彩南町のとある高校、彩南高校のとある空き教室で一組の男女がいた。
2人とも制服を着ているため生徒だと分かる。
綺麗な長い黒髪でハレ……豊満な体をしている女生徒が男子生徒に詰め寄っている。
「早くしなさいよ……」
「いや、だって流石に……」
「何よ、待たせた貴方が悪いんでしょ」
男子生徒と女子生徒の顔の距離が間近になり、あともう少しでその距離がゼロになりそうな瞬間、その間に大量のプリントが置かれた。
「今朝の遅刻と授業中に居なくなった分の罰として課題プリントを渡します!しっかりやりなさい!明銀君!」
「いや、この量は多すぎるって古手川さん……」
男子生徒、
それに対して女子生徒、古手川は腕を組んで少し怒りを見せる。
「当たり前よ。遅刻の常習犯で途中欠席はしょっちゅう、私が何度注意しても治らないじゃない」
「いや……その、申し訳ない」
「……遅刻してるのってバイトが原因なんでしょう?この学校は色々校則が緩いからバイトするのは許されているけど、学生の本分は勉強よ!疎かになるなら辞めた方がいいわ」
古手川のその言葉に新星は困った顔をする。
「いやー……辞めるのは難しいなぁ」
「……貴方の家庭事情もあるから辞めるのが難しいなら、その……相談に乗るわよ」
古手川は少し恥ずかしそうに言っているが自分を気遣ってくれていることは分かる。
「優しいんだな」
「なっ!?何言ってるのよ!早く課題やりなさい!」
新星は課題を進めていくがふとあることに気付く。
「何で古手川さんはここにいるんだよ?別に付き添うのは先生でもいいんじゃ?」
「ばっ、なっ、せ、先生方の手を煩わせる訳にはいかないでしょ!?私だって風紀委員の仕事があるのよ!」
「そ、そうか」
顔を赤くして怒鳴る古手川に新星はそれ以上聞くとややこしくなると思い、取り敢えず頷いた。
そしてその十数分後に新星は課題を進めていた手を止めた。
「よし、終わった」
「え?まだ30分くらいしか経ってないわよ?」
「理系の課題だったから早く終わったよ。古手川さんはどう?」
「……まだ少し掛かるわ。先に帰ってもいいわよ」
古手川の側に積まれている書類の山を見て、新星は書類を持って席に戻る。
「手伝うよ」
「……ありがとう」
古手川は少し恥ずかしそうに礼を言った。
○
その後、書類作業は日が沈んでから終わったため古手川を家まで送ることになった。
「その…ありがとう。送ってくれて」
「気にしないで。最近物騒な事件も多いしさ」
「そうよね。隣町で銀行強盗が起きたり、東京の方だと通り魔や誘拐も起きたりどうなっているのかしら」
そんな話をしながら古手川の家に着く。
「ここまででいいわ。ありがとう」
「じゃあ、また明日」
「ええ、明日は遅刻しないように」
「はは……善処します」
「善処じゃダメよ。必ず遅刻しないように」
古手川と別れた新星は自分の家に帰ろうと向かっているとスマホのLINEにメッセージが届いた。
送り主は学校の友達で何かと世話を焼き、最近は恋愛相談もしている結城 リトからだった。
『今日、ウチに夜ご飯を食べに来ないか?美柑が料理を作り過ぎて新星も食べに来ないかって』
リトの誘いに喜んでお誘いに乗ろうとしたが、その時右腕に装着している真ん中に青色のクリスタルが埋め込まれている銀色の腕輪が淡く光って音声が聞こえてくる。
『ーーーーーー』
「え?今から?今から夜ご飯食べに行くところなんですけど……」
『ーーーーーー!』
「わ、分かりました。分かりましたからそんな声を張り上げないでくださいよ。行きますから」
そう言うと腕輪からの音声は聞こえなくなり、新星は少しため息を吐いて、リトに返事をした。
『ごめん。これからバイトで行けそうにないや』
『そうか、分かった。明日でも来いよ!美柑が料理残しておくってさ』
『了解。じゃあ明日行くよ』
そう返事を打つと次の瞬間、新星の姿は消えていた。
○
東京のある一角、人気が一切ない場所で黒スーツの男達とサラリーマン風の男が密会していた。
「や、約束の物は持って来てくれましたか?」
黒スーツの男は持っていたアタッシュケースを開けるとそこには緑色に光る球体が入っていた。
「ああ、金は持って来たか?」
「こ、こちらにあります!」
サラリーマンの男は傍らに置いていたボストンバッグを持ち出す。
そこに声が掛けられた。
「ちょっと待った。それは地球に持ち込んじゃいけない薬物だ」
取り引きをしていた男達は声のする方に顔を向ける。
そこには人影が見えるが逆光のせいで全体が見えない。
「何者だ?」
「科特隊の者です。その荷物をこっちに渡してください」
黒スーツの男達はそれに応えず、一斉に銃を向ける。
その銃は地球にある銃とは違い、映画によく出てくる宇宙人が使っている近未来の銃だった。
「はぁ……争いごとは嫌なんだけどな。……最後の警告です。その薬物を渡して投降してください」
男達はそれにも応えず、レーザーを発砲し、乱入者の周りに着弾し爆発が起きる。
辺りは爆煙に包まれ、乱入者を警戒するなか光が灯る。
鋭い双眼と胸の部分が輝き、煙の中で両腕を振るうと前腕にそうようにエネルギーブレードが展開される。
男達は再び発砲しようとするが光の線を描き、男達に詰め寄って全ての武器を真っ二つに切り裂く。
そして男達を拳と蹴りで次々と倒し、無力化する。
煙から出てきた男の全体像が露わになった。
銀と赤のパーツでできたアーマーに胸の真ん中に青いライトが付いている。
黒服達を制圧すると今度はサラリーマンの様子がおかしくなる。
「ううぅぅぅ……!そその薬は……オレノモノダァッ!!」
体が肥大化し表面が獣のような体毛に覆われ怪人化する。
「こんな所で変身するな、よっ!」
滅茶苦茶に腕を振るって暴れる怪人の攻撃を跳んでかわす。
背後に回ると右腕を立てて右手首と左手首を重ね、手首のジョイント部分が連結される。
「スペシウム光線」
左腕を下ろすと右腕のパーツが展開されて青白い光線が発射され、男に直撃し吹き飛ばす。
壁に叩きつけられた怪人は気絶し、ピクリとも動かなくなった。
○
その後、掃除班を呼び後処理を任せているとヘルメットの通信機から音声が聞こえてくる。
『新星、終わったか?』
「キリタ?おつかれー、こっちは終わった」
『そうか。ならすぐに彩南町に迎え。厄介な連中が暴れている』
「彩南町!?なんでまた!?」
『知るか。いいからさっさと向かえ。下手したら地球が簡単に滅ぶぞ』
冷たく言う通信先のキリタという人物に文句を言ってやりたいが地球が滅ぶと言う一言にその場から跳躍し、飛び立った。
『これはついでだがお前の友人、結城 リトが巻き込まれているぞ』
「先に言え!」
○
その頃、結城 リトは自宅の風呂に突然現れた宇宙人と自称する美少女ララを連れて黒服の男達から逃げていた。
逃げる理由は困っている女の子を見捨てては置けないと勇敢な物だが当の逃げている本人であるララはお見合いが嫌で家出をしていたのだ。
そのことに愕然としてしまうリトだったが痺れを切らしたララはデダイヤルから自身の発明品『ごーごーバキュームくん』を転送し、彼女を追っていた男達、ボディーガード達を吸い込んだ。
ボディガードを吸い込んだのはいいがララは『ごーごーバキュームくん』の止め方を知らず、暴走してしまい周りも吸い込み始めてしまう。
「ごめん!止め方分からないや」
「はあぁぁ!?誰かたすけてくれー!!」
リトの悲痛な叫びが響くと、バキュームくんの真上から新星が落ちてきて腕のエネルギーブレードで真っ二つに切り裂く。
「へっ?うわっ!?」
「え!?誰!?」
リトは浮遊感がなくなり地面な落ち、ララはバキュームくんを切り裂いた人物に目を向ける。
バキュームくんを切り裂いた新星の足元には気絶したボディガード達が横たわっていた。
「えっと、一応『ウルトラマン』って呼ばれてます」
episode1 END
人物紹介
⚪︎明銀 新星
種族:地球人(?)
性別:男
年齢:15歳
所属:S.S.S.T日本支部所属広域活動部隊 αチーム
彩南高校1年
役職:戦闘員
コードネーム:ウルトラマン
S.S.S.T(科学特別捜査隊)の一員。
主に日本で活動しており、異星人絡みの事件で活躍している。
性格は善性であり、お人好しのため関係のない事件、事故に勝手に首を突っ込んで姿を見られてしまった。
学校での成績は優秀でその中でも理系はズバ抜けているが任務等で遅刻、欠席ばかりしており学校からの評価は『優秀な怠け者』。