人工フラクトライトとして紫の十字架は生まれ変わる 作:出涸らし皇子のファン
昔、ここにメディキュボイドの被験者がいた。その被験者はバーチャル・ワールドの中で三年間暮らし、大多数のプレイヤーに認められた少女。そして、HIV感染者であり生まれてから十五年も戦った彼女の命は尽きた。本来であれば。
ボク、がんばって、生きた・・・。ここで、生きたよ・・・。
しかし、運命は変わるほどの奇跡が起きたのかこのまま魂は消えず、遠い世界で再び目覚める。
「う、うぅん」
さわさわ、と草木の音が聞こえる…
ゆっくりと目を開けるとそこには知らない景色があった。
「ここは…。ボクは…いったい?」
さらに、このあたりを見回しても森と草原しか見えない。
自分がここにいる理由が分からず、不安になる。
「どうしてこんなとこにいるんだろう…」
だがいくら考えても分からず、それならばと、直前の行動と自分について思い出そうとする。
そして、より一層自分の状況に困惑することになる。
なぜなら、
「ボク死んだんじゃなかったっけ」
そう、自分の最期を覚えていた。
ボクはユウキ、絶剣のユウキと呼ばれていた。
本名は紺野悠希、メディキュボイドと呼ばれる医療装置で治療、エイズと闘病するも15歳で病死した。最強の剣士として皆に認められて、見送ってもらったから未練とかないと思ったんだけどなぁ。
そう思っていると、不意に郷愁に襲われる。
「アスナ…」
かつて、ボクの親友でお姉ちゃんと重ねていた人に会いたくなってしまった。いやアスナだけじゃない、シウネーやスリーピングナイツの皆にも会いたくなっちゃった。
でも恐らく…
「ボク死んだってことは皆に会えないよね…」
そう、ボクは間違いなく死んだ。だから会えるのは同じく死んだ人でしか会えないだろう。
「それは嫌だなぁ」
会えないのは悲しいが、皆には生きていてほしい。そう考えていると
「あれ、死後の世界にしてはなんだかリアルだなぁ」
そう、死んだ後の世界があるとは限らないが、死人が意識を保てるなら他の死人がいるはずだ。しかし、ここには誰もおらず三途の川と思しきものも見つからない。
そこで悩んでいると、不意に喉が渇いて何か飲みたくなった。
そこでようやく自分に起こった異変に気づく。
「何でボク縮んでるの…」
そう、腕が本来届くところまで届かない。
足もなんだか短くなっている。
「あ、れ..?」
だんだん意識が遠のく、不味い、このままじゃ…
「だれ、か…」
何もないところに手を伸ばす。しかし誰にも届かない…と思われたが
「君!大丈夫!?」
ユウキの意識はここで完全に途切れた。
えー、お読みいただきありがとうございます!
是非とも、何卒、温かい目でお願いします。