素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
数ヶ月ぶりに投稿しました。
リアルで色々あって投稿できなかったんですが、今日から再会できます!
………毎日は無理そうですが。
「?なんだ?」
「この闇が迫ってくる感じは…みんな逃げろ!」
「?」「?」「?」「とにかくだ!!」
「そうだね〜早く逃げないとね!」
「あぁ!君も早く…って!?」
「【
男は知っていた。
『昼なのにも関わらず夜になったら気をつけろ、【ヤツ】が近づいてきている証拠だ』とネット掲示板でよく注意をされていたから。
しかし、逃げることなどできなかった。
AGI極振りのゼロに素早さで勝つなど、できるはずがなかったのだ。
一瞬狼狽えるが、すぐに切り替えて攻撃を始める男。しかし攻撃はゼロ自身には当たらない。
ゼロと男の間に唐突に現れた、青い巨体に全て防がれてしまう。
「じゃあね、【
「くそっ!?」
あまりに一瞬の出来事に、唖然としながら一部始終を見ていた男のパーティメンバーは、まさに開いた口が塞がらないといったところだ。
一瞬で現れ、一瞬で葬られる。そう揶揄されるのもうなずけるほど圧倒的な速度のゼロに、思わず遅れをとってしまう。
しかし、そんなまったりと感想を述べている暇はない。ここは戦場、戦いの場だ。それを知ってる男達は、捨て身で武器を取りだしゼロに突っ込んでいく。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
「どんどんかかってきな!」
『皆様は今頃、どれぐらいメダルを集めているのか……とにかく私も頑張らないと』
「は?……え??」
ムーンは独り言を呟きながらプレイヤーの背後に現れ、そして一太刀で倒す。それはまるで作業のようだった。
光の粒子となって消えていくプレイヤーを後目に、新たなプレイヤーを探しにまた森の奥へと消えていくムーン。
『キュキュ!!』『……』
「いやそのスキルズルすぎだろ!?」
魔術師やグリードはスキルを使って動きを封じたあと、爆裂魔法を空中から放ってプレイヤーを倒していた。
プレイヤーも攻撃魔法で遠距離から対抗したりしていたが、魔術師がサポートして攻撃を上手く受け流していた。
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「ふぅ……とりあえず一段落着いたかな?」
『そのようでございますね』『キュウ!』
「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
夜が明け、丘の上から良い景色を眺めていた俺は、急に聞こえて来た声に驚いて綺麗な叫び声を辺りの森中に響かせる。
「おっおおおおお前らか。ムーンがいるってことはほかの影達も?」
『はい。全員ここに戻ってきております。こちら全員が集めたメダルになります』
「おぉ!とりあえずお疲れ様!!…だから一人にさせてくれないかなぁ!!?!!?」
『承知いたしました』『キュ!』
せっかく人が戦い終わって感傷に浸ってるときに奇襲してくるんだから…。
あの解散を命じてから2日と半日が経過した。
俺はコボルとの圧倒的なコンビプレイでPKをしまくった結果、3枚ものメダルを集めることに成功した。
といっても完全に流れ作業だったけど。メダルが集まればなんだっていい。
まぁそんなこんなでそろそろ集まるかと招集をかけ、影達が戻ってくるまで少し休もうと思ったら一瞬で集まってきたのだった。
仕事が早いと逆に困るね。
そんなことを考えつつ、俺はとりあえず今手渡されたメダルの枚数を確認する。
まぁ〜7枚くらいあったら上出来でしょ。 10枚以上あったら嬉しいけど…流石にないだろう。
さてさて、気になる影達が集めたメダルは…って、え???
「12枚……?????」
え?見間違いか?1、2、3…うん、12枚だ。
俺はそれぞれムーン、グリード、魔術師にゴブリン達の顔…は見れないので、それぞれ気配を感じとる。
おいおい、嘘だろ??だって、俺があんなに苦労して集めたメダルの4倍だぞ!?!?
ムーンだけで12枚集めてきた可能性も無くはないが…集めたと言っている以上、各自1枚は少なくとも手に入れたのだろう。
もうなんでもありだなこいつら。俺誰一人にも勝てなそうだぞ??
このままだといつ反逆されてもおかしくないな、と苦笑する俺。
ムーンはその圧倒的なステータスで一人であるにも関わらず、多人数を相手にとっても不利になるどころか終始優勢のまま勝つ。
グリードと魔術師は前衛の兵士達の指揮を取りながら的確に魔法を使い、何かあればさらに兵士を召喚して押し込む。それでも無理なら乱戦状態のところに圧倒的火力の爆発魔法を安全圏から放つ。
ゴブリン達はステータス上昇のスキルを共有して数の暴力とステータスの暴力で無理やり勝つ。
どれもこれもインチキレベルの戦いをしながらメダルを様々なプレイヤーから奪い取ったのだから、12枚もメダルが集まるのは当然だった。
何はともあれ、これでイベント終了後に【百鬼夜行】と呼ばれるようになった悪夢の三日間は終わりを迎えたのである。
「まだ整理できてないけど…とりあえず一旦みんなと合流するか…メッセージ送信っと」
ちなみにメッセージの内容は『そっち行っていい?』だけだ。めっちゃ投げやりだなと俺も思うが、今回はやりたいことがあるもので。
必要な情報はそれだけだからな、仕方がない。
すると早速メイプルから返信が。よっし、それじゃ…
「【影の交換】!!」
「よっと」
「うわぁ!」「誰!?」「曲者か!?」
「侵入者…ってゼロ!急に現れて驚かすな!」
俺は【影の交換】を使ってメイプルにつけていた影と場所を交換し、みんなのいる所へと一瞬で移動を済ませる。
それに鋭いツッコミを入れるシャイン。
くぅ〜〜!一回やってみたかったんだよね!
「いやーだっていっつも俺だけモンスターに驚かされてばっかりでしょ?だからたまには俺も皆を驚かせたいなぁって…」
「いやゼロが勝手に1人で驚いてるだけだから」
「あはは…」「びっくりしたよ〜」
「ゼロか…また会ったな」
ここはどうやらどこかの洞窟らしい。
メイプル、サリー、シャイン、そして何故かいるカスミは暇を持て余し、将棋とオセロをしていたようだ。…ほんとに何してんだ??
とりあえず、と俺は集めたメダルを全員に見せる。俺が集めたと言ってもほとんどムーンやグリードのだろうけどな。
とにかく、この圧倒的な枚数のメダルを前にひれ伏すがいい!
案の定誰も15枚集めてくるとは予想してなかったらしく、改めて俺のことを変な目で見てくる4人。
いや俺も予想してなかったよ、こんなに集まるなんて。
「やっぱりゼロもメイプル並にやばいね…」
「でもね!こっちだって頑張って集めたんだよ」
そうメイプルが言うと、シャインが無言でメダルの枚数の画面を表示する。どうやらあっちもあっちで協力し、なんと14枚も集めていたのだった。
「いやそっちも充分ヤバくない?」
「そう?3人いればこんなもんなんじゃないのかな?」
「そんなことないと思うよ、メイプル…」
「集めた俺達がそんなこと言うのもおかしいけどね」
ともかく、どうやらなぜか俺たちは目標のメダル40枚を集めきった。それは確かだ。それはいいんだけど…
俺は一瞬、嫌なモノを見てしまった。
「メイプル、まさかその肩に乗せているのは…」
「え?シロップに朧に……あぁっ!ちがっ!?」
即座に自分の失言に気づくメイプル。
しかし、もう遅い。既に俺の脳が"それ"をモンスターと認識してしまったのだから。
「ノォォォォォ!!!」
「はーい!これでまた私の勝ち!!」
「また負けたぁ…!悔しい!もう一回!」
「ふっふっふ!何度でもかかってきなさい!」
あの気絶から目が覚めた俺は、あの後もシロップや朧、シャーベットとサンの全員に追いかけ回された。
逃げれば追うのが生き物の本能だと聞いたことはあるが、それをここで適応しないで欲しい!!
それから一段落ついた俺は、メイプルとのオセロで勝負している。ちなみに絶賛ボロ負け中だ。
4戦0勝4敗。まさにゼロってか?やかましわい!
「まぁメイプルはオセロ強いから仕方ないよ」
「そんなこと言ってるサリーさんも十分将棋強いですよ…」
「楽しそうでなによりだ。だが、そろそろ時間ではないのか?」
っと、適当に時間を潰している間に、どうやら遂に第二回イベントが終了するようだ。
フィールド全体にアナウンスが鳴り響き今から五分後に元のフィールドに転移することになる。
これでまたカスミとはお別れだ。
「じゃあ、また戻ったらね!」
「ああ、また会おう」
新たな出会い、新しい力の入手、新しい仲間。
モンスターに怯えまくって叫びまくった大満足の第二回イベントは、ついに幕を閉じたのだった。
あの影達だからね。
こんなにメダル集まるのも仕方ないね…?