素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
少し遅れましたが投稿完了!
「いやーめちゃめちゃツイてたね」
前に見える山岳地帯を目指す俺とムーンとグリード。俺はサリーを、ムーンはシャインを、そしてグリードはメイプルをそれぞれ背中に乗せて走っていた。いや、グリードは正確には飛んでいるが。
ちなみに今は結構スピードを落として走っている。ムーンは頑張ればAGI800ぐらいのスピードで俺について来れそうだが、グリードはそこまで早くなく、AGI500ぐらいと言ったところだろう。グリードに合わせているので、どうしても遅くなってしまうのだ。まあムーンが異常なだけだな。
俺たちはさっきのダンジョンの話をしていた。ゴブリンをボコボコにして倒したあの後、出現した宝箱の中にはなんとメダルが2枚も入っていたのだ。
最初としては最高のスタートだ。…最高のスタートだったのだが、事件は起きる。
始まりは、メダル2枚で舞い上がった気分になっている俺たちの耳に、ドスンという音が聞こえた時からだ。
「えっ?」
後ろから聞こえた足音に、思わず声を出す俺。
メイプル、サリー、シャインはすぐに構える。
そして、その音の主は開けた部屋の奥から近づいてくる。そして、光が当たって視認できる所まで音の主が来る。
「ノォォォ!!」「わぁぁぁぁ!!」
『………』
「ぎゃあああ!!…え?影??」
そう、音の主は…あの倒したゴブリンのボスだったのだ。
デカい。戦った時より少し小さくなっているようだが、それでもとてもデカい。3mぐらいだろう。
そして、ボスのゴブリンに隠れるように、通路で可哀想になるほど叩きのめされたゴブリンも数十体隠れていた。
「むむむむムーン。なんでこんなにいるんだ?」
『…恐らく私達をダンジョンで倒してからほとんどモンスターを倒していないのが原因かと。あれからレベルもいくつか上がっているはずなので、従えることの出来る影の数の上限も増えたのでしょう。名付けをお願いします』
『………』
『『『…?』』』
いつも通り【気配察知】で見る。ゴブリンのボスは睨むように、後ろのゴブリン達はキョトンとした目で俺を見つめる。
「そっ、そっかぁ!!そそそそれならゴブリンキングとか…」
『………』
分かる。俺には分かる。下を向いて必死に目を合わせまいとしているが、ゴブリンのボスからとてつもない『圧』を感じる。早く名前を考えないと、俺の命が危ない。
しかし、焦ってしまって頭が回らない。その間にも俺は『圧』を感じる。ヤバいヤバいどうしよう…!
「確かゴブリンの語源はドイツの妖精、コボルトから来ていたはずだし、コボルとかは?」
ナイス!シャインナイスだよ!!
焦っている俺に助け舟を出してくれるシャイン。
「よぉっしぃ!⤴お前の名前はコボルだぁ!!」
『………』コクッ
緊張して思わず声が上がってしまいながら名付ける俺。
ゴブリンのボスはこの名前を気に入ってくれたのか、優しそうな笑顔で縦に首を振った。
「よーし!名前を付けるのも終わったみたいだし、転移魔法陣に…」
「……帰ろう?」カタカタ
「よし、帰r」
『まだゴブリン達の名付けが終わっておりません。あと数十体の名付けをお願いします』
「…は?は??はぁぁぁぁ!!?」
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「うっ、思い出すだけで吐き気が…」
「トラウマ!?ゼロ大丈夫?…まあ私も幽霊の過剰摂取でちょっとヤバいけど」
「…この話やめよっか」
「あぁ。ゼロの為にもその方が良さそうだね」
『……気をつけます』
『キュ…』
しかし、振り返ってみると俺の影の兵士は見事に役割が分担されていた。
ムーンは攻撃、グリードは魔法(爪でも攻撃出来る)、そして新しく入ったコボルは防御と言ったところか。その他にも、隠しダンジョンの魔術師と兵士に、ゴブリン数十体。
認めたくは無いが、段々と俺の軍団も完成しつつあるのだった。
これ俺指揮取れるのか?最悪ムーンに丸投げするのもありかもな…
「よっしゃ!やっと着いたー!!」
「ゼロくんお疲れ様ー!」
「…やっとって言っても20分ぐらいだけどね」
「まぁ、ゼロの速さだし…」
あれから20分後(らしい)、俺はようやく目指していた山岳地帯の頂上に着いたのだった。
山頂は綺麗な円形になっており、中心には石で出来た祠があった。
祠の前には白く輝く魔法陣があり、輝いている。
何度か見た転移の魔法陣だ。
俺達がその魔法陣に近づこうとしたその時。
俺が登って来た方とは逆側から、プレイヤーが四人登って来たのだ。
大剣、大盾、魔法使い二人のパーティーのよう。
向こうも俺達に気付いたようで、こちらを見る。
サリーとシャインを見ると、PvPを覚悟したらしく構えていたが、そうはならなかった。
「あっ!…クロムさん!」
「えっ?メイプルさんの知り合い?」
「おっ?……メイプルか…それに二位まで…ここで会うとは思わなかったな……ああ、俺達に戦闘の意思は無い。勝てるとも思わないしな」
クロムという人は、手に持っていた短剣を鞘に収め、両手をあげる。後ろのパーティの人たちもだ。どうやら本当に戦う意思はないようだ。
「私も戦いたく無いです。……いいかな、みんな?」
「まあ、そうだね。私達も浪費はしたくないし…警戒しておくに越したことは無いけど…多分大丈夫…かな?」
「俺はとりあえず信用出来ると…思う」
「だとすると、この祠?はどうする?どっちかしか報酬が貰えないはず…」
メイプルの言葉に賛同する俺とサリーに、もっともな意見を出すシャイン。確かにお互い別のパーティなので、先にどちらかが転移魔法陣に乗ることになり、ダンジョンに潜入することになる。報酬は早い者勝ちなので、どちらかは手に入れられないのだ。
つまり、答えは一つである。
「ここは先に着いた俺達が…」
「ごめんゼロくん!クロムさん達に譲ってもいい?」
申し訳なさそうに切り出したメイプルが俺に問う。
「え?でも…」
「お願い!!…ダメ?」
うっ!ここで上目遣いはズルい!そんな頼まれ方したら断れないじゃないか、と俺が思っていると、サリーとシャインもメイプルの問いに答える。
「……メイプルがいいなら、私は何でもいいよ?ただし、後悔しないこと!これは約束しておいてね」
「俺も大丈夫。他にもメダルを手に入れる手段なんていっぱいあるし、メイプルとサリーさんがいいなら俺はいいですよ」
「…他のみんながいいって言うなら、俺も大丈夫だよ」
「うん……分かった!……じゃあ、どうぞ先に行って下さい!」
「い、いいのか?こういうのは普通早い者勝ちだと思うが…」
「いいんです!私の気が変わらないうちに行った方がいいですよ?」
メイプルがそう言うと、クロムさんは礼を言って魔法陣に乗って消えていった。
山頂には俺達が取り残される。
「よかったんだよね?」
「うん…ここで戦闘になってスキルを使ったら結局転移先で戦闘になった時にまずいし…何よりフレンドの人と戦いたくなかったし」
「後悔してないならそれでいいかな…!」
「今ごろ戦闘してるのかなぁ…」
「かもしれないね」
「どうする?降りる?それか、戦ってるなら負けるかもしれないし…スキルも温存したんだから待ってみる?」
サリーがそう提案した時。
驚くべきことが起きる。魔法陣が輝きを取り戻したのだ。
「「「「えっ!!?」」」」
俺達は驚く。そうなるのも仕方ない。
クロムさん達が入ってからまだ一分程しか経っていないのだから、予想外の速さだ。
「「ど、どういうこと!?」」
戸惑う俺とメイプルにサリーが静かに自分の考えを話し始める。
「取り敢えず思いついたのは二つ。一つは転移後に装備やメダルを回収するだけだったから速攻で終わったっていう可能性。もう一つは…」
「強力なモンスターにやられた可能性、ですね?」
「それは…」
「…マジか」
「どっちかっていうと、後者……かな。まだ魔法陣が光ってるのは挑戦出来るってことだと思う。なら…中にあったのは装備なんかじゃない……はず」
幸い他のプレイヤーは登って来そうに無かったため、俺達は互いにステータスを確認し合って戦略を立ててから挑むことにした。
「【破壊成長】で鎧が【VIT+40】になってるのと、HPが増えてるくらい。スキルはバッチリ温存してあるよ」
「私もあんまり変わってない。【超加速】は回復したし、【蜃気楼】も残ってる」
「俺もだな。【
「俺もまだまだMPはありますし、使用制限のあるスキルも特にないので大丈夫です」
ゼロ
Lv25
HP 25/25
MP 30/30
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 180〈+65〉】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭 【空欄】
体 【漆黒の悪夢】
右手 【堕ちた天龍】
左手【空欄】
足 【漆黒の悪夢】
靴 【亡きものの足】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
【
【
【平常心】【常闇】
【三連炎弾】【ダークボール】【ヒール】
【演算処理】【気配察知】【隠密】【
【MPカット小】【魔法の心得Ⅰ】
シャイン
Lv19
HP 32/32
MP 105/105〈+95〉
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 40〈+10〉】
【DEX 15〈+5〉】
【INT 85〈+35〉】
装備
頭 【聖なるスカーフ】
体 【聖なるローブ】
右手 【響く杖:音増強】
左手 【空欄】
足 【空欄】
靴 【爆裂靴:小爆発】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
【火魔法Ⅲ】【水魔法Ⅱ】【風魔法Ⅰ】
【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅱ】
【音魔法Ⅴ】【爆裂魔法Ⅵ】
【ファイアボール】【ウォーターボール】
【ウィンドカッター】【サンドカッター】
【ダークボール】【ヒール】
【ノイズ】【咆哮】【サウンドソナー】
【激化の音】【癒しの音】
【超振動】【音破壊】
【音吸収】【音記憶】
【エクスプロージョン】
【爆発】
【爆裂閃光】
【MP強化大】【MPカット小】
【MP回復速度強化小】【魔法の心得Ⅳ】
【爆裂の心得Ⅱ】
「取り敢えず、入ったらすぐに私が大盾を構えるから後ろに隠れて」
「了解。それでその後は…」
「できれば俺の事を守ってもらいたい。魔法を後ろから放つためにも。それから…」
俺達はその後も二十分程話し合うと、立ち上がり魔法陣に向かった。
「よし!いこう、皆!」
「うん!」「OK!」「行きましょう!」
そして、転移と共に俺達の姿は光となって消えていったのだった。