「何処だここ……」
俺、黒山 一希は目が覚めると真っ白な部屋で椅子に座っていた。いや、部屋というよりも空間に近いな……ホント何処なんだよここ……、
「確か俺は学校から帰っている途中で暴走したトラックから子供を庇ってーー」
「貴方は子供を庇ったけどトラックに引かれ死んでしまったのよ」
「え……」
何故ここにいるのか思い出しているといきなり背後から声がかかり、後ろを振り向くと黒色のロングの髪に黒色のスーツを着たスタイル抜群の女性が歩いてきた。めちゃくちゃ美人な女性じゃねぇかよ……そこら辺にいるモデルさんや女優さんより綺麗だぞ。
「あら、綺麗だなんて嬉しいこと言ってくれるじゃない」
ニヤニヤとしながら黒髪の女性はそう言いながら俺の目の前にある椅子に座った。え、なんでこの人は俺が考えていたことが分かるの?結構顔には出ない方だけど……。
「そりゃ私は女神だからね」
「え……め、女神?創作とかによく出てくるあの?」
「その女神よ。私は女神 ディアーナ、よろしくね黒山 一希君」
女神『ディアーナ』は俺に微笑みながら自己紹介をする。彼女が女神ならどうやら夢ではなく俺は本当に死んだようだな……。
「あの……俺が助けた子供は?」
「ん?えぇ、貴方が助けてくれたおかげで命に別状はないわ。怪我も軽傷だったし助けてくれた貴方に感謝していたわよ」
「そうか…良かった……」
あの子供が無事ならそれでいい……でも、もう少し生きていたかったな……17歳で人生が終わるのは嫌だな〜。
「……さてさて黒山 一希君、亡くなった貴方には選択肢が幾つかあるわ。一つは記憶を消して元の世界に戻る事、二つは何も無い天国に行きなにもせずに暮らす……そして最後の選択肢は知識、記憶、身体能力はそのままで異世界、貴方がいた世界とはまた別の世界に行く事よ」
「異世界?」
「そ、異世界よ。異世界に転生して豊かに暮らしたり、冒険者として様々なクエストやダンジョンを攻略したり、魔王を倒そうと勇者になってもいいわ……最近は特典を悪用する転生者や魔王軍に寝返る転生者が増えてきてるけどね」
「ん?なんだ?」
「いや、何も。それでどうするの?」
天国でのんびり暮らすか………それはそれで退屈そうだし嫌だな。記憶を消してまで元の世界に行く未練もないしなぁ……よし!決めたぞ!
「いいよ転生するよ」
「決まりね。それじゃこの本から選んでくれるかしら」
ディアーナは魔法陣を展開するとそこからカタログなような物を取り出し、俺に渡してきた。とりあえず中を見てみると《怪力》《超魔力》《聖剣アロンダイト》《魔剣ムラマサ》……その他諸々、色々な名前が記されていた。
「結構あるな……」
「そりゃ色々な特典を選ぶ人達がいるからね〜武器でも能力でも、実在しないものも可能わ。ゆっくり選んでちょうだい」
実在しないもの?マンガとかアニメとかの空想上の力でも良いってことだよな?このカタログに載ってないかもしれないけど……アレにしてみるか。
「なぁ、仮面ライダーの特典も大丈夫だよな?」
「大丈夫よ。仮面ライダーを特典に異世界に行くなんて多い方よ」
「なら……ダークライダーをお願いしたいんだけど」
ダークライダー……いわゆるダークサイドに身を置く仮面ライダー。自分勝手な理由で力を使ったり、欲望を叶えるため、何かを守るために悪になった戦士たち。俺は幼い頃から主役ライダー達を凌駕する圧倒的力、ダークサイドにはダークサイドなりの正義に惚れダークライダーが好きになってしまった。
「へぇ〜……なんでそれを選ぼうとするの?」
今までニコニコと見ていたディアーナだったが、ダークライダーをお願いすると真面目な顔になり何故それを選んだのか理由を聞いてきた。
「好きなライダーだからだよ。主人公ライダー達を圧倒する力と能力、生き様、悪として正義……主人公ライダー達にはない魅力を持つダークライダーが好きなんだよ」
「ダークライダーが好きね〜……(これまでに何人も仮面ライダーを選ぶ転生者は居たけどほとんどが主役はサブと言ったメインライダーしか選ばなかったけど……面白いわねこの子)」
俺がダークライダーが好きだと言うことを聞いたディアーナは少し考えるとニヤリと笑うと再び俺の方を向くとある事を提案してきた。
「いいわ。その特典カタログには載ってないけど面白そうだし特別よ」
「いいのかよそれ……」
「面白いからいいのよ」
俺が頼んだのもなんだけどさ……いいのかよそれで。俺がそんなことを考えていると再び魔法陣を展開するとディアーナは布袋を取り出し俺に投げ渡してきた。
「その布袋には転生先のお金が入っているわ。それを使って冒険者登録をしてね」
「へぇ〜異世界のお金か……ありがとなディアーナ」
「これも女神の仕事だから気にしないで。それじゃ転生の準備を始めましょうか」
そういうとディアーナは椅子から立ち上がると何か呪文のようなものを唱え始めた。すると、その直後光と共に俺の足元に魔法陣みたいな模様が浮かび上がった。
「さて……黒山一希君、願わくば、数多の勇者候補達の中から、貴方が魔王が打ち倒すことを願っているわ。見事魔王を討伐した暁には、神々からの贈り物として、どんな願いもたった一つ叶えて差し上げるわ」
「マジかよ!」
「さあ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています……さあ、旅立ちなさい!」
足元にある魔法陣から放たれる眩い光に包まれ、俺は異世界に転生するのであった。
黒山 一希を異世界に転生させたディアーナは椅子に座ると魔法陣から一つの本を取り出しページを捲り始めた。
「まさかダークライダーを選ぶ子が出てくるとはね〜面白くなりそうだわ」
今まで見てきた転生者達はどれもこれも主人公ライダーやサブライダーを頼むばかりでダークライダーには手を出す存在はいなかった。だが、ダークライダーを好きだと言った彼に興味を持ち、特典のカタログにはないダークライダーを特典にしてしまった。
「ま、どうせ怒られるけど悔いはないわ。これから彼の冒険を見れるのだから……ダークライダーでどんな冒険を繰り広げるか楽しみにしてるわよ」
転生した黒山 一希に期待しながらディアーナは最初に一希に渡すダークライダーを選び始めた。