらない。

俺はガッカリして、せめてもの記念として花畑の花を摘もうとする。だが、取る事が出来ない。

 

 

「もう!時間を無駄にした!!」

 

 

憤怒する俺のまぶたが急に重くなる。

…なんだ?何で急に眠くなんて…

なにかの罠かもしれないと思い、寝ようとするのを我慢するが、どうやら眠るのは避けられないらしい。

薄目を開けながら、俺は急いでステータスを確認する。すると、HPバーの下にはいびきのような「Zzz」のマークが。

 

 

「状態異常かよ…」

 

 

気がついた時にはもう遅い。俺は完全に寝てしまっていた。

 

 

 





勇輝を出すかどうか迷ったけど、出すことにしました。
暖かい目で見守ってあげてください。

修正:シャインのスキルをひとつ忘れていたので追加。

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