素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
「というわけで! 今日から新しくギルドメンバーになったマイちゃんとユイちゃんです!」
「「よろしくお願いします!」」
「二人ともSTR極振りとはな……」
「流石メイプル、また普通じゃない人材を見つけてきたな」
「確かにうちのギルドは火力が少し物足りなかった感じがあったし、これは適任を見つけてきましたねメイプルさん!」
「これで俺を含めて極振り四人目か……」
「ギルド対抗戦まではまだまだ時間があるわ! これからガンガンレベルを上げていきましょうね!」
「僕も何か手伝えることがあったら手伝うよ」
俺があの暗殺者のクエストをクリアして全速力でギルドに戻っていると、ギルド全体にメイプルからメッセージが送られてきた。
内容は「新しいギルドメンバー二人を第一層で確保したから皆ギルドに集まって欲しい」ということだった。
俺の新スキルのお披露目をしようと思ってたんだけど……まぁ後ででもいいか。スキルが無くなるわけじゃないし。
そして皆ギルドに集まり、メイプルに連れられた姉妹のようにそっくりな二人が入ってくる。
そしてメイプルから二人について説明されるのだが、衝撃の事実が発覚する。
なんと二人ともステータスはSTR極振りらしいのだ!
その小柄な見た目からは想像もつかないほど力があるようで、実際……
「はい!」「よろしくお願いします!」
と二人は言い、礼をするのだがその時頭がギルドの机にぶつかってしまう。するとその机にメキメキとヒビが入ったあと、粉々になって壊れる。それほどSTRが高いようだ。
俺なんか全力を尽くしてもこの机を動かすことすら出来なかったって言うのに……
とまぁ、新しい風を吹かせてくれそうな新メンバー二人が入ってきたのだった。
それはそれとして……
「ちょうど今ギルドメンバー全員が集まってるしいいかな?」
「ゼロくんどうしたの?」
「ゼロが自ら発言するなんて珍しい」
俺達は全員で第二層の森を抜けた先にある開けた平原の場所に来ていた。
「この辺ならモンスターも出てこないだろうしいいかな」
「新スキルのお披露目なのにモンスターがいないとは……」
「さっきも見ましたけど」
「ゼロさんはモンスターが相当苦手なんですね」
「僕もゼロと行動する時は気をつけるようにするよ……」
とまぁ総ツッコミを受けている。
先程、新しいギルドメンバーであるマイとユイには早速実演して俺のモンスターの苦手度合いを目の当たりにしてもらった。
普通はここに来るまで皆でメイプルのシロップに乗って空を飛びながら移動するのだが……いやその普通もおかしいのだが。
モンスターに当然触れたくない俺は全員がシロップに乗っている中隣で【冥界への一歩】を使って並列して歩いていた。
【冥界への一歩】がなかったら俺だけ一人で地上を歩いていた羽目になっていたから、【冥界への一歩】様様だ。
そんなことは置いておいて。早速新スキルの披露としよう。
「それじゃ、【暗殺者】!」
俺がそう言うと俺の足元に肩幅ぐらいの紫色の魔法陣のようなものが現れる。
すると今身につけているローブのフードが取れて代わりに真っ黒のマントが方に新たに追加され、俺の前に変わった形のナイフ……【繊翳ノ刀】が出現する。
そして俺はそれを左手で掴むと足元の魔法陣は消える。これで変身完了だ。
「「「「「「「「「おぉ……」」」」」」」」」
「これが新スキル【暗殺者】を使ってなれる俺の新しい姿。マントは飾りだけどこのナイフが使えるようになる。STRがない俺なら本来は全くダメージを与えられないんだけど……」
俺は【常闇】を使ってムーンを呼び出す。
「辺りが暗くなっていきますよ?」
「ゼロの持ってるスキルの内の一つだ、覚えておきなユイちゃん」
ムーンにそこら辺で適当に捕まえてきたモンスターを俺の10メートル先ぐらいに配置してもらう。
捕まえられてきたモンスターは何が起こったか分かっていなさそうだったが、目の前にいるプレイヤーである俺にとりあえず攻撃しようと向かってくる。
「【隠密】」
俺は【隠密】を使って姿を消し、そしてモンスターが油断しているところに急接近してナイフで斬る。
「あれ? 結構硬いモンスターだからSTRに振ってないゼロはダメージを与えられないはずだけど……」
「HPが減ってる?」
「そう、これがまず【暗殺者】のスキルのうちの一つ目、【油断大敵】! 三秒間姿を視認されないで攻撃するとHPの5%を削れるっていう効果。そして……」
「HPがさらに削れていってる……」
「状態異常が付いているみたいだな」
「見たことない状態異常だけど何かしら?」
「これは【暗殺者】使用中にナイフで攻撃すると付与できる"出血"っていう状態異常! 最初は毒とHPの減り方は同じだけど、この状態異常は重複するから攻撃をすればするほどHPの減りが早くなる」
「そんなのあり!?」
「「ゼロさんスゴイです!」」
「あとは……【虚絶の刀】!」
すると俺の周りに手に持ってる繊翳ノ刀のコピーが数十本中に浮きながら現れる。
「これで投げてもいいし、複製したナイフで同時に近づいて斬ってもいい。本来ならMP消費が激しいんだけど……俺はほぼ無限に等しいMPを持ってるから心配なし!」
「ゼロ、ちなみにその複製したナイフにも出血の効果は……?」
「もちろん乗るよ!…まぁ【油断大敵】の効果は乗らないみたいだけど……あとは逃げにも攻めにも使える【幽闇】っていう瞬間移動スキルと、一気に斬撃を出す貫通攻撃のスキルが……」
「ゼロ一気にスキル獲得しすぎじゃない?」
「私とはまた違った速さの活かし方のスキルを獲得しているな」
「俺なんかその中のスキル一つ集めるだけでも大変なのに……」
「つまり、ゼロはメイプルみたいな毒の効果を攻撃すればするほど相手に与えられて、その攻撃が遠距離でも近距離でもできて……」
「姿が見えない時もあるし、見えてても足も速いから大抵は避けれない上に倒そうにも【
「……どうやって倒せばいいんだ?」
「ゼロくんすごい! 前から強かったけどもっと頼もしくなった!」
「ちなみにゼロ、今のAGIは……?」
「えぇっと、何にもしてなかったら大体5000くらい? 詳しい数はもう忘れた」
「5000……?」「ははっ……」
「レベルが違うなぁ……」「まぁ、ゼロだし……」
困惑の声を出すカスミとクロムさんに、シャインとサリー。
確かにおかしいっちゃおかしい数値だが……絶句するほどおかしくはなくないか?
【超加速】とか【
俺の感覚が麻痺してるだけか?
ギルドに帰ってきた俺達は解散し、各々ログアウトしたりレベル上げに行ったりスキル収集をしに行く。
俺は中で少しのんびりしていくことにした。
モンスターに至近距離でナイフを刺した影響かちょっと気分が悪かったし。
自分でお茶を淹れていると、いつの間にかギルド内にはサリーしかいなくなっていた。とりあえず俺は二人分のお茶を作る。
「ほい、お茶」
「ん、ありがと」
流れる沈黙。……サリーとはこうやってのんびり話したことはなかったな。
「ゼロ、ちょっと頼み事があるんだけど」
「?」
「今日見せてくれたスキル、出来ればギルド対抗戦まであんまり使わないで欲しいかなって……せっかくあんなに強い効果のスキルを持ってても、使う前に対策されてたら意味が無くなっちゃうから」
「あー……そっか」
サリーの言うことは確かにそうだ。
状態異常を回復するアイテム等を大量に用意されたらせっかくの俺のスキルも実質無効化されるし、俺の【隠密】を看破するスキルを手に入れられるかもしれない。
てか、それなら俺の足の速さをどうにかして抑え込んだり対応してくるプレイヤーが出てきそうなものだ。一応第二位だし。
「おっけー分かった、温存しておく」
「あ、今まで通り【
そんなにやばいイメージ持たれてるのか…。
貫通攻撃で【不撓不屈の支配者】が簡単に壊れることはギルドメンバー以外誰にも言ったことがないし、【
俺はサリーに今まで疑問だったことを聞いてみる。
こういう機会じゃないと話せないしね。
「サリーって俺みたいにAGI極振りじゃないのによく全部の攻撃避けれてるよな。なんかそういうスキルでも持ってたりするのか?」
「いや、私の場合は全部自力で避けてる…かな」
「…え?……まじ?」
「私結構凄いんだから! ……そうだ! じゃあさゼロ、このスキル鍛えてみない? 一発でも攻撃が当たったらダメなゼロにはピッタリだから」
サリーはそう言うと俺にあるスキルの詳細説明を見せてくる。
「【体術】と【跳躍】か……」
「あるだけで結構動きやすくなるからね。獲得しておくといいと思う」
「了解。色々とアドバイスもらえて助かったよ」
ある程度会話もできたし楽しめた俺はログアウトするために立ち上がる。
「あ、もうログアウトする感じ? じゃまた明日学校で会ったらね!」
……って、そうじゃん、学校で会う可能性もあるじゃん。
これ学校でも話せたな……。
そう思いながら俺はゲームをログアウトしたのだった。
どんな強化にしようか悩んだ結果こうなったんですが、こんな感じでいいですかね……?(不安)