素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。   作:名無しという名の者

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卵孵化まで書こうと思ってたんですが、そうすると二日間何も投稿しないことになってしまうので一旦途中で投稿します…。





怖がり少年とイベント三日目

 

 

 

「…!見ーつけたっ!!【(エクリプス)】!」

 

「…ん?あたりが暗く…」

 

異変に気が付き、後ろに振り返る男。

唐突な敵の襲来に驚き、一瞬反応が遅れる男。しかし、相手は止まっているため、攻撃し放題だと槍で攻撃をする。だが、その槍は簡単に防がれてしまう。俺の目の前から現れる巨体によって。

 

「硬直終了…!【死霊魔術師(ネクロマンサー)】!!」

「うあぁぁあぁ!!?」

 

今日は第二回イベント三日目。俺は今、森の中を走り回ってプレイヤーを探し、手当り次第に【(エクリプス)】と【死霊魔術師(ネクロマンサー)】を使ってPvPを仕掛けている。

まあPvPといっても完全に俺のペースで三秒ほどで対戦が終わるので、対等に戦っているかと言われると怪しい。

しかし意外とこの戦法はメダル集めという括りではかなり効率よく、これで30人ぐらい葬った今メダルは2枚も手に入ったのだった。

 

 

「モンスターじゃないからってやりたい放題して…」

 

森を走り回る俺を白けた目で見るシャイン。

そんな声を聞いて俺はシャインの所で足を止め、弁明する。

 

「でも実際PvPやるの認められているし…」

 

「いや、ゼロのはPvPじゃなくてただの通り魔。サッと現れてMP吸われて、攻撃変な奴に防がれて、わけも分からないままメダルを取られて、スタート地点に強制送還される。これのどこがPvPなんだか…」

 

「メダルが手に入ればいいんだよ」

「ついに本性表わしたな!?」

 

言い争う俺達に、ピコンという電子音が聞こえる。メッセージが届いた時の音声だ。一旦口論をやめてメッセージを確認する。サリーからだ。

【そろそろ予定の場所で集まろう】…か。

と、そういえば怪鳥を倒した後どうなったのか話していなかったな。

 

 

 

 

怪鳥を何とか討伐した後、例によって気絶してしまった俺はこの森で目を覚ました。

メイプルやサリー、シャインの話を聞くところによると、どうやらあの怪鳥の報酬として【卵】が四つあったらしい。そしてそれは一人一つしか持てないらしく、その癖卵は四つあったため俺に強制的に余った【卵】を持たせたのだそう。

…まあこんなもの叩き割って目玉焼きにして食っちまえばいいので問題ない。

 

 

 

そして、木の上で夜を明かした俺達は一度別行動をすることになった。理由は手分けして森を探索した方がメダルが集まりやすいかららしい。

そうして俺とシャイン、メイプルとサリーのペアで森の中を探索していたのだった。

しかし、途中から面倒くさくなって…というのは建前で、モンスターを見たくなくなった俺は、影の兵士達に周りのモンスターを狩らせながらプレイヤーを捜索してもらい、そして見つけたプレイヤーの位置を共有、俺がコボルと共に数秒で倒してメダルを奪い取るという、シャインの言う通り【通り魔】のようなことをしてメダルを稼いでいた。

 

いつか【放火魔(アーソニスト)】に続いて【通り魔】というスキルも手に入れることが出来るのだろうか。…不名誉すぎるな。

そんなことを考えながら、俺達は気がつくと予定の場所…森を抜けた渓谷、崖の上にいつの間にか着いていた。

 

 

「ほら、着いたよ…って、もう先客がいたか」

 

「あ!ゼロくんにシャインくんだ!どう!?メダル集まった!?」

 

「あー…。2枚な」「うん2枚」

「そっかー2枚かー。まぁ私達も手に入らなかったし仕方ないy…」

 

「「2枚!?」」

 

「実はかくかくしかじかで…」

 

「PvPって何だっけ?…」

「ゼロくん対人戦では本当に強いよね…」

 

「…だって効率いいんだもぉん!!」

 

 

こうして色々起こったが、とりあえず集合できた俺達なのだった。

メダル2枚の騒ぎが収まると、俺達は一度渓谷を覗き込む。

谷底は深い霧に覆われていて、全貌は把握出来ない。

もしここを探索するというのならば、まずはどうにかして下まで降りなければいけないだろう。

 

 

「ここ、誰かが探索してるかな?」

 

「分からないけど…この大きさなら探索し忘れてる場所もあるんじゃない?」

 

「そこが見えない…」

確かに底はかなり深く、百メートルはゆうに超えているだろう。横幅もかなりあり、探索のしがいがありそうだ。

 

 

「そうだね。じゃあ、どうにかして降りてみようか」

 

「あ、グリードにまたがるっていうのは…」

『キュイ!!』

 

「「わぁあぁぁぁ!!」」

 

「いやゼロが驚くな!」「サリー大丈夫!?」

 

俺が名前を呼んだのに反応して現れたグリードに驚く俺とサリー。俺は思わずシャインに、サリーはメイプルに抱きついてしまう。

 

「幽霊は無理ぃ!自力で降りる!」

「おおおおお俺もももももっっ!!!」

 

「…メイプルさん。我々はグリードに乗らせてもらいましょうか」

「…うん、そうだね!」

 

『キュキュ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁぁぁ!落ちる落ちるぅ!!」

 

「ゼロ大丈夫!?って、ヤバ!私もバランス崩したかも…っ」

 

「2人とも頑張って!」「頑張ってくださーい」

 

 

何とか崖を渡っていた俺は、一度足を踏み外してかけてしまう。危ない危ない、セーフ。

メイプルやサリー、シャインが落ちてもいいと安心しているのは、下にムーンとコボルが待機してくれているからだ。

 

「やっぱり俺もグリードn…え?」

 

シャインとメイプルが羨ましくて、つい上を向いてしまう俺。次の瞬間、俺は完全に足を踏み外して自由落下運動を始めてしまうのだった。

 

 

「わぁぁぁぁぁぁぁ!!無理無理無理ぃ!!」

 

「「「ゼロ(くん)!?」」」

 

メイプル、サリー、シャインの驚く声が聞こえるが、それで落下が止まる訳では無い。俺はものすごい速度で落ちていくのだった。

 

 

 

『………』

「はっぁ……っ…し、死んだ…1回死んだ…」

 

『今ここにこうして存在しているので大丈夫です』

 

 

足を踏み外して落下し始めてから3分。思っていた以上に高低差があり、かなり長い時間落下していた。

そして長い落下時間に耐え、やっとの思いで地面が見えてきた時には既にムーンとコボルがそこで待機しており、落下ダメージを食らったりすることなく何とか無事降りることが出来た俺なのだった。

…落ちるのが無事と言えるかどうかは怪しいが。

 

 

 

「おーいゼロー!だいじょーぶかー?」

 

「…ゼロくん大丈夫そうだね、良かった良かった」

 

俺が困った顔をしていると、落ちていったのに心配したのか、グリードに乗っているメイプルとシャインが生存確認をしに来た。

嫌いなモンスターに囲まれていてどこが大丈夫なんだ…?ってかそうじゃん!こいつらモンスターじゃん!!

 

 

「おっおおお前ら今すぐどっか行けぇ!!」

 

『え?…承知しました我が君よ』

『………』

『キュイ』

 

俺は自分の身の危険を感じ、そうムーンたちに指示すると一瞬で足元の暗闇…影に入り込んで消えてしまう。

 

 

「せっかくゼロがモンスターと共存できてたのに、メイプルさんが変な事言うから…」

 

「ええっ!?わ、私そんな変なこと言った…?」

 

「気づかない方が幸せなことって、あるよね」

 

そんなことを話していると、俺が落ちてきた崖の方から足音が聞こえてくる。目を向けると、降りてくる人間…サリーだ。

 

 

「やっと着いたー!皆早すぎ…ってメイプル、急に抱きついてきてどうしたの!?」

 

「うわぁぁん!サリぃー!!ゼロくんとシャインくんがいじわるしてくるーー!」

 

「え?…2人とも?」ゴゴゴ…

「「すいませんでした」」

 

「全く…」

 

やれやれという顔で俺とシャイン、続いてメイプルを見るサリー。シャイン、お前が悪ノリするから俺まで巻き添えじゃねぇか。

すると、そんな空気をぶち壊すかのようにムーンが目の前からスッと現れる。

 

『我が君よ、新たなスキルを手に入れたのに気づかれていないのですか?』

 

「キィィイィィ!!って、ムーンか…。急に出てこないでって言ってるでしょうが」

『どうすれば我が君を驚かせずに現れることが出来るのか…』

 

「ゼロのエゴだから気にしなくていいよ」

『シャイン殿…』

 

「いや俺の生死に関わるからな?本当に」

「そもそもゲームやってるのがなぁ…」

 

「…新しいスキルを獲得したんじゃないの?」

 

『おっと…失念していました。我が君よ、ステータスの確認を』

 

「はいはい…」

 

 

メイプルに抱きつかれているサリーからの指摘で、ムーンにスキルを確認することを急かされる俺。

渋々確認すると、そこには確かに見覚えのないスキル…【ソニック】があった。

 

 

スキル【ソニック】

五分間走り続ける度にAGIが1%増加。

最大400%。走るのをやめると上昇は消える。

 

取得条件

AGI2000以上で、AGI実数値の1.5倍の速度を出すことで獲得。

 

 

…どうやらさっきの落下の重力でAGIが上がったことで獲得できたようだ。だが…これそんなに強くないな。

まずそもそも、五分間走り続けることはほとんどないだろう。万が一五分間走り続けても得られる効果はたったの1%。割にあっていなさすぎる。

まあAGIが上がらないよりはいいんだけどね。

 

 

 

「ちょっとまって。水の音がする…?」

 

「えっ?」

「……本当だ!近くに水場があるのかな?」

 

サリーの言葉に反応して、俺達は水の音のする方へと進んでいく。

 

「あった!」

 

目の前には小さな川があった。

透き通ったその川に、僅かな段差から水が流れ落ちて音を立てていたようだ。

 

 

「見て、あそこ!」

 

メイプルが指差す先。指の指している方を見ると、岩肌に亀裂が入っていて洞窟になっているのが辛うじて分かる。

 

「…もしかしてダンジョンかぁぁぁ!!?」

 

そう叫ぶ俺を無視したサリーは、近づいてその中に入ってみるが、奥行きはさほど無くモンスターの形跡もないただの大きな裂け目だったらしい。

 

 

 

「…ここを拠点にしようか。渓谷探索には時間がかかりそうだし」

 

ただの裂け目とはいえ、サリーの言う通り拠点にするには十分な条件だろう。少なくとも木の上よりは遥かにいい。

 

 

「うん。賛成!あと…卵のことも確認してみないとね」

 

「ああ、そっか。暖めてあげないとダメなんだっけ」

 

「…目玉焼きにして食べる人ー?」

「いや食べないよ??」

 

俺達は洞窟を拠点に決めて少し休息を取ることにした。

それと同時に、卵についても確認することに決めたのだった。…叩き割るか?

 

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