S.S.S.Tのαチームの面々は会議室に集まっており、全員が深刻な表情をしていた。
その理由はリトを監視していた隊員からザスティンと接触したと報告があり、更にはデビルーク星の王からリトへメッセージがあったからだ。
その内容は1つはリトをララの婚約者候補として認めること、そして正式な婚約者として認められる「婚姻の儀」まで他の婚約者候補から守りきれなければ期待を裏切ったとして地球諸共滅ぼすとのこと。
余りにも理不尽な内容に全員が愕然としてしまった。
「これってさ……もう詰みじゃない?」
スランが口を開く。
その声は諦めを含んでいた。
それにアラシが反応する。
「何がだ?」
「その儀式まで守れって言われてもさ。確実に無理よ。今まではあのお姫様が結城リトを飽きても地球が銀河連合の足かがりがなくなるだけだったのに婚約者じゃなくなったら、地球を滅ぼすなんてねぇ?」
その言葉に新星は反論する。
「そんな事ない!俺達で守りましょうよ!?」
「シンセーくん。そうは言うけど他の婚約者候補見た?科学力に長けたペダン星人。戦略、策略に長けたガッツ星人。数々の怪獣を手懐けたカラタ人などなど……そしてあの
「だから!そいつらからリト達を守るのが俺達の役目でしょう!」
「言ってる意味分かる?もし奴らが本気で攻め込めば地球は簡単に滅ぶわ」
いつもふざけた様子のスランが真剣な目でそう言った。
その様子に新星は少し怯んでしまうが新星は負けじとスランの目を真っ直ぐに見る。
「それでも俺は諦めません。リト達は俺を救ってくれたんです。必ず守ってみせる」
確固たる意志を目に宿してそう宣言する。
スランは困った様な表情になり、キリタを見る。
「キリタくんはどう思うの?」
「確かに無謀だろうな。だが奴らのいいなりになるのは気に食わない」
賛成意見のキリタに新星は嬉しそうな表情をしながら見る。
「……そんな顔でこっちを見るな。気色悪い」
キリタはそう言いながらそっぽを向いた。
「兎に角、我々は今後も結城リトを守ることしかできない。無理矢理惚れさせるのは最終手段だ。新星は結城家に行ってフォローして来てくれ」
「了解です!」
「俺も戻ります」
新星の提案に沿った指示を出してくれるアラシのおかげで更に元気になった新星とキリタは会議室を出ていく。
アラシとスランが2人だけになるとスランが口を開く。
「珍しいですね。貴方が目的優先ではない指示を出すなんて」
「……アメリアが動けない今は無理ができないしな。今は様子見だ。……それにあの情報が事実か確認も取りたい。進捗はどうだ?」
「同業から聞き込みしてるけど何の進展もなし」
アラシはその言葉に一息ついた。
○
新星は結城家に着くとエプロンを着た美柑が出迎えてくれる。
「お帰りなさい!新星さん」
「ただいま、美柑ちゃん。リトは帰って来てる?」
「まだ帰って来てないよ。何か用事があった?」
「まぁ、そうだけど。帰ってからでもいいかな。それと……ララさんは?」
「ララさんもまだ帰って来てないよ。ナニ?新星さんもララさん狙い?」
美柑は少し揶揄う様な笑みを浮かべるが新星は少し浮かない表情になる。
それを見た美柑は嫌な予感がした。
(なんで残念そうな顔を……もしかして!新星さんもララさん狙い!?そんなぁ、長年かけて私を意識してもらえる様にしたのに!)
美柑は段々と不機嫌になって頬を膨らませる。
「じゃあ一旦出直して……どうしたの?顔を膨らませて」
「何でもありません!……別に出直さなくて家で待てば良いじゃないですか」
「え?いや、でも……」
「今更気にしませんよ。何ならお風呂も入って行けばいいじゃないですか。今なら私がお背中流してあげますよ?」
「何言ってんの!?」
美柑は勘違いで新星を揶揄いだし、新星もそんな美柑のイタズラに顔を赤くした。
なんとかお風呂を入らずに済んだ新星は台所で美柑の手伝いをしていた。
「新星さんはそれを切り終えたらこっちを火にかけちゃってください」
「了解。いやー美柑ちゃん、すっかり料理上手くなって1人暮らしの俺より上手くなってない?」
「リトや新星さん、それにララさんにも使ってますから。料理も上手くなりますよ。ほら味見してみます?」
美柑は箸でおかずを新星に向けると新星は一瞬どうするか迷ったがそのまま口で迎えに行った。
「うん!とても美味しいよ!これなら良いお嫁さんになれるね」
新星の褒め言葉に一瞬頬が赤くなる美柑だが気づかれない様に料理の方を向く。
「も、もう!何を言ってるんですか?」
「ははっ、ごめん」
「もう……だったら新星さんのお嫁さんになってあげましょうか?」
「はい!?」
顔を赤くしてそう呟いた美柑に新星は驚く。
「ま、またまたぁ、揶揄おうとしたってバレバレだよ?」
「………ふふ、バレましたか。さっきのお返しです♩」
美柑は舌をペロっと出して新星を見て、新星も揶揄っていると分かって一息ついた。
(本当は嘘じゃないけど……今はこの関係が心地良いから。まだもう少しだけ)
美柑の心情は全くの逆だが今はまだその気持ちを心の内に留めておいた。
(はぁ、美柑ちゃんすっかり大人っぽくなったな。今時の小学5年生ってこんな感じなの?ちょっとドッキリしちゃ……いや、俺はロリコンじゃない、ロリコンじゃない)
新星は心の中でロリコンじゃないと何度も呟いていた。
やがてララとリトが帰って来て、夕食になる。
「本当にララさんはここに住むんだ……」
「うん!そうだよー!そういえば何でシンセーはリト達とご飯を一緒に食べてるの?」
「新星さんの家族とウチはお隣さん同士で仲が良かったんだよ。それで今でもウチで食べてくれるんだ」
「へー!じゃあシンセーのパパとママも食べに来るの?」
「あー……それは……」
「……色々とあるんだよ」
ララの質問に途端に言いにくそうにする新星達にララは首を傾げた。
その後は何とか話をはぐらかし、ララと美柑は風呂に行き、新星とリトは2人で話す様になった。
「大丈夫かリト?」
「大丈夫じゃねぇよ……何だよ地球を滅ぼすって。責任重過ぎるだろ」
「だよな……俺達は全力でリト達を守るから」
「おう、ありがとな。だけど無理すんなよ?」
「分かってるよ。だけどリトが無事に西蓮寺に告白できる様に守らなきゃいけないしな。最近はどうなの?」
「う……それは……ちょっと前にいい雰囲気にはなったけど告白はまだ緊張して……」
2人はララ達が風呂から上がってくるまで恋愛について話し合った。
○
次の日、学校で体育の授業中にウルトラマンスーツの起動キーであるブレスレットが振動と共に発光した。
「センセー!すいません!お腹痛いので少し抜けます!」
「なにぃ!?またか!もう少しで終わるからがま「すいません!ほんと!漏れそうなんで!」……もう行きやがった」
「新星……?」
新星の慌てた様子にリトは首を傾げた。
誰もいない校舎裏に来るとブレスレットを通信モードにする。
「隊員ナンバー02087、コード:ノヴァです」
『ヤッホーシンセーくん。みんなが大好きなスランちゃんだよー』
「…‥冷やかしなら切りますね」
『冗談、冗談だって。そんなんじゃモテないし童貞のままだよ?』
「うるさいよ!?」
茶化してきたスランに怒るが、スランが真面目に話し出す。
『さっき彩南町から少し離れた森で未確認の宇宙船が発見されたの。君にその宇宙船でやって来た異星人を探してほしいの』
「それだけなら他の隊員に任せてもいいんじゃ?」
『それがねー。その船のマークがバルケ星人の王族なのよ』
「そういことですか……」
新星はスランの言いたいことが分かった。
「その異星人はララさんの婚約者候補でリトを狙っている。しかももう校内にいるかもしれない」
『そういうこと。私達じゃ校内で派手に動けないからシンセーくんに任せるしかないのよ』
「見つけたら確保しますね」
『うん、それでお願い。死なせたら星間問題になるしね』
「了解です」
『あっ、あともう一つ。その船にさ、怪獣カプセルの箱があったから注意して』
新星はすぐさまその場から走り出した。