人工フラクトライトとして紫の十字架は生まれ変わる 作:出涸らし皇子のファン
「う、ううん…」
再び目を離すと、どうやら部屋にいて、ベットで寝ていたようだ。しかし、なぜまた場所が変わったんだろう?
「あ!起きた!」
隣を見ると、黒い髪に黒い目をした子供…
あれ、どこかで?
「なあ、お前なんであんなとこにいたんだ!?」
「え、えっと…」
質問に答えようとするが、そもそも今の状況もわからず、何もいえないでいる。
「こらキリト、あまり人を困らせてはいけませんよ。」
そう言って子供を宥めるおばさんが現れた。服装からして、どうやらシスターっぽいが…それより今なんて言った?
「え!キリト!?なんでいるの!?」
良く見れば面影にそっくりで、どこからどうみてもあのキリトだった。
キリトとは、アスナの恋人で僕とアスナを取り合った仲だ。忘れるわけがない。
「ん?お前俺を知ってるのか?」
「え、だってキリトでしょ?黒の剣士とかなんとか…」
「キリトだけど、黒の剣士ってなんだ?
かっこいいなそれ!」
え…黒の剣士を知らない?
「ほら、他にはブラッキーとか黒づくめとか…」
「えーなんだよ、その呼び名!」
おかしい、自分で名乗ってないにしてもそう呼ばれて、反応していたはずだ。
「ええと、キリトとはどう言った知り合いなのですか?」
困惑していると、シスター?から声をかけられた、が…
「うーん、もしかして他人の空似?」
そんなわけないと思うが、実際知らないしこんな子供じゃないし、てそれはボクもそうか
シスターは「そうですか」とあまり気にしていないようだ。
「えっと、どうしてボクはここに?」
「それは俺とユージオ、アリスが見つけて、大人を呼んだんだぜ!」
どうやら、キリトと他二人?に助けられたみたい。ユージオとアリスって誰?
とりあえず、
「ありがとう、キリト!」
「どういたしまして!でも、最初に見つけたのはユージオだし、大人を呼ぼう、って言ったのはアリスだぜ」
どうやら、キリトではなくその2人に特にお礼を言わなくちゃいけないみたい、キリトは何したんだろう。運んでくれたり看病してくれたのかな?
「それで、なんであんなとこにいたんだ!?」
「え、えっと、実はボクもよく覚えていなくて…」
「えー!じゃあお前ベクタの迷子なのか?」
べくた…の迷子?なんだろう?と不思議に思っていると、
「ある日、突然いなくなったり、逆に野原や森に現れる人のことをルーリッドの村じゃそう呼ぶのです。闇の神『ベクタ』がいたずらで人間を攫って、生まれの記憶を引っこ抜いて、凄く遠い土地に放り出されるのです」
なるほど、この村じゃ行方不明者をそういうのかな?
「えっと、ボクの名前は…ユウキです、覚えているのはそのくらいかな?」
「そっか!ユウキ、よろしくな!」
知り合いを覚えていると明らかに思われてるのにこのセリフって…
キリト、で通じるから多分本名じゃおかしいかな、と思ってユウキ、と名乗ったが。
我ながら呆れそうな言葉にも何一つ疑わず挨拶をしてくれる。正直助かる。
「うん、キリト。よろしく。それで、えーっと」
「ああ、私の名はシスターアザリヤと申します」
そう言って丁寧に教えてくれる。やっぱりシスターだったんだなぁ。
「何も覚えていないのならこの教会に泊めましょう。今はまだ小さいからいいですけど、このまま住むならお仕事もしてもらいますが…」
「いいんですか?」
「ええ、構いません」
うーん、まだ良くわかんないことが多いし、住ませてくれるならとてもありがたいな。
そう思っているとキリトが
「今日はもう遅いし寝るか、他のみんなも寝てるし」
「そもそも、看病の名目で夜更かししようと思ってませんよね?」
「そ、そんなことありませんよ」
アザリヤさんははぁ、とため息をついた。
「ユウキはちょっと大人らしい気がしますが、迷惑をかけないでくださいね」
どうやらこの世界のキリトも何か色々やっているようだ。やらかしとも言うが。
「では、消灯の時間になるので今日はもう寝てください」
「おやすみー」
「お、おやすみ」
「おやすみ」
・・・どうしよう、さっき起きたばっかですぐ眠れなさそうだ。とりあえず、今の状況を整理しよう。
えっと、まずこの世界は現実なのかな、それにしてはファンタジーすぎるような、でも空気とか水とか現実にしか思えないんだよね。
今すぐにはわかんないな、ほりゅー。
次になんであんなとこにいたんだろ?
おまけになんだか子供相応の気分だし、本当に若返っているのかな?
・・・うーんいくら考えても転生とかくらいしか思いつかない。そんなわけないのに、とも思うが。
だめだ、今は考えても答えに辿り着けない。
明日色々教えてもらおう。
とりあえずなんとか寝ないと…
鳥の声が聞こえる。それに釣られてボクも目を覚ます。
「ここは、、そっか、教会だっけ」
やはり、いきなりここに来たのでまだ実感しづらかったが恐らくこれが現実だろう。少なくとも夢ではない。
「んー、おはようキリト」
「おっ、おはよう!良く起きられたなぁ」
起きて着替えて部屋を出た。いつの間にこんな服着てたんだろう。というかどこの服なんだろ。そんなことを考えながら歩くと、井戸にキリトがいた。そういえばこの世界について聞かなきゃ。
とりあえず大人に聞くのが一番かもしれないけど、あまり変なことを聞いて怪しまれたくない、それにキリトの友達にも会ってみたいし。
「キリト、昨日言ってた2人に会わせてよ。
お礼も言いたいし」
「そうだなー、2人も会いたいだろうし、お祈りと朝食食べたらいこーぜ。案内するよ!」
「うん、お願い」
よし、約束は取り付けた。が…
「あっでもごめん!2人に会わせられるけど俺たち、天職があるからそれまでかも…」
「そうなの?ならとりあえずそこまで一緒に行ってもいい?」
「来るだけなら問題ないけど…お前の天職は?」
「えっうーん、そもそも知らないけど大丈夫かなぁ」
「それも忘れちゃったんだなぁ…」
だめだ、この世界の常識がわかんない。こんな子供の時からそんな働くの?
「まあ、村長にも伝わってるし、今は休んでていいんじゃないか?羨ましいけど」
「そうかなぁ、後でシスターにも相談しなきゃ」
とりあえず、なんとか生きてくための知識を覚えないと。そう意気込んでいると
「おーい、もうお祈りの時間だぞー」
「やべ、そろそろ行かなきゃ」
「あっ、忘れてた」
とりあえずキリトについて行って、お祈りと朝ごはんを食べた。そういえば、現実で食事をするのは懐かしいかも。
それから、キリトの天職を見学することに決めた。シスターに相談して、ボクのはどうやら覚えていないならしばらくは教会で暮らして、慣れてきたら仕事を手伝う。それでいいみたい。
あまり大変だと困るけど、こんなんでいいのかな、と拍子抜けしたのは余談だ。
「ユウキはさ、本当に何も覚えていないのか?」
「う、うん。公理協会も禁忌目録も今知ったよ」
「それ、早く覚えねーと不味いぞ、下手したら央都から整合騎士が来て捕まるらしいぞ」
「えっ!じゃあはやくおぼえないと!」
なんと、この世界の法律は都市の整合騎士
(警察?)がわざわざ取り締まるようだ。捕まりたくないが、生憎まだ知らない。
「ついた!これがギガスシダーだ!でかいだろ!」
「うわぁー!」
キリトから刻み手とかなんとか聞いていたが、ここまで大きいとは。自分で切り倒すわけじゃないのにこれ、切り倒せるのかな?と不安にすらなる。そう思っていると、突然知らない声が聞こえてくる。
「おーい、キリト。もう時間だろ!」
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