素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
今回は短めです
怖がり少年と資金集め
光の粒子に包まれながら、いつも通りにゲームにログインする俺。
さて、今日は何をするか…と考える。
というのも、このゲームを一人でのんびりとは最近やっていなかったからだ。
「最後に一人でやったのって、第一回イベント後のスキル集めてた時かな?」
何だか懐かしく感じるなぁ。一応第二回イベントでメダル集めのためにプレイヤーをキルしてた時も一人だったが…のんびりはしてない。
いや、いつもムーンがいるからそもそものんびり出来てないか…。
俺はふと周りを見渡す。
第二層はいつ見ても面白い町だ。
「よし…歩いて回りますか」
今日のやること決定!
「なんだかやけに視線を感じる…」
俺は冷やかしで街を回って見ていると、すれ違うプレイヤー一人一人に何故か変な目で見られていた。
察しの悪い俺でも原因は分かる。この異常なほど速い歩くスピードだろう。
現在の俺は常人のダッシュ×2ぐらいのスピードだからな。そんなやつが通り過ぎていったら俺でも見入ってしまう。
「ここはスキルを売ってるところかな?」
俺はとりあえずスキルを売っていそうな店を発見する。
暇だし金も有り余ってるし、ちょっとだけ入ってみるか…見るだけならタダだし!
そう思い、中に入ってみたのはいいが…
「うーん、なんか微妙だなぁ…」
そう、微妙。確かに強いし、俺が持ってるスキルみたいに癖もなくて汎用性も高いんだけど…素早さに関係して魔法使いが使える魔法が、あまりにも少なすぎた。
バフスキルはあっても、俺自身には効果が無かったり。強い攻撃ができても、【
途中から適当になっていた俺だったが、一つ面白そうなスキルを発見する。
「【状態保存】…か…」
【状態保存】
セーブすることでそのプレイヤーにかかっているバフやデバフ、状態異常などを保存することが出来る。
ロードで保存した状態になることができる。
セーブできるのは一つまで。
このスキルは本来ならバフやデバフ、状態異常スキルをほとんど持っていない俺にとっては全くの無縁と言っていいだろう。
しかし俺はある一つの有効な活用法を思いつく。
「これ買って試してみるか…成功するといいんだけど」
俺は第一層の森で全力で走り込みをしていた。
その時間約30分。
「よし、こんなもんかな」
俺はさっき買ったばかりの【状態保存】を使って、早速セーブをする。
そしてステータス画面を見てみる俺。すると…
「よっしゃ!やっぱり狙い通り!!」
ステータス画面のAGIの横には「×1.06」の文字が。これは俺は第二回イベントの三日目で手に入れたスキル、【ソニック】による効果だ。
【ソニック】
五分間走り続ける度にAGIが1%増加。
最大400%。走るのをやめると上昇は消える。
本来なら走ると消えてしまうためほとんどないのと一緒のスキルだったのだが、【状態保存】で走ってる時の状態をセーブすることで上昇が消えることはなくなり、AGIを実質五倍にできるようになったのだ。
現在のAGIは装備の補正も含めて300ほど。
【ラピッド】【影駭響震】【
300×1.5×2×1.5×5= 6750
となる。ただしこれは通常時、つまりなんにも発動していない時の速度だ。
相手も恐怖を感じていたら【影駭響震】は3倍になるし、【超加速】もある。それも加味すればなんとAGIは15000を超えることになる。
「俺バケモノスピードすぎない…?」
おそらくスピード特化のボスでも俺の足元にも及ばないであろう。この数値じゃメイプルのこととやかく言えないな…。
【ソニック】はまだ6%上昇しかしていないが、プレイしていくうちに自然と増えていくだろう。
思いもよらない強化を手に入れ満足していた俺に、メッセージが届く。サリーからだ。
「サリーから来るのは珍しいな、ちょっと手伝って欲しいか…『オーケー』っと。さて…ひとっ走りしますか!」
街を歩いていたプレイヤー達は、突然隣を横切っていった強風がゼロだとは知らない。
三分後。俺はサリーのいる二層の、自然豊かな森に到着する。サリーはどうやらひたすらにモンスターを狩っているようだ。(すでに【気配察知】使用済み)
「相変わらず速いな…」
「まあ極振りだからね!それで何を手伝えば?」
「新要素でギルドが作れるようになったでしょ?ギルドホームを買うためのお金集めを手伝って貰いたくて…」
「え?そうなの???」
「……もしかしたらそうかもって思ったけど、まさか本当に知らないとは…」
サリー曰く、最新のアップデートによりフィールド上に稀に【光虫】というモンスターが湧くようになり、それを倒すことでギルドホームを買うことの出来る権利を手に入れられるようになったらしい。
「それでもう既に【光虫】は見つけてギルドホームを買えるようにはなったんだけど…あくまでも"権利"が手に入るだけで、お金は別途で必要なの」
「あぁ、だからあんなにモンスター倒しまくってたのか」
「そう、だからお金稼ぎ手伝って欲しいんだけど…お願い!」
「ちなみに、そのギルドに俺は…?」
「入れるに決まってるでしょ!じゃあ手伝ってくれるってことでいい?」
「よっしゃ、お前ら起きろ!」
『お呼びでしょうか』『キュイ!』『……』
「ヒッ……」
「よよよよよしお前ら、ぜぜ全身全霊をかけてモンスターを討伐してこいぃ!」
俺が命令を出すと四方八方へと散らばっていく影たち。数秒後には辺りからモンスター達の断末魔が聞こえてくるように。
「そそそれじゃ、私達も狩りに行きますか!」
「…その前に一旦深呼吸させて」
俺とサリーは影達に怯えながらも、一日で大金を稼ぐことに成功したのだった。