転生者のトルメキア戦役 作:ナウシカ二次創作増えろ
俺は日本人である。
日本で生きて日本で死んで、海外…いや、本州ですら出た事がない。
生粋の日本人と言えるだろう。
生前そんな事を言うと、九州の人間や四国の人間が眉を顰めるだろうが、今はそんなことは無い。
今世には、日本が無いのだ。
生まれてこの方聞かなかった日の無い声が、耳につんざく様に聞こえて来た。
「ナルセフ!ナルセェフッ!」
そう叫びながらやって来た、良い服着た偉丈夫は……
「ハイ、なんでしょう父上。」
そう俺の父だ。
「早く出て来い!」
いつもの様に高圧的な物言いだな、なんて思いながら言葉を返す。
「ハイ、スミマセン。」
これが生まれてから身につけた処世術だ。
こうでもしないと、パンチが飛んで来る。
そして、時たまに頭突きだ。
「うむ、ナルセフ。お前、風使いとして一人前になったと聞いたぞ!」
「ハイ、兄様からそう言われました…」
そう、生まれてから強制的にさせられていた。
凧に乗って空を飛ぶ、風を見る、戦う、機械を修理する、と言った変な習い事が、最近終わったのだ。
嬉しいたら、ありゃしない!
達成感すごいですよ、これ。
流石にこの、暴力親父も褒めてくれるのだろうかと、淡い期待に親父を見つめていると、なんで見てくるんだコイツと言わんばかりの顔を披露する親父。
ウン・シッテタ BC200〜AD900
「一人前と言う事は、どこに出しても恥ずかしく無いと、言う事だな!そうだろう?ナルセフ!」
「エエ、まぁ、ハイ。」
う、嫌な予感…!
「お前を、風の谷へ婿養子に出す事に決めた!相手は風の谷族長ジルの娘、ナウシカだ!!」
「ハイ?え?」
「口答えするか!!ナルセフ!!!」
ま、マジかよ………
「あ、いえ、ハイ、父上謹んでその話お受けしマス!」
「お前の名付け親でもある、ユパ殿を通じて風の谷の族長ジルから許可はもらってある!今城下におるユパ殿について風の谷まで行け!!」
「ハイ、わかりました!」
「餞別だ!ナルセフ!ここの工房で使ったメェーヴェと武具と腐海衣装はお前にやる!そしてこの、ここで発掘したエルジンを必ずジルに渡せ!そして最後にこのイヤリングはお前の母からの贈り物だ!遺言でお前が一人前になった時渡す事になってる!アイツが若い頃手に入れたタリア川の石で出来たイヤリングだそうだ!ヨシ!もう行け!今生の別れかもしれぬ!だが涙は流さぬぞ!はっはっはっは!」
「ハイ…ではこれにて!」
お、俺の了承無しで決めるの?
いや、族長の家系だし……
了承無しで進める事もあるだろうけどさ!
それにしても事前説明とかないの?!
そして最後!
死んだ母の贈り物そんな感じに渡す?!
いやー、
この哀れで悲しい少年は誰かなぁ…?
転生者で、元々日本に住んでた奴っぽいなぁ〜!
そうな訳無いよな!
……
ハイ、俺です。
そう、俺はこの世界に、かなり小さい王国の王族に産まれた。
しかしながら、本当に凄く小さくて大国に実効支配を受けていし、戦争の時は馳せ参じて戦うって条件で、自治権をかろうじてギブアンドテイクで得ている。
風前の灯と言っても過言では無い国だった。
しかし、こんな国でもかつては大国で有り、この世界のアンタッチャブルである。腐海に攻撃して滅んだと言う大国の系譜を汲んでいるとか居ないとか。
ウン、自慢にもナンネ。
て言うか、それよりも、名付け親兼旅のお供の動向である。
ユパ殿とやらは何処?
て言うか、ユパ殿って誰?
名付け親も今の今まで教え無かったとか、親父どうなってんの?
王族だよね?
大人だよね?
チッ、語尾にビックリマークつけるのだけが取り柄かよ……ッ!
小さい市内を駆けずり回ったのち、家中の話の分かる家臣たちがユパ殿の前に案内してくれた。
とてもフォローに長けた人材だ。
あの親父に振り回されているだけある。
しかし、親父の人望の高さには疑問を抱かざる得ないな。
なんでこんな優秀な奴等が、あんな奴に従っているのだろうか?
「ユパ様が泊まっているのはこの部屋です。若様」
「……ご苦労、道案内感謝する。」
城の中じゃねぇか。
俺の苦労は一体…?
風使いの腐海装束って靴に踵ついてないから、走り辛いんだよ?
親父城下って言ったよね?
家臣が去った後自分でも驚く程の、溜息が口から吐き出た。
「はぁ……」
俺には、今回の一生は他人に振り回される物に見えて仕方が無いのだ。
実際、今の今までに、どれだけ苦労させられたものか……
「まさか、ユパ殿は父上の様な男ではないよな…?」
そうであったら、最悪である。
流石にないか!
ガハハ!
「私に何か御用ですかな?」
ぎゃあ!
自分でも驚く程のスピードで振り向き、腰の剣を抜こうとするも、腕を抑えられ抜けない!
えっやば!
相手を確認すると、そこには髭もじゃでやけに精悍な顔をした。
髪型がモヒカンの男がいた。
モヒカンの男が居た。
モヒカンの男が居たッ!?
父伝来頭突きが出てしまったのは、宜なるかな。
相手は怯み、やっと剣を抜けた。
だが、油断は出来ない。
奴は長剣を持っていた。
戦闘において、リーチの差は顕著に現れる。
争いの歴史はリーチと火力の歴史でもある。
そんな事を言った歴史家も居るくらいだ。
奴が奇襲を自らフイにした所と、先程の近接戦を見ると、余程腕に覚えがあるのだろう。
寧ろ不利と腹に据え、戦うべきだろう。
「ははは、大した武者振りですな。王子。」
「私を王子と知っての狼藉の様だな、世紀末モヒカン!城の中で大した物だ!」
キョトンとする。
モヒカン。
するとまた、大きく笑い声をあげて。
こう続けた。
「お久しぶりです、ナルセフ王子。私は、あなたがまだ赤子の頃一度会ったことがあります。名前をユパと申します。」
「……す、スミマセンでした。」
えっ?
この世紀末モヒカンが、俺の名付け親なの?