人工フラクトライトとして紫の十字架は生まれ変わる 作:出涸らし皇子のファン
こっから原作をどう変えようか未だ迷っています。
翌日。いつも通り起きて、朝の準備をしていると顔を赤くしたセルカが慌てながら来た。
「?セルカ、どうしたの?」
「い、いえ。なんでもないわ」
そう言って準備に取り掛かる。顔も元の色に戻っているので追求しなかったが、確かキリトを起こしに行ったはずなのでそこで何かやらかしたのだろう。そして、朝の礼拝にもなかなか来ないキリトをセルカが呼びにいく。
厳かな礼拝と賑やかな朝食が終わると、子供たちは掃除や洗濯といった雑務に取り掛かり、セルカはシスター・アザリヤと一緒に神聖術の勉強をするために書斎へ消えて、キリトは正面の入り口から外へと 出た。ボク?朝は修練、神聖術の方はシスターの神聖術は用途が日用、つまり実践に使えるようなものでもないので自分で本を漁って学ぶ。また、剣の素振りをして剣を早く扱えるように努力をする。
それが終わって一息つくと、ユージオと自分、新しく増えたキリトの分までお弁当を作って届ける。
「ふう、ちょっと遅れた?」
「いいや、いつもの時間だよ」
「もう腹減ったなー」
いそいそと準備をして、中身を取り出し、並べる。
「にしても、本当うまいよなぁ」
「そうかな?口にあってよかった」
キリトからお褒めの言葉を頂いたのでそう返す。何せ、アスナの手作り弁当を日頃から食べているのだ。仮想世界の料理とはいえ本当に美味しいし。
「なあ…ユージオ、昨日言ってた、アリスは教会で神聖術の勉強をしてたんだよな?」
「!?ユージオ、アリスのこと話したの?」
「うん…ユウキのお弁当について話してる時にね」
まさか、ユージオの方からキリトにアリスのことを話すなんて。いつの間にそんな仲良くなったのかな。
「それでどうなんだ?」
「ああ、ごめん。そうだよ」
「なら、教会にいたセルカって子は…?」
「…ああ、シスター・アザリヤも、アリスが整合騎士に連れて行かれてからずいぶんと気落ちしてね。もう教わってたユウキ以外にしばらく生徒をとらなかったんだけどね、一昨年新しい見習いとしてあの子が教会に入っていったんだ。セルカはアリスの妹だよ」
「へえ…」
そう言ってユージオはバツの悪そうな顔をして、眉を寄せる。
それから、セルカへの気掛かり、孤児達の事情、伝染病、天命の知識を話す。それらを話し終えたユージオは午後の仕事を遂行しようとするが、キリトに呼び止められる。
「な、なあユージオ」
「ん?」
「この村には、これ以上強い武器はないのか?村になくても、央都にとか…もう三百年も経つんだろ?」
「…あるよ。これより強い斧はないけど、剣はある」
「剣?」
「あれを試すの?」
「うん、前からだいぶ経ったし、挑戦してもいいかもしれないしね」
話が掴めていないキリトに先に仕事を任せ、小屋にまで剣を取りに行く。キリトが50回叩くと、やや疲労の様子を見せたユージオが戻ってきた。キリトが心配しつつも、背の皮包みについて聞くと、そこから長剣を取り出す。
キリトはその剣の美しさに目を取られているが、いざ持とうとするととんでもない重さに驚愕していた。
「こ、こんな重いのか…!これは…?」
「『青薔薇の剣』。本当の銘かは知らないけどお伽噺じゃそう呼ばれている」
「お伽噺?」
「えっと、ベルクーリと北の白い竜ってのがあって…」
村の英雄にまつわる話で、果ての山脈の洞窟を探検して白竜が寝ているうちに青薔薇の剣を盗もうとする話をざっくり説明した。そして、この剣が洞窟にあって、骨があったということは実話なんだろう。
「氷を手に入れるために洞窟まで行って、お伽噺を確かめに行った。まあ、白竜は骨になっていたけどね。それであとは昨日話した通りさ」
「そうか…でも、なんでその剣がここに?」
「3年前くらいにもう1度北の洞窟まで行って、持ってきたんだ。とても重いから安息日ごとに少しずつ運んだんだけど、3ヶ月も経っちゃった」
「3ヶ月…そりゃまた。どうしてそこまでして持ってきたんだ?」
「この剣を振るえるようになったらと思ってね。まだできそうもないけど…」
ユージオはあれから諦めよう、なんて思わずに努力し続けた。だから、いつかは絶対触れるようになるはず。ボクだってあの剣を振るえるようにならなきゃ…!
そう決意を込め直すと、キリトがニヤリとして言う。
「なあ、ちょっとその剣、貸してくれないか?」
「うおっと、重いな…!」
「だ、大丈夫かい、キリト…」
「無茶しないでねー」
まあ、あのキリトが無茶しない、なんてことできないと思うけど。
「それにしてもこの剣、素材は何なんだろうな」
「鋼でもガラスでもないしねぇ」
「竜の骨でも銀でもないね」
キリトの問いかけに考えるも思いつかない。普通のものじゃないと思うけど…。
「多分、この剣は神器だと思う」
「神器…」
「あー、神の手によって作られたとか、人の手によって作られたものではないもののことだよね?」
キリトがなるほどなーと納得して、いよいよギガスシダーの前に立つ。
「なぁユージオ、今のギガスシダーの天命を調べてくれるか」
「ええっ、素振りもせずにいきなり試すの?持つだけでそんなフラフラじゃないか」
「まあまあ、それとも斧じゃないとダメだ、なんて規則にあるのか?」
「いや、ないけどさ…」
ユージオはなおも迷うが、腰を上げて調べる。
「ええと、232315、だね」
「それ、覚えといてくれよ」
「でもさぁ、絶対無理だと思うよ。まずまともに振れるのかい?」
「まあまあ、好きにやらせてみようよ」
ボクとユージオは巻き込まれないよう少し離れた。
集中したキリトが構えるとライトエフェクトは発生しないものの、わかる人にはわかる横水平斬り"ホリゾンタル"の軌道に沿って振るった。
しかし、その剣の重みにより、狙いがズレ、切り込みの上に衝突した。
ぎいいん、と耳のつん裂く音がして、周囲の木々から一斉に鳥が飛び立ち、四方から逃げていった。そしてキリトはその衝撃に耐えられず吹き飛ばされた。でも、これって…
「ほら、言わんこっちゃない!」
「…こりゃステータスが真っ赤だなこりゃ…」
「?何言ってるのさ、それにさっきからどうしたの、ユウキ?」
ユージオに声を掛けられるが、それに答えもせず、さっきキリトが打ち込んだところを指差す。それに釣られ、ユージオが見たのは…
「うそだろ…たった一撃でこんな…」
そう、さっきキリトが打ち込んだ場所を見ると、青薔薇の剣がギガスシダーに食い込んでおり、そのまま空中に横たわっていた。
「な?あの斧よりも青薔薇の剣の方がその…攻撃力が上なんだよ。試してみた価値はあったろ?天命を見てみろよ」
「う、うん」
キリトに促され、ギガスシダーの天命を確認する。
「でも、天命は1しか減ってない」
「な、う、嘘だろ?あの斧じゃないとダメなのか?」
「いや、違うよ。多分切った位置が悪かったんじゃないかな」
「うん、もし皮じゃなくて斧目の中心にあたればもっと減ったはずさ。確かにこれなら竜骨の斧より早く樹を刻める…それこそ、ボクの代で終わるほどーーでも」
一拍おいて、難しい顔で軽く口を結び、続きを言う。
「それも、ちゃんとこの剣を扱えたらの話だ。たった一回打っただけでボロボロじゃないか。打つたびにこんなだったら、結局斧でやった方が早いよ」
「なら、ユージオも試してみたら?」
そうボクが提案すると、ユージオが驚いたように言う。
「僕が?まだ無理だよ」
「でも、やってみなくちゃわかんないよ?ユージオはキリトと違って剣を持ってみようと挑戦してたし、今なら、いけるんじゃない?」
「…わかった。やってみるよ」
食い込んだままの剣を取り、キリトと同じように、でも斧の感覚と同じように調整して、構える。そこにはまだふらつきがあるもののキリトよりは安定しているようにも見える。
「お、いけるんじゃないか?」
キリトがそういうや、ユージオが斬りかかる。それは何年も重い斧を振ってきただけあって、ボクからみても見事な体重移動だった。しかし、最後に軸足が重さによってブレ、キリトと同じように外してしまった。
ガアァン!と音を鳴らし、真後ろに吹っ飛ぶ。
「ユージオ!大丈夫!?」
「うん、なんとかね。でも、これは無理だよ」
「う〜ん、いけると思ったんだけどなあ」
反動で吹き飛ばされたユージオに手を貸し、怪我がないか聞く。キリトはなおも青薔薇の剣を見てつぶやくが、これ以上無理にやっても怪我するだけで本末転倒になるので保留にした。
「うーん、あれから4年修行してるのに、うまくいかないね」
「うん、そろそろ、打てる手も尽きそうだなぁ…。とりあえず午後の分を、終わらせるよ」
そうして切り込みを再開したユージオを見ながらキリトと考える。そして、キリトが何かに気づいたようでステイシアの窓を開き、問う。
「なあ、俺たちにもあるんだよ、これ。ユウキ、お前のも見せてくれないか?」
「あっそうか!なんできづかなかったんだろ…」
そしてキリトと同じように窓を開き、見せ合う。
「たぶんこのデュラビリティが天命で…HPだよな。このオブジェクト・コントロールってのが38だけど…なんだ?」
「多分直訳で「物を動かす」ってことだから、STRみたいな物じゃない?」
「なるほど…青薔薇の剣はっと」
剣のステイシアの窓を開くとギガスシダーにも劣らない天命の他に「クラス45」と表示された。
「この「CLASS」がコントロール権限に対応するなら足りないね…」
「ああ、これどうやって増やすんだろうな」
「そういえばキリトは38だったよね?ボク40だったから、日々の訓練にもよるんだろうけど…たった2の違いかあ…」
「訓練もそう簡単ってわけじゃないみたいだな」
「手っ取り早くレベルアップできたらいいのに…」
まさかこんなに詰まるなんて…もう成長しながら修行すれば扱えるようになるなんて甘い考えは捨てた方がいい。なら魔物を狩に行く?無理だ。何せこの村周辺にはごく稀にしか動物がいないし、確か禁忌目録で天職じゃない者には狩ることさえ禁止されたはず。だからといって狩人になるのも論外、央都に行けないしね。ダークテリトリーにならいるかもしれないがそもそも行くことを禁じられている。何せアリスが土に手で触れただけで連行されたのだから。
それからキリトとああでもないこうでもないと話し続けるもいい案が浮かばずやがて50回叩き終えたユージオから声を掛けられ、次回に持ち越しとなった。
ボクは昨日と同じように早めに教会に戻り、手伝いをする。そしてユージオが青薔薇の剣を出したのであれをキリトに見せようと思う。
「なあ、ユウキ。どうしたんだ?」
「うん。見てもらいたいものがあるんだ」
そうキリトの部屋にお邪魔して、持ってきた皮包みをキリトの前に出す。
「これって…もしかして剣か?」
「そうだよ。いつからあったのか知らないけど、ボクが使ってた剣に似てたから譲ってもらったんだ」
そう言って皮包みから剣を取り出し、キリトに見せる。
「!なるほど確かに似てるな。名前はあるのか?」
「ううんないよ。ボク、ネーミングセンスない気がするし…」
剣につける名前なんて考えたこと今までなかったし…OSS?あれは技の名前でしょ。
「その剣は…45?その割に軽いんだな」
「だから、明日ちょっとこの剣で試してみたい。ユージオに伝えてくれる?」
「?自分で伝えないのか?」
「うーん、今日言えばよかったんだけど、帰ってから気づいたんだよね…朝はちょっと色々あるからね。明日の安息日に会う約束してるんでしょ?ついでだと思ってさ」
「わかった。伝えとくよ」
よし、これでボクの剣も試せる。キリトにお礼を言って部屋を出る。
それからはいつも通り教会の手伝いをして、明日の挑戦に備えて早めに寝る。
…そういえば、今日ボクが来られないと知るとセルカを読んでいたなぁ。何話したんだろ。
はい、次回は初の戦闘シーンです。うまく描けるかな…