素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。 作:名無しという名の者
ゼロくんが段々と強化されていく…!
ダンジョン攻略を始めてどれだけの時間が経ったのだろうか。スキル【平常心】のおかげで急にモンスターが飛び出したり、触れられそうになっても気絶ができなくなった俺は常に最大級に警戒しながらダンジョンを回っていたのだった。
「【三連炎弾】!…ってあれ?宝箱だ!!」
流石迷路と言うだけあり、ところどころに宝箱が設置されているようだ。
ラッキー、と思い宝箱を開けようとすると…
シャーー!!
「!?ぎゃぁぁぁ!!擬態してるのかよー!!」
なんと、宝箱だと思っていたそれは宝箱型のモンスターだったのだ。当然、至近距離でモンスターを見てしまった俺は【平常心】を発動してMPを回復するだけではなく、【
その他にも、ダンジョン中には罠が仕掛けられていた。今更だけど、ここのダンジョンは蜘蛛のダンジョンらしい。
そのせいか、糸を低い位置に一本張っておいてからそれが引っ張られると罠が発動するというとても蜘蛛らしい罠が仕掛けられているのだった。もちろん何度も罠に引っかかった。
特に危なかったのは、いつも通り罠に引っかかり、足が糸で縛られ、逆さ吊りにされたときだろう。
糸は焼こうとしても焼くことが出来ず、身動きが取れない俺に迫ってくる蜘蛛を間一髪で【三連炎弾】で倒した。また、蜘蛛を倒したおかげかただ時間経過でなのかは分からないが縛っていた糸も消えていった。
こうして、俺はスキルを有効活用(?)してダンジョン攻略をしていった。
「【三連炎弾】!…ってなんだこのクソでかい扉」
もはや体に染み付いている『杖だけ出して【三連炎弾】を出す』戦術をしていると、なにやらただならぬ雰囲気を醸し出す扉を見つけたのだった。
これはヤバい。絶対にヤバい。恐らくボスの部屋だろう。《New World Online》の説明書で手に入れた数少ないゲームの知識である、ダンジョンのボスについて。ダンジョンのボスを倒すことでダンジョンはクリアとなり、町に戻ることが出来る。
つまり、ここの地獄を乗りきることでついに念願のダンジョンクリアをすることができ、帰ることが出来るのである。
「はは…!やった…!帰れるぞぉ…もう一生帰れないと思ってた……!」
よし、早くクリアしてこの地獄を抜けよう…!
そう思った俺は迷うことなく扉を開け、中の部屋に入る。
すると、開けた扉は突然突然勢いよく閉まった。
「…へえ。最終決戦っぽいじゃん」
洒落た演出に少し感動する俺。そして前にはとても…とてもデカい蜘蛛がいた。
…え?いや、でかくねぇ…!?
「無理無理無理無理無理ぃ!?」
いつも通りスキル【
「!?身動きが取れねぇ…だと!?!?」
なんとここにもダンジョンの中にあったような罠が仕掛けられていたのだった。
まんまと引っかかった俺は、蜘蛛の糸によって拘束され、動けなくなってしまった。
チャンスと思ったどデカい蜘蛛はゆっくりと近づいてくる。
「【三連炎弾】!【三連炎弾】!【三連炎弾】!来るなぁぁぁぁぁ!!」
ゆっくりと近づいて来る蜘蛛に対して、目をつぶりながらとにかく【三連炎弾】を打ち込みまくる俺。何度も何度も【平常心】が発動してMPも回復するため、とにかく打てるだけ【三連炎弾】を打ち込む。
「ギギギギッ…」
「【三連炎弾】!【三連炎弾】!」
すると、歯ぎしりのような音が部屋中に鳴り響き、近づいてきていた足音が小さくなっていく。
次第にその音はドタバタという、聞きなれた音…『逃げ回る足音』へと変化していく。
しかし、そんな些細な変化なんてお構い無しに【三連炎弾】を打ち込みまくる。
そう、ただただ打ち込む…。
………。
……。
…。
『スキル【糸使いI】を獲得しました』
『レベルが16に上がりました』
どれだけ時間が経ったのだろう。ドスン!という重い音が部屋に響き渡る。そして、無心で【三連炎弾】を詠唱している脳内に、無機質な音声も響き渡る。
そして、さっきまで鳴り響いていたドタバタする足音も消え、周りがシーンと静まり返る。
「【三連炎弾】!…終わった?」
流石に変化に気がついた俺は、恐る恐る目を開ける。すると、いつの間にか糸による拘束は解けており、目の前に巨大な蜘蛛もうおらず、光り輝く魔法陣と大きな宝箱が存在していた。
「蜘蛛いないよね…いないよね…!?やったぁぁぁぁ!!おうち帰れるーーー!!!」
喜びを隠しきれず、思わず叫んでしまった。
ええっと、スキル【糸使い】だって…?
スキル【糸使い】
蜘蛛糸を操る。
スキルレベル5で伸縮可能。
射程五メートル。両手足から射出可能。
再使用で【糸使い】状態解除。
取得条件
女王蜘蛛を倒すこと。
ううーん、これはどうなんだ?強いのか…?
というか、さっき戦ったのは女王蜘蛛だったのか…思い出すだけで気が遠のきそうだ。
思考を張り巡らせながら、レベルアップにて得たステータスポイントをAGIに振る。
これでAGI基礎値は140になった。
と、そういえば宝箱もあったな…
大丈夫だよな!?化け物じゃないよな!?と思い【三連炎弾】を宝箱へと打つが反応はなし。うん、大丈夫そうだ。
かなり大きい。横は三メートル、縦は一メートル、高さは二メートルほどの長方形だ。
初めての宝箱に俺はゴクリと唾を飲み込む。緊張と興奮で鼓動が高鳴る。
ゆっくりと蓋を持ち上げて中身を確認する。
「おおおおおっ!!」
中に入っていたのは、黒を基調に金の模様や線が入っているローブ、紫色の1番上の宝玉のようなものに龍が噛み付いている杖、そしてこれまた黒を貴重にしながら灰色の線が入り、ヒラヒラした影のようなものも付いている魔法の靴だった。
そして、スキルも宝箱の中から出てきていた。
早速説明を見てみる。
【ユニークシリーズ】
単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。
一ダンジョンに一つきり。
取得した者はこの装備を譲渡出来ない。
『漆黒の悪夢』
【AGI +20】
【破壊不能】
『堕ちた天龍』
【AGI +25】
【破壊不能】
『亡きものの足』
【AGI +20】
【破壊不能】
スキル【冥界への一歩】
スキル使用時、空中に足場を作る。
足場は10秒後に消滅する。
スキル【
相手のINTが自分のINTより低いとき、相手の魔法を吸収して自分のMPに変換できる。
スキル使用時、自分のMP上限の35%のMPを使用する。
「おおおっ!すげぇ!!すげぇけど…【
全くINTに振っていない俺は、ほとんど…いや全く【
めちゃくちゃ強いスキルなのに、これでは宝の持ち腐れだな。
あー、INTに振っていればよかった…。
今更後悔しても意味が無い。とにかく強いスキルを獲得できたことを今は素直に喜ぼう。
「装備しておくか…名前が凄い厨二病だけど」
効果は強いし、装備しておいて損は無いはずだ。
さてと、恐らくこの魔法陣で町に帰れるはずだし帰る…いや、待てよ!
そもそもダンジョンに来るきっかけとなったのは、『ゴールドを集めるため』だったはずだ。
そうなると、迷路内の宝箱の中にゴールドが沢山入っている可能性は高いはず…。
「よし、戻ってお金をかき集めるぞ!」
確かボスを倒せばダンジョン内のモンスターは消滅すると説明書には書いてあった。つまり襲われる心配もない。
目の奥がお金のマークになってしまった俺は、急いで迷路内へと戻って行ったのだった。
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「よーし、大量大量!!」
予想通り、迷路内には至る所に宝箱が存在しており、ゴールドを大量に獲得した俺。
その金額、なんと2万ゴールド以上!!
これでしばらくお金には困らないだろう。
間違えてダンジョンに入った時はどうなるかと思ったが、今は入ってよかったと思っている。
と、また宝箱だ。
「かなりお金も集まったし、これを開けたら帰るか…って、なんだこれ?」
慣れた手つきで開けた宝箱の中には、藍色の古びた鍵のような物が入っていた。早速説明を読む。
『影の世界への鍵』
迷路型ダンジョンを単独でかつ初回潜入で攻略してノーダメージ、そして全ての宝箱を開けて探索率を100%にした者へのみ贈られる、『隠しダンジョン』への鍵。
「説明を読んだ瞬間に使用され、隠しダンジョンへと招待される…って、え??」
気がつけば俺の足元には古びた洋式の扉があり、それが『キィィ…』という不気味な音を出して開いたのだった。