素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
今回は主人公してると…思う。
「はぁ……なんで今日も来ちゃったかなぁ…」
昨日は散々だった。あの後イノシシに3時間追いかけ回されて(※されてない)ログアウトしたらもう夜の3時なんだから…。
平日にやるもんじゃないよこれ…。
とか文句を言いながらまた平日にゲームにログインしてるんだけどね。
さてと、今日はどこにいって何をするべきなのか…。
「あっ、あの……ちょっとお尋ねしたいことが……」
「ん?」
ちょっとモンスターかと思ってびっくりしたが、よく考えるとここは町の真ん中だ。流石にモンスターはいないだろう。というか、入れない設定になっているだろう。
後ろを振り向くと、初心者装備の大盾を持った少女がいた。
「その格好…君、初心者だね?」
「いや、あなたも十分初期装備ですよね!?」
「ええっと、なんか調子が狂っちゃったなぁ…それで聞きたいことなんですけど、レベル上げってどこですればいいですか?」
「レベル…上げ…?」
なんだレベル上げって。
そう。実は彼、零士は先天的な生き物嫌いのせいで今まで一度もRPGをプレイしたことがないという驚くべき功績を持っている。もちろん、プレイ動画なども見たことがないので、RPGの基本の知識すら持っていない。
STRやVITなどを理解しているのは、ゲームの説明書を読んでいたからである。レベル上げというのはプレイヤー間で言われているだけで、ゲーム公式の正式な呼び名では無いため、理解するのに時間がかかったのだ。
あぁいや、文字通りの意味だ。読めばわかる。Lvを上げることだな。それならモンスターを倒せればいいから…
あっちの森ならモンスターが出てきますよ、と伝えようと少女の方を向くと…
「あぁ、それならあっち側の森が初心者さんにはオススメかな」
「ありがとうございます!さっそく行ってきますね!」
いつの間にか俺の目の前から消えて、金髪のまさに『魔法少女』みたいな見た目をしている少女にお礼をしていたのだった。さらに、指さした森の方向は昨日俺の行った方向とは逆の方向。
…俺もしかしてめっちゃ危険な方行った感じ?
ってかいつの間にか他の人に尋ねてるし。
変なやつだと思われたかな…?
「まっ、まぁいい。俺は俺のやり方でレベルを上げるんだ!」
そう言いながら、あの魔法少女が指さした方向へと向かう俺なのだった。
「クゥクゥ!!」
「わわわわ来るな来るな!!!」
絶賛角のある白兎に追いかけられている(※かけられていない)俺は、またしても時間をかけて正気に戻ったのだった。
しかし、俺は成長していた。昨日は正気を取り戻すのに3時間かかったが、今日はなんと2時間!!
これは大きな一歩だ。
残念ながら彼、零士は全くもって成長はしていない。
昨日の凶暴な角のついたイノシシは全く可愛くなかったので3時間かかったが、今日の白兎はまだ可愛く、凶暴そうに見えないため、零士の潜在意識が危険では無いと判断したことで、正気を取り戻すのが早かっただけなのだ。
…このままではダメだ。一度も敵を倒せないまま今日が終わってしまう。何かいい方法は無いものか…。
まずそもそも何がダメなのか考えてみよう。俺はモンスターを見ることが出来ないのだ。つまり、見る前に倒せばいい。
そうか。見る前に倒せばいいんだ。思いついたぞ!
「フッフッフ…ハハハハハ!!!炎弾!炎弾!」
俺は所構わず炎弾を出して森を放火していく。
スキル【炎弾】
魔法陣から火炎弾を出す魔法。
イノシシに追いかけられたあと、町に着いてからスキルショップにて炎弾とヒールを買っておいたのさ!初級の魔法だからかめちゃくちゃ安かったし。
「炎弾!!えんだっ……おあぁぁぁぁ!!」
四発目の炎弾を出そうとした時、おしりに火のついた白兎が飛び出してきて目の前で光の粒子となって消えていったのだった。
『レベルが3に上がりました!』
「おっ、おっしゃぁぁぁぁぁ!!!」
何だこの達成感は!
ついに、ついに俺はモンスターを倒すことに成功したんだ!!
はっ、そうだそうだ、ステータスポイント…10振り分けられるのか。
俺は早速青白いパネルを出し、反射的にAGIに振る。ここまで来たらどれだけ早くなれるか気になってきた。
「兎さあああああああん!!」
狂喜乱舞していると、どこからか女性の声が木霊してくる。
一人の男として、女性の悲鳴を聞かなかったことには出来ない。何か声に聞き覚えがある気がするが…とにかく助けに行かないと!!
数秒後、俺は悲鳴を出した張本人を見つけることが出来た。
「兎さあああああああん!!」
「大丈夫ですか!?」
「え?あれ、さっきの!!」
「あ!さっきの魔法少女に聞いてた人!!」
「…えへへ。お互いに酷い覚え方だね」
なんと、悲鳴の声の主はあの裏切り者だったのだ。
「俺の名前はれい…じゃない、ゼロだ」
「私はメイプル、よろしくね!」
「それでメイプル。どうして悲鳴なんかあげてたんだ?」
「あぁ…兎さんと戯れてたらなんかスキルを獲得して…それを確認してたらいつの間にか兎さんが燃えていて…何も出来ずに消えちゃって…」
メイプルはとても悔しそうな、悲しそうな顔をしていた。少し目には涙が溜まっていた。
って、冷静に分析している場合では無い。これ犯人間違いなく俺だ。
「ゼロくんどうしたの?なんか怪訝そうな顔してるけど…」
「メイプルごめん。燃やした犯人俺」
「え?…」
やばい、メイプルがムスッとした顔で俺の事睨んできてる。何とかしないと…ただでさえ変なやつだと思われてるのに…
「…クスッ、アハハッ」
と、困っていると突然メイプルが笑い始めた。
「何がおかしいんだよ?」
「アハハッ、いやちょっと、ね?」
イマイチツボが分からん。というか、ね?と言われても。
「そんなに考え込まなくても、私はもう怒ってないよ」
「あ、そうなの?」
「だからもう兎さんの話は終わり!1日で2回も会うなんてなかなかないし、せっかくだからちょっとお話しようよ。そういえば、ゼロくんの武器は杖なんだね。魔法使いに憧れてるの?」
「いや、俺は…」
これ話すべきか?俺がモンスター見ることすら出来ないって。なんか最初に話すプレイヤーとかって長い付き合いになりそうだし、伝えた方が自分のためにもなるか。
「実は…」
そして俺は全てを打ち明けた。生き物嫌いなこと、New World Onlineをやりはじめるようになったきっかけ、そして炎弾(放火)でやっとレベルが上がったこと。
「苦労してるんだねぇ…」
「でも初めてやるゲームだからか、生き物嫌いのくせにちょっとハマっちゃって。俺はこんな感じかな〜。メイプルは大盾だよね。どうして大盾を選んだの?」
「私は…痛いのは嫌だからできるだけダメージを受けたくなかったんだけど、防御力を上げればダメージを受けなくなるって聞いてこれにしたんだ!」
「実際はどうだった?」
「さっきの兎さんからはダメージを喰らわなかったよ!それに…」
「それに?」
「これ以上は何にも教えない!あんまりステータスについて他人に教えちゃいけないって友達が言ってたから」
「釣れないなぁ。あ、そうだ!フレンド登録しておこうよ!」
「おお!いいね、いいね!!」
こうして俺はメイプルとフレンドになったのだった。
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