【ERROR】拡張兵器:オリバース【MESSAGE】 作:王者スライム
結論から言えば、非正規品の
材料は全て学生街でも手に入る物が使われていたので何も絞り込めず、指紋だとかそう言う個人を特定出来そうな物も見つからない。むしろ、発信器が仕込まれていたのでこちらが非正規品の
「さて」「どう動いたものかね」「……」
つまり、
手掛かりは一つもなく、思い当たる事も無い。気分的にはもう
分かっている事が殆ど無い現状は、一番怪しいとと思う所から調査していくしかないのだろうが、今回はそれすらも難しい。
「何しろ」「今のところ一番怪しいのは」「研究機関の科学者辺りになるんだよねぇ」「……」「でもあそこは」「学生の身分で色々と調査できる」「場所でもない訳だしだし」「……」
研究機関は
何しろ、本物の
これは
実際、少しでも敷地外に出た場合や分解され始めた場合はすぐに
超能力のデータを採取する際も基本的には研究施設ではなく学校の敷地内で行うし、仮に研究施設に入れたとしても必ず見張りがつき、かつ指定されたルートを通ることしか出来ないぐらいには徹底してる。当選、防犯セキュリティだって最新の物だ。
一応、
つまり、情報を抜き取るのが不可能なぐらい研究機関のセキュリティが高いので
「うーん」「一応、申請を出してみるか」「……?」「非正規品の
どれだけ学校の治安が悪くなろうが重い腰等上げない研究機関だが、今回の場合は間違いなく動く。なにしろ情報漏洩している可能性が発見された訳だし。ただ、
研究機関が内輪揉めして犯人が見つかり解決するならいいが、問題はそれで解決しなかった場合だ。もし、研究機関が学生に犯人が居るという結論を出してしまえば研究機関はどんな手を使って犯人を捕らえようとするのか。
それは私には分からないが
だから、それは避けたいので研究機関への調査の申請は本当に最後の手段になるだろう。
「……」「さて」「どう動いたものかな?」
調査もしていないのに振り出しに戻りつつ、思考を巡らす事十数分。そう言えばと、最初に非正規品の
どうせたいした情報は持ってはいないだろうが、他に当てがないのも事実。
──ということで、私は図書館へとやってきていた。
そこは図書委員会によって管理されている施設で、普通の図書館のように小説や参考書、新聞等があるのは勿論のこと、超能力を使うのに理解すべき拡張技術に纏わる本も数多くある。
大きさは東京ドーム0.8個分という広いんだか狭いんだか分からない感じなのだが、何度かサボ──勉強に来ている私から言えば広い方だと言っておこう。
では、何故そんな図書館に私が来ているのかと言うとだ。私一人で捕縛されている
彼らは共に生活し、学校という同じ敵を持っているからか無駄に仲間意識が高い。生徒会長が来たとしても、彼らは何も情報を語らず、語ったとしても嘘八百と言った所だろう。
つまり、
問題はその生徒に頼み事をすると面倒事が増えるという事だが──私は手を抜ける所は手を抜く性分ではあるが、それでも時と場合というものは考える。
このまま問題を見過ごして、
そう仕方ないと自分を納得させて、図書館の中へと入っていくと顔馴染みの図書委員受付が手を振っていた。
紫色の髪で目が完全に隠れている筈なのによく分かるなと思いながら手を振り返す。そして、そのまま近づけば今度は話しかけてきた。
「
「いや」「今回はちゃんとした」「用事があって来たよ」「そもそも」「普段ここに来ているのも」「勉強の為であって」「サボりに来ている訳ではないのだがね」
「そうですかー。じゃあそれを
「よし」「この飴ちゃんをあげよう」「あとは分かるね?」
「──わーい!じゃあちゃんと秘密にしておきますねー」
手渡した飴を早速口に投げ込む図書委員受付を眺めつつ、早速私は本題に入る。本題、というよりは確認に近いものだが。
「一応聞いておくが」「……」「図書委員長はいるかな?」
図書委員長、
つまり、転生者が二割ぐらい増えようがその才能を越える人材は増えなかったということなのだが……こればかりは仕方ない。特定の分野に特化された才能を越える才能がそうそう転がってる筈もない、というだけの話だ。他の委員長も
閑話休題。さて、そんな図書委員長である彼女はある意味問題児と言ったキャラクターだ。
一切授業に出ず、本を読み続ける。図書館を改造して自分だけの地下室を作り上げ、本を読み続ける。図書委員の仕事を片手でこなしながら、本を読み続ける──と、原作でもこの世界でもまさしく本の虫と呼ぶに相応しい人物。
そんな性格のせいで、原作ではラスボスを勤めた組織【
逆に言えば彼女が知らない本さえあればこちらからも買収できるということで、この世界では私がなんとか買収している。
簡単に言ってしまえば、洗脳だとか催眠に分類される超能力。特定の音を聞かせた相手に幻覚を見せたり、命令に従わせたりできる、そういう能力。そんな能力を持つ彼女の協力を得られたならば、捕まっている
「あっ、はい。居ますよー、何しろ授業にも出ていませんし。呼んできましょうか?」
「いやいや」「彼女は呼べば来るような」「人間じゃあないだろう?」「いつも通り私から行くさ」
「それはそうですけど、
「……」「どちらにしろ」「私が行った方が早そうだな」
「それはそうですねー」
好感度稼ぎの成功を実感しつつ、図書委員受付の許可を貰って図書委員専用の部屋の中へと入る。中にある本棚は図書館にあるものとは違い、禁止図書指定された本(主に漫画の名言集や危険な実験方法が載っている本等だ)が並んでいる。私もたまに読みに来るが今日は用はない、とそのまま先に進む。
そして、その奥にある螺旋階段をおりていけば──話に聞いていた通りに
後ろ髪から二つ伸びている黒い三つ編みと四角い眼鏡が特徴的で、背中はキリッと真っ直ぐ伸びている。そんなクラスをまとめる委員長のようなイメージもありつつも、一切日に焼けていない白い肌はどこか病弱な雰囲気が漂ってくる。物静かでじっと動かず、ただずっと本から目線を外さないのもその雰囲気を強くしてるのかもしれない。
そんな風に
「あっ、カイカイ会長じゃん。もしかしてまた本を持ってきてくれた感じ?」
「いやいや」「悪いけど」「今回は別件だよ」
「えー、ショック。カイカイ会長の持ってくる本、
そう、この
そんなギャップがあるからなのか、それとも普通に可愛いキャラクターだったからか。原作での人気投票で毎回一桁台に居座っていたぐらいの人気キャラクターである。
「今日は君に」「お願いがあってね」「その為にやって来たんだ」「もちろん」「報酬もきちんと出そう」
「うへー、カイカイ会長直々のお願いかぁ……断りたくはないけど、めんどくさそう……ちなみにこの部屋から外に出たりする?」
「ああ」「君には悪いが」「かなりの時間を」「取ってしまうだろうね」
「
「当然だ」「最高の物を幾つか見繕うよ」
「うーん…………七冊で!」
「それは多いよ」「一応あれは簡単に用意できるものではない」「ということを分かってほしい」「三冊でどうだい?」
「もう一声!」
「……」「四冊だ」「それ以上はわりに合わないな」
「ちぇ、一冊分厚いのをお願いね。辞書以外で」
「納得した振りして」「注文をふやすな!!」「……」「まあそれぐらいならいいが」「……」
「にひひ、やったー!」と喜ぶ
外から本を用意するだけなのならば簡単なのだが、この世界の彼女も買収されていないだけで、普通に【
つまり、私が彼女を買収する際は外でもなかなか手に入らない本、ということになってしまうのだ。四国山脈の山奥にある学生街で暮らしている私にとって、それがどれだけ面倒なことなのかは語るまでもないだろう。彼女が敵に回るのはそれ以上に面倒なことなのだが。
……こう言う気苦労を考えると、なんで私は生徒会長をやっているんだろうと疑問に思ってしまうな。なんでって、どう考えても
「カイカイ会長!早速行こうよ!面倒な仕事は本でも片手にチャチャって終わらせるのが一番だからさ!」
「うーん」「まあ」「やる気になってくれているのはありがたいな」「では早速案内しよう」
本を片手に意気揚々と立ち上がり、凄まじい速さで階段を駆け抜けていった彼女を見て、私も歩き出す。
どこまで行っただろうかと少し心配していたが、私の心配は要らぬものだったらしい。図書委員専用の部屋の所で私を待っていたらしく、上がってきた私に手を振った。
ただ、私を待っていたのも仕事の疑問が残っていたかららしい。
「カイカイ会長ー、そういえばどこ行くの?」
「ふむ」「言ってなかったか」「……」「だが」「その答えは」「私が君に頼みに来た」「という行為から分かるぐらい」「とてもシンプルな場所さ」
「って言われても、カイカイ会長の場合私の知識とか戦闘力とかも便りにされるから、それだけじゃ絞れないけど」
「……」「治安維持委員会」「
「なる程ね、了解了解。任せてよカイカイ会長。そいつらの知ってる情報なんて全部即座に吐かしちゃうからさ」
「ああ」「そこについては心配していない」「頼んだよ」「
「よっしー、任されたことだし!早速仕事へレッツゴー!」
そう言い残して、走り出した
だから、
つまり、何かしら情報が手に入るのは確定なのだが……手に入る情報全てが事件解決に繋がる情報ではない、ということはあり得る。あり得てしまう──
そう、何も事件解決に進んでいないのに、面倒事だけ増えるのは流石に後免被りたい。例え生徒会長であっても、いや生徒会長であるからこそ面倒事は嫌いなのである。
「……」「まあ」「どれだけ後免被りたくとも」「私には」「祈ることしかできない訳だが」「……」
試しに祈ってみたりもしつつ、私も拘留所へと向かうのだった。