素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
こんなRPGの主人公は嫌だ
追記:ステータス、装備を一部変更しました
「まずは……ステータス!」
ヴォンという機械音とともに青白い半透明なパネルが出現する。
ゼロ
Lv1
HP 25/25
MP 30/30
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 100〈+12〉】
【DEX 0】
【INT 0〈+25〉】
装備
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎頭 【空欄】
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎体 【初心者のローブ】
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎右手 【初心者の杖】
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎左手 【空欄】
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎足 【空欄】
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎靴 【初心者の魔法靴】
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
なし
「うーむ…モンスターたちの体力はある程度はステータスが振られていることを前提としたものになっているだろうから、これじゃろくなダメージを与えられそうに無いな…」
ただ、素早さだけは一級品なのでヒットアンドアウェイをすればいつかは倒すことが可能なのだろう。
というか、なに真面目にこのゲームのこと考えているんだ俺…
元はと言えば間違えてゲームを始めたのが問題なんだ。早くログアウトをしなければ!
そしてこのゲームを封印するのだ!!
素早くメニューを開き、ログアウト画面を開き、[はい]を押そうとする。だが…
「くっ……」
何故だ!?何故このボタンを押すことが出来ない!?あともう少しでやめることができるのに…!!
いや、待てよ?何も今だけしかやめられない訳では無い。やめようと思えばやめることが出来るのだ。
そうだ。本当に嫌になったらやめればいい。
せっかくここまで設定をしたんだ、少し楽しまなければな!
「というか、どうやって楽しめばいいんだ…?」
このゲームの醍醐味はやはりモンスターを倒すこと。しかし俺には見ることすら出来ないし…。
しかし、やはり醍醐味とあるだけであってモンスターと出会うのはプレイしていく上では避けることの出来ないことだ。
ここで避けてもいずれは会うことになるだろう。
「よ、よよよよし決めたっ!!モンスターに会いにぃぃぃいいくぞぉ!!」
足をガクブルさせながら、AGI112の速さで町を駆け抜けたのだった。
ものの数分で街の郊外へと出ることが出来た俺は、人気のなさそうな森へとやって来た。
「こっ、こここここなら大丈夫だろぉう!さっさあどこからでも来い化け物めぇっ!?」
明らかに大丈夫では無いなと我ながらに思う。
カサカサッ……
「……!?」
俺の明らかに怯えた声に反応したのかは分からないが、後ろの草むらから突然の物音が。
後ろを振り向くと、そこには鋭い角を持ったイノシシがいたのだった。
気がつけば俺は戦略もなにもかも全てを捨ててイノシシに背中を見せながら走り出していたのだった。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!死ぬぅ!俺ここで死ぬんだァ!!」
俺は完全にパニックになっていた。ログアウトすればいいのに、そのことは完全に頭の中から消えていたのだった。
そもそも、いくらイノシシとはいえAGI112の素早さに追いつくことなど不可能なので、イノシシはとっくに追いかけてなどいなかったのだが、もちろん俺はそんなことは知らず、走り続けたのだった-。
--3時間後--
「ノォォォォォ!!!来ないでぇぇぇ!!!」
叫び声を上げながら走る俺を、頭の中に流れる音声が正気へと戻す。
『スキル【
「ふぇ…?」
あれ?今まで俺は何を…はっ!?そうだ、イノシシは!?あの重戦車はっ!?
慌てて後ろを振り向くと、そこには何も無かったのだった。
はぁぁ、と安堵のため息をつく俺。安心したのか、唐突に疲れが俺を襲い、思わず座り込んでしまう。
「もうマジ無理…やっぱこのゲームは俺には向いてない…」
ログアウトしようとする俺は、突然さっき聞こえた音声のことを思い出す。
「そういえばスキル、えいがいなんちゃらって…」
そう言いながら、俺はスキルの確認をする。
スキル【
戦闘時、スキルの所有者か相手が恐怖を感じている場合、このスキルの所有者のAGIを二倍にする。お互いに感じている時は四倍になる。
取得条件
3時間、恐怖を感じた状態でダメージを受けずに走り続けること。かつ、魔法、武器によるダメージを与えないこと。
AGI最高四倍っ!?つまり最高の速度は112×4は…
「448!!!?これ相当ヤバいスキルなんじゃない!?…いやでも恐怖を感じている状態って結構限定的だし、さらに四倍を発動するならお互いだからあまり使い所がないのかもしれないな…」
いやでも…しかし…あぁもう、深く考えちゃダメだな。とにかく、強い初スキルをゲットだ!!
しかし、こんなスキルを最初から手に入れるなんて、もしかして…
「俺意外とこのゲーム向いてる?」
カサカサッ……
「!?…ってまたイノシシかよォちくしょーー!」
俺はまた3時間走り続けたのだった。