素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。   作:名無しという名の者

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ギリギリセーフ!
…じゃないですよね。
投稿遅れてすいませんでした!!

追記:致命的な計算ミスを修正


怖がり少年と影無双

 

 

 

「…イベントって後何日だったっけ?」

「後三日。この三日間でメダルを29枚集めなきゃ行けない」

 

「…それ不可能じゃないか?」

「かなり厳しいですね…」

 

カスミと別れた俺達は砂漠を抜けるために、いつも通り俺がサリーを背負って、ムーンがメイプルとシャインを肩に乗せて走りながら雑談をしていた。

現在のメダルの枚数は11枚。そして、さらに29枚を集める気らしい。つまり、通算で40枚集めるということになる。

 

 

「PKか?それなら俺得意だぜ?」

 

「そうでもしないと無理だよねー…」

「うーん……そっか」

 

「ん?あれは…森だぁ!ようやく砂漠から抜けられるー!!」

 

 

 

 

 

 

一度森の木の切り株に座り込んで、一息つく俺達。すると、サリーが一つ提案をしてくる。

 

「ねぇ…一旦別れて行動しない?」

 

「確かに…そうしたら単純に効率2倍だもんね!」

 

「それなら…どう別れるか」

「無難にメイプルさんとサリーさん、ゼロと俺でいいんじゃないですか?」

 

どうやらシャインはメイプル&サリーチーム、シャイン&ゼロチームがいいようだ。しかし、俺には一つやりたいことがある。

 

「いや…俺一人行動じゃダメか?」

 

「え?いや、別にいいけど…大丈夫?」

「そうだよ、一人だと危険が伴うよ?」

「ゼロの場合、モンスターを見た時になだめる人がいないとダメだし…」

 

「忘れたのか?俺には…こいつらがいるからな」

 

【常闇】を発動し、周りが夜へと変化する。

出てこい、と俺が言うと、たちまち目の前から出てくる青い炎のようなムーン、グリード、コボル、そして兵士と魔術師にゴブリン。

 

「ひっ!!」

「サリー、大丈夫だって!」

 

「それよりもゼロが珍しくモンスターを見ても叫ばないのが驚き…」

 

そう。目に見えて怯えるサリーに対して、クールに立ち尽くす俺。

しかし、内心はめちゃくちゃ焦っている。心の準備ができていてかつ、【気配察知】を使っているからこう出来ているだけである。

と…自分語りしている場合では無い。

 

 

「このように…一人行動といってもこいつらがいるから、厳密には一人では無い。だから、安心してくれ」

 

「…それなら安心、かな?」

「何かあったらすぐメッセージ送ってね、すぐに駆けつけるから!」

「なら…メイプルさん、サリーさん、俺チームと、ゼロとその配下チームで別行動ということで」

 

 

 

 

 

 

「じゃあね〜ゼロくん!」

「気をつけてねーー!」

「また後でなー!」

 

「おう!」

 

 

俺とは逆方向を行くメイプル達一行に手を振り、その姿が見えなくなると俊足で移動する俺。

あいつらならメダルを15枚ぐらい集めてこられるだろう。多分。

あとちなみにだが、センザンコウのサンはあいつらに預けている。俺が持っていてもやられかけた時ぐらいしか出さないため、持っていても仕方ないと預けたのだ。

できればレベルも上げてもらいたい。(真の目的)

 

 

『我が君よ、現在は夜のため【常闇】を使わなくてもよろしいかと』

 

「ふぉぉおぉぉぉ!!わぁびっくりしたぁ!!…って、え?そうなの?」

 

確かに【常闇】発動する前までは夕方ぐらいだったしな…。それなら使わなくてもいいか、と思い、【常闇】の発動をやめる俺。

 

 

『ところで…我が君は何をされる予定なのですか?』

 

「ももももちろん決まってんだろぉ!PKだよPK!って、そっか、作戦会議しないとな。おっおおお前ら起きろ!」

 

 

1度立ち止まって影の兵士達を呼び出す俺。

目の前にはムーンにグリード、コボル、そして魔術師にゴブリン達がいる。

兵士達はそれぞれメイプル、サリー、シャインの影に潜むようにしておいたのでここにはいない。こうすることで、【影の交換】を使って一瞬で移動できる上、メイプル達がピンチになったら守ることも出来るのだ。

 

 

「そっそそそそれででで、今からお前たちにににやってもらいたいのは…PKだ。幸い、今は夜でお前たちが俺の周りを離れても外に出られる時間帯だ」

 

『そこで、我々がさらに別々に行動してプレイヤーをキル、メダルを乱獲しよう、ということですか…』

 

「そっそそそう、その通りだ!」

 

死霊魔術師(ネクロマンサー)】によって呼び出せる影の兵士は、夜の状態しか外に出られないため、昼間は俺の【常闇】が適応される範囲内しか移動できない。

 

だが、デフォルトで夜の場合は行動範囲に制限は無い。なので、ムーンの言う通り、影の兵士全員がバラバラに行動してプレイヤーを倒し、メダルを集める。これが今回俺の立てた作戦だ。

 

 

「ままままずはコボル。お前には俺に付いてきてもらう。おっおお主に【(エクリプス)】の硬直などの攻撃を防いでもらうのが役割だ」

 

『………』

 

返事がないということはYESということだろう。

 

 

「つつつ次にムーン。おっお前は…負けることは無いだろう。どんどんプレイヤー倒しちゃって」

 

『承知いたしました、我が君よ』

 

あのステータスお化けに壊れスキルを持っているムーンを心配する必要は無い。俺ですら勝てるか怪しいし。

 

 

「つつ続いてグリード、そして魔術師。おお前らは二人…いや、一匹と一人で行動してくれ。まっままぁ、念の為だな」

 

『キュウ!』

 

 

「さっささ最後にゴブリン達全員。お前たちは数で押しきってくれ。…まぁ最初に出会った時よりかはある程度成長しているだろうし、前衛と魔法使いなど、役割も分担されているはずだろうから大丈夫だろう」

 

 

にしても、本当に数多いな…【気配察知】越しに伝わるゴブリン達の圧。30体ぐらいいるんだろうか。

 

「そそそっ、それじゃ!解散!!」

 

『承知いたしました』

『キュキュ!』

『………』

『…』ウオー

 

 

 

 

 

 

 

---アラス視点---

 

 

 

「ふー、疲れた疲れた」

「やりましたね!」

「えぇ、これでメダルは七枚目ね」

 

俺の名前はアラス。ゲーム内ではそう呼ばれている。今は第二回イベントの最中であり、パーティメンバーである魔法使いのカイと、大剣使いのナミ。そして、槍使いである俺ことアラスでメダルを集めていた。

俺達は自分で言うのもなんだが、かなり強い部類だ。第一回イベントでは三十七位と、かなりの上位にいるのである。

ちなみに、カイは五十三位、ナミは四十八位と、こちらもかなりの上位である。

 

 

現在、俺達は森に出現した気の大型ボスを見事に倒し、メダルを獲得したところだ。

そして、戦闘に夢中になっていると、いつの間にか空は暗くなっていた。そんなこともあり、カイとナミと話し合って一度休憩を取ろうということになり、俺達は適当な倒れていた木に座る。

 

 

「いやー、俺達結構凄いんじゃないんですか!?」

 

「そうね。かなり頑張ったし」

「あぁ…」

 

そうだな、と言いかけるが、俺はなにか気配を感じ取る。

…モンスターか?それもかなりの数らしい。

カイとナミの方を向くと、どうやら2人も気づいたようだ。

 

 

「お前ら!」

 

「分かってるわよ!」

「【真実の光】!」

 

地面から立ち上がり、それぞれの武器を構えて戦闘態勢に入る俺達。

カイが魔法を詠唱すると、少し離れた場所から、青色のゴブリン達が突如として地面から現れる。幽霊、または炎のように体の先がゆらゆらとしている。

 

 

「三十体ぐらいか…だが、所詮はゴブリン、行くぞ!!」

 

「はい!【光陣(ライトエリア)】【超電磁砲(レールガン)】!」

 

カイは最初からクライマックスのようで、彼の持つ最強のスキルである【超電磁砲(レールガン)】を使っており、カイから放たれた赤い光線はゴブリン達を正確に捉えていた。

光線がゴブリン達に当たると、爆発音、ダメージエフェクト、そして煙が発生する。その間に、俺とナミは畳み掛けるようにゴブリン達との距離を詰める。

そして、ゴブリン達との距離が10m程になるまで走ると、発生していた煙が段々と消えていっていた。

次の瞬間、俺は驚きの光景を見ることになる。なんと、ゴブリン達の目の前には水色の巨大な障壁が出現しており、それがカイの【超電磁砲(レールガン)】からゴブリン達を守っていたのだ。

 

「ナミ!どうする!?」

 

「ここまで距離を詰めてしまっては、今から下がってもダメージを受けてしまうことは避けられないだろう…。攻撃して、隙を作るしかない!」

「了解!」

 

「バフを掛けますね!!」

 

カイの魔法を詠唱する声が聞こえると、俺の周りに黄色いオーラが現れ、段々と力が湧き上がってくる。ナミもオーラを纏っていた。

 

「【強化】【一刀両断】!」

 

「【バーニングランス】!【ポイズンランス】!」

 

「【光砲】!」

 

 

俺の得意とする状態異常になる効果を付与した攻撃は、見事にゴブリン達にヒットし、続々と倒れていった。

だが、ヒットしてもヒットしても次々と新たなゴブリンが現れる。まるで、『ゾンビ』のように…。

 

「おかしい!数は三十体のはずだよな!?」

 

「アラスさん、攻撃はヒットしてますが、トドメをさせていません!」

 

「なにっ!?」

 

ゴブリン達の後ろの方を見ると、明らかに目立っている魔法使いのようなゴブリンが倒れているゴブリン達を【ヒール】していた。

恐らく、HPが1残るようになっているのだろう。しかし、そういうスキルは大抵一日一回まで。

 

「もう一度攻撃すればっ…!」

 

そういいながら、俺は目の前のゴブリンに槍で攻撃をする。だが、その攻撃は防がれたのだった。…ゴブリンが手に持っている、『脆い棍棒』にて。

驚いている暇などなかった。一度攻撃を止められた俺は、為す術なく周りのゴブリン達にボコボコにされ、スタート地点へと戻されたのだった。

 

 

---ナミ視点---

 

確かに倒したはずだった。手応えはあった。広範囲の一撃に重きを置いている私の攻撃を、ただのゴブリンが耐えられるわけが無い。

しかし、それは私がそう思っていただけ。現実を受け入れるしかない。実際に、『生きている』のだから。

また現れる。斬っ…れない!?

 

私の重い一撃は、『棍棒』に受け止められていた。

私は思いっきり力を入れる。すると、棍棒を何とか斬ることが出来た。そして、その剣先は折れた棍棒を持つゴブリンにヒット…しなかった。

すぐさま他のゴブリン達のカバーが入ったのだ。私の攻撃は、カバーに入ってきたゴブリン達の棍棒三本に完全に受け止められ、動きを封じられたのだった。

すぐさま貫通攻撃や、範囲攻撃のスキルを使おうとするが、何故か使うことが出来ない。

 

私は殴られるのに抵抗できないまま、光の粒子となってスタート地点へと戻された。

 

 

---カイ視点---

 

 

とてつもなくまずい状況だ。

僕は後方からの支援に徹底していた。後方から攻撃をし、バフ・デバフをかけ、指揮を執る。

こんな敵は初めてだった。ほとんどの敵は、全ての攻撃を避けようとする。だから、その行動を読んで僕が攻撃をしたり、指示を出す。

 

 

しかし、彼らは違った。避けようとなんかしていなかった。攻撃を受けることを前提として動いていた。止められる攻撃は止め、無理だと思ったら諦めて攻撃を受け止め、時間を稼ぐ。

そして、彼らは一度HPを1残す。すると、大きなバフが魔法使いゴブリン達によってかけられ、【ヒール】される。そして、そこから敵を倒す流れ作業で油断している敵を攻撃を受け止め、他のゴブリンでリンチする。それが戦法だ。

HPが1になってもトドメをさしてくる奴はいない。なぜなら、他の奴の攻撃が飛んでくるので、とどめを刺す暇がないのだ。

 

 

一番厄介なのは、あの三体の魔法使いゴブリンだろう。魔法にて後方支援をしようとすると、【魔力阻害】を使われたのか、魔法を使うことが出来なかった。

そして、強力な攻撃も障壁にて防がれる。

攻めあぐねていると、デバフをかけられる。

かといって、近づいたらやられる。

 

正に【不死の集団】。

なんだよ、これ…。闇属性に光属性は相性いいんじゃなかったのか…?

僕は、何も出来ずにやられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メダルを七枚も獲得したゴブリン達。

手を上げて、笑顔で喜ぶゴブリン達。

ご主人様に褒められる、と。

アラス達…いや、よく観察していたカイも知らなかった。ゴブリン達は、HPを1残すスキル【下克上】が魔法使いゴブリン一体につき、ゴブリン全員に効果を発揮することを。

魔法使いゴブリンは三体いる。

つまり、HPを1残すのは一度だけではない。

強化は、まだ二回残されていたのだ。

 

【下克上】

攻撃を一度HP1で耐え、全ステータスを二倍にする。装備の耐久を上げる。

自分と同族のモンスターにしか付与することが出来ない。

一日経つと、ステータス上昇はリセットされる。

 

【同族強化】

同族のステータスの上昇を共有する。

上昇が重なる場合は、上昇値を加法で計算する。

 

ゴブリン一体につき、上昇は最大で8倍。

そして、ゴブリンは全員で三十体。

 

最大で、全ステータス240倍である。

 

 

 

 

 

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