素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
お久しぶりです
また余裕が出てきたので、ちょくちょく投稿していきます…!
「ただいまー」
「おっ、噂をすれば」
「ゼロ〜、お疲れ!」「オーブは集まった?」
「かなり遠くまで行ってたみたいですが」
「大丈夫でしたか?」
開始から大体3時間が経過した頃。
流石にこれ以上オーブを持っていると何かが起きた時にヤバいと思い、拠点に帰ってきた俺。
防衛組しか居ないと思ってきた俺の予想とは違い、全メンバーが集まっていたようだ。
確かに、よくよく考えたら他の皆も一旦1時間が経った頃ぐらいに帰ってこよう、と考えるに決まってるか。
「まぁね。とりあえずはい、これ」
「奪ってきたオーブね……ってなんか多くない!?」
「合計で27個。感謝してよ?」ドヤ
「うわぁ…私あんなに頑張ったのに……」
「…メイプルで霞んでるけど普通に異常だよね、ゼロも全然」
「サリー、気を落とすな。ゼロがおかしいだけだ」
「味方ならいいの、味方なら」
…これは素直に褒め言葉として受け取っていいものなのか?まあそう考えておくことにしよう。
「あっ、でも7割ぐらいのオーブは俺がただ掠め取ってきただけだからな」
「私のも。そのうち奪い返しに来ると思う」
「それじゃ、これから大体合計18ギルドが襲ってくるってことになりますね…」
「ゼロは中規模のやつも奪ってきた?」
「あぁ」
俺の返答を聞くと、突然固まって手を顎に当てながら考え始めるサリー。
「…奪い取ってきたのが私だけなら良かったんだけどね」
「?サリーどういうこと?」
「多分私達を襲うにあたって、オーブを奪われたギルドは即席の同盟を作ってくる。単純に戦力増強になるし、私達を倒した後に裏切ればオーブの総取りも狙えるからね。だけどそれは本来、戦力が足りない小規模ギルド同士でしかやるメリットが無いんだけど……」
「俺も分かったぞ。無名であるサリーの所属しているギルドを襲うなら、中規模ギルドは他と手を組むメリットがないと考える訳だが、襲うのが第一回イベント第2位のゼロの所属してるギルドとなると話が変わってくる…ってことだろ?」
「そういうこと。注目度の高いゼロは警戒されてるから、当然所属してるギルドがどういうものか調べられてる。だから今回戦う相手の人数は3桁は…」
言い切る前に、入口から聞こえてきた物音に反応し振り返るサリー。
俺達も振り返ってみると、そこにはオーブを奪い返しに来た大量のプレイヤーがいるのだった。
俺達と目が合うやいなや、雄叫びを上げて突撃する彼ら。
無理もないだろう。いくらあの『人外魔境』と呼ばれるギルドでも、所詮は小規模ギルド。
その上10人しかいないときてるんだから、圧倒的物量差でねじ伏せればいいと思っているのだろう。
しかし、それはその10人が普通…いや、異常であった場合の話。
ここにいる10人は、全員超超超異常なのだ。
最初こそ相手の人数の多さに驚く俺達だったが、今は至って冷静だった。
…よし、いっちょ防衛と行きますか。
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「そういえば、10人で戦うのって初めてだっけ?」
「10人全員が戦闘に関わるのは初めてかな?イズさんとか」
「そろそろ来ますよ」
「メイプル、いつもの頼む」
クロムがそう言うだけで全員がああアレのことかと理解する。特にこの狭い洞窟の中なら、尚更効果絶大だろう。
「りょうかーい!【身捧ぐ慈愛】!」
「「【ヒール】」」
減ったメイプルのHPはシャインとカナデが即座に回復させる。メイプルの前進に合わせて進む全員。
正面衝突した両軍が斬り合う。
先陣を切ったユイとマイが、まず最初にあちこちからくる攻撃を次々と受けてしまうが、二人が倒れることはない。
「「【ダブルスタンプ】!」」
轟音と共に弾け飛ぶプレイヤーを見て、二人から離れたプレイヤーに襲いかかるのは鉈と刀だ。
「おらぁっ!」
「ふっ!」
出てきた2人を見逃さまいと大量の魔法が飛んでくるが、一瞬で氷の塊となってしまう。完全に陣形が崩れて前衛が居なくなった魔法使い達を狙うのは、砕けた氷の破片と弾丸だ。
「おっと、隙だらけですよ?」
その地獄を何とか抜けた人達も、イズから繰り出される爆弾とカナデの多種多様な魔法によってボコボコにされ、さらにそれも耐えた人にはもれなく大量の斬撃がプレゼントされる。
「あら、悪い子ね?オーブだけ狙うだなんて」
「【パラライズレーザー】」
「はーいさようなら」
しかし、今交戦しているのは同盟の1割程度に過ぎない。
洞窟内に通じる通路が一つである以上、一気に突入できる人数に限りがあるのだ。
この調子なら、本来半分ぐらいがやられたところで撤退することになるだろう。だが、彼らに撤退という選択肢は存在しないことを知らされる。
数でいったら本来リンチする側である同盟軍側が、その10分の1程度の黒く、それでいて青白いような炎を身に纏う集団にリンチされていたのだ。
洞窟内に入ろうとするプレイヤーでいっぱいの、入口の通路の上空を姿を隠しながら全力疾走し、同盟軍の一番後ろに辿り着いたゼロはそこから影の兵士達を呼び出しつつ、落ち武者狩りをしていた。
こうすることで、オーブを完璧に守りつつ逃げ道すらも塞ぐことができていたのだった。
もう二度と、ここのギルドを襲わないと心の底から思わせるために。後悔させるために。
そうして終始【楓の木】が優勢のまま同盟軍の6割がやられた今。
気がつけば洞窟の中に入ることはおろか、早く森を抜け出すために奮闘するプレイヤーで溢れかえっていたのであった。
いつの間にかメイプル達も洞窟から出て、オーブの防衛を放棄してプレイヤーをキルすることに全力を注いでいた。
「【
「【ダブルスラッシュ】!」
「【音増強】【超振動】!」
「【影縫い】【豪炎】」
「【一ノ太刀・陽炎】!」
「【ピアースガード】からの【炎斬】!」
「「【ダブルスタンプ】!!」」
全員の凄まじい攻撃に当然耐えられるはずもなく、次々と脱落者が出る。しかし、中には逃げるぐらいなら一矢報いようと奮闘するものもいたことは事実だ。
(防衛組が全員外に出ている今!今ならオーブを奪えるかもしれない…)
「【超加速】!」
メイプル達から姿を上手く隠し、さらに影の兵士達の合間を縫って洞窟内に最速で侵入するプレイヤー。中には誰もいないことを目視で確認すると、オーブに手を伸ばして確かにオーブを奪うことに成功する。
(よしっ、あとは戻るだけ…)
「【油断大敵】ってやつだな」
振り返った瞬間、プレイヤーの耳元で確かにその言葉が聞こえる。気がつけば体は数十本のナイフに切り刻まれ、見た事のない状態異常にかかっていたのだった。
このプレイヤーは忘れていた、どんなやつに自分のギルドのオーブが盗まれたのかを。
「ゼロがいるのを忘れてたぜ……」
男は諦めの言葉と共に光の粒子となって消え、オーブをボトボトと落とす。
そうして諦めない者の強い意志も虚しく闇の中に消え、【楓の木】拠点の洞窟付近は同盟軍にとって文字通り地獄となっていた。
襲撃が始まって1時間が経った頃。ようやくプレイヤーの気配が消え去る。
500人以上率いる同盟軍と楓の木の戦いは、楓の木の圧勝で幕を閉じた。
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「皆お疲れ様ー」
「思ったより呆気なかったな」
「あぁ、私ももっと苦戦すると思っていた」
襲撃イベントも無事に終わり、一旦休憩しようとオーブが置いてある近くの場所に円形になって座る俺達。
休憩とは言っても、全員疲弊してる様子はないけどね。ただただ返り討ちにしてただけ。
「これで多分襲ってくる人もぐんと減るはず。それじゃ、私はもっかいオーブ集めに行ってくる」
そういうや否やすぐに飛び出していくサリー。
体力持つのかな?もうかれこれ4時間ぐらいは動き回ってるはずだし、そろそろ夜になり始めるから危険なんだけどな。
すると、カスミも同じことを思ったようで。
「サリーは大丈夫なのか?そろそろ私が変わってあげたほうがいいと思っていたんだが…」
「だいじょーぶ!サリーは頑丈だから!」
「それだけ、今回のイベントに力を入れてるって事でしょうね」
「俺達も期待に応えてあげないとですね」
「防衛は私達が頑張るので」
「皆さんはどんどん攻めてきてください!」
「それじゃ、また私達は周りのギルドを倒してくる」
「頑張らないとなー」
こうして、また各自別れて行動ということになったのだった。