素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
今回も短めです
ギルドを結成した次の日、俺達は第二層のモンスターの出る森に来ていた。
どうやらイズさんが様々なアイテムや装備を作るための素材をギルド内に溜め込みたいらしく、話し合いの結果メイプル、カナデ、イズさんが鉱山で採掘、残りのサリー、カスミ、クロムさん、シャイン、そして俺はモンスターを狩ることで出てくる素材を集めることになった。
イズさんのアイテム生産能力は凄まじいのだそう。
武器や装備、アクセサリーだけでなく家具等も作れるのだとか。流石生産職といったところだ。
ちなみに俺はモンスターと戦いたくないと猛抗議したのだが、鉱山にも当然モンスターが湧くらしく究極の二択を迫られ、それならどこから来るかわかりやすい森の方がいいとこっちになった。
……サリーとかカスミとかシャインあたりが倒してくれるだろうから俺は後ろで見守ってようかな?
そして今、目の前(目は開けてないけど)ではサリーが青白いオーラをまといながらモンスターの攻撃を全て避けているところだ。
「サリーちゃんもやばかったか……」
そう言葉を思わずもらしてしまうクロムさん。
たしかに今まで気にしたことなかったけど、俺より圧倒的にAGIが低いはずなのにどうして俺と同じように避けることができているのだろう?
もしかしてサリーもメイプルと同じように何かヤバいスキルを持っていたりするのか…??
「それは一体なんというスキルなんだ?」
「これは【剣ノ舞】っていうスキル。相手の攻撃を躱す度にSTR上昇!…これでもメイプルは貫けないけどね」
「え…メイプルのVIT値ってどれくらいなんだ?」
「メイプルに聞いてみたら?多分教えてくれると思うよ?」
そんな話に俺が夢中になっていると。【気配察知】が後ろから迫ってくる何かを感知する。
迫ってくるものがモンスターだと俺の脳が認知するのに、そこまで時間はかからなかった。
「ぎゃあああぁぁぁあ!!無理無理無理!!ムーン助けて!!」
『お任せ下さい』
俺が【常闇】を発動しながらそうムーンに助けを乞うと、ムーンは俺の足元から出てきながら返事をする。
次の瞬間、ムーンは俺の背中に突っ込んできたモンスター10体を一振りで倒す。
が、また次の瞬間俺の脳が背後にムーンがいるということを認知する。
「やっぱムーン来ないでぇぇぇえぇ!!!」
「…いつもこんな感じなのか?」
「あはは…」
「強いのは頼もしいが、毎回これをやられると調子が狂うな…」
「慣れるしかないですよ、俺はもう慣れました」
笑ってないで助けてよ皆ぁ!!
「シャイン、ゼロのことは放っておいていいのか?」
「時間が経てば勝手に正気に戻るんで大丈夫ですよ、多分。最悪モンスター突きつけて気絶させれば収まります」
「手慣れてるな」「…もうめんどくさくなってるだけな気もするけど」
ゼロのことを心配するクロムとそれを放置するシャイン。それに感心するカスミだがサリーはモンスターと戦闘をしながら鋭い指摘をする。
「それなら、俺もそろそろ働かないとな!」
そういってクロムは戦闘に入る。
目の前から来るモンスターの攻撃をきちんと盾で受け止め、生まれた隙を短剣で攻撃する。
まさに堅実と言ったところだ。きちんと攻撃を弾きつつ、周囲の状況を確認して囲まれないようにしていた。
「あれが本来の大盾使いだぞ」
「そうだね…」「メイプルさんはまぁ…」
そんな会話を聞いて満更でもなさそうなクロム。しかし、その隙を突かれてモンスターが攻撃をしようとしてくる。
「【音増強】【ノイズ】!」
「っぶな!シャイン助かったぜ、ありがとうな」
間一髪。シャインの【ノイズ】により怯んだモンスターは、逆にそこをクロムの攻撃でやられてしまう。
「そんなスキル初めて見たが、どうやって手に入れたんだ?」
「ちょっと色々ありましてね…」
そんな会話をしながら、さりげなくモンスターを一太刀で斬るカスミ。
サリー、カスミ、クロム、シャインは一箇所に固まる。どうやら周りはモンスターに囲まれているようだ。
だが、誰も焦っているような顔はしていない。
「どうやらこのギルドには普通のプレイヤーが少ないみたいだが…私もいずれそうなるのか?」
「俺も、そうなるかもな?」
「皆メイプル色に染まっていくかもね」
「【楓の木】、ですから」
顔を見合せ、クスッと笑う四人。
「さぁ、全部倒してうちのマスターに…」
「いぃやぁぁあ!なんで逃げた先にもぉぉ!」
四人の目には走るゼロの残像が映る。
そして、後から待ってください!とノールックでモンスターを倒しながらゼロを追いかけるムーンの姿も映る。
その光景を見てまた笑い出す四人。
締まらない空気ながらも全員がその雰囲気に満足していた。
「誰か助けてぇぇぇぇぇ!!」