素早さ極振りにした怖がり少年はネクロマンサーになるようです。   作:名無しという名の者

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パッシブスキルになりつつある【平常心】と【影駭響震】くん…。




怖がり少年と死霊魔術師(ネクロマンサー)

 

『我が君よ、ぜひ私の名付けを…』

 

「出てこないで!!!本当に心臓に悪いから!」

 

 

夜、いつもの町の噴水の縁に腰をかけて座っている俺は、目の前にいる『倒したはずのあいつ』を見ないようにと下を向いていた。

そう、今俺の目には入っていないが、俺の前にはあの『剣士』がいるのだ。それは、【死霊魔術師(ネクロマンサー)】によるものらしい。

ついでに、他に獲得や進化したスキルについても紹介しておこう。

 

スキル【死霊魔術師(ネクロマンサー)

ここのスキルは全て夜しか使うことが出来ない。

 

命尽きた体からMPを吸い取って影の兵士にすることができ、召喚することが出来る。失敗する場合がある。

兵士の数には上限があり、Lvによって変化する。

また、半径5m以内にいる相手のMPが0だった場合、影の世界へと連れ去って自分のMPへと変換することができる。変換されたMPはMP上限を超えて所持することができる。

闇魔法以外使用することが出来なくなる。

 

影の兵士:10/10

 

取得条件

スキル【支配者】を保持した状態で闇属性の隠しダンジョンをノーダメージ、単独、そして初回討伐することで獲得。

 

 

スキル【(エクリプス)

周りにある魔法を喰らうことができる実態のないモンスターを召喚して、喰らった魔法を自分のMPに変換することができる。

また、自分の周りに深淵を作り出し、半径5m以内にいる相手のMPを喰らって自分のMPに変換することができる。変換されたMPはMP上限を超えて所持することができる。

 

 

スキル【不撓不屈の支配者】

糸を自在に操れる。物理攻撃では壊れない。

MPを少量常に使用し続けることで魔法攻撃でも壊れなくなる。

射程最高100メートル。両手足から射出可能。

再使用で【不撓不屈の支配者】状態解除。

 

 

スキル【常闇】

使用することで周りを常に夜にすることが出来る。

 

 

 

…とまあ、とても盛り沢山な能力を手に入れたのだった。

そして先程俺は恐ろしい事実に気がついた。このスキル達であるコンボが可能なのだ。

【不撓不屈の支配者】や【超加速】で近づいたあと、【(エクリプス)】で相手のMPを奪い、【死霊魔術師(ネクロマンサー)】で相手を影の世界へといざなって倒す。

強いて弱点があるとすれば夜じゃないと使えないという点だが…そこも【常闇】でカバーすることが出来る。

また、万が一このコンボを回避されても【死霊魔術師(ネクロマンサー)】で従えている影の兵士たちで何とかできるだろう。

 

 

『ですから我が君よ、私に名付けを…』

 

「あぁもう、俺はモンスター全般が大嫌いなんだよ!嫌がらせしたいの!?」

 

『いいえ滅相もない…ただ、我が君の指示を受ける上で名がないととても不便かと…』

 

 

そう、今必死に目を合わせまいとしている俺の前にいるのは『倒したはずのあいつ』だけではなく『青い炎のような魔術師』に『兵士たち』、合わせて十体がいるのだった。

ただ喋ることが出来るのは『倒したはずのアイツ』だけのようである。これで他のやつからも喋りかけられたらまた【平常心】を発動せずに意識を保ったまま気絶するところだっただろう。

 

「というか、あの場所から連れ出してくれたのは誰だ?」

 

つい心の声が口に出てしまう。

そう、気がついたときはいつものログインした時にいるおおきな木がある町の中心に横たわっていたのだった。

さっきまで見てたのは夢だったのかとも思ったが、スキルを確認してみるとあの部屋で獲得したスキルがあったので夢ではなく現実だったのだと発覚した。

 

 

『僭越ながら、私が運ばせていただきました。ただ、外に出た瞬間は夜ではなかったため消えてしまったのです』

 

「朝にできるスキルってどうやって手に入れるんだろう…」

 

『我が君!?…というか大丈夫ですか?とても小刻みに震えているように見えますが…風邪でも引きましたか!?』

 

「風邪の方が良かったよ…さっきも言ったように…」

 

 

俺は目をつぶって下を向きながら淡々と俺の弱点について話した。

 

 

『つまり、我々を視認するだけでまともな判断が出来なくなると?』

 

「こうして話しているだけでも相当頭がおかしくなりそうだよ」

 

 

しかし、こうして考えてみると少し成長したかもな。人間以外と会話をすることが出来ている。昔の俺なら絶対に出来なかっただろう。

昨日の隠しダンジョンで『あいつ』との戦った事と比較すれば…やばい思い出すだけで目眩がしてきた。

 

 

『さっきより震えが大きく!?』

 

「とにかく、目の前から消えてくれ。あと急に出てくるのもやめて」

 

『しかし我が君よ、名がないと正式に我が君の配下となることが出来ないのです』

 

「んじゃ、剣士。残りの奴らは魔術師に兵士一号二号三号…」

 

『もっと良い名前は無いのですか!?』

 

「うーん、ナイトじゃあれだし、ムーンで」

 

『ムーン…ムーン…いい名前です!!』

 

「んじゃ、後は魔術師に左から兵士一号二号三号…って感じで」

 

 

ムーンは何度も自分の名前を繰り返し読む。とても満足しているようだ。

ムーン以外の奴は目の前でとても拒否しているに感じたが、俺には何も見えていないので気にする必要は無い。

 

 

『それでは我が君よ、失礼します』

 

「あぁ…うん。お疲れ様」

 

 

シュンという移動する音を聞いた俺は恐る恐る目を当てる。どうやら本当にどこかへと行ったようだ。

 

 

「はぁ…」

 

 

どうしてこうなった。なんで俺が【死霊魔術師(ネクロマンサー)】なんてやっているんだ。俺が一番向いていないスキルだろ。

あいや、【影駭響震(えいがいきょうしん)】があった。俺は常に影の兵士に怯えるだろうから実質常にAGI二倍だ。

というか【死霊魔術師(ネクロマンサー)】って本当にスキルか?職業じゃないの?

 

ゲームのことは詳しくないから下手なことは言えないけど、俺がゲームを作るなら職業にするけどな。

 

 

「おーい…ゼロくん、だよね?」

 

「ひゃい!!ってメイプルか、ビックリさせるなよ…ん、なんだその漆黒の鎧は!?」

 

「いやいやゼロくんも、なにその漆黒のローブに龍の杖、一体何があったのぉ!?」

 

 

再び再会した二人は、いつの間にか見違えた姿になっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、それで毒竜を倒して出てきた宝箱を開けたら、こんな装備がでてきたのっ!」

 

「いや、どんな倒し方だよ…」

 

「え?別に普通にプレイしてるだけだよ?」

 

「ゲーム経験のない俺でも分かる、普通は食べない。いや、俺がモンスター嫌いだから食べたことがないだけなのか…?」

 

「あはは…。あ、そういえばゼロくんは昨日運営から届いたイベントの告知は見た?」

 

「え?何それ??昨日は隠しダンジョンでまるまる潰れたから何も…」

 

「これこれ、ポイント制のバトルロイヤル。そうそう、上位十名には限定の記念品も送られるんだって!」

 

 

メイプルはそう言いながら青いパネルを俺に見せる。

 

 

「へぇー、こんなのがあるのか…」

 

「私始めたのが遅いからレベルも低いし、どうにかしてレベル差を覆す戦法がないかな…って」

 

「俺はもう当分モンスターは見たくない…すでにノイローゼ気味」

 

「よくダンジョン攻略したね…」

 

「俺も未だにダンジョン攻略した感じがしない」

 

「とと、話を戻すと。さっきゼロくんに会うまで色々な情報掲示板を見て相性の良さそうなスキルがないか探してて、良かったらゼロくんも誘おうと思ったんだけど…ムリそうだね」

 

「ごめん、また今度。イベント終わったあとメッセージ送ってくれたらいつでも行くからさ」

 

「分かった!それじゃまた今度ね〜!」

 

 

手を振りながら、いつものようにヨチヨチと歩いて目的地へと向かうメイプル。

面白いフレンドを持ったものだ、と俺は思う。

 

 

「さてと、イベントまではログインしたくないなぁ、少しは休養を取らないとな」

 

 

俺は[ログアウト]のボタンを押す。

 

 

 

 

 

 

「あー疲れた!!」

 

 

ハードの電源を落としながら声を出す俺。また明日から学校か…

ま、モンスターと出会うよりは全然いい。残りの一週間は生き物を見ない週間にしよう。どうせイベントの日になったら影の兵士たちを見る羽目になるのだから。

 

 






補足
死霊魔術師(ネクロマンサー)】による影の兵士の召喚は日の光を浴びなければ夜でなくとも召喚することが可能。

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